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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

従来型換気の手術室における術野周囲の空気の細菌汚染を減少させる可動型層流装置

A mobile laminar airflow unit to reduce air bacterial contamination at surgical area in a conventionally ventilated operating theatre

C. Pasquarella*, G.E. Sansebastiano, S. Ferretti, E. Saccani, M. Fanti, U. Moscato, G. Giannetti, S. Fornia, P. Cortellini, P. Vitali, C. Signorelli
*University of Parma, Italy

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 313-319


本研究の目的は、乱流型の換気を行っていた手術室の術野周囲の細菌汚染減少を図るための可動型層流装置の有効性を評価することである。76件の泌尿器科清潔開腹手術で細菌濃度の評価を行った。このうちの34件では可動型層流装置を併用した。各手術中に、静置培地を手術室の4カ所(患者エリア1カ所、周辺3カ所)に設置し、ニトロセルロース膜を手術器械台と創部近傍に設置した。4件の手術中に、0.5 μm以上の微粒子を検出するために空中浮遊微粒子の計測を行った。手術器械台上のニトロセルロース膜の平均細菌濃度は、標準的な換気条件下で2,730 cfu/m2/hであったが、層流装置を使用すると、超清浄手術室の推奨範囲内である平均305 cfu/m2/hまで有意に減少した(P=0.0001)。創部近傍のニトロセルロース膜の細菌濃度は、層流装置なしで4,031 cfu/m2/h、層流装置ありで1,608 cfu/m2/hであった(P=0.0001)。また、層流装置を使用すると微粒子数も減少した。手術室の4カ所でエアサンプリングを実施したところ、層流装置の有無別に有意差は認められなかった。可動型層流装置を乱流型の換気と併用することにより、高リスクの手術(例えば、人工物埋め込み)における術野周囲の細菌汚染を減少させることができる。

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監訳者コメント:
確かに術野周囲の細菌汚染がコントロールできるようであるが、これが実際にインプラント手術の術後感染発生率を下げるかどうかについて、更なる検討が必要であろう。基礎データとしてはおもしろいと思う。

微粒子および微生物による手術室内空気汚染の危険因子

Risk factors for particulate and microbial contamination of air in operating theatres

S. Scaltriti*, S. Cencetti, S. Rovesti, I. Marchesi, A. Bargellini, P. Borella
*Modena and Reggio Emilia University, Italy

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 320-326


本研究は、最近建設された連続監視システムを備えた手術室において、集塵法を標準化するためにデザインされた。本研究の目的は、微生物汚染と塵埃汚染の関係を明らかにすること、さらにそれらのパラメータを外科処置の主要な指標と比較して、空気の清浄度に影響を及ぼす危険因子をより明確にすることである。3つの従来型換気をしている手術室で実施された23件の外科手術中に、空気の清浄度を調査した。空中浮遊微生物数は、受動的および能動的サンプリング法の両方で測定した。大きさが0.5 μm~5 μm未満、および5 μm以上の空中浮遊塵埃を、光散乱式微粒子分析装置で測定した。塵埃全体の大部分は(98%)微細粒子物質であったが、これはおそらく定着するまでの浮遊時間が長いためと考えられる。これらの微粒子レベルは手術時間と正の相関を示したが、術式とは相関がないことから、微細粒子はおそらく手術の困難さの優れたトレーサーであることを示唆している。一方、術式は5 μm以上の微粒子濃度の主要な予測因子であり、一般的な従来の手術はスコープ手術と比較するとリスクが高かった。職員や外来者の移動の指標と考えられるドアの開閉の頻度は、微細粒子およびより大きな塵埃粒子が閾値を超えることの主要な負の予測因子であったが、細菌数増加の正の予測因子でもあった。

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監訳者注:
トレーサー(tracer):トレーサーとは、伝播の状態や範囲を追跡調査するために投与されるマーカーのことで、わかりやすい例でいえば、診断のためにアイソトープでラベルした化学物質を投与して間接的に体内動態をみることがある。本稿ではこれを転じて、複雑な手術ほど手術時間が長くなる傾向があるので、これと正の相関を示す浮遊微細粒子の測定をすることで、間接的に手術の困難さを表すことができるといっている。

給水システムへのLegionella pneumophila定着を防止するための集中給湯システムの遮断および電気シャワーの使用:11年間の研究

Disconnecting central hot water and using electric showers to avoid colonization of the water system by Legionella pneumophila: an 11-year study

M.S. Oliveira*, F.R. Maximino, R.D. Lobo, S. Gobara, S.I. Sinto, L.E. Ianhez, C.L. Warschauer, A.S.S. Levin
*University of Sao Paulo, Brazil

