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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

集中治療室患者におけるカルバペネム耐性Acinetobacter baumannii:定着、感染およびその予後に関する危険因子

Carbapenem-resistant Acinetobacter baumannii in intensive care unit patients: risk factors for acquisition, infection and their consequences

E.G. Playford*, J.C. Craig, J.R. Iredell
*Princess Alexandra Hospital, Australia

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 204-211


カルバペネム耐性Acinetobacter baumannii(アシネトバクター・バウマンニイ;CR-AB)感染に関連する危険因子と臨床的および経済的影響を評価するために、集中治療室(ICU)で24カ月間の後向き症例対照研究を実施した。ICU入室患者1,431例中64例にCR-AB感染が認められ、それぞれの感染者につき対照2例をマッチさせた。CR-AB感染に関連する危険因子には、患者側の宿主因子のほかに、「保菌圧(colonization pressure)」(ICUの保菌患者の割合)やICUにおける感染前3カ月間の抗生物質の使用などのICU側の要素も認められた。保菌患者のCR-AB感染の危険因子は、輸血や「保菌密度」(CR-ABを保菌する身体部位の割合)などであった。マッチさせた対照と比較すると、CR-AB感染と独立した関連があったのは、病院における死亡率の増加(死亡率の差20%、95%信頼区間[CI]1~40%)、ICU入室期間の長期化(入室期間の差の中央値15日、95%CI 9~21日)、および入院期間の長期化(30日、11~18日)であった。

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監訳者コメント:
日本国内では多剤耐性緑膿菌が問題となっているが、この論文でも取り上げられている耐性A. baumanniiは環境を介してアウトブレイクすることも報告されており、最も注意すべき耐性菌の一つである。

ニードルレス・コネクターの微生物バリアの評価のための前向き臨床試験★★

A prospective clinical trial to evaluate the microbial barrier of a needleless connector

A.L. Casey*, S. Burnell, H. Whinn, T. Worthington, M.H. Faroqui, T.S.J. Elliott
*University Hospital Birmingham NHS Foundation Trust, The Queen Elizabeth Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 212-218


静脈内カテーテルとの直接接続を目的としたニードルレス・コネクター使用は増加の一途をたどっている。しかし、これらの器材の微生物汚染の可能性と、その結果としての感染リスクについては、依然として広く議論されている。本研究では、標準的なキャップ付き三方活栓ルアーの微生物汚染率を、Clearlink笂・ニードルレス・コネクター付きY型エクステンションセットルアーの汚染率と比較した。胸部外科手術を受け、術中あるいは術後管理の一環として中心静脈カテーテルを留置した患者50例を対象として、72時間後に患者に装着されたままの中心静脈カテーテル・ルアーにおける微生物汚染を調べた。各患者の中心静脈カテーテルに、キャップ付き三方活栓(対照患者)またはClearlink笂・/span>Y型エクステンションセット(試験患者)のいずれかを無作為に取り付けた。三方活栓またはClearlink笂・/span>器材の使用前後は70%(v/v)イソプロピルアルコールスワブで接続部を消毒した。標準的なキャップ付き三方活栓では200個、Clearlink笂・/span>付きでは193個、合計393個のルアーで微生物汚染が確認された。標準的なキャップ付き三方活栓ルアー200個のうち20個(10%)では内側表面が微生物で汚染されていたのに対して、Clearlink笂・/span>付きルアーの内部表面汚染は193個中のわずか1個(0.5%)であった(P<0.0001)。これらの結果から、指定の消毒法に従ってClearlink笂・/span>器材を使用することにより、中心静脈カテーテルのルアー内側の微生物汚染率が標準的なキャップよりも低下することが示された。したがって、これらのニードルレス器材の使用により管腔内のカテーテル関連血流感染リスクが減少すると考えられ、現行の予防ガイドラインの補完をもたらす可能性がある。

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監訳者コメント:
血管内留置カテーテル関連血流感染症の予防として、三方活栓をニードルレス器材に変更することが注目されている。日本国内では針を用いたアクセスの閉鎖系器材が導入されず、ニードルレス器材を閉鎖系システムと同義な機材として紹介された経過があるので注意が必要である。この報告に限らず、三方活栓への優位性は今後の検討を待つ必要がある。

