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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

胸部心臓手術後の手術部位感染のリスク管理

Risk control of surgical site infection after cardiothoracic surgery

P. Segers*, A.P. de Jong, J.J. Kloek, L. Spanjaard, B.A.J.M. de Mol
*University of Amsterdam, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 437-445


この前向き研究の目的は、リスク評価に基づくリスク管理計画、新しい治療方法、およびサーベイランスプログラムの存在が、手術部位感染の発生を減少させるかどうかを調査することである。2001年1月から2003年12月の間に、167例の患者が合計183件の手術部位感染の治療を受けた。手術前の危険因子(リスクファクター)、手術中のデータ、および手術後の回復についてのデータを収集したが、これらには合併症、感染の原因菌、手術部位感染の治療方法、および入院期間が含まれていた。この一連の研究における手術部位感染の全発生率は5.6%であった。感染患者の平均年齢は65.1歳、範囲は20~87歳であった。手術部位感染による集中治療室入室および入院の平均在院日数は、それぞれ3.6日および18.8日であった。全死亡率は4.8%であった。多くの危険因子が認められ、一部の因子は高い罹病率と関連していた。多くの手術部位感染で局所陰圧閉鎖療法を実施したが(81例)、副作用はまれで臨床転帰は良好であった。サーベイランスプログラムの開始後、罹患率は一貫して低下を示し、8.9%から3.9%となった。この一連の研究は、胸部心臓手術後の手術部位感染は罹患と死亡の主要な要因であるが、多くの場合は予防可能であるというエビデンスを付与するものである。危険因子の評価、新しい治療法の採用、および適切なサーベイランスシステムは、すべて患者の安全性を向上させた。

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監訳者コメント:
現状の把握、原因の同定、改善のための新しい治療法の導入、およびサーベイランスプログラムを用いた継続的な評価と検証についてのエビデンスのひとつとなる論文である。ただしサイエンティフィックな新しさには乏しい。

パルス洗浄により大腿骨人工骨頭置換術後の感染率は減少するか?  

Does pulse lavage reduce hip hemiarthroplasty infection rates?

R. Hargrove*, S. Ridgeway, R. Russell, M. Norris, I. Packham, B. Levy
*Frimley Park Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 446-449


本稿では、英国南部の4病院において実施された、それぞれの人工骨頭置換術(American Association of AnaesthetistsグレードⅣ以上)において、2種類の洗浄方法のうちのひとつを無作為に割り付けた、前向き無作為臨床試験について報告する。第一群の患者は生理食塩水2 Lのパルス洗浄を、第二群は生理食塩水2 Lのピッチャーまたは注射器による洗浄※※を受けた。すべての創部の観察を、術後の入院中には30日まで、あるいは退院時まで行った(Nosocomial Infection National Surveillance Surveyの基準を採用)。感染により再入院した患者はすべて記録した。パルス洗浄群では全感染率が有意に低く、特に“関節裂隙”または深部感染率が減少した。

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監訳者コメント:
整形外科領域で一般的に信じられている、The solution to pollution is dilution(汚染の解決法は希釈することである)ということわざがあるが、それを実証するエビデンスのひとつとなる論文である。ただし、糖尿病や肥満などの危険因子(リスクファクター)で階層化はしていない。

監訳者注:
手術中に、一定間隔の生理食塩水による強制的な洗浄を継続。
※※執刀医の判断で、ピッチャーまたは注射器で生理食塩水による穏やかな洗浄を適宜実施。

手術の手洗い前に指輪をはずすべきか? ★★

Should finger rings be removed prior to scrubbing for theatre?

