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院内感染の減少を目的とした全国的規模の院内感染サーベイランスシステムの有効性

Effectiveness of a nationwide nosocomial infection surveillance system for reducing nosocomial infections

P. Gastmeier*, C. Geffers, C. Brandt, I. Zuschneid, D. Sohr, F. Schwab, M. Behnke, F. Daschner, H. Ruden
*Medical University Hannover, Germany

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 16-22


近年、複数の国々が院内感染のサーベイランスシステムを全国的規模で構築している。これらの全国的なサーベイランスシステムの有効性に関して、公表されている情報は乏しい。本研究の目的は、ドイツの全国的院内感染サーベイランスシステム(Krankenhaus Infektions Surveillance System;KISS)に参加することによって、院内感染率が低下するかを調査することであった。集中治療室(ICU)での人工呼吸器関連肺炎と中心静脈カテーテル関連の一次性血流感染、および外科入院患者の手術部位感染の3種類の主要な院内感染について検討した。1997年1月から2003年12月にかけてデータを収集した。KISSに36カ月以上参加した医療機関のみを解析の対象とした。サーベイランスの最初の12カ月間のデータを、次の12カ月間およびその次の12カ月間のデータと比較した。150カ所のICUと133カ所の外科部門が選択基準を満たした。KISSに参加した最初の1年目は、ICUにおける平均の人工呼吸器関連肺炎発症率は1,000人工呼吸器・日あたり11.2、カテーテル関連の一次性血流感染の率は1,000カテーテル・日あたり2.1であった。外科入院患者における平均の手術部位感染率は、参加1年目は手術100例あたり1.6であった。3年目の感染率を1年目と比較すると、人工呼吸器関連肺炎の相対リスク(RR)は0.71[95%信頼区間(CI)0.66~0.76]、カテーテル関連原発性血流感染のRRは0.80(95%CI 0.72~0.90)であり、手術部位感染のRRは0.72(95%CI 0.64~0.80)であった。KISSへの参加は、これら3種類の院内感染の有意な減少と関連があった。

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監訳者コメント:
ドイツの院内感染サーベイランスに関する報告である。国別のサーベイランス成績の違いとその原因を比較することで、自国の問題点を見いだすきっかけになる場合もある。多くの国が共通のプラットフォームでデータ比較ができるシステムも今後の課題である。

神経外科集中治療室における病院感染サーベイランス

Hospital-acquired infection surveillance in a neurosurgical intensive care unit

G.B. Orsi*, L. Scorzolini, C. Franchi, V. Mondillo, G. Rosa, M. Venditti
*University ‘La Sapienza’ Rome, Italy

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 23-29


イタリアのローマにある教育病院の8床の神経外科集中治療室(NSICU)で、病院感染に関する前向き研究を実施した。2002年1月から2004年12月にかけて48時間以上入院した全患者を対象とした。人口統計学的特性、患者の出身地、診断、重症度スコア、基礎疾患、侵襲的手技、病院感染、分離微生物、および抗生物質感受性に関する全患者のデータを感染制御チームが収集した。全体で、323例が対象となった。平均年齢は55.5歳(範囲17~91歳)、米国麻酔学会スコア(ASAスコア)平均値は2.88であった。NSICUで70例(21.7%)に132件の病院感染が発現し、内訳は肺炎43例、血流感染40例、尿路感染30例、側脳室ドレナージに伴う髄膜炎10例、および手術部位感染9例であった。手術部位感染率は高値(5.6%)を示したが、3年の間に低下した。デバイス(器材)への曝露1,000日あたり7.2例の血流感染エピソード、人工呼吸器1,000日あたり11.00例の肺炎、および導尿カテーテル1,000日あたり4.5例の尿路感染が発症した。側脳室ドレナージを行った患者では、手術部位感染率の相対リスクは11.3[95%信頼区間(CI)4.2~30.6、P<0.01]であった。61例(18.9%)が死亡した。ロジスティック回帰分析により、死亡率は感染[オッズ比(OR)2.28、95%CI 1.11~4.71、P=0.02]および年齢(OR 1.04、95%CI 1.01~1.06、P=0.002)と有意な関連があることが示された。カンジダ属(Candida spp.)は尿路感染の主要な原因であり(40.0%)、血流感染では第三の原因であった(12.7%)。抗生物質耐性病原体には、メチシリン耐性ブドウ球菌属(77.5%)、カルバペネム耐性緑膿菌(36.4%)、基質拡張型βラクタマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(75.0%)などがあった。全体の感染率(21.7%)は公表されているデータの範囲内であったが、病院感染による死亡率、患者の疾患重症度の悪化、および多剤耐性菌の出現を考慮すると、感染制御対策を向上させる必要性がある。

