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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

ロンドンの教育病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌菌血症の強化サーベイランス

Enhanced surveillance of meticillin-resistant Staphylococcus aureus bacteraemia in a London teaching hospital

D. Jeyaratnam*, J.D. Edgeworth, G.L. French
*St. Thomas’ Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 365-373


英国保健省は2001年、イングランド地方の病院にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)菌血症(血液培養陽性エピソード)のサーベイランスを強制導入した。著者らは様々な専門分野におけるMRSA菌血症の疫学研究を行うため、2001年4月から2003年3月にかけて英国の病院で強化サーベイランスを実施した。MRSAの血液培養陽性エピソードは267例あり、1,000のべ病床利用日あたりの感染率は0.37であった。33例(12.4%)は汚染による偽陽性であり、15例(5.6%)は地域社会または別の医療機関由来のものだった。31例(11.6%)は外来患者に、あるいは患者が退院した直後に発生し、「病院関連」と判定された。残りの188例は入院患者の臨床的に有意な病院感染エピソードであり、感染率は1,000のべ病床利用日あたり0.26であった。感染率が最も高かったのは集中治療室(intensive therapy unit;ITU)(1,000のべ病床利用日あたり2.74)と重症ケアユニット(high dependency unit;HDU)(1,000のべ病床利用日あたり1.68)であった。ITU、HDU以外でのエピソード55例は、菌血症の発現以前にITUまたはHDUからすでに退室していたものの、引き続き入院していた患者に起こった。ITUまたはHDUに関連するMRSA菌血症の症例数から、これらの部門がMRSA感染の拠点である可能性が示唆された。血液・腫瘍・腎臓内科の患者では病院関連エピソード数が最も多かった。MRSA菌血症の最大の発生源は血管アクセス器材であった(108例、57%、うち64%は中心静脈ライン)。ITU、HDU、および血液・腫瘍・腎臓内科の患者の菌血症感染率の高さは、血管アクセス器材の高頻度の利用と関連があった。エピソードの大多数は、入院後に新規にMRSA保菌者となった患者に起きた。このように、この病院において、血管アクセス器材とITUあるいはHDU滞在が菌血症の重大な危険因子(リスクファクター)であり、血管アクセス器材の処置と交差感染予防が最優先の介入事項である。MRSA制御に対する国家戦略のための情報提供と、医療機関の適切な比較を可能にするために、全国的な強制サーベイランス制度によるMRSA菌血症のデータのさらなる収集が推奨される。

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監訳者コメント:
あくまでもMRSA菌血症についての粗発生率の統計を用いたサーベイランスであるが、国家戦略としてのMRSAコントロールが数年のスパンで上手くいっているか否かをモニターするためには有用である。しかしながら、病院間では患者母集団のリスクが異なるために、リスクで標準化しないで粗発生率を単純比較することは、病院の医療の質に対する公平な評価への遠回りになることも注意しなければならない。本政策は、国民の病院感染症への関心の高まりに合わせて、多分に政治的意図をもって立案と導入がされた経緯がある(現地の専門家のコメント)。

血管外科病棟におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の発生率減少を目的とした介入の一部としての一時的コホート隔離病棟の利用

Use of a temporary cohort ward as part of an intervention to reduce the incidence of meticillin-resistant Staphylococcus aureus in a vascular surgery ward

E.T. Curran*, K. Hamilton, A. Monaghan, M. McGinlay, B. Thakker
*North Glasgow University Hospitals Dvision, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 374-379


本稿では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の新規感染の持続的な増加により、標準的なMRSA感染制御予防策の実施が不適となった血管外科病棟に対する、コホート隔離エリア導入の効果について論じる。発表された論文についての最近の総説は、「英国で推奨されている隔離策が有効であることを示すエビデンスはほとんど見いだせない」と結論している。隔離に関するエビデンスをよりシステマティックに収集するために、著者らはある報告フォーマットを推奨しており、本論文は推奨される報告フォーマットに従っている。調査施設は、英国のグラスゴーにある第三次病院内の、30床の急性・亜急性血管外科病棟であった。データの解析は、時系列をコホート隔離前19カ月、隔離中の8カ月、隔離後8カ月で区切って行った。コホート隔離エリアの開設後、患者から採取される院内感染MRSA分離株数は有意に減少した(P=0.0005)。この減少は、コホート隔離エリアの使用を終了した後も持続した。結論として、コホート隔離エリアを利用して、MRSAの保菌・感染のない患者から保菌・感染患者を効果的に隔離した結果、MRSAの交差保菌および交差感染が有意に減少した。結果として生じた病棟内のMRSA感染の減少により、コホート隔離エリアの使用終了後も、その後の患者の効果的なスクリーニングと隔離が容易になった。