N.K.R. Kelsall*, R.K.L. Griggs, K.E. Bowker, G.C. Bannister
*Southmead Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 450-452


指輪により皮膚表面の細菌数が増加する。手洗いによって細菌数は減少するが(P=0.05)、指輪の下の細菌数は指輪周囲の皮膚や反対側の手より多い。手洗い前に指輪をはずすと細菌数は減少するものの、依然として指輪周囲の皮膚または反対側の手よりは多い。理想的には、手術スタッフは指輪を使用すべきではない。しかし、指輪を着けている場合には、手術の手洗い前にはずすべきである。

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監訳者コメント:
比較的シンプルな論文であるが、病院職員への手指衛生の指導時に示すことができる根拠のひとつとなる。この論文を知っておくと便利である。

集中治療室における死亡率およびグラム陰性桿菌による菌血症

Mortality and Gram-negative rod bacteraemia in the intensive care unit

D.F. Gardiner*, S.J. Scholand, T. Babinchak
*Weill Medical College of Cornell University, USA

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 453-457


本研究は、グラム陰性桿菌による菌血症の集中治療室入室患者37例を対象とした。グラム陰性菌菌血症の感染源、原因菌、および死亡率は、過去の調査結果と一致していた。抗生物質投与が無効となる原因で最も多いものは、抗菌薬耐性を示す傾向が強いことが報告されている菌種における抗生物質耐性の発現であった。本研究により、抗菌薬選択にあたっては抗生物質耐性が重要であること、および Acute Physiology and Chronic Health Evaluation(APACHE)のスコアが患者の死亡予測に検出力を発揮することが明らかとなった。

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監訳者コメント:
数十年前の文献と比較して、集中治療室におけるグラム陰性桿菌による菌血症の疫学に変化がないという興味深い結果が得られた。抗菌薬が開発される一方、細菌の耐性化も進行し結果として死亡率が変わらないという結果は、すべての院内感染に共通していえる問題であろう。

オンタリオ州における入院患者を訪問する犬における人畜共通感染症病原体の保有率:感染制御における意義

Prevalence of zoonotic agents in dogs visiting hospitalized people in Ontario: implications for infection control

S.L. Lefebvre*, D. Waltner-Toews, A.S. Peregrine, R. Reid-Smith, L. Hodge, L.G. Arroyo, J.S. Weese
*University of Guelph, Canada

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 458-466


犬が入院患者を訪問する治療は一般化しつつあるが、犬が医療現場に持ち込む潜在的な健康リスクについてはほとんど知られていない。このクロスセクショナル(横断)研究では、オンタリオ州全域の様々な地域から訪れる犬102頭における人畜共通感染症病原体の保有率を評価した。2004年5月から7月にかけて、飼主には標準化した質問票による聞き取り調査を行い、犬には標準的な身体検査を実施した。各犬から糞便1検体、被毛ブラッシング検体、および直腸、耳腔、鼻腔、口腔、および咽頭の各スワブを1検体づつ採取して、特定の18種類の病原体の検査を行った。すべての犬が良好な健康状態にあると診断された。人畜共通感染症病原体が犬102頭のうち80頭(80%)から分離された。主要な病原体はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)で、58個の糞便検体(58%)から分離された。これらの分離株の71%(41/58)は毒素産生型であった。基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌が1頭(1%)から分離され、基質特異性拡張型セファロスポリナーゼ産生大腸菌が3頭(3%)から、またサルモネラ(Salmonella)属菌も3頭(3%)から分離された。パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)またはパスツレラ・カニス(Pasteurella canis)が29頭(29%)の口腔スワブから、マラセチア・パチデルマティス(Malassezia pachydermatis)が8つ(8%)の耳腔スワブから分離された。ジアルジア(Giardia)属抗原が7頭(7%)の糞に存在し、犬回虫が2頭(2%)、犬鉤虫が1頭(1%)で検出された。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、カンピロバクター(Campylobacter)属、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、A群レンサ球菌、緑膿菌、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属は検出されなかった。これらの知見が感染制御に対して大きく影響するかどうかを適切に評価するためには、さらなる情報が必要である。

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監訳者コメント::
論文タイトルに反して、調査結果の感染制御における意義については十分に議論されているとは言い難い。

医療廃棄物管理基準の低下:有害廃棄物規制法の変更は、CDCのユニバーサルプリコーション(普遍的予防策)・スタンダードプリコーション(標準予防策)と矛盾するか? ★★

Lowering standards of clinical waste management: do the hazardous waste regulations conflict with the CDC's universal/standard precautions?