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監訳者コメント:
脳神経外科領域の患者の特性上、意識障害やデバイスの長期留置例が多いなどの特徴がある。意識障害と人工呼吸管理により、嚥下性肺炎・人工呼吸器関連肺炎のリスクが上昇する。

帝王切開の手術部位感染サーベイランス

Caesarean section surgical site infection surveillance

A. Johnson*, D. Young, J. Reilly
*The Queen Mother’s Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 30-35


手術部位感染のサーベイランスは、重要な感染制御対策の1つである。Scottish Surveillance of Healthcare Associated Infection Programmeの一環として帝王切開術を選択し、手術部位感染の発生をモニターして報告することとした。2002年の後半と2003年の第1四半期の35週間に帝王切開術を受けた患者715例について、データを前向きに収集した。このうち80例(11.2%)が手術部位感染を発現し、その57例(71%)は退院後のサーベイランスで検出された。感染に関連する危険因子(リスクファクター)を分析した。手術部位の縫合にステープルよりも皮内縫合を選択することが、有意に低い感染率と関連した(P=0.021)。肥満女性は、体格指数が正常の女性より有意に多数の感染を発現した(P=0.028)。サーベイランスの結果が広く公表されたことで、医師らは、この患者集団の手術部位感染に対する体格指数および皮膚縫合の選択の影響を認識するようになっている。これらのデータの解析により、地域診療が見直されつつある。また、これらの結果は、この患者集団で手術部位感染が検出された場合は、退院後のサーベイランスが重要であることも示している。継続的なデータ収集と時宜を得た結果の公表は、診療方法の見直しの触媒として作用する重要な要素である。

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監訳者コメント:
“手術部位の縫合にステープルよりも皮内縫合を選択することが、有意に低い感染率と関連した(P=0.021)”とある。縫合糸は、使用した素材(製品)の影響などを大きく受けるため、こうした詳細な解析に基づく評価が求められる。

院内感染の予防:インドネシアの教育病院でのスタンダードプリコーション(標準予防策)のコンプライアンス改善

Preventing nosocomial infections: improving compliance with standard precautions in an Indonesian teaching hospital

D.O. Duerink*, H. Farida, N.J.D. Nagelkerke, H. Wahyono, M. Keuter, E.S. Lestari, U. Hadi, P.J. Van den Broek, on behalf of the study group ‘Antimicrobial Resistance in Indonesia: Prevalence and Prevention’
*Leiden University Medical Centre, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 36-43


スタンダードプリコーション(標準予防策)により、微生物の伝播予防が可能になる。本研究は、インドネシアの教育病院における手指消毒、注射針の取り扱い、および個人防御用装備の使用について調査し、コンプライアンス改善のために多角的な介入研究を行った。スタンダードプリコーションのためのプロトコールの開発、洗面台の導入、教育活動、および実施状況のフィードバック(performance feedback)からなる介入を、内科病棟と小児科病棟で実施した。観察者は介入前、介入中、および介入後の手指消毒、注射針の安全な取り扱い、および手袋、ガウン、マスクの使用のコンプライアンスを監視した。婦人科病棟を対照とした。Overt observationの影響を調べるために、unobtrusive observation※※を行った。合計7,160件の行動を観察した。手指消毒のコンプライアンス率は、内科病棟で46%から77%に、また小児科病棟で22%から62%に増加した。介入前に、注射針の安全な方法による再キャップを実施した病棟はなかったが、介入後は20%の注射針が安全な方法で再キャップされた。不適切なガウンの使用が内科病棟で減少した。手袋とマスクの使用には顕著な変化は認められなかった。小児科病棟ではovert observationの影響が認められた可能性があるが、内科病棟では影響は認められなかった。対照病棟では手袋使用の減少を除くと、顕著な変化は認められなかった。結論として、教育および施設の改善に焦点をあてた介入プロジェクトにより、手指消毒手技のコンプライアンスは顕著に向上した。片手法による使用済み針の安全な再キャップ法の導入により、注射針の安全な取り扱いへのコンプライアンスはわずかに向上した。

