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★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

集中治療室入室患者の迅速PCR検査がMRSA伝播に及ぼす効果★★

Effect on MRSA transmission of rapid PCR testing of patients admitted to critical care

R. Cunningham*, P. Jenks, J. Northwood, M. Wallis, S. Ferguson, S. Hunt
*Derriford Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 24-28


入室時のスクリーニング方法を培養から即日PCR検査に変更した場合の、集中治療室におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染率の有意な減少について報告する。この観察的コホート研究は、英国南西部の19床の内科・外科兼用成人集中治療室で実施した。2005年4月から2006年2月に入室した1,305例を対象とした。2005年4月から8月に標準的MRSA培養法により612例のスクリーニングを、2005年9月から2006年2月にIDI MRSA PCR検査により693例のスクリーニングを行った。いずれかの方法で陽性結果が得られた場合は、標準的な感染制御のための予防策を実施した。評価項目は、保菌率、結果が得られるまでの所要時間、集中治療室におけるその後のMRSA感染率などとした。集中治療室入室時の全保菌率は7.0%であった。培養結果は3労働日で得られ、PCR法の結果は1労働日以内に得られた。MRSA感染の平均発生率は、培養実施期間中は13.89/1,000患者・日、PCR法実施期間中は4.9/1,000患者・日であった(相対的危険度減少率[RRR]0.65、95%信頼区間[CI]0.28~1.07)。集中治療室入室時のMRSAのPCR法によるスクリーニングは、ルーチンの診療で実施可能であり、培養によるスクリーニングよりも迅速に結果が得られ、その後のMRSA感染の有意な減少と関連する。

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監訳者コメント:
積極的な監視培養(active surveillance culture)をさらに進化させて保菌者の早期発見と対策を実施する方策である。近年リアルタイムPCR法の臨床導入が進み、体外診断薬の承認も各国で進んできていることから、こうした試みがスイス、米国と相次いでいる。個室病床を隔離予防策に十分運用できない日本にとっては、ハイリスク患者集団に対して将来的にリアルタイムPCR法による多剤耐性菌スクリーニングを基調とする予防策の徹底をはかることにより、今まで以上に保菌率や感染率の減少効果が期待されている。

英国のバーミンガムの病院を受診する小児におけるMRSA

MRSA in children presenting to hospitals in Birmingham, UK

A. Adedeji*, T.M.A. Weller, J.W. Gray
*Birmingham Children’s Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 29-34


バーミンガムの病院を受診する小児のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)分離株の特性を、分子生物学的手法によって調べた。本研究は、一般的な小児診療を行う3つの病院で2004年3月から2004年12月に同定された、16歳以下の小児からの分離株を対象として実施した。50の分離株を米国疾病対策センター(CDC)の基準により、市中感染型MRSAまたは病院感染型MRSAに分類した。それらの分離株で、感受性試験およびパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)解析を実施した。PCR法により、ブドウ球菌カセット染色体(SCCmec)の種類およびPanton-Valentine型ロイコシジン(PVL)をコードしている遺伝子の有無を判定した。全体で、31株(62%)のMRSAを市中感染型MRSAと判定した。PFGEのバンドパターンおよびSCCmec解析結果は、72%の分離株がEMRSA 15に類似していた。80%を超える分離株がSCCmec IV型を含み、1つの分離株は分類不能であった。PVLをコードする遺伝子は検出されなかった。バーミンガムの病院を受診した小児から分離し、市中感染型MRSAに分類されたMRSAの多くは、通常の院内流行菌株に類似していた。PFGE、PVL産生、およびSCCmec解析に基づくde-novoの市中感染型MRSAの基準を満たした分離株は認められなかった。

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監訳者コメント:
MRSAの型別法には数々の方法があるが、パントンバレンタイン型の白血球毒素を産生する黄色ブドウ球菌は病原性が強いことが知られており、米国では市中感染型のMRSAの多くがこのタイプに属しており社会問題となっている。わが国では幸い市中感染型MRSAからこのタイプの毒素産生遺伝子はほとんど検出されていないが、今後監視が必要である。

