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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

エタノール含有率を低下させた新規手指消毒剤の殺ウイルス作用:他のアルコール製剤との比較 

Virucidal activity of a new hand disinfectant with reduced ethanol content: comparison with other alcohol-based formulations

A. Kramer*, A.S. Galabov, S.A. Sattar, L. Döhner, A. Pivert, C. Payan, M.H. Wolff, A. Yilmaz, J. Steinmann
*Ernst Moritz Arndt University Greifswald, Germany

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 98-106


エタノール含有量を低下させ(55%)、10%プロパン-1-オール、5.9%プロパン-1,2ジオール、5.7%ブタン-1,3-ジオール、および0.7%リン酸を配合した新規製剤は、広域の殺ウイルス作用を示した。定量的懸濁試験において、本剤は蛋白質添加の有無のいずれの場合も、エンベロープを有する7種のウイルス(インフルエンザAおよびBウイルス、単純ヘルペス1および2ウイルス、牛コロナウイルス、RSウイルス、ワクシニアウイルス、B型肝炎ウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルス)およびエンベロープをもたない4種のウイルス(A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、猫カリシウイルス)の感染力価を30秒以内に103以上減少させた。比較試験において、同程度の作用を示したのは95%エタノールのみであった。
 フィンガーパッド試験において、ポリオウイルス1型(Sabin)の感染力価の30秒での対数減少率は、本製剤は3.04を示したのに対して、60%イソプロピルアルコールでは1.32であった。猫カリシウイルスに対する試験では、本製剤により2.38の対数減少率を示した。一方、70%エタノールおよび70%プロパン-1-オールによる対数減少率はそれぞれ0.68および0.70であった。

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大学病院における1993年~2002年の院内感染による髄膜炎

Nosocomial meningitis in a university hospital between 1993 and 2002

I. Palabiyikoglu*, E. Tekeli, F. Cokca, O. Akan, N. Unal, I. Erberktas, S. Lale, S. Kiraz
*Ankara University, Turkey

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 94-97


本研究の目的は、院内感染による髄膜炎(以下院内感染髄膜炎)と、外科的処置、病原体の種類、および他の病院感染症との関係を明らかにすることである。Ankara大学Ibn-i Sina病院の脳神経外科において、1993年から2002年の間に米国CDCの基準に従って院内感染髄膜炎と診断された51例の患者を後向きに評価した。院内感染髄膜炎の全患者は集中治療室に入院した。外科的予防のためには第三世代セファロスポリン薬が使用されており、治療のために広域抗生物質が使用されていた。院内感染髄膜炎は全入院患者の0.34%に発症し、全病院感染症の0.53%を占めた。14例(28%)が少なくとも1つの病院感染症を併発しており、主に手術創に由来した感染症や二次性菌血症を認めた。4例が手術部位感染症の後に同一の原因菌による院内感染髄膜炎を発症し、3例が菌血症を発症した。患者はすべて外科的処置を受けており、26例(51%)は脳室腹膜短絡術を受けていた。49例の患者の脳脊髄液で原因微生物が認められ、うち16例は多菌種の原因微生物を有していた。全67の微生物分離株のうち、グラム陰性桿菌は41(61%)であり、グラム陽性球菌は23(34%)、残りはカンジダ属が3(5%)であった。最も多くみられた病原菌はブドウ球菌(30%)であり、次は非発酵性グラム陰性桿菌(22%)であった。

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病院職員の制服の家庭での洗濯 ★★

Laundering of hospital staff uniforms at home

S.N. Patel*, J. Murray-Leonard, A.P.R. Wilson
*University College London Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 89-93


職員の制服を洗濯する病院は現在では少数である。職員は自宅の家庭用洗濯機を使用するよう求められるが、その洗濯機は40℃で運転するものがほとんどである。しかし、家庭での洗濯の有効性に関する情報はほとんどない。本研究では、低温(40℃)の設定を使用した場合でも、家庭用洗濯機により黄色ブドウ球菌の生菌数は108縲・012 CFUの着菌から、検出限界を下回るまで減少(106以上の減少)することが示された。環境中の微生物、主としてグラム陰性細菌叢は洗濯機から伝播するが、タンブラー乾燥機(回転式乾燥機)やアイロン掛けにより死滅した。家庭での制服の洗濯は、タンブラー乾燥機やアイロン掛けと組み合わせた場合、病院での洗濯の代替となり得る。