両側同時人工股関節全置換術および人工膝関節全置換術後の患者の転帰★★

Patient outcomes after simultaneous bilateral total hip and knee joint replacements

K. Huotari*, O. Lyytikainen, S. Seitsalo
*National Public Health Institute, Finland

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 219-225


両側同時人工関節置換術が1回の麻酔で実施される場合が増えている。この問題に関して全国的な院内サーベイランスシステムによる報告データはまだない。フィンランド病院感染プログラム(Finnish Hospital Infection Programme;SIRO)のサーベイランスデータの解析により、両側および片側の人工股関節全置換術および人工膝関節全置換術を受けた患者群について、深部手術部位感染率および死亡率を比較した。2001年から2004年に、合計8,201例の患者が9,831件の人工関節全置換術を受けた。人工関節を両側に挿入したのは7.2%であった(病院別範囲0.6~19.2%、手技別範囲5.2~9.9%)。両側置換術を受けた患者は片側置換術を受けた患者と比較して若齢で、男性が多く、またASA(American Society of Anesthesiologists)スコアが低かった。深部手術部位感染発生率は、両側および片側人工股関節全置換術、両側および片側人工膝関節全置換術で、それぞれ0%、0.5%、1.0%、0.9%であった。両側置換術後の深部手術部位感染は4例に認められ、すべて両側人工膝関節全置換術実施例であり、そのうち3例は2番目の手術部位であった。これらの3症例では、抗菌薬の単回予防的投与を切開の115、155、および218分前に実施していた(片側置換術での時間の中央値47分)。多変量解析によると、両側置換術は深部手術部位感染の独立した危険因子ではなかった。両側および片側人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術の死亡率に差はなかった。本研究のサーベイランスデータは、両側同時置換術では、人工股関節全置換術および人工膝関節全置換術後の深部手術部位感染または死亡のリスクは上昇しなかったことを示している。しかし、両側置換術には抗菌薬の予防的投与に特化したガイドラインが必要であると考えられる。

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監訳者コメント:
外科手術部位感染症を防止するために予防的抗菌薬投与は極めて重要であり、とくに投与のタイミングが問題視される。一般的には皮膚切開の際に手術部位で抗菌薬が十分な濃度に到達している必要があるが、この論文で紹介されているように複数の部位を同時に手術対象とする場合、投与のタイミングについて改めて検討する必要があると考える。

カタラーゼ陰性メチシリン耐性黄色ブドウ球菌のアウトブレイク

An outbreak of catalase-negative meticillin-resistant Staphylococcus aureus

L. Del'Alamo*, P.A. d'Azevedo, A.J. Strob, D.V. Rodriguez-Lopez, J. Monteiro, S.S. Andrade, A.C.C. Pignatari, A.C. Gales
*Hospital Sanatorinhos de Carapicuiba, Brazil

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 226-230


ブラジルの病院では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の主要流行クローン(ブラジル・クローン)が広範に拡散しているため、アウトブレイク調査を目的としたパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)などの分子タイピング技術の意義が限定されている。これらの表現型解析で通常とは異なる結果が得られたことによって初めて検出された、カタラーゼ陰性MRSA株の最初のアウトブレイクを報告する。アウトブレイクはブラジルのサンパウロにある237床の二次病院であるSanatorinhos de Carapicuiba病院で発生した。2002年5月から8月に、集中治療室の患者4例から合計11株のMRSA分離株を回収した。分離株はすべてカタラーゼ陰性で、バンコマイシンおよびリネゾリドのみに感受性を示した。患者4例のうち3例は最終的に死亡した。分子タイピングにより、11分離株がブラジル・クローンおよび病院での通常のMRSA株と類似した、識別不能のPFGEパターンを示した。この報告は、アウトブレイク調査を開始するマーカーとして、通常とは異なる表現型が重要性であることを強調するとともに、臨床検査室ではこのような分離株を認識し、報告することを促すものである。

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監訳者コメント:
耐性菌アウトブレイク調査の標準的方法はPFGEをはじめとする遺伝子型(genotype)の検討である。ブラジル国内では特定の流行株が圧倒的に優位であるとしても、カタラーゼなどの蛋白の発現は不安定である場合が少なくないので、この論文で主張されているような発現型(phenotype)によるアウトブレイク調査が有用であるのか、さらに検討が必要であると考えている。

