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消化器科病棟でのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染予防におけるムピロシンの長期的有効性

Long-term efficacy of mupirocin in the prevention of infections with meticillin-resistant Staphylococcus aureus in a gastroenterology unit

C. Dupeyron*, B. Campillo, J.-P. Richardet, C.-J. Soussy
*Hopital Henri Mondor, France

Journal of Hospital Infection (2006) 63, 385-392


長期入院患者を収容する消化器科病棟での、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染に対する、ムピロシンによる鼻腔内MRSA除菌の長期的有効性(55カ月)を評価した。合計2,242例の患者を試験に組み入れ、このうち92%は消化器科病棟への入院前に別の病院での入院歴があり、64%は慢性肝疾患、25%はその他の疾患をもち、11%は消化器の手術後の入院であった。解析は、連続する3つの期間に分けて行った。入院時の鼻腔内保菌率は3期すべてで同等であったが(1期、2期、3期でそれぞれ10.9%、7.5%、8.6%)、入院後の鼻腔内保菌は母集団全体(1期、2期、3期でそれぞれ14.3%、16.2%、10.2%、P=0.006)および慢性肝疾患患者(1期、2期、3期でそれぞれ15.8%、18.7%、11.9%、P=0.018)で減少した。MRSA感染率(全入院・日あたりの感染数)は、除菌開始の前年では1,000入院・日あたり1.41であり、1期1.40、2期0.74、3期0.59であった(P=0.022)。患者あたりのMRSA感染率は、慢性肝疾患患者で1期7.0%、2期3.7%、3期3.1%であり(P=0.0062)、母集団全体で5.5%、3.0%、2.4%であった(P=0.0024)。MRSAによる死亡率は1期、2期、3期でそれぞれ0.31%、0.19%、0.13%であった(P=0.035)。入院期間中に保菌した患者から検出した耐性菌株数は、1期12例、2期4例、3期6例であった。入院が長期に及ぶMRSA保菌患者におけるムピロシンによる長期間の鼻腔内治療は、入院後の保菌およびMRSA感染の減少と関連する一方で、保菌患者が1回しか治療を受けない場合は、ムピロシン耐性菌株が増加することはなかった。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
監訳者の個人的見解としては、手指衛生のコンプライアンスの向上を果たせる決定的な対策がない現状では、MRSAのリザーバである保菌者を非保菌者化することは、一定の効果があるものと考えている。しかしながら、もっとインパクトが大きいリザーバは、実は同定される前の潜在的保菌者(unrecognized carrier)であると予想している。実際にすでに同定された保菌者より潜在的保菌者からの方が、38倍も伝播しやすかったという報告もこれを裏づけているので、ハイリスク患者を積極的にスクリーニングして隔離し、除菌をしていくことが重要であると考える。そういった意味では、オランダのsearch & destroy policyを国情に合わせて発展させ、効率よく導入していければ、HICPACやCDCのガイドラインはもとより、SHEAのガイドラインを上回るコンセプトを、日本から発信していくことができると考えている。ムピロシンの投与は、耐性菌選択の予防の観点から、ひとりあたり1年に2回以内とすべきであろう。

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Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.