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監訳者コメント:
自宅における洗濯機自体の衛生環境は重要な因子である。いくらエビデンスが得られたとしても、洗濯機の取り扱いが肝要である。

骨髄移植または末梢血幹細胞移植後の好中球減少症における小児レシピエントの病院感染症サーベイランス、および成人レシピエントとの比較 

Surveillance of nosocomial infections in paediatric recipients of bone marrow or peripheral blood stem cell transplantation during neutropenia, compared with adult recipients

H.J. Laws*, G. Kobbe, D. Dilloo, M. Dettenkofer, R. Meisel, R. Geisel, R. Haas, U. Gobel, R. Schulze-Robbecke
University Hospital of Dusseldorf, Germany

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 80-88


この前向き研究の目的は、造血幹細胞移植後の小児および成人の好中球減少症患者の病院感染症発生率を分析することである。病院感染症の診断はGerman National Reference Centre for Surveillance of Nosocomial Infectionsのサーベイランスプロトコールを修正して行った。24カ月の研究期間中、小児38例、成人39例で移植が実施された。同種造血幹細胞移植を実施した小児は80%、成人は92%であった。好中球減少が記録されたのべ日数は合計1,156日であった。記録された全症例における好中球減少中の病院感染症の発生は1,000日あたり38.9件で、両群に有意差はなかった。肺炎の発生率にも差は認められなかったが、血流感染症の発生率は成人患者で高い傾向があった。原因不明の発熱エピソードは、成人患者よりも小児患者で有意に多かった。院内感染45例中19例で原因菌が分離された。感染の臨床診断例から分離された菌は、グラム陽性菌79%、グラム陰性菌16%、真菌5%であった。
 病院感染症サーベイランスは医療の質を管理するために有効な手段である。これは器材関連感染症や、院内肺炎などの特定の高リスク例に焦点を絞って実施されるべきである。

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電子化病院記録に基づく病院感染症サーベイランス 

Surveillance of hospital-acquired infections based on electronic hospital registries

R.A. Leth*, J.K. Moller
*Aarhus University Hospital, Denmark

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 71-79


外科および内科病棟の入院患者の病院感染症に関する診療録レビューにより、コンピュータを利用した病院感染症サーベイランス方法を、従来の手作業による記録方法(著者らの標準的方法、すなわち標準法)と比較した。様々な電子化病院記録の中から選択した感染症パラメータを組み合わせることによって、コンピュータは94%の感度および47%の特異度で一般的な病院感染症を検出した。しかし、簡易化した基準(感染パラメータ)の組み合わせを用いて敗血症、尿路感染症、肺炎、術後創部感染症を定義したところ、コンピュータを利用したサーベイランスでは、従来のマニュアルの記録方法と比較して、これらの感染を感度は82%(尿路感染症)から100%(敗血症)の範囲、特異度は91%(術後創部感染症)から100%(敗血症)の範囲で検出できた。結論として、電子化病院記録における他の目的で収集したデータに基づくコンピュータサーベイランスは、院内感染の監視の効果的な方法である。

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監訳者コメント:
診療録の電子化が進む中で参考になる報告であるが、現実的にはそれぞれの病院で採用されている電子化システムでの検討も必要である。

心臓胸部手術後の患者ケアにおける感染制御策遵守率の改善手段としての計画・実行・評価・改善サイクル ★★

Plan-do-study-act cycles as an instrument for improvement of compliance with infection control measures in care of patients after cardiothoracic surgery

F.H.van Tiel*, T.W.O. Elenbaas, B.M.A.M. Voskuilen, J. Herczeg, F.W. Verheggen, B. Mochtar, E.E. Stobberingh
*University Hospital Maastricht, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 64-70


本研究の目的は、715床の大学病院において、心臓胸部手術の術中から術後のケアにおける感染制御対策の遵守率が「計画・実行・評価・改善」(PDSA)サイクルの採用により向上するかどうかを判定することである。ここでいうPDSAサイクルの評価項目は、感染制御スタンダードに基づく正しい手技の遵守率とした。介入は、看護師および医療スタッフに対するPDSAサイクルの採用についての指導と訓練、PDSAサイクルを導入した時点における評価のフィードバック、手術室の周囲にポスターを貼ることなどであった。追跡期間中、全遵守率が向上したのは体外循環技術者が使用する部屋と手術室だけであった。追跡期間終了後の調査では、手術室の遵守率が低下していたが、集中治療室(ICU)長期入室患者の血管内留置カテーテルのケア、および看護病棟入院患者の創傷ケアでは遵守率が向上していた。最終的な一連の調査では、一般的な感染制御策の遵守率が手術室で再び向上し、病棟およびICUでも十分なレベルを維持していたが、手術室からICUへ転室した直後の患者に関しては例外であった。これらの結果から、PDSAサイクルの採用により、感染制御策の遵守率が著しく向上しうることが示された。しかし、向上した遵守率を維持するためには、反復的な調査が必要である。