J.I. Blenkharn*
*London, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 467-472


医療廃棄物は費用のかかる、厄介な代物である。医療行為から生じる廃棄物における最大の危険は、これらの廃棄物に存在する微生物による感染のリスクである。傷のある皮膚への汚染や眼に入った飛沫が感染を伝播することもあるが、一般的に感染は穿通損傷、いわゆる「鋭利物」または「針刺し」による切創を介して生じる。呼吸器感染、軟部組織感染、および腸管感染もないわけではないが、血液媒介ウイルス[B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)]は、最も深刻な脅威である。廃棄物の分類や規制の調整を図る欧州有害廃棄物指令(European Hazardous Waste Directive)は、感染リスクが低いと思われる施設での医療廃棄物の規制緩和を認めた。英国の規制ガイダンスは、廃棄物分類のリスクアセスメントに対する要請に基づいて強化されているが、一部の医療廃棄物については危険性はないものと指定する方向にあり、これは米国疾病対策センター(CDC)のユニバーサルプリコーション(普遍的予防策)、すなわち医療現場におけるHIV、HBV、およびその他の血液媒介病原体の伝播を予防し、医療従事者などの血液媒介ウイルス感染を予防するための対策、およびこの基本方針を医療施設関連感染および院内病原体の環境拡散の予防にまで拡張した、より包括的なスタンダードプリコーション(標準予防策)を完全に無視するものである。欧州有害廃棄物指令に基づく英国の法規は、強力なコスト推進要因を創出することによって一部の医療廃棄物の規制緩和を助長するものであり、CDCのスタンダード・ユニバーサルプリコーションとは矛盾している。

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監訳者コメント:
医療廃棄物は、もはや一国の問題ではなく、国際的な問題となってきている。本論文は、特に地続きの欧州ではEUによって廃棄物まで含めた流通が広域化し、様々な政治的圧力の中から将来の方向性を模索している現状を紹介しているので、一度熟読して自分なりに考察されることをお勧めします。

リハビリテーション病棟における脊髄損傷患者の尿路感染による高率の院内感染罹患率

High prevalence of nosocomial infections in rehabilitation units accounted for by urinary tract infections in patients with spinal cord injury

R. Girard*, M.A. Mazoyer, M.M. Plauchu, G. Rode
*Hospices Civils de Lyon, France

Jounal of Hospital Infection (2006) 62, 473-479


本研究(2001年にフランスで実施された全国規模の罹患率サーベイランスの一部)は、リハビリテーション病棟入院患者における院内感染の罹患率と危険因子(リスクファクター)、および耐性菌叢の調査を目的として計画した。Hospices Civils de Lyonグループの2カ所の病院286例の患者を対象とした。患者は脊髄損傷の有無により分類した。78例(27.3%)に脊髄損傷があった。これらの患者は若齢で、日常生活動作スコアが低い場合が多く、尿失禁と慢性呼吸器疾患が多かった。導尿カテーテルおよび人工呼吸器の利用頻度が、これらの患者では高かった。院内感染罹患率は脊髄損傷群で高く(21.8%対4.3%、P<0.00001)、特に尿路感染で顕著であった(19.2%対3.4%、P<0.00001)。危険因子の数と院内感染罹患とは正の関係があった。多変量解析では、院内感染罹患の唯一の独立した危険因子は導尿カテーテルの留置であった[オッズ比(OR)11.64、95%信頼区間(CI)2.53~53.65、P=0.002]。慢性腎疾患または慢性肝疾患(OR 5.84、95%CI 0.80~42.68、P=0.082)と脊髄損傷(OR 2.97、95%CI 0.61~14.60、P=0.179)は、有意性の周縁域の因子であった。抗生物質耐性菌の罹患率は高かったが(感染部位31に対して耐性菌9例)、患者群による相違はなかった。脊髄損傷患者における高率の院内感染、特に尿路感染は、脊髄損傷の独立した影響によるものではなく、危険因子が多いことに起因する可能性が高い。これらの高リスク患者へは、院内感染の集中的なサーベイランスが必要である。

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地域総合病院における市中感染による医療関連MRSA菌血症  

Community-onset healthcare-associated MRSA bacteraemia in a district general hospital

J.A. Karas*, D.A. Enoch, M.M. Emery
*Hinchingbrooke Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 480-486


メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)菌血症では、死亡率と罹患率が高くなる。この後向き研究は、英国の地域総合病院における4年間の76件の菌血症に関するものである。これらの菌血症のうち28件(36.8%)は、入院から72時間以内に発生した。しかし、そのすべてがMRSA感染の危険因子(リスクファクター)を有しており、医療関連菌血症に分類された。全死亡率は7日後31.5%、3カ月後53.4%であった。患者10例は標的治療(targeted therapy)の開始前に死亡した。本研究の患者全例に複数の共存疾患があり、肺炎の診断が多かった。感染の危険因子は、抗生物質使用歴、高齢、外科病棟入院または集中治療室入室、および中心静脈カニューレと導尿カテーテルの設置であった。菌血症の48.7%では、患者は菌血症以前にはMRSA保菌が検出されていなかった。MRSAの危険因子を有し、血液培養でブドウ球菌が検出された患者には、感受性検査の結果を待つ間に経験的な標的治療を実施するべきである。伝播を減少させ、適切な経験的抗菌療法を実施する機会を増やすためには、スクリーニング回数を増加する必要もあると考えられる。市中感染による医療関連菌血症を減少させるためには、市中の保菌者からのMRSA伝播の根絶を検討すべきである。

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監訳者コメント:
28件の市中感染による医療関連菌血症のうち、11例が入院後24時間以内、16例が入院後24~48時間に発生している。入院の可能性の高い市中の人々に対し、MRSA保菌状態を把握しておくことが今後必要になるかもしれない。

新抗菌薬OxsilR 320Nに対するバイオフィルム形成細菌および浮遊細菌の感受性

Sensitivity of bacterial biofilms and planktonic cells to a new antimicrobial agent, OxsilR 320N

N. Surdeau*, D. Laurent-Maquin, S. Bouthors, M.P. Gelle
*INSERM, France

Jounal of Hospital Infection (2006) 62, 487-493


標準EN 1040およびNF T 72-150により、浮遊細菌に対する消毒薬の有効濃度を判定した。これは接触5分後に殺菌効果をもたらす濃度であり、その後中和される。しかし微生物はしばしば下層に定着し、そこで細胞外ポリマー・マトリクスに包まれて微小コロニーやバイオフィルムを形成する。バイオフィルムは通常、多種類の抗菌薬に耐性を有するが、耐性の機序には、細胞外ポリマー・マトリクス、遺伝子発現の変化、代謝の変動が関係している。このように耐性機序が多様であるため、バイオフィルムに対する有効な抗菌薬の選択と濃度設定が困難である。こうした状況の下で、SODIFRA社は新規消毒薬OxsilR 320N(フランス特許94 15 193)を開発した。Oxsil 320Nは、過酸化水素、酢酸・過酢酸、銀の3種類の有効成分が混合したものである。浮遊細菌、およびステンレス鋼であるAISI 304の表面における形成後24時間のバイオフィルムに対して、本殺菌剤の試験を行った。また、SODIFRA社の推奨事項(殺菌剤の中和は行わない)に従って、バイオフィルムでOxsil 320Nの有効濃度を判定した。浮遊細菌で測定した抗菌薬の有効性は、バイオフィルムの存在下での有効性の確実な指標とはいえないことが示された。バイオフィルムをOxsil 320Nに曝露した場合に、微生物濃度を105倍に減少させるために必要な濃度は、細菌懸濁液に対する濃度(0.313% Oxsil 320N)の10倍であった。Oxsil 320Nの有効濃度として、3.13%が必要であった。

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監訳者注:
EN 1040、NF T 72-150:いずれも浮遊細菌に対する希釈中和法。

イタリアの大学病院におけるLegionella pneumophila の臨床的および環境中分布:紫外線殺菌の有効性

Clinical and environmental distribution of Legionella pneumophila in a university hospital in Italy: efficacy of ultraviolet disinfection

M. Triassi*, A. Di Popolo, G. Ribera D’Alcala, Z. Albanese, S. Cuccurullo, S. Montegrosso, M. Crispino, P. Borella, R. Zarrilli
*Universita di Napoli ‘Federico II’, Italy