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監訳者コメント:
限定されたMRSAのハイリスクエリアで、比較的エンデミックな状態にある血管外科病棟におけるコホート隔離の有用性について検討している。本来接触感染であるMRSAでは、空気感染で必要な個室隔離は必ずしも必要性が高くはない(ないわけではない)が、これは物理的バリアより精神的バリアの意味合いが強い。十分な個室を準備できない状況では、コホート隔離を行いMRSAの伝播リスクを積極的にコントロールすることが有用であることを示している。

救急部におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌制御プログラムに基づく選択的スクリーニングの影響

Impact of selective screening in the emergency department on meticillin-resistant Staphylococcus aureus control programmes

M. Eveillard*, C. Leroy, F. Teissiere, E. Lancien, C. Branger, A. de Lassence, M.-L. Joly-Guillou, P. Brun
*Hopital Louis Mourier (AP-HP), France

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 380-384


積極的なスクリーニングによりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のリザーバを特定し、その後、接触予防策を実施することは、MRSA制御プログラムの主要な要素である。本研究の目的は、救急部における選択的スクリーニングプログラムの結果と、実施した接触予防策の妥当性を評価することであり、その評価は接触予防策の必要だった日と不必要だった日を識別することにより行った。またこの評価は、接触予防策の全実施日、およびより正確には、スクリーニングの結果が得られる前から実施した予防的な接触予防策の実施日について行った。3年の研究期間中に、救急部を訪れた患者の0.95%(605例)に対して、MRSA保菌のスクリーニングを実施した。MRSA保菌者と判定された193例(31.9%)のうち、159例は救急部または別の病棟の短期入院エリアに入院していた。短期入院エリアに受け入れた140例のうち、44例は48時間以上入院し、平均入院期間は5.9日であった。スクリーニングにより保菌者と判定された患者の累積入院期間は1,897日であった。全体では、救急部でスクリーニングを受けた患者に対して2,370日の接触予防策(予防的な予防策924日を含む)を実施した。病院全体では、救急部でスクリーニングを受けた患者に対する当接触予防策プログラム全体の妥当性は80.0%(短期入院エリアでは52.1%)であったが、予防的隔離日数に限定した妥当性は48.6%(短期入院エリアでは43.6%)であった。本研究は、短期入院エリアにおけるMRSA交差伝播のリスクと、救急部で保菌者をスクリーニングする制御プログラムの有効性を強調するものである。

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監訳者コメント:
介護施設や長期療養型施設から入院となったすべての患者について積極的にスクリーニングを行い、スクリーニング結果がでるまでの間にもMRSA保菌者と仮定しての積極的に接触予防策の実施を推進していくことをプログラムの骨子としている。しかしながら、予防的隔離日数における妥当性は、職員の意識を反映して低くなっている。本研究では、伝播の実際についての解析がなされていないために、正当な評価がされているとは言い難いが、予算と人材が限られている施設では、参考にできる部分もある。

消化器科病棟でのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染予防におけるムピロシンの長期的有効性

Long-term efficacy of mupirocin in the prevention of infections with meticillin-resistant Staphylococcus aureus in a gastroenterology unit

C. Dupeyron*, B. Campillo, J.-P. Richardet, C.-J. Soussy
*Hopital Henri Mondor, France

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 385-392


長期入院患者を収容する消化器科病棟での、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染に対する、ムピロシンによる鼻腔内MRSA除菌の長期的有効性(55カ月)を評価した。合計2,242例の患者を試験に組み入れ、このうち92%は消化器科病棟への入院前に別の病院での入院歴があり、64%は慢性肝疾患、25%はその他の疾患をもち、11%は消化器の手術後の入院であった。解析は、連続する3つの期間に分けて行った。入院時の鼻腔内保菌率は3期すべてで同等であったが(1期、2期、3期でそれぞれ10.9%、7.5%、8.6%)、入院後の鼻腔内保菌は母集団全体(1期、2期、3期でそれぞれ14.3%、16.2%、10.2%、P=0.006)および慢性肝疾患患者(1期、2期、3期でそれぞれ15.8%、18.7%、11.9%、P=0.018)で減少した。MRSA感染率(全入院・日あたりの感染数)は、除菌開始の前年では1,000入院・日あたり1.41であり、1期1.40、2期0.74、3期0.59であった(P=0.022)。患者あたりのMRSA感染率は、慢性肝疾患患者で1期7.0%、2期3.7%、3期3.1%であり(P=0.0062)、母集団全体で5.5%、3.0%、2.4%であった(P=0.0024)。MRSAによる死亡率は1期、2期、3期でそれぞれ0.31%、0.19%、0.13%であった(P=0.035)。入院期間中に保菌した患者から検出した耐性菌株数は、1期12例、2期4例、3期6例であった。入院が長期に及ぶMRSA保菌患者におけるムピロシンによる長期間の鼻腔内治療は、入院後の保菌およびMRSA感染の減少と関連する一方で、保菌患者が1回しか治療を受けない場合は、ムピロシン耐性菌株が増加することはなかった。