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 327-331


Legionella属は、病院内の汚染管理が困難な場合がある。本研究の目的は、Legionella pneumophilaによる汚染管理のための電気シャワーの使用について、11年間にわたる経験を報告することである。1989年6月から1990年3月まで、大学附属第三次病院の20床の腎移植部門において、L. pneumophilaによる肺炎のアウトブレイクが発生した。給水システムの高濃度塩素処理、加熱およびフラッシングなど汚染管理対策を実施したが、効果は限定的であった。1993年11月に集中給湯システムを遮断し、入浴用の水は電気シャワーで加熱することになった。1992年1月から1995年6月まで、シャワーおよび蛇口から水を隔週に採取し、L. pneumophilaの培養を行った。その後、1999年5月までは毎月、監視培養を行った。この7年間にわたるサーベイランス期間中に、1,115の水サンプルを培養した。水の培養は、電気シャワーの導入前の期間(22カ月)は429回中24回が陽性であった(レジオネラ症の症例なし)。電気シャワー導入後の期間(67カ月)では、686回の培養中わずか1回が陽性であった。サーベイランスは継続中であるが、その後はL. pneumophilaによる院内肺炎の新規症例は認められていない。結論として、集中給湯システムの遮断は、L. pneumophilaによる給水システムの定着防止に有効であった。電気シャワーにより水の加熱は可能であり、これは効果的かつ維持が容易で、安価である。

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監訳者コメント:
レジオネラ汚染をコントロールする方法のひとつとして、電気シャワーを利用することのメリットを説いている。電気シャワーのランニングコストが高くても、20床程度の小規模の施設では、セントラルシステムよりも初期投資が少なくて済む分割安で安全に管理できるが、数百床の病院では現実的な運用ができるのか、検討を要する。

監訳者注:
フラッシング(flushing):頻繁に湯を勢いよく流して、汚染を吹き飛ばす方法。

通常の消毒法に対する表面が乾燥したウイルスの抵抗性

Resistance of surface-dried virus to common disinfection procedures

F.G. Terpstra*, A.E. van den Blink, L.M. Bos, A.G.C. Boots, F.H.M. Brinkhuis, E. Gijsen, Y. van Remmerden, H. Schuitemaker, A.B. van ’t Wout
*Sanquin Research, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 332-338


表面が乾燥したウイルスは、感染性を有したまま残存し得るため、公衆衛生の脅威となる可能性があると考えられている。この問題に対して、表面が乾燥した脂質エンベロープウイルス[ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、および仮性狂犬病ウイルス(PRV)]と、非脂質エンベロープウイルス[犬パルボウイルス(CPV)およびA型肝炎ウイルス(HAV)]に対する0.1 N水酸化ナトリウム、および0.1%次亜塩素酸塩の不活化能を、血漿および培養液の存在下で検討した。さらに、表面が乾燥した脂質エンベロープウイルスに対して、80%エタノールの試験を行った。未処理の場合では、表面が乾燥した脂質エンベロープウイルスは感染性を有したまま1週間以上生存し、非脂質エンベロープウイルスは1カ月以上生存した。消毒薬の種類にかかわらず、血漿中で乾燥させたウイルスの不活化の程度は弱かったが、これは培養液中のウイルスよりもウイルスで汚染した血液の状態を模したものである。再加水後はすべての消毒薬で不活化能が向上したが、CPVの感染性は再加水後にむしろ増加しており、これは再加水がない条件下での消毒能が過大評価されたことによると考えられる。本研究は、表面が乾燥した状態の5種類の重要な(モデル)ウイルスを用いて、感染性の持続、繁用される3種類の消毒薬に対する抵抗性、および再加水後の感染性の回復を示した、最初の包括的な研究である。著者らの結果は、ウイルス伝播予防のための衛生的手段にとって、意味深いものであると考えられる。

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針刺し事故の標準化と新しいウイルス抑制保護手袋の評価★★

Standardization of needlestick injury and evaluation of a novel virus-inhibiting protective glove

R. Krikorian*, A. Lozach-Perlant, A. Ferrier-Rembert, P. Hoerner, P. Sonntag, D. Garin, J.-M. Crance
*Hutchinson Sante, France

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 339-345


体液からの汚染を防止するためのバリアとして着用されるゴム製手術用手袋は、注射針、メスの刃先、または骨片などによる直接的な経皮損傷を介する汚染に対して、ある程度の保護作用がある。偶発的な針刺しにより中空針が伝播する血液量(これは最悪シナリオであるが)に影響する主要な実験的パラメータを明らかにするために、著者らは自動針刺し器具を考案した。エンベロープウイルスのモデルとして単純ヘルペス1型ウイルス(HSV1)を、ゼラチンを用いたin vitroモデルにおける「マーカー」として使用した。検討した実験的パラメータのうち、最も決定的な影響を有するのは、針の直径と針刺しの深度であることが明らかになったが、針刺しの速度、針刺しの角度、および手袋の伸縮性は影響が小さいことが示された。一重の手袋を着用した場合の血液伝播量は、手袋を着用しない場合と比較して52%減少したが、手袋を二重にしても中空針による針刺しに対するさらなる保護は認められなかった。ウイルス防止手術用手袋G-VIRRでは、一重または二重のラテックス製手袋システムと比較して、「標準化された」針刺し条件で伝播するHSV1量が81%減少した。