嚢胞性線維症の小児における三段階のプロトコールを使用したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の除菌成功

Successful decolonization of meticillin-resistant Staphylococcus aureus in paediatric patients with cystic fibrosis (CF) using a three-step protocol

M. Macfarlane*, A. Leavy, J. McCaughan, R. Fair, A.J.M. Reid
*Royal Belfast Hospital for Sick Children, Royal Group of Hospitals, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 231-236


メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、嚢胞性線維症(CF)の細菌性病原体であることが知られているが、その臨床的影響は多様である。本研究の目的は、MRSAに対する三段階の除菌プロトコール(Belfast CF MRSA除菌プロトコール)の有効性を評価することである。5年の研究期間中に治療を受けた患児17例中8例(47%)は、リファンピシンおよびフシジン酸の5日間経口投与1コースで除菌に成功した。1コース目の治療終了時に培養陽性であった11例に対する2コース目の5日間経口投与後には、成功率は12例(71%)に増加した。さらに4例で静脈内テイコプラニン投与により除菌を達成し、除菌率は17例中16例(94%)に増加した。これらの成績は、報告されている他の試験と比べても遜色がなく、嚢胞性線維症患児のMRSA除菌が高い確率で成功しうることを示している。

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監訳者コメント:
嚢胞性線維症(cystic fibrosis)は白色人種に多い先天性疾患であり、膵外分泌や小腸機能低下、発汗異常、泌尿生殖器系異常を伴うが、最も特徴的な症状は気管支拡張症を伴う慢性気道感染症である。ブドウ球菌属菌(Staphylococcus spp.)や緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が慢性的に下気道に常在することから、耐性菌の出現がしばしば問題となる。この疾患においては耐性菌による感染症が繰り返されることから除菌を検討することとなるが、その他の疾患においては一般的に常在菌を除菌する必要はないので、安易な類推による適応拡大は許されないことを強調したい。

イスラエルの極低出生体重児におけるカンジダまたは細菌による遅発型敗血症の比較:全国調査

Candidal versus bacterial late-onset sepsis in very low birthweight infants in Israel: a national survey

Imad R. Makhoul*, Yoram Bental, Meir Weisbrod, Polo Sujov, Ayala Lusky, Brian Reichman
*Rambam Medical Center, Israel

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 237-243


カンジダ感染症は、極低出生体重児における遅発型敗血症の一般的な原因の1つであり、罹患率および死亡率が極めて高い。本研究の目的は、極低出生体重児の真菌性遅発型敗血症の周産期および新生児期における危険因子を評価し、細菌性遅発型敗血症と比較することである。本研究は、一般住民を対象としたイスラエル全域の28の新生児集中治療室における極低出生体重児に関する観察研究であり、イスラエル国立極低出生体重児データベースの1995年から2002年に生まれた乳児11,830例の情報を利用した。対象集団は、遅発型敗血症エピソードが1回以上発生した乳児3,054例であった。単変量解析およびロジスティック回帰モデルにより、真菌性敗血症のみの乳児(179例)と細菌性敗血症のみの乳児(2,630例)の周産期および新生児期の危険因子を比較した。乳児の平均出産体重および在胎期間は、カンジダ性遅発型敗血症群(940 g、27.1週)のほうが細菌性遅発型敗血症群(1,027 g、28.3週)より有意に低値であった(P<0.001)。ロジスティック回帰解析では、カンジダ性敗血症は、細菌性敗血症とは異なり、在胎期間の短縮および気管支肺異形成と独立して関連することが示された。さらに、気管支肺異形成のみ(オッズ比[OR]1.84、95%信頼区間[CI]1.03~3.23)および気管支肺異形成+新生児ステロイド療法(OR 2.66、95%CI 1.59~4.46)は、カンジダ性敗血症のリスク増大に独立して関連していた。

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監訳者コメント:
真菌性と細菌性の新生児期敗血症について危険因子を解析した論文である。臨床的な指向の論文である。

アルバニア、ティラナの大学附属「マザー・テレサ」病院における院内感染に関する最初の罹患率調査

The first prevalence survey of nosocomial infections in the University Hospital Centre ‘Mother Teresa’ of Tirana, Albania