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監訳者コメント:
医療に継続的質改善活動の手法であるPDSAサイクルを導入した点で注目される。なお、PDSAサイクルはPDCA(plan-do-check-act)サイクルとしても知られている。

ナノ粒子コーティング外科用マスクの抗菌効果

Antimicrobial effect of surgical masks coated with nanoparticles

Y. Li*, P. Leung, L. Yao, Q.W. Song, E. Newton
*The Hong Kong Polytechnic University, China

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 58-63


本研究では、ナノ粒子(硝酸銀と二酸化チタンの混合物)、および病原体からの防御を図る目的でナノ粒子をコーティングしたフェースマスクの抗菌活性を評価した。大腸菌および黄色ブドウ球菌に対するナノ粒子の最小発育阻止濃度は、それぞれ1/128、1/512であった。ナノ粒子コーティングマスクの抗菌活性をAATCC 100-1999の手技に従って定量化した。コーティングを施したマスクの材料では、48時間の培養で大腸菌および黄色ブドウ球菌の生菌数が100%減少した。フェースマスクを着用したボランティアで、皮膚刺激性は観察されなかった。ナノ粒子で防護衣表面をコーティングすると、病原体の伝播リスク減少に効果を発揮する。

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監訳者コメント:
本研究は研究室レベルでの検討であり、臨床試験あるいは動物による感染実験に基づく成果ではないので、検討結果の評価に関しては注意が必要である。

監訳者注:
AATCC Test Method 100-1999: Assessment of antibacterial finishes on textile materials. American Association of Textile Chemists and Colorists technical manual 2002. Research Triangle Park, NC: AATCC

レジオネラ病:トルコにおける院内集団発生 ★★

Legionnaire’s disease: a nosocomial outbreak in Turkey

I.H. Ozerol*, M. Bayraktar, Z. Cizmeci, R. Durmaz, E. Akbas, Z. Yildirim, S. Yologlu
*Inonu University, Turkey

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 50-57


Legionella pneumophilaの院内感染が2週間の間に6例発生し、30日後にさらに1例が後向きに診断された。病院の給水系からの分離菌株は単一の喀痰由来分離菌株の関連クローンであった。職員および入院患者のレジオネラ曝露に対する血清疫学的検査を、トルコのInonu大学病院において実施した。創立8年、600床、集中式空調設備を有する施設であるが、給水系の消毒プログラムはない。合計500の血清試料(病院職員400、入院患者100)のL. pneumophila抗体のスクリーニングを、ELISAで実施した。ELISAによる抗体価が4倍上昇、間接蛍光抗体法(IFA)による抗体価高値、または尿中抗原検査陽性を、血清学的陽性例とした。ELISAで抗体価がカットオフ値よりも高かった病院職員は400例中24例(6%)、入院患者は100例中7例(7%)であった。ELISAによる血清学的陽性例を2~4週間追跡した。これらの被検者のうち、ELISAによる抗体価が4倍上昇したのは7例(職員4例、患者3例)、IFA力価の高値を示したのが6例(職員、患者、各3例)、また尿中抗原検査陽性を示した肺炎患者が3例で、その中の1例は喀痰培養も陽性であった。さらに、22カ所の給水系でL. pneumophilaの有無を培養によりスクリーニングした。L. pneumophilaは15カ所から分離された。パルスフィールド・ゲル電気泳動法による型別検査により、給水系からの分離菌株はすべて同一で、喀痰由来分離菌株の関連クローンであることが示された。給水系の過熱処理と洗浄を実行後にレジオネラ菌が再度分離されたのは4カ所であった。過熱処理と洗浄を繰り返すことにより、レジオネラ菌は完全に除去された。本研究で、L. pneumophilaの早期検出および給水系の十分な過熱処理と洗浄が、レジオネラ菌の除去および伝播抑制に有効であることが証明された。