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監訳者コメント:
監訳者の個人的見解としては、手指衛生のコンプライアンスの向上を果たせる決定的な対策がない現状では、MRSAのリザーバである保菌者を非保菌者化することは、一定の効果があるものと考えている。しかしながら、もっとインパクトが大きいリザーバは、実は同定される前の潜在的保菌者(unrecognized carrier)であると予想している。実際にすでに同定された保菌者より潜在的保菌者からの方が、38倍も伝播しやすかったという報告もこれを裏づけているので、ハイリスク患者を積極的にスクリーニングして隔離し、除菌をしていくことが重要であると考える。そういった意味では、オランダのsearch & destroy policyを国情に合わせて発展させ、効率よく導入していければ、HICPACやCDCのガイドラインはもとより、SHEAのガイドラインを上回るコンセプトを、日本から発信していくことができると考えている。ムピロシンの投与は、耐性菌選択の予防の観点から、ひとりあたり1年に2回以内とすべきであろう。

フランシュ・コンテ地方における院内感染罹患率に関する4年間の研究の結果:院内感染のリスクを順位づけする試み

Results from a four-year study on the prevalence of nosocomial infections in Franche-Comte: attempt to rank the risk of nosocomial infection

N. Floret*, P. Bailly, X. Bertrand, B. Claude, C. Louis-Martinet, A. Picard, N. Tueffert, D. Talon
*CHU Saint-Jacques, France

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 393-398


本研究の目的は、2001~2004年にフランシュ・コンテ地方で年1回実施した罹患率調査の結果を分析することによって、院内感染リスクを患者のタイプ別に順位づけすることである。患者(14,905例)を内因性危険因子(年齢、免疫抑制、MacCabeスコア)の数に応じて4つのカテゴリに分類した。感染の全罹患率は6.1%で、患者カテゴリによって1.93%(危険因子なし)から15.2%(危険因子が3つ)までばらつきがあった。侵襲的手技に関連する院内感染発生率は30.9%、多剤耐性菌の交差汚染に関連する院内感染発生率は12.3%であった。これらの割合は、患者タイプとは無関係であった。院内感染罹患率は、2つまたは3つの危険因子をもつ患者では経時的に減少したが、危険因子のない患者では一定であった。院内感染のうち40%を超えるものは(侵襲的手技および多剤耐性菌による交差汚染に関連)患者カテゴリにかかわりなく、予防が可能であった。本研究は、少なくとも30%の院内感染が予防可能であったことを示唆している。

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欧州の集中治療室における心臓の大手術後の感染:改善の余地について(ESGNI 007研究) ★★

Infections following major heart surgery in European intensive care units: there is room for improvement (ESGNI 007 Study)

E. Bouza*, J. Hortal, P. Munoz, M.J. Perez, M.J. Riesgo, M. Hiesmayr on behalf of the European Study Group on Nosocomial Infections and the European Workgroup of Cardiothoracic Intensivists
*Hospital General Universitario Gregorio Maranon, Spain

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 399-405


心臓の大手術を受ける患者では、院内感染のリスクが増加する可能性がある。欧州の集中治療室(ICU)における心臓大手術患者の感染の発生率とタイプ、およびそのケアの質を評価するため、欧州の心臓大手術ICUから選択して質問票を郵送した。欧州7カ国の17病院が参加した。全体で、対象ICUの53%が心臓大手術患者のみを受け入れ、残る47%はその他の患者も受け入れていた。研究期間中、患者11,915例が心臓大手術を受け、1,181例(9.9%)に1つ以上の院内感染が発生した。人工呼吸器関連肺炎が最も頻度の高い感染で(中央値3.8%、四分位範囲[IQR]1.8~4.9)、次いで手術創感染(中央値1.6%、IQR 0.8~2.3)、カテーテル関連血流感染(中央値1.3%、IQR 0.8~2.1)、縦隔炎(中央値1.1%、IQR 0.4~1.6)、尿路感染(中央値0.6、IQR 0.4~1.4)、院内感染による心内膜炎(中央値0.2%、IQR 0.0~0.9)であった。死亡率の中央値は4.7%(IQR 2.7~8.4)、感染関連死亡率の中央値は1%(IQR 0.5~2.7)であった。人工呼吸器関連肺炎に関しては、18%のICUでは、診断をルーチンに実施していなかった。微生物に関する情報は、症例の35%が定量的情報であり、65%が定性的情報のみであった。感染症専門医が人工呼吸器関連肺炎管理に定期的にかかわっていたICUはわずか35%で、人工呼吸器関連肺炎の治療で抗菌薬のde-escalationを実施していたICUは、全体の59%であった。欧州の心臓大手術ICUでは、依然として術後感染率が高い。人工呼吸器関連肺炎の診断および治療に対する、よく知られているルーチンの診療が、多くの欧州の施設では定期的に実施されていない。