環境表面からのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の各種回収法の評価

An evaluation of different methods for the recovery of meticillin-resistant Staphylococcus aureus from environmental surfaces

P. Obee*, C.J. Griffith, R.A. Cooper, N.E. Bennion
*University of Wales Institute, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 35-41


メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に汚染された環境表面と院内感染率との関連は完全には解明されていないが、監視プログラムは、清掃法の改善を含む感染管理戦略の開発と評価の客観的な出発点となり得る。しかし、環境表面MRSAを回収するための広く受け入れられた方法は存在していないため、本研究では、現時点で実施可能な方法の選択について評価することを目的とした。5つのMRSA臨床分離株および7つのプロトコールを使用して、一定数の細菌をステンレス表面に接種し、直後(乾燥および吸着なし)または30分後(室温での乾燥および表面への細胞の吸着あり)に回収した。表面のスワブ採取または接触法による直接サンプリングを行い、4種類の栄養培地(血液、トリプトンソーヤ、オキサシリン、メチシリン耐性寒天)で試験を行った。相対的なサンプリング効率を測定し、各方法の100 cm2あたりの感受性を算出した。プロトコール間でMRSAの回収能に大きなばらつきが認められた。乾燥(吸着)細胞の回収では、直接接触法がスワブ採取法よりもサンプリング効率が高いことが示された。表面からの回収の感度は、すべての方法において、吸着細胞のほうが非吸着細胞よりも低かった。サンプリング法は、どの条件でも培地の選択より重要であることが証明された。選択寒天培地でコーティングしたディップスライドが、平板な環境表面からのMRSA回収に推奨される。

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監訳者コメント:
選択培地そのものも重要であるが、サンプリングの際の方法が大きく結果に影響することを改めて証明した論文である。検査材料採取する手技者の教育の重要なことは言うまでもない。

大学病院入院時に診断されたClostridium difficile関連下痢症の疫学および発生率

Epidemiology and incidence of Clostridium difficile-associated diarrhoea diagnosed upon admission to a university hospital

M.F. Price*, T. Dao-Tran, K.W. Garey, G. Graham, L.O. Gentry, L. Dhungana, H.L. DuPont
*St. Luke’s Episcopal Hospital, USA

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 42-46


Clostridium difficile関連下痢症(CDAD)の患者は、最初に市中で症状が発現し、その後の入院時に診断を受ける可能性がある。米国には現在、国としてのCDADのサーベイランスシステムおよび標準化された症例定義はなく、CDADの発生率や疫学に関する基本データは少ない。本研究の目的は、第3次病院におけるCDADの発生率を報告し、入院から48時間以内に診断された症例の疫学を、入院後48時間以降に診断された院内感染CDADの症例と比較することである。平均発生率は、入院時CDADは4.0例/10,000患者・日、院内感染CDADは7.0例/10,000患者・日であった。院内感染CDAD発生率と比較した入院時CDAD発生率には有意差がみられたが(P=0.017)、いずれの発生率も経時的な変化は観察されなかった。全体では、症例の44%が入院時CDADであり、56%が院内感染CDADであった。入院時CDAD患者のうち56例(62%)は過去90日以内に同じ病院に入院しており、24例(27%)は別の病院に入院していた。入院前90日間にいかなる医療サービスも受けていなかった患者は、わずか8例(9%)であった。医療関連CDADの標準化された症例定義に、入院歴を加えるべきである。入院を判断する医師は、医療施設への入院歴の有無を問わず、下痢症の入院患者の鑑別診断においてはC. difficileを考慮すべきである。