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監訳者コメント:
介入による改善効果はあるが、課題は恒久的な持続性である。

監訳者注:
Overt observation:被験者に対して観察を行うことを公表した上で、被験者を観察する方法。
※※Unobtrusive observation:被験者に対して観察を行うことを公表せずに、被験者を観察する方法。

日本の教育病院における看護師の針刺・鋭利物損傷の疫学★★

Epidemiology of needlestick and sharps injuries among nurses in a Japanese teaching hospital

D.R. Smith*, M. Mihashi, Y. Adachi, Y. Nakashima, T. Ishitake
*National Institute of Industrial Health, Japan

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 44-49


針刺・鋭利物損傷(NSI)の疫学を、日本南部の大規模病院の看護師1,162名の完全なクロスセクションで調査した(回答率74.0%)。前年に46%がNSIを経験していた。多くの場合アンプルまたはバイアルが原因で、全看護師の32.3%がそれらによる損傷を受け、全NSI事象の42.9%を占めた。全NSI事象の22%にNSI発生前に患者に使用した器材(汚染器材)が関連していたが、2.8%の器材の使用状況は不明であった。ロジスティック回帰により、25歳未満の看護師は、過去12カ月にNSIを1回経験した割合が2.18倍[オッズ比(OR)2.18、95%信頼区間(CI)1.15~4.17]、NSIを複数回経験した割合が2.39倍(OR 2.39、95%CI 1.08~5.34)であることが示された。勤務の混合シフト(昼夜交代、日勤のみとの比較)では、全NSIリスクが1.67倍に増加し(OR 1.67、95%CI 1.01~2.85)、汚染器材によるNSIリスクが2.72倍になった(OR 2.72、95%CI 1.71~4.44)。勤務後の著しい疲労を報告した看護師は、NSIを複数回経験した割合が1.87倍(OR 1.87、95%CI 1.13~3.13)で、自分のNSIを報告しない割合が1.94倍(OR 1.94、95%CI 1.03~3.71)であった。高度な精神的プレッシャーの自覚があると、汚染器材によるNSIリスクが1.75倍増加した(OR 1.75、95%CI 1.07~2.88)。自分の病棟の職員のレベルが不十分であると報告した看護師は、前年に経験したNSIを報告しない割合が2.21倍であった(OR 2.21、95%CI 1.06~4.89)。全体として、本研究は、NSIが日本の看護師にとって複雑で多面的な問題であることを示唆している。日本の病院職員に対する介入戦略では、他国と同様に、NSIに関連する新しい因子として心理社会的因子を考慮する必要がある。

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監訳者コメント:
日本からの針刺・鋭利物損傷のアンケート調査報告である。アンプルやバイアルが大きな因子となっているとの報告である。海外では、プレフィルシリンジの導入が進み、アンプルカットやバイアル製剤が激減している国もある。早急に改善すべき課題である。アンプルやバイアル製剤は、切りくず・コアリングなどの血管内への迷入も問題である。

安全装置付き針による職業上の針刺し・切創への影響:4年間の前向き研究

Impact of safety needle devices on occupationally acquired needlestick injuries: a four-year prospective study

D. Adams*, T.S.J. Elliott
*Queen Elizabeth Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 50-55


複数の安全な皮下注射針装置の導入が針刺し・切創報告件数に及ぼす影響を評価するために、4年間にわたる前向き研究を国民保健サービス・バーミンガム大学病院(University Hospital Birmingham National Health Service Foundation Trust)で行った。4カ所の臨床区域の針刺し・切創報告件数に関する2001年以降のデータである。2002年の鋭利物に対する認識強化戦略の後、針刺し・切創報告件数は2001年の100,000器材あたり16.9件から100,000器材あたり13.9件に減少した(P=0.813)。標準的な研修のみを実施した2003年には、針刺し・切創報告件数は100,000器材あたり20件に増加した。しかし、その後の3種類の安全装置付き針の導入および研修の同時開催により、2004年に針刺し・切創報告件数は有意に低下し、100,000装置あたり6件になった(P=0.045)。使用者の安全針に対する満足度と支持も非常に良好であった。これらの結果は、安全装置付き針が臨床現場に導入され、適切な研修が行われると、職業上の針刺し・切創件数が顕著に低下する可能性があることを示唆している。