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監訳者コメント:
Clean surgeryに分類される心臓外科手術では、そもそもSSIが上位には上がってこない。人工呼吸器関連肺炎が最大の問題であるにもかかわらず、感染症や呼吸器の専門医が関与している施設の割合が低いことが、mortalityの低下の重要な一因となっている。今後の課題を提起する社会的意義をもった調査報告である。

監訳者注:
抗菌薬のde-escalation:抗菌スペクトルが広い抗菌薬から狭い抗菌薬に絞り込むこと。

擦式手指消毒剤の消費量および手指消毒のコンプライアンスは集中治療室での病原体伝播の指標とはならない

Hand rub consumption and hand hygiene compliance are not indicators of pathogen transmission in intensive care units

T. Eckmanns*, F. Schwab, J. Bessert, R. Wettstein, M. Behnke, H. Grundmann, H. Ruden, P. Gastmeier
*University Medicine Berlin, Germany

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 406-411


本研究の目的は、院内感染率、手指消毒のコンプライアンス率、および手指消毒に使用した擦式アルコール製剤の消費量が、集中治療室(ICU)での病原体伝播の有用な指標であるか、および、これらが感染制御に関する問題の特定に有益であるかどうかを調査することである。48時間を超えてICUに入室した患者から、最も頻繁に認められる10菌種の病原体すべての分離株について遺伝子型を決定し、5カ所のICUにおける伝播を特定した。伝播の発生率は、手指消毒のコンプライアンス率、擦式手指消毒剤の消費量、および院内感染率と相関していた。5カ所のICUの伝播の発生率は2.8~6.8で、ばらつきがあった。院内感染率は1,000患者・日あたり8.6~22.5、手指消毒のコンプライアンスは30~47%、擦式手指消毒剤の消費量は1,000患者・日あたり57~102 Lであった。伝播の発生率と、擦式手指消毒剤の消費量または手指消毒のコンプライアンスの間に相関は認められなかった。伝播率と院内感染率の相関係数は、1を示した1カ所のICUを除き(P<0.01)、0.4であった(P=0.5)。院内感染の発生率は、病原体伝播を特定するための比較的良好な指標であるが、擦式手指消毒剤の消費量および手指消毒コンプライアンスは、少なくとも本試験でみられた比較的低いコンプライアンスでは、病原体伝播の指標とはならない。

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監訳者コメント:
この論文のタイトルは、非常に大きな誤解を与える懸念がある。監訳者であれば、タイトルの最後に where handwashing compliance cannot be well maintained.と断りをいれることを忘れない。この論文の意図するところは、「あまりにhandwashing complianceが低ければ、折角の間接的指標も役には立たない」ことを示したのであり、決してアルコールゲルの消費やhandwashing complianceの程度が、伝播の制御の間接的な指標になりえないと断じているわけではないことに注意してください。

エチルヘキシルグリセリンと防腐剤を相乗的に配合した手術用アルコール系手指消毒剤のin vivoでの有効性

In vivo efficacy of an alcohol-based surgical hand disinfectant containing a synergistic combination of ethylhexylglycerin and preservatives