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監訳者コメント:
レジオネラ症が1例でも発見された場合、CDCの「環境の感染制御のためのガイドライン」でも、過去半年にわたり疑わしい症例がいないか、病歴調査をするように勧告している。本報告は、患者はもとより、同じ環境で就労する医療従事者を血清学的に調査し、不顕性感染例も含んで詳細に報告している点が参考になる。ヨーロッパは欧州共同体(EU)間でレジオネラ症の疫学に関するネットワークを構築して、国際的に症例の監視を続けており、参考になる(http://www.ewgli.org/)。

大腿骨頸部骨折手術後の深部感染が機能および死亡率に及ぼす影響 

Impact of deep infection after hip fracture surgery on function and mortality

J. Partanen*, H. Syrjala, H. Vahanikkila, P. Jalovaara
*University Hospital of Oulu, Finland

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 44-49


本研究の目的は、大腿骨頸部骨折手術後の深部創傷感染が機能的な予後および死亡率に及ぼす影響を評価することである。50歳以上(平均78.3歳)で、非病的骨折により手術を受けた連続2,276例を前向きに追跡した。深部感染が認められ(1.3%)、股関節再置換術を受けた29例を、年齢、性別、骨折時の居住形態、骨折型、治療方法、および歩行能力が一致した、感染のない対照と比較した。初回手術の4カ月後に大腿骨頸部骨折患者の機能を評価したところ、深部創傷感染患者は、対照患者と比べて歩行能力に障害があり(P=0.039)、車椅子などの歩行の補助をより多く必要とした(48%対20.8%、P=0.022)。4カ月時点での最初の病院での平均入院期間は、症例患者が対照患者より有意に長かった(P<0.001)。深部感染患者では糖尿病が多く認められた(P=0.038)。最も多く分離された微生物は黄色ブドウ球菌で、他の細菌(14.3%)と比較すると、高い1年死亡率との関連が認められた(57%、P=0.014)。1年後の全死亡率は感染患者34.5%、対照患者24.1%であった(P=0.508)。結論として、大腿骨頸部骨折手術後の深部感染は、短期の生活機能の転帰を悪化させるとともに死亡率をわずかに増加させ、超過死亡率は10.4%であった。

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腸炎起因性メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の分子疫学 

Molecular epidemiology of enteritis-causing methicillin-resistant Staphylococcus aureus

K. Okii*, E. Hiyama, Y. Takesue, M. Kodaira, T. Sueda, T. Yokoyama
*Hiroshima University, Japan

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 37-43

1990年代初期に、日本でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が原因の重度の腸炎(MRSA腸炎)が流行したが、それ以降、発生率は減少している。1990~1993年に検出された、MRSA腸炎の原因となった12の分離菌株(腸炎症例からの分離菌株)の遺伝子型および表現型を、1998~2002年に検出された186の非腸炎症例からの分離菌株と比較した。ブドウ球菌腸毒素(SE)および毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)の産生を検索するため、パルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE)、コアグラーゼ型別および逆受身ラテックス凝集反応により菌を検査した。また、SE-A、SE-B、SE-C、SE-D、TSST-1などの蛋白質をそれぞれコードする構造遺伝子entAentBentCentDtstを検索するため、PCR法により菌を検査した。12の腸炎症例からの分離菌株を、4つの型と4つの亜型に分類した。186の非腸炎症例からの分離菌株のうち、腸炎性症例からの分離菌株と区別できないPFGEパターンを示したのはわずか7株であった。12の腸炎症例からの分離菌株のうちの8株で、entAentCtstが認められ、高濃度のSE-AおよびTSST-1の産生がみられたが、SE-Cは産生していなかった。186の非腸炎症例からの分離菌株のうち、157株がSE-CおよびTSST-1を産生していたが、SE-Aは産生していなかった。腸炎患者からの分離菌株と区別できないPFGEパターンを示した非腸炎症例からの分離菌株7株はSE-Aを産生せず、比較的低濃度のTSST-1産生が認められた。これらの分離菌株が、集団発生早期から当院の病棟に存在し続けていた可能性があるが、異なる表現型を獲得していた。結論として、MRSA腸炎の消失は、腸炎起因性のクローン菌株の割合および表現型変異が減少した結果である可能性がある。

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監訳者コメント:
本論文は広島大学外科教室からの報告でありMRSA腸炎発症の病原因子の背景を知るうえで参考になる(MRSAに起因する感染性腸炎に関する海外での知見は乏しく、国内外の状況あるいはその認識は大きく異なっている)。