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監訳者コメント:
米国では平均在院日数の減少とともに、在宅医療や病院と在宅の中間的なケアを行う医療環境が増え、抗菌薬療法をはじめとするCDAD発症の要因が院内だけにとどまらなくなってきている。包括医療制度の浸透とともに、わが国においても医療制度の多様化とともに、こうした課題とその対策を必要とする時代が来るかもしれない。医療機関同士で患者が行き来する状況はすでに日常的であり、こうした観点からのCDAD対策も重要である。

小児血液腫瘍部門の汚染された水道の蛇口に関連した緑膿菌およびPseudomonas putidaのアウトブレイク

Pseudomonas aeruginosa and Pseudomonas putida outbreak associated with contaminated water outlets in an oncohaematology paediatric unit

C. Aumeran*, C. Paillard, F. Robin, J. Kanold, O. Baud, R. Bonnet, B. Souweine, O. Traore
*Hopital Gabriel Montpied, France

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 47-53


本稿では、2005年1月から4月に小児血液腫瘍部門で発生した緑膿菌およびPseudomonas putidaのアウトブレイクについて報告する。小児8例に緑膿菌(5例)またはP. putida(3例)による院内感染があり、菌の回収部位は中心静脈カテーテルの血液培養(4例)、カテーテルの出口部のみ(2例)、およびカテーテルの出口部と先端(2例)であった。その後の調査から、汚染された水道の蛇口が感染源である可能性が示された。看護業務および環境除染業務を調査したところ、2通りのカテーテルの汚染様式が明らかとなった。それは、出口部のカテーテル・ドレッシング材のサイズを小さくしたためにシャワーの際にカバーとしての保護性能が低下したこと、および水道水で希釈した洗浄・消毒薬が灌流ボトル(perfusion bottles)を汚染していたことである。Repetitive intergenic consensus PCR法により、2つのタイプの緑膿菌と1タイプのP. putidaが示された。水道設備を塩素消毒するとともに、すべての蛇口とシャワーに使い捨ての7日用のフィルターを取り付けた。塩素消毒は水道設備に対して有害な影響があること、およびフィルターを毎週交換するにはコストを要するため、微生物の管理がなされた水を生成する水ループを設置した。さらに、高リスク区域では、洗浄消毒薬の濃度を増加し、詰め替え型のスプレーをready-to-useの洗浄消毒薬に換えた。これらの対策を行った後、病棟の臨床標本および環境サンプルからPseudomonas属菌は分離されていない。

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監訳者コメント:
現行の手指衛生のためのCDCガイドラインでは、詰め替え式の手指衛生石けんの使用を避けるよう勧告している。元来、こうした水石けんは100倍以上に濃縮され供給されているが、現場ではこれを薄めて使用する場合も多い。その際には防腐剤も希釈され、もはや防腐効果がなくなり、結果回路内では汚染菌増殖の温床となる。

集中治療室におけるカルバペネム耐性緑膿菌のアウトブレイクに対する経口挿管器具の汚染の関与

Contaminated oral intubation equipment associated with an outbreak of carbapenem-resistant pseudomonas in an intensive care unit

T. Kikuchi*, G. Nagashima, K. Taguchi, H. Kuraishi, H. Nemoto, M. Yamanaka, R. Kawano, K. Ugajin, S. Tazawa, K. Marumo
*Fujigaoka Hospital, Showa University, Japan

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 54-57


集中治療室の患者20例が1か月間で緑膿菌による感染症または保菌状態と診断された。この頻度は通常の緑膿菌感染の3~4倍であった。呼吸器系検体が陽性の患者は人工呼吸器を装着しており、挿管時には消毒したバイトブロックを再使用していた。陽性患者20例の14検体が気道由来であった。7株のクローンが分離され、パルスフィールドによる解析により同一株由来であると判定された。これらの分離株は、140 ppm次亜塩素酸ナトリウムで消毒された再使用バイトブロックから検出した株とも一致した。さらに、黄色ブドウ球菌もエチレンオキサイドで滅菌したバイトブロックから検出されており、消毒が不完全であることを示していた。免疫不全患者では、挿管時のバイトブロックの再使用を禁止すべきである。使い捨てキットまたはバイトブロックを使用しない挿管が推奨される。