T.A. Gaonkar*, I. Geraldo, M. Shintre, S.M. Modak
*Columbia University, USA

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 412-417


手術用アルコール系手指消毒剤は、医療現場で広く普及している。現在市販されているいくつかのアルコール消毒剤には、要求される有効性を達成するために活性濃度の抗菌薬が使用されているので、刺激を誘発する恐れのある濃度の抗菌薬に曝露する潜在的リスクが高くなる。本試験では、70%エタノールおよび防腐作用濃度のグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)と塩化ベンザルコニウム(BZK)をエチルヘキシルグリセリンと相乗効果を示すように配合した手術用アルコール手指消毒剤(SurgiceptTM)と、61%エタノールと1%CHGを含む手術用手指消毒剤(AvagardTM)の、in vitroおよびin vivoでの有効性を比較した。SurgiceptおよびAvagardのin vivoでの有効性を、米国食品医薬品局(FDA)の暫定的最終モノグラフ(Tentative Final Monograph)法を使用してボランティアにより評価し、一過性病原体(transient pathogen)に対する持続効果を、ブタ皮膚モデルを使用して比較した。Surgiceptでは、1日目、2日目、および5日目の最初の使用の1分後に常在菌がそれぞれ平均2.36 log10、3.3 log10、3.54 log10減少し、FDAの手術用手指消毒剤の要求基準を上回り、使用6時間後は平均2.23 log10、2.73 log10、3.3 log10の減少が認められ、持続効果を示した。SurgiceptはAvagardと比較して、一過性細菌に対する持続効果が優れていた。Surgicept(70%アルコールと防腐作用のある濃度のCHGおよびBZK)は、Avagard(61%エタノールおよび1%CHG)と同等のin vivo効果を示すものと思われる。

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医療従事者における自己報告による手指消毒行動と観察された手指消毒行動の相違

Discrepancy between self-reported and observed hand hygiene behaviour in healthcare professionals

E.A. Jenner*, B.(C) Fletcher, P. Watson, F.A. Jones, L. Miller, G.M. Scott
*University of Hertfordshire, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 418-422


病棟で医療従事者71名の手指消毒行動を合計132時間観察し、手指消毒の機会1,284回を認めた。参加者が記入した質問票を使用して、実際の行動と自己報告した行動、手指消毒に対する意志および姿勢を比較した。観察された行動から、ガイドラインの遵守率が非常に低いことが明らかになり、医療従業者が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌保菌患者に対してさえ、リスクを考慮していないことが示唆された。観察された行動と、医療従事者の意志および自己報告した行動との関連はみられなかった。この結果は、態度、意志、または自己報告した行動の修正を目的とした手指消毒への介入では、行動を変更できない可能性が高いことを示唆しており、これをどのようにすれば改善できるかを考慮する必要がある。

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監訳者コメント:
手指消毒のガイドラインに対する遵守率が高くないことはよく知られているが、著者らは遵守率に関して手指消毒が必要な内容別に詳細に分析している。

医療廃棄物カートにより病院衛生が危険にさらされる可能性

Potential compromise of hospital hygiene by clinical waste carts

J.I. Blenkharn*
*London, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 423-427


大容量の廃棄物保管カートは病院では一般的に使われており、日常の医療廃棄物管理に役立っていることは確かである。カートは一次医療廃棄物容器の移送および一時保管用に使用され、そうした廃棄物を臨床部門から受け取るために、病院建物の近くまたは内部に置かれることが多い。大ロンドン地域全域の9カ所の急性期病院から無作為に選択した大容量医療廃棄物カートの調査により、23カートすべての外面が汚染されていることが明らかになった。13カート中8カートは内部表面も汚染されており、5カートの底面では血液付着と遊離液体の痕跡を認めた。黄色ブドウ球菌と腸球菌がカートの蓋(7例)と車輪(10例)から少数採取され、大腸菌、エンテロバクター属、および緑膿菌が別の5カートの車輪から採取された。2カートはアスペルギルス属に重度に汚染されていた。医療廃棄物由来の病原体が、汚染された大容量廃棄物カートから、より広範な病院環境へと伝播する可能性がある。大容量カートを臨床区域外で、可能であればあらゆる病院建物の外側で管理するのが適切なようである。このことは、受託業者の供給するカートが単一の病院専用または全国保健サービストラスト(National Health Service Trust)専用ではない場合、特に重要になる。

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静脈穿刺用の駆血帯がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のリザーバとなる可能性の減少 ★★

Reducing the potential for phlebotomy tourniquets to act as a reservoir for meticillin-resistant Staphylococcus aureus

A. Leitch*, I. McCormick, I. Gunn, T. Gillespie
*Wishaw General Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 428-431


静脈穿刺用の駆血帯のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による汚染率を評価し、手技の変更または物理的バリアの使用により、それを減少させることができるかどうかを判定した。まず、事前に登録した病棟医および静脈穿刺専門看護師両方の駆血帯について調査したが、静脈穿刺専門看護師の方が有意に多くの静脈穿刺を日常的に行っているとの報告から、研究は静脈穿刺専門看護師のみを対象に継続した。毎日、静脈穿刺専門看護師に未使用の滅菌駆血帯を渡し、使用後に駆血帯を拭い取り、培養を行った。MRSA汚染率は131本の駆血帯中32本(25%)であった。手指衛生の実施について監査を行ったところ、静脈穿刺専門看護師は患者と患者の間に手指汚染除去を適切に行っておらず、勤務中に腕時計を着用していることが明らかになった。望ましい手技をうながすための標準的感染制御の方法について、教育を実施した。その後、すべての静脈穿刺の中から半数の静脈穿刺専門看護師に、ポリエチレン製のストリップをバリアとして使用させた。それ以前と同様に、駆血帯は毎日培養し、交換した。この段階の研究における汚染率は駆血帯(ポリエチレン製ストリップ使用)46本中1本、駆血帯(ポリエチレン製ストリップ不使用)42本中1本であった。結論として、静脈穿刺用駆血帯はMRSAなどの細菌を移送する潜在的媒介物である可能性があり、手指の汚染除去を行うと、汚染率およびそれに伴う潜在リスクを減少させることができる。このことは、駆血帯汚染は患者の皮膚から直接汚染されるのではなく、静脈穿刺専門看護師の手指を介したものであることを示唆している。手指の衛生は、微生物の拡大を抑制できる最も重要な方法であると考えるべきである。