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監訳者コメント:
標準的な研修に加えて誤刺防止機構付き安全器材を導入したことから、医療従事者の針刺し・切創を減少させたとする報告である。針刺し・切創は受傷者の自発的報告で評価せざるを得ないという限界はあるが、使用器材あたりの報告件数として有意の効果を認めたことに注目すべきである。

血液透析患者におけるBurkholderia cenocepacia菌血症のナプキンに関連した集団発生★★

A napkin-associated outbreak of Burkholderia cenocepacia bacteraemia in haemodialysis patients

G. Lo Cascio*, M.G. Bonora, A. Zorzi, E. Mortani, N. Tessitore, C. Loschiavo, A. Lupo, M. Solbiati, R. Fontana
*Universita di Verona, Italy

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 56-62


本稿では、イタリア、ベロナの2カ所の血液透析施設におけるカテーテル関連菌血症38例の集団発生について報告する。ヒトの血液、中心静脈カテーテルを取り扱うために使用される市販の滅菌包帯キットに含まれていた単品個別包装の消毒ナプキンから、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)グループ菌株が分離された。血液培養およびナプキンから分離した微生物を標準的な方法によって同定したところ、分子解析によりバークホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)(遺伝子型III)であることを確認した。パルスフィールドゲル電気泳動解析では、臨床分離株はナプキンから分離したB. cenocepaciaと識別不能、あるいは近縁であった。結論として、本研究により、第4級アンモニウムに浸漬された市販のナプキンが、品質が保証されていたにもかかわらず、汚染されて感染源となったことが判明した。

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監訳者コメント:
バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)グループ菌は、水周りを中心とした環境で生き延びるブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌である。ときに消毒薬耐性が問題となることがあるので注意が必要である。アウトブレイク対応における環境調査の実際としても一読に値する報告である。

アイルランド共和国の急性期病院における感染制御のリソースおよびサービスに関する調査

Survey of acute hospital infection control resources and services in the Republic of Ireland

R. Cunney*, H. Humphreys, N. Murphy, on behalf of the Strategy for the Control of Antimicrobial Resistance in Ireland Infection Control Subcommittee
*Health Protection Surveillance Centre, Ireland

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 63-68


抗菌薬耐性の制御に関する全国的なガイドラインが2001年に作成されたことを受けて、2003年にアイルランド共和国の68のすべての急性期病院で、院内感染の制御および予防に利用可能なリソースおよび現行の実施状況に関する調査を実施した。66の病院(97%)から適切に回答された質問票を回収した。病院あたりの急性期入院患者用ベッド数の中央値は156床で、地域/第三次紹介施設では522床であった。現場でコンサルテーションを受ける微生物学者によるセッションがあった病院は31(47%)のみであり、感染管理看護師が在籍していた病院は56(85%)であった。産業医は18(29%)の病院に在籍し、感染対策委員会を設置している病院は48(73%)であった。データを提供したこれらの病院では、1つの隔離室の急性期ベッド数の中央値は16床で、病院あたりの浴室設備付き病室数の中央値は5部屋であった。すべての病院が感染制御方針を文書化しており、これらを電子フォーマットで利用可能な病院は25(38%)であった。院内感染サーベイランスを実施した病院は55(83%)、アルコール手指消毒設備が手洗い洗面台または病棟入口のいずれかに設置された病院は57(86%)であった。アイルランド共和国では、依然として微生物学者/感染管理医師、産業医、および感染管理看護師が著しく不足している。また、隔離施設も不十分である。院内感染の重要性およびサーベイランスの優先順位に関する多くの国際的合意があるにもかかわらず、院内感染の制御および防止のために必要な資源および設備に関する基本的な最低基準については合意がない。

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監訳者コメント:
日本の現状、読者の皆様の施設とも状況を比較していただきたい・・・。

内視鏡および内視鏡付属品の洗浄に関するドイツのガイドライン:ドイツ、フランクフルトにおけるガイドラインの遵守

German guidelines for reprocessing endoscopes and endoscopic accessories: guideline compliance in Frankfurt/Main, Germany