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監訳者コメント:
昭和大学藤が丘病院からのバイトブロック再利用によるICUでの耐性緑膿菌アウトブレイク事例の報告である。なお、原文では使用された消毒薬についてsodium hydrochloride(塩酸ナトリウム?)とあるが、文脈から次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite)と判断されたので上記の記載とした。また、ethylene dioxideも一般的なエチレンオキサイド(ethylene oxide)とした。

エルサルバドルの病院におけるフリップチャートによる紙芝居方式を用いた効果的な手指衛生教育★★

Effective hand hygiene education with the use of flipcharts in a hospital in El Salvador

M.A. Caniza*, G. Maron, E.J. Moore, Y. Quintana, T. Liu
*St Jude Children’s Research Hospital, Memphis, USA

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 58-64


発展途上国では医療従事者に対する生涯教育が人手不足や洗練された教育法の欠如により不十分となる場合があり、感染制御のために重要な行動である良好な手指衛生遵守に影響する。エルサルバドルの小児科病院の看護師67名に対する手指衛生教育において、発展途上国の医療や衛生管理の現場で広く用いられる2種類の教育ツール、すなわちビデオテープによる方法およびフリップチャートを用いた紙芝居方式の有効性を比較した。教育の前後に10題の多岐選択式問題からなる試験を実施して、そのスコアに基いて有効性を測定した。半数の看護師がビデオによる教育を受け、残りの半数が紙芝居方式による教育を受けた。いずれの教育ツールによっても、手指衛生遵守に関する被験者の知識が向上して、獲得した知識の水準は同等であった。教育6か月後のフリップチャート使用者からのフィードバックによれば、多くの回答者が患者の家族(62.5%)、患者(50%)、および医療従事者(43.8%)に対する手指衛生の教育にフリップチャートを使用したことが示された。フリップチャート使用者はフリップチャートを好ましい教育ツールとしていた。フリップチャートは、発展途上国での教育手段として経済的で、使いやすく、高い工業技術が不要でありながら、ビデオテープの有効な代替手段である。紙芝居方式には熟練した十分な訓練を受けた講師が必要であるが、フリップチャートは資源の乏しい状況における教育手段として、より広く利用することが可能である。

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監訳者コメント:
フリップチャートによる紙芝居でも十分な教育効果を挙げることが可能であることが示されており、さらに紙芝居による情報提供を受けたスタッフが同じ方法で教育を拡大している点を参考にすべきであろう。なお、本文でも触れられているが、WHOでも患者安全(patient safety)のための中心課題として手指衛生(hand hygiene)を取り上げている。http://www.who.int/patientsafety/en/

市中病院における手術前消毒効果に関するアルコール手術時スクラブ液2種類とヨード液ブラシ洗浄の比較

Comparison of two alcohol-based surgical scrub solutions with an iodine-based scrub brush for presurgical antiseptic effectiveness in a community hospital