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監訳者コメント:
医療器具が薬剤耐性菌を初めとする病院感染起因菌の伝播に関与する可能性をもつことはよく知られている。この研究は駆血帯に焦点をあて、その汚染が頻繁に起こり、手指衛生により汚染が著しく減少することを明確に示した。さらに評価すべきなのは、患者の皮膚からの直接汚染によるものではないことをも示した点にある。非常に優れた臨床研究といえる。使い捨ての駆血帯はわが国でもすでに販売されているが、採用時のコストと感染制御に対する効果のジレンマがつきまとう。血圧測定時のマンシエット(カフ)も同様のリスクがあるといえる。採血用の駆血帯には血液媒介感染症起因病原体の伝播経路としての検討も必要となる。

監訳者注:
患者の皮膚と駆血帯の間に使用し、駆血帯が患者の皮膚に直接接しないようにした。

手術器具の表面汚染除去:現在のジレンマ

Surface decontamination of surgical instruments: an ongoing dilemma

H. Murdoch*, D. Taylor, J. Dickinson, J.T. Walker, D. Perrett, N.D.H. Raven, J.M. Sutton
*Health Protection Agency, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 432-438


手術器具の表面における変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)病原体の残存および交差感染の問題から、複数回使用の手術器具を清潔に保つことの重要性が明確になっている。本研究の目的は、病院での平常の清掃および消毒の有効性の指標として、様々な手術器具における総蛋白質汚染の程度を評価することである。通常なら手術室へ戻される段階の包装して加圧滅菌した器具を、トレーの所属を隠して、分析のため2カ所の研究室へ提供した。器具の残留蛋白質および有機物の総量を分析した。研究室Aでは、器具の17%(206例中35例)が200 μgの閾値を上回ることが示された。McIvor開口器、Draffin rod(小児用)、Yankaur吸引器で抽出蛋白質が最も多かった例は、それぞれ1.028 mg、1.286 mg、2.228 mgであった。研究室Bで分析した、別々の病院の器具からの抽出蛋白質量中央値(25th、75thパーセンタイル値)の範囲は、8(3、30)μg(病院C)から91(35、213)μg(病院D)であった(P=0.044)。器具から洗い落とされた残留物質は、0.62(0.32、0.81)mg(病院E)から3.5(3.5、4.0)mg(病院A)までばらつきがあった(P=0.0001)。1つの例では、器具(split stem)から45 mgの残留有機物が洗い落とされた。結論として、一定の割合の器具で、使用時にプリオン体による直接的な交差感染を起こす可能性のある濃度の蛋白質、またはプリオンや従来の感染性物質を標的とした洗浄/消毒方法の有効性を減少させる可能性のある濃度の蛋白質が、使用時点で認められることが示された。

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監訳者コメント:
手術器具から有機物が十分に除去されずに滅菌され再使用されているかもしれないことは、以前から報告されていた。この研究は、蛋白質量を定量しており、より科学的な検証といえる。

洗浄後の手術器具の残留蛋白質汚染の定量分析

Quantitative analysis of residual protein contamination on reprocessed surgical instruments

R.L. Baxter, H.C. Baxter, G.A. Campbell, K. Grant, A. Jones, P. Richardson, G. Whittaker
University of Edinburgh, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 439-444


盲検試験により、手術器具トレーにある通常の洗浄および滅菌後の「使用可能」器具について調査を行った。これらの再利用される器具は、イングランドとウェールズの5カ所の全国保健サービス(National Health Service)トラストの病院の滅菌部門からのものであった。残留蛋白質およびペプチド汚染の測定は、酸ストリッピング(acid stripping)、構成アミノ酸の加水分解、および定量的総アミノ酸分析により実施した。120の器具を分析し、個々のトレーにおける、器具あたりの残留蛋白質汚染濃度の中央値は267、260、163、456、756 μgであった。器具の走査型電子顕微鏡検査とエネルギー分散型X線分光分析により、組織沈着物は表面上に限局することが示されたが、全蛋白質汚染と器具の複雑さとの間に有意な相関はなかった。残留蛋白質濃度の最大値は、扁桃摘出術およびアデノイド手術に使用する器具で認められた。