U. Heudorf*, M. Exner
*City of Frankfurt/Main, Germany

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 69-75


軟性内視鏡の洗浄に関するガイドラインは、多くの国で発表されている。今回の調査では、ドイツのフランクフルトのすべての病院および個人医院を対象として、ドイツのガイドライン遵守状況について調査した。2003年に、フランクフルトの全内視鏡部門[病院15カ所と個人医院23カ所(年間の内視鏡使用件数が1,000件を超える大規模医院10カ所および1,000件未満の小規模医院13カ所)]を公衆衛生局の職員が訪問し、ドイツのガイドラインの勧告に基づくチェックリストを用いて評価を行った。2004年に施設が記入した報告の分析または施設への再訪問による再評価を実施した。その間、1カ所の病院が閉鎖し、3カ所の小規模医院が内視鏡の使用を中止していたため、再評価の対象は病院14カ所と個人医院20カ所であった。2003年には病院におけるガイドライン遵守は十分であったが、個人医院では多くの問題が確認された。2003年から2004年にかけて大幅な改善がなされた。2004年の終わりまでに、個人医院の90%が洗浄済み内視鏡の適切な保管設備を備え、空気チャンネル/水チャンネル洗浄に用いるボトルやチューブの洗浄を正しく実施していた(2003年:適切な保管52%、正しい洗浄74%)。2004年の終わりには、すべての個人医院で内視鏡付属品の滅菌は十分であり、洗浄後の内視鏡のルーチン検査が実施されていた(2003年:付属品の滅菌57%、微生物管理試験56%)。2003年には、病院におけるガイドライン遵守は十分であったが、個人医院、特に小規模な部門では強制的な改善が必要であった。感染制御に関する助言および公衆衛生法規の適用によって2003年から2004年の間に洗浄の誤りのほとんどが是正された。

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監訳者コメント:
ガイドラインの遵守について、法規の適応も含めた公衆衛生による積極的なアプローチで改善を認めた報告である。“仏作って魂入れず”、にならないように心がけたいものである。軟性内視鏡の衛生管理については、病院機能評価などの第三者による認証と定期的な実施状況のサーベイが望ましい。

歯科診療所の細菌性エアロゾル-院内感染にとって問題となるのか?

Bacterial aerosols in dental practice 窶・a potential hospital infection problem?

R. Rautemaa*, A. Nordberg, K. Wuolijoki-Saaristo, J.H. Meurman
*Helsinki University Central Hospital, Finland

Journal of Hospital Infection (2006) 64, 76-81


修復歯科で最新式の高速切削器具を使用すると、患者の口腔から微生物を含むエアロゾルが産生される。口腔外科におけるこれらのエアロゾルの拡散距離や、エアロゾルが引き起こす汚染の程度について、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の鼻口腔保菌患者の増加に伴い、懸念が拡大している。本研究の目的は、歯科治療中に空中浮遊細菌がどこまで拡散するのか、およびその汚染の程度を明らかにすることである。患者から0.5~2メートルの距離の異なる6区画に設置した血液寒天プレートで、降下した試料を収集した。修復歯科の降下試料(72サンプル)を高速切削器具が使用される部屋(6カ所)で、対照試料(24サンプル)を切削器具や超音波器具を使用しない歯周治療および歯列矯正治療用の部屋(4カ所)で収集した。収集時間は1.5時間および3時間とした。さらに、職員のフェースマスクおよび消毒前後の各部屋の表面からも試料を採取した。37℃、48時間培養後、グラム染色によりコロニーを計数し、分類を行った。その結果、高速器具を使用した部屋では、試料を収集したすべての距離で重大な汚染(平均970コロニー形成単位/m2/時間)が認められた。より遠い試料収集地点でも細菌密度は高いことがわかった。グラム陽性球菌、すなわち緑色レンサ球菌群およびブドウ球菌の頻度が最も多かった。歯科処置中に汚染される区域は事前の予測よりもはるかに広く、ほとんど部屋全体に及んでいた。これらの結果は、歯科における微生物エアロゾルの防止法、および作業台上に一時的に乗せるすべての器具の保護方法を、新たに開発する必要性を強調するものである。このことは、病院環境内の口腔外科において、一般状態の悪い患者または免疫不全患者を治療する場合に特に重要である。

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監訳者コメント:
環境の汚染と医療関連感染の成立の因果関係にはさらに検討が必要であるが、歯科高速切削器具による細菌の飛散がかなりの広がりを見せることが確認された点で注目される。

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Reproduced from the Journal of Hospital Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.