S. Faria*, L. Sodano, A. Gjata, M. Dauri, A.F. Sabato, A. Bilaj, O. Mertiraj, E. Llazo, Y. Kodra, N. Schinaia
*National Institute of Health, Italy

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 244-250


院内感染の罹患率および危険因子の推定を目的として、アルバニアで最大規模の病院で調査を実施した。2003年10月から11月に、内科病棟、外科病棟、および集中治療病棟で1日の罹患率調査を実施した。米国疾病対策センター(CDC)による定義を使用した。調査項目は、患者および病院の特性、手術手技、侵襲性器材、抗生物質治療、微生物学的検査および放射線検査、感染の徴候および症状などであった。ロジスティック回帰により危険因子を判定した。合計で、登録患者968例中163例から185件の院内感染が認められた。最も頻度が高い院内感染は尿路感染(33.0%)、手術部位感染(24.3%)、肺炎(13.0%)、および血流感染(9.2%)であった。院内感染罹患率は、集中治療室(31.6%)のほうが外科病棟(22.0%)および内科病棟(10.3%)よりも高かった。全体で、微生物検査によって確認された院内感染は132件(71.4%)であり、最も分離頻度の高かった微生物は黄色ブドウ球菌(18.2%)であった。ロジスティック回帰により、年齢>40歳、入院期間、入院時の「外傷」の診断、および侵襲性器材の挿入が独立した危険因子であると判定された。比較は極めて慎重に行うべきであるが、院内感染罹患率は、西欧諸国および一部の発展途上国よりも高かった。

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監訳者コメント:
極めて教科書的な院内感染の実態に関する報告である。

トルコの集中治療室における器材関連の病院感染率:International Nosocomial Infection Control Consortium(INICC)の知見

Device-associated hospital-acquired infection rates in Turkish intensive care units. Findings of the International Nosocomial Infection Control Consortium (INICC)

H. Leblebicioglu*, V.D. Rosenthal, O.A. Arトアkan, A. Ozgultekin, A.N. Yalcin, I. Koksal, G. Usluer, Y.C. Sardan, S. Ulusoy, the Turkish Branch of INICC

*Ondokuz Mayis University Medical School, Turkey

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 251-257


International Nosocomial Infection Control Consortium(INICC)に所属するトルコの12病院の13の集中治療室(ICU)で、医療関連感染のサーベイランスを目的とした前向き研究を実施した。米国疾病対策センターおよび全米病院感染サーベイランスシステム(NNISS)の定義を適用した。3年間の研究期間中、患者3,288例、累積期間37,631日で1,277件の器材関連感染(device-associated infection)が発生し、全感染率は38.3%、すなわち1,000 ICU・日あたり33.9件の器材関連感染が発生した。人工呼吸器関連肺炎(全器材関連感染の47.4%、1,000人工呼吸器・日あたり26.5件)のリスクが最大であり、続いて中心静脈カテーテル関連血流感染(全器材関連感染の30.4%、1,000カテーテル・日あたり17.6件)およびカテーテル関連尿路感染(全器材関連感染の22.1%、1,000カテーテル・日あたり8.3件)であった。全体として、全黄色ブドウ球菌感染の89.2%はメチシリン耐性株が原因であり、腸内細菌科細菌分離株の48.2%がセフトリアキソン耐性、52.0%がセフタジジム耐性、33.2%がピペラシリン-タゾバクタム耐性であった。緑膿菌分離株では、51.1%がフルオロキノロン耐性、50.7%がセフタジジム耐性、38.7%がイミペネム耐性、30.0%がピペラシリン-タゾバクタム耐性であった。Enterococcus属分離株では、1.9%がバンコマイシン耐性であった。本研究は、トルコのICUにおける器材関連感染を明らかにした最初の多施設研究である。トルコのICUにおける器材関連感染率は、先進工業国の報告よりも高い。

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監訳者コメント:
INICCはアルゼンチンの感染制御医ビクター・ローゼンタール教授が設立した非営利の感染制御に関する国際的な組織の研究団体である(http://www.inicc.org/eng/directores.php)。ビクター・ローゼンタール教授はラテン系を中心とする医療圏に対して、感染制御の重要性を説き各国の公衆衛生行政と連携して医療関連感染制御を推進している。彼の指導の下、今回公開されたトルコの医療関連感染率は驚くべき高い感染率を示しており、早急の改善が必要なことは明白である。