C. Gupta*, A.M. Czubatyj, L.E. Briski, A.K. Malani
*St. John North Shore Hospital, USA

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 65-71


市中病院の手術室で遭遇される環境において、市販の、アルコール製で水を使用しないスクラブ液(alcohol-based waterless;ABWL)とアルコール製で水を使用するスクラブ液(alcohol-based water-aided;ABWA)の消毒効果と受容性を、ブラシ洗浄用ヨード液(brush-based iodine solution;BBIS)と比較した。アメリカ材料試験協会(American Society for Testing and Methods)によるガイドラインに基づく無作為一部盲検化試験を実施した。3種類の洗浄液の抗菌効果を、FDAによる医療用消毒製剤のための暫定的最終モノグラフ(Food and Drug Administration's Tentative Final Monograph for Healthcare Antiseptic Products;FDA-TFM)の基準を用いて比較し、製剤に対する被験者の受容性も比較した。研究の全期間を通して同一の手術室に連日勤務した手術室職員のボランティアを登録した。研究期間中に合計1,126件の手術時手洗いが行われた。FDA-TFMの基準を完全に満たしたのはABWLのみであった。1日目終了時点のBBISの成績はいずれのアルコール製スクラブ液よりも優れていた(P=0.03)が、2日目終了時点および5日目終了時点では、ABWLの方がABWAおよびBBISよりも有効であった(それぞれP=0.02、P=0.01)。研究の全期間におけるコロニー数減少を比較すると、3種類の洗浄液に有意差はなかった(P=0.2)。被験者の評価によると、ABWLが最も使用が容易で(P<0.001)、皮膚の有害事象が最少であり(P=0.007)、被験者が好んだ製剤であった(P<0.001)。市販のアルコール製スクラブ液はいずれも、手術時手洗いにBBISの代替品として受容可能と考えられるが、ABWLの方が被験者による受容性が有意に高いことが示された。

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監訳者コメント:
手指の残留細菌と手荒れの評価に基き、手術時手洗いに水を使用しないアルコール製剤を推奨する結果となっている。時流に乗った内容である。
手指衛生のために使用される消毒薬の評価基準:欧州共同体ではEN1500が、米国ではFDAによりtentative final monographが手指消毒薬の評価基準となっている。わが国における公定法はない。

ステンレス製手術器具のプリオン感染組織による汚染濃度に対する乾燥時間、環境温度、および予浸の効果:手術室から中央滅菌サービス部門への器具運搬時間の延長に関する懸念

Effect of drying time, ambient temperature and pre-soaks on prion-infected tissue contamination levels on surgical stainless steel: concerns over prolonged transportation of instruments from theatre to central sterile service departments

I.P. Lipscomb*, H. Pinchin, R. Collin, C.W. Keevil
*University of Southampton, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 72-77

手術器具を介したプリオンの医原性伝播が、実験的にも臨床的にも示されている。さらに、虫垂や筋などの末梢組織にプリオン蛋白質が蓄積することが最近発見されたこと、および血液媒介ヒト‐ヒト伝播を示唆するエビデンスから、滅菌部門での処理後であってもプリオン蛋白質を含有する残留汚染物質が感染性を残している可能性が懸念されている。手術器具から蛋白様物質をすべて除去することが、効果的な滅菌のために極めて重要である。汚染物質が器具表面で一定時間に乾燥すると、その除去が著しく妨げられることがある。中央滅菌サービスセンターの使用という最近の傾向や、それに伴う手術室から再洗浄までの運搬時間の延長により、滅菌前の器具に付着する残留汚染物質量を最小限に抑えることが必要になっている。今回の調査では、手術室での手術器具使用から、洗浄器や消毒器による初回予洗までの時間をシミュレートした。その目的は、異なる温度で乾燥したことによる変化の動態および各種の市販の予浸液の使用について、器具それ自体のレベルで調査することであった。結果から、あらゆる予浸により、プリオン感染組織による汚染が有意に減少する(最大96%)こと、および手術室から洗浄施設へ運搬中の温度管理により、高濃度の蛋白質が固着するまでの時間を延長できる可能性があることが示された。

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監訳者コメント:
プリオンの不活化は大変に困難であり、室温で1 N NaOHに1時間の浸漬、あるいは日常作業よりもずっと厳しい条件での高圧蒸気滅菌など、ルーチン業務とするのは現実的に不可能である。蛋白質性の汚染物質が固着するのを避け、十分な洗浄で対応するのが現実的である。なお、この論文では触れられていないが、手術に使用された鋼製小物については、どの器具がどの手術で使用されたのか記録を整えて追跡可能性(traceability)を確保する対策も検討されている。

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Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.