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 494-501


V. Monaldi University Hospitalにおいて、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)の分子疫学の研究を行った。院内感染によるレジオネラ病が1999~2003年に7例診断された。成人心臓外科病棟の患者2例から検出した2つのレジオネラ臨床株と、小児および成人心臓外科病棟、新生児集中治療室、および循環器呼吸器集中治療室から採取した30のレジオネラ環境株の血清型と遺伝子型の判別を行った。2001~2002年に、成人心臓外科病棟の患者2例、および成人心臓外科病棟3件と小児心臓外科病棟1件の水の試料から、パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)で同一のプロフィールAを有するL. pneumophila血清群1/Philadelphiaを分離した。さらに、全病棟で採取した20の環境株から、同一のPFGEプロフィールBを有するL. pneumophila血清群3が、循環器呼吸器集中治療室の1つの環境株から、プロフィールCを有するL. pneumophila血清群3が同定された。また、成人および小児の心臓外科病棟と新生児集中治療室の5つの環境株から、同一のPFGEプロフィールDを有するL. pneumophila以外のレジオネラ菌が同定された。院内感染によるレジオネラ病に関連するL. pneumophilaクローンにより汚染された、成人および小児の心臓外科病棟の病院給水設備の消毒には、紫外線照射が有効であった。結論として、今回のデータは、院内感染による2例のレジオネラ病が、病院環境中のL. pneumophila血清群1/Philadelphiaの単一のクローンが存続することによって発生したこと、および紫外線照射による殺菌は院内感染によるレジオネラ病予防の有効な方法となりうることを示している。

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監訳者コメント:
水廻りに生息して排除することが難しいレジオネラ菌を、紫外線照射によりコントロールできた、という興味深い論文である。

Randomly amplified polymorphic DNA解析で同一パターンを示すNocardia farcinica 感染の集団発生

Outbreak of Nocardia farcinica infection with the same pattern in randomly amplified polymorphic DNA analysis

S. Kachi*, M. Okazaki, H. Takeda, H. Igarashi, O. Kobayashi, H. Watanabe, K. Nakata, S. Kawai, M. Aoshima, T. Watanabe, H. Goto
*Kyorin University School of Medicine, Japan

Jouranl of Hospital Infection (2006) 62, 502-506


著者らは、Nocardia farcinicaによるノカルジア症を同一病棟で6カ月間に3例経験した。Randomly amplified polymorphic DNA(RAPD)法による遺伝子解析の結果は、同じパターンを示した。したがって、これらの3例は同一のN. farcinica菌株によるものと考えられ、院内感染の可能性を示唆している。

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監訳者コメント:
起因菌不明の日和見感染に際し、N. farcinicaを念頭に置く必要性を感じさせる論文である。本報告は日本国内からなされており、どの施設でも起こりうる事例である。

Diploma in Hospital Infection Control(DipHIC;病院感染制御ディプローマ):過去の経験的学習の認定に関する重要な変更と更新

Diploma in Hospital Infection control―important changes to the accreditation of prior experiental learning and update

B. Cookson*, B. Drasar
*Centre for Infection, Health Protection Agency, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 62, 507-510


Diploma in Hospital Infection Control(DipHIC;病院感染制御ディプローマ)は、Hospital Infection Society(英国病院感染学会)、London School of Hygiene and Tropical Medicine(ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院)、およびPublic Health Laboratory Service[公衆衛生研究所サービス、現在のHealth Protection Agency(健康保護局)]により、1997年に創設された。著者らは、過去の経験的学習実績の認定ルート(accreditation of prior experiental learning)によるDipHICの資格考査についての重要な変更点を概説するとともに、リフレクション(reflection)の実例へのウェブリンクを記載し、またDipHIC取得者の氏名を取得ルート別に掲示する。

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監訳者コメント:
科学的論文ではないが、イギリスの感染制御に関する資格制度を知る上で参考になる。日本人で唯一のDipHIC取得者である堀 賢氏(順天堂大学)の名前も掲載されている。

監訳者注
リフレクション:各自が実際に遭遇した感染対策上の諸問題に対して、専門家としてどのように関与し、どのような活動を行い、一連の結果を導いたかについて内省(reflection)することを意味する、英国独特の報告書の形式。

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Reproduced from the Journal of Hospital Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.