皮膚科手術における感染制御策および感染の合併症

Infection control practices and infectious complications in dermatological surgery

A.M. Rogues*, A. Lasheras, J.M. Amici, P. Guillot, C. Beylot, A. Taieb, J.P. Gachie
*Universite Victor Segalen Bordeaux 2, France

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 258-263


本研究の目的は、感染制御策の評価、および感染制御策が開業皮膚科医による皮膚科手術の感染性合併症に与える影響の評価である。Surgical Group of the Societe Francaise de Dermatologieに所属するボランティア73名が、3カ月間の前向き研究を実施した。良性および悪性のすべての腫瘍切除術のほか、研究期間中に実施した外科手術のデータを収集したが、皮脂嚢胞および膿皮症は除外した。合計3,491例の皮膚科手術を本調査の対象とした。術後感染は67例(1.9%)で発生し、表在性の化膿が手術部位感染の92.5%を占めた。発生率は、切開術単独の(1.6%)よりも再建術を伴う切開術後(4.3%)のほうが高かった。感染予防策は手術部位により様々であった。多変量解析により、いずれの種類の外科手術においても、出血性の合併症が感染の独立因子であることが示された。男性であること、免疫抑制療法、および滅菌手袋の非着用が、再建術を伴う切開術後の感染症の独立因子であった。すべての手術に病院の手術室の使用を必要とするわけではなかった。再建術を伴う切開術、または鼻など特定の解剖学的部位の切開術においては、感染予防策をより重視すべきことは明らかである。これらの手術の最適な指針を確立するために、さらなる研究が必要である。

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監訳者コメント:
外来ベースの、しかも清潔操作が可能な皮膚科的な外科処置に伴う創感染率に関する報告であり、今後わが国でも外来医療における感染制御の重要性が増す中、患者に対してのインフォームド・コンセントの資料として一つのベンチマークとなろう。

グループの異なる消毒薬によるヒトアデノウイルスのヘキソン変性

Hexon denaturation of human adenoviruses by different groups of biocides

A. Sauerbrei*, U. Eichhorn, M. Scheibenzuber, P. Wutzler
*Friedrich-Schiller University, Germany

Journal of Hospital Infection (2007) 65, 264-270


ヒトアデノウイルスは、消毒薬の広域スペクトルの殺ウイルス効果を調べるための代用ウイルスとして、しばしば使用される。しかし最近の研究で、このウイルス群の化学物質感受性は大きく異なり、モデルウイルスとして推奨できるのは血清型5および44のみであることが示されている。本研究では、血清型1、2、5、6、8のヘキソン蛋白質を消毒薬に曝露し、次いでウエスタンブロット法およびRPS Adeno Detectorによる検出を行った。60分以内にヘキソン蛋白質が完全に変性したのは、比較的濃度の高い(0.5%)過酢酸のみであった。この効果は検査を行ったすべてのアデノウイルスで一様であり、0.05~2.5%ポビドンヨード(PVP-I)または0.7%ホルムアルデヒドへの曝露では認められなかった。しかし、ウイルス感染価およびゲノムの完全性は、PVP-I、ホルムアルデヒド、および低濃度のPAAにより影響を受けた。結論として、ヒトアデノウイルスのヘキソン蛋白質の消毒薬に対する抵抗性は予想以上に高く、一様であった。アデノウイルスの化学物質感受性の差を、その主要な構造化合物の感受性で説明することはできないが、今回の知見は、消毒薬の殺ウイルス作用に関する新しい解釈を提供するものである。

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監訳者コメント:
アデノウイルスはエンベロープを持たず、252個のカプソメアよりなる正20面体構造をしている。そのうち頂点にある12個は突起構造を持ったペントン(ペントンベースとファイバーからなる)と呼ばれ、他の240個はヘキソンと呼ばれる。本論文は、ウイルスに対する消毒薬の効果を検定する上で具体的にどのウイルス株を用いるべきなのか、質的な差が異なる血清型により生ずるのかについて検討したものである。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.