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監訳者コメント:
手術器具の洗浄滅菌後の汚染がかなりの程度発生していることを明らかにした本論文の意義は大きい。本号に他1編を見るこの問題は、手術器具の洗浄滅菌工程の見直しの必要性を示唆しているのかもしれない。

安全装置の使用とガイドライン遵守率の向上により報告されている医療従事者の針刺損傷を防止する可能性:専門委員会の評価

Potential for reported needlestick injury prevention among healthcare workers through safety device usage and improvement of guideline adherence: expert panel assessment

B.L. Cullen*, F. Genasi, I. Symington, J. Bagg, M. McCreaddie, A. Taylor, M. Henry, S.J. Hutchinson, D.J. Goldberg
*Health Protection Scotland, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 445-451


全国保健サービス(National Health Service;NHS)スコットランドの職員が被った業務上の針刺損傷の報告のうち、安全装置の導入、ガイドライン遵守率の向上、ガイドライン改定、またはこれらのいずれかの組み合わせにより防止できた可能性がある例の比率を推定するために、6カ月にわたる前向き調査を実施した。この調査では、医療従事者に質問票を送付したほか、専門委員会による評価も実施した。すべての急性期医療およびプライマリ・ケアのNHSスコットランドトラスト、スコットランド救急サービス、スコットランド国立輸血サービスを対象とした。医療従事者が報告した損傷の64%(1,497件中952件)において質問票および専門委員会の評価データが利用可能であり、これらの損傷はすべて経皮的であった。専門委員会の結論は以下のとおりである。全損傷の56%および静脈穿刺または注射時の損傷の80%は安全装置の使用により、おそらくまたは確実に防止できたはずであり、全損傷の52%と静脈穿刺または注射時の損傷の56%はガイドラインの遵守により、おそらくまたは確実に防止できたはずであり、全損傷の72%と静脈穿刺または注射時の損傷の88%はいずれかの介入により、おそらくまたは確実に防止できたはずである。多因子解析では、静脈穿刺または注射時に受ける損傷は他の損傷よりも安全器材使用により防止できる可能性が有意に高く[それぞれ、補正オッズ比(OR)5.09、95%信頼区間(CI) 3.11~8.31;補正OR 2.70、95%CI 1.64~4.45]、ガイドライン遵守により防止できる可能性は有意に低い(それぞれ、補正OR 0.26、95%CI 0.11~0.60;補正OR 0.31、95%CI 0.12~0.78)ことが示された。手技の終了後に受ける損傷は、安全器材の使用およびガイドライン遵守により防止できる可能性が有意に高かった。本研究の知見は、職員の針刺損傷ガイドライン遵守の改善、および静脈穿刺や注射投与用の安全器材の適切な使用の必要性を支持するものである。

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監訳者コメント:
針刺損傷の防止に安全器材が有効であることは既知の事柄であり、ガイドライン遵守も含めてその事柄を追認した研究である。

幹細胞移植後のパラインフルエンザ3型の感染:高罹患率だが死亡率は低い

Parainfluenza type 3 infection post stem cell transplant: high prevalence but low mortality

F. Dignan*, C. Alvares, U. Riley, M. Ethell, D. Cunningham, J. Treleaven, S. Ashley, J. Bendig, G. Morgan, M. Potter
*Royal Marsden Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 452-458


パラインフルエンザウイルス3型(PIV 3)は幹細胞移植後の気管支疾患の原因としてよく知られており、推定発生率は2~7%で、下気道感染による死亡率が高い。幹細胞移植レシピエントに認められたPIV 3陽性23例の12カ月の後向き研究を実施した。感染頻度は、適合非血縁ドナーの幹細胞移植レシピエント36.1%、同胞同種幹細胞移植レシピエント23.8%、自家移植レシピエント2.3%であった。標準的な感染制御対策にもかかわらず、17例は外来患者または市中感染例であった。患者11例は、上気道感染の症状のみであった。下気道感染の症状が12例の患者で発現し、そのうち8例に胸部X線検査で新たな浸潤影が認められた。PIV 3診断後の30日総死亡率は4%(患者1例)であった。PIV 3診断後100日以内に4例の患者が死亡したが、PIV 3はすべての死亡患者で死亡の主要原因ではないと考えられた。患者8例には早期にリバビリンが使用されたが、リバビリンを投与された患者で死亡したのは1例だけであった。これらの結果は、特に同種幹細胞移植レシピエントにおいて、PIV 3の罹患率は以前の報告より高いが、死亡率は低いことを示唆している。高い罹患率は、移植部門の呼吸器系ウイルスに対する積極的監視培養の方針、および特に集団発生期間の外来部門におけるPIV 3伝播抑制の困難さを反映していると著者らは考える。リバビリンによる治療は下気道感染患者の転帰を改善するかもしれないが、すべてのPIV 3感染患者に必要ではない。