高齢者向け介護施設における導尿カテーテル:自己記入式アンケートによる介護施設職員のカテーテル管理の監査

Urinary catheterization in care homes for older people: self-reported questionnaire audit of catheter management by care home staff

C.A.M. McNulty*, J. Bowen, C. Foy, K. Gunn, E. Freeman, D. Tompkins, T. Ejidokun, I. Donald, G. E. Smith
*Gloucestershire Royal Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 29-36

自己記入式アンケートを用いて、英国の国立最適医療研究所(National Institute for Clinical Excellence;NICE)および失禁ケア協会(Association of Continence Care)が発表した導尿カテーテル処置指針に関する介護施設職員の申告による知識を判定し、さらにカテーテル処置実施率が高い施設では、この知識に相違があるか否かを調査した。カテーテル処置実施率が高率、中程度、または低率の、無作為に選択された37カ所の介護施設から、看護師およびその他の介護職員1,438名中750名(52%)の回答を得た。サンプリングを行った3カ所の健康行政区域の介護施設、あるいはカテーテル実施率が異なる介護施設において、申告された介護内容に差はなかった。看護師の83%およびその他の介護職員の40%は、正式なカテーテルケアの訓練を受けていた。しかし、少なくとも全職員の10%が、カテーテルを取り扱う前に手洗いを行わず、また採尿バッグから排尿する時期は、4分の3まで貯留した時点ではなく、一杯になる時点まで遅らせていると申告した。入所者に自分でカテーテルバッグを空にするよう指導していたのは、看護師45%、他の介護職員40%のみであった。ルーチンでカテーテルのメンテナンス用の溶液を使用または膀胱洗浄を実施していると申告したのは、全職員の50%であった。採尿バッグの栓から尿検査検体を採取していた看護師は29%、その他の介護職員54%であった。指針の遵守は1998年の監査以降、大幅に改善しているが、一部では依然として遵守されていない。地域の監査を継続し、特に資格のない介護職員を対象として尿カテーテルケアの正式な訓練を行う必要がある。地域におけるNICEガイダンスの実施を確実なものにするためには、教育が必要である。

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フランスの教育病院における侵襲性アスペルギルス症の病院全体での義務的な前向きサーベイランス 

Hospital-wide prospective mandatory surveillance of invasive aspergillosis in a French teaching hospital (2000-2002)

A. Fourneret-Vivier*, B. Lebeau, M.R. Mallaret, M.P. Brenier-Pinchart, J.P. Brion, C. Pinel, F. Garban, C. Pison, R. Hamidfar, D. Plantaz, H. Pelloux, R. Grillot
*Grenoble University Hospital, France

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 22-28


侵襲性アスペルギルス症(invasive aspergillosis;IA)の疫学的サーベイランスを行うため、多分野共同のワーキング・グループが2000年1月にGrenoble大学病院に設置された。本論文には、3年間のIAサーベイランスの結果を示す。多分野共同ワーキング・グループは全入院患者を調査し、真菌検査室においてIAが強く疑われる症例を検出した。アスペルギルス症委員会が症例を毎月調査し、国際的な基準に従って分類した。院内感染による罹患の可能性を判定した。490例の警戒症例のうち74例が観察対象となり、確定診断例が6例(8%)、ほぼ確実例が36例(49%)、可能性例が32例(43%)であった。IAの発生率は100,000患者・入院日あたり4.4であった(95%信頼区間3.4~5.4)。IAの確定診断例とほぼ確実例のうち、院内感染症例10例と発生源を特定できない症例6例が認められた。血液内科病棟内の防護環境の病室(protected room)では症例が認められなかった。血液内科病棟においては、複数の症例(3件の院内感染症例)による集団発生が1件認められた。症例の43%(32例)は血液内科病棟に入院し、他の症例はすべて別の科に入院した。この3年間の調査により、院内感染ではないIAの割合が高く、血液内科以外の病棟へ入院するIA症例が多いことが明らかになった。したがって本研究は、血液内科病棟と他のすべての高リスク病棟におけるIAサーベイランスの重要性を示している。

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監訳者コメント:
易感染性患者の入院している病棟における侵襲性アスペルギルス症(IA)の発症は、時に致死的な病態を引き起こす。工事や空調のメンテナンス作業は、こうしたIAの施設内流行の原因となる。日本におけるIAの院内流行を防ぐ施設管理面で対策については、まだまだ欧米諸国に学ぶべきことが多い。

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Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.