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韓国の大学病院における接合性プラスミド由来DHA-1型β-ラクタマーゼ産生大腸菌分離株の出現

Emergence of Escherichia coli isolates producing conjugative plasmid-mediated DHA-1 β-lactamase in a Korean university hospital

W. Song*, J.S. Kim, H.S. Kim, S.H. Jeong, D. Yong, K.M. Lee
*Hallym University College of Medicine, Korea

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 459-464


誘導性の表現型としてcefoxitin耐性を有する大腸菌分離株7株が、韓国の病院で2002年11月から2003年7月に検出された。受容菌としてアジ化ナトリウム耐性大腸菌J53を用いて、フィルター接合法(filter mating method)により接合性の試験を行った。すべての分離株およびその接合菌に対し、微量液体希釈法による最小発育阻止濃度測定、等電点電気泳動、SHV、TEM、CTX-M、およびDHA型β-ラクタマーゼのPCR、およびDNAシークエンスを行った。分離株7株の制限酵素XbaI消化によるゲノムDNAのバンドをパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)で分離した。等電点電気泳動、PCR、およびシークエンスにより、分離株はすべてblaTEM-1-likeおよびblaDHA-1遺伝子を有することが明らかになった。2株はblaCTX-M-14遺伝子も有していた。接合実験による耐性の伝達が7分離株すべてで成功したことから、大腸菌分離株のblaDHA-1を含むプラスミドは自己伝達が可能であることが示唆される。分離株は病棟または集中治療室の患者から採取され、全分離株はDHA-1産生株の分離前にβ-ラクタム系抗菌薬に曝露されていた。分離株7株のPFGEによるパターンは5つであることが示された。誘導性のβ-ラクタム系抗菌薬耐性表現型を有する大腸菌の散発的な感染が認められた。接合性プラスミドがコードするDHA-1は耐性表現型を有していた。DHA-1産生菌の伝播は、クローンの伝播と耐性遺伝子の水平伝達によるものであった。

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入院患者におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の院内感染および市中感染(スペイン、1993~2003年) ★★

Nosocomial and community-acquired meticillin-resistant Staphylococcus aureus infections in hospitalized patients (Spain, 1993窶・003)

A. Asensio*, R. Canton, J. Vaque, J. Rossello, F. Calbo, J. Garcia-Caballero, V. Dominguez, A. Hernandez, A. Trilla, EPINE Working Group
*Hospital Universitario Puerta de Hierro, Spain

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 465-471


メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の割合の臨床的・人口統計学的特徴、トレンド、および地理的なばらつきを明らかにするため、スペインの入院患者における感染流行に関する一連の年次調査を1993~2003年に実施した。試験期間中、スペインの17地域の296救急病院の患者で合計8,312例の黄色ブドウ球菌感染が認められた。全体で、23.8%の黄色ブドウ球菌がメチシリン耐性と報告された。MRSAの割合は地域により、また試験期間中、大きなばらつきがあった。MRSA罹患率は院内感染患者(31%)で市中感染患者(14%)より2倍高かった(P<0.001)。一方11年間を通して、MRSA分離株の割合は、院内感染患者(22%から41%へ;P<0.001)および市中感染患者(7%から28%へ;P<0.001)で増加傾向にあった。最近の3年間(2001~2003年)の地理的なばらつきは求心性の勾配を示し、MRSA罹患率はスペイン南西部で最も低く、中心部で最も高かった。地域間でMRSAの割合に5倍近い差がみられた(範囲10.3~54.5%)。血流感染と比較して、それ以外の部位での感染はMRSAが原因である可能性が高かった(手術部位、尿路、皮膚、呼吸器の感染の補正オッズ比は、それぞれ1.2、1.2、1.5、2.1)。

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監訳者コメント:
他国のMRSA罹患率に関する状況を日本と比較することは興味深い。ヨーロッパではオランダや北欧諸国のようにMRSAの割合を低く保つことに成功している国がある一方で、割合がどんどん上昇している国もある。スペインは後者の中の一国であり、その割合は米国や日本ほど高くはないものの、同国の状況に関する危機感が本文献から読み取れる。

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Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.