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監訳者コメント:
針刺し実験マシーン(爆!)を作製し、極めて高い再現性を実現した実験系で、中空針の被害を大きくする因子について検討した、大変重要な論文である。こういった針刺しという事故を正確に再現する実験系は、実は大変に重要である。今回示された針の直径と針刺しの深度については、新しい注射針を開発することにつながると期待される。個人的には、大変好きな論文である。

手術室看護師と個人防護装備の遵守状況★★

Surgical nurses and compliance with personal protective equipment

M. Ganczak*, Z. Szych
*Pomeranian Medical University, Poland

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 346-351


本研究の目的は、手術室看護師の自己報告による個人防護装備(PPE)の遵守率、および遵守と非遵守に関連する因子を評価することである。ポーランドのポメラニアン地域から無作為に選択した18の病院(都市部7施設、農村部11施設)の合計601名の手術室看護師を対象として、守秘的な質問票を用いて調査を行った。本調査により、PPEの遵守率には大きなばらつきがあることが示された。手袋使用の遵守率は高かったが(83%)、アイプロテクターは非常に低かった(9%)。感染性を有する可能性がある物質に接触するときに、手袋、マスク、アイプロテクター、およびガウンをルーチンで使用していたと答えた回答者は、わずか5%であった。都市部の病院および手術室では、PPEの遵守率が最も高かった。業務中のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染への恐怖心が大きいか中等度の看護師(それぞれP<0.005およびP<0.04)では、恐怖心のない職員よりも遵守率が高かった。感染制御の訓練を受けたことがある看護師またはHIV患者の看護経験を有する看護師では遵守率が有意に高く、訓練と経験を併せた効果は、いずれか単独の場合を上回った。非遵守の理由として最も多かった回答は、PPEが備えられてない(37%)、患者が感染していないとの確信(33%)、および地域で推奨されているプラクティスに従うことが、実際には十分な患者ケアを提供する妨げになるというスタッフの懸念(32%)であった。著者らは、感染制御訓練の広範な実施・評価・改善を推奨するとともに、HIV患者の取り扱い経験を有すること、およびPPEが容易に使用できる環境を備えながら、その快適性を高めることが望ましいと考える。

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監訳者コメント:
PPEの装着コンプライアンスが伸びないのは、“目に見えない脅威”を想像できるか否か、あるいは、現実に脅威の中で就業をした経験があるか否かであるので、多くは「実際に痛い目にあうまでは分からない」のが実情であろう。しかしそのときには、遅いのである!

ウェールズの病院における現行および変更後の清掃法の有効性

The effectiveness of existing and modified cleaning regimens in a Welsh hospital

C.J. Griffith*, P. Obee, R.A. Cooper, N.F. Burton, M. Lewis
*University of Wales Institute Cardiff, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 352-359


病院清掃は現在、メディアの注目度が高い。現行の病棟清掃法の有効性について、特定の場所で14日間にわたり評価を行い、大きなばらつきがあることが明らかになった。その後、2段階で清掃法を変更したが、いずれの変更も、すすぎの段階にかかわるものであり、布製タオルを使い捨て紙タオルに置き換えた。一方の変更では現行の洗浄剤を引き続き使用し、もう一方の変更では洗浄剤に代えて第四級アンモニウム系の消毒剤を採用した。いずれの変更によっても、細菌数は有意に減少し、ばらつきが小さくなった。アデノシン三リン酸(ATP)検出法を使用した残留有機汚染の評価では、失敗率[ベンチマークの清掃値の500相対発光量(RLU)を上回る測定値]が、現行の清掃法後の86~100%から変更した清掃法後は0~14%に低下したことが示された。最大ATP値は163,870 RLUから2,289 RLUに減少した。第四級アンモニウム系の消毒剤を清掃法に導入することにより、清掃の有効性がわずかに改善したが、有意でなかった。これらの知見は、現行の清掃法の単純な改善によって、清掃法の有効性を高めることが可能であることを示唆している。

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監訳者コメント:
清掃法を変えることにより、環境がどの程度清浄化されるかを定量的に示した論文。自施設に適用できるかどうかは別として、環境の清浄化の評価方法は少なくとも参考になる。

過酸化水素蒸気による汚染除去後の集中治療室環境中の急速なMRSA再汚染★★

Rapid recontamination with MRSA of the environment of an intensive care unit after decontamination with hydrogen peroxide vapour

K.J. Hardy*, S. Gossain, N. Henderson, C. Drugan, B.A. Oppenheim, F. Gao, P.M. Hawkey
*Heartlands Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 360-368


メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は病院環境で存続し、従来の清掃方法では必ずしも汚染を除去できない。集中治療室において、環境中のMRSA汚染レベルを明らかにすること、過酸化水素蒸気による汚染除去の有効性を評価すること、および環境中の再汚染率を算出することを目的として、前向き研究を実施した。過酸化水素蒸気使用前の3カ月間では、環境中の検査箇所の11.2%からMRSAが分離され、疫学的型別により、環境中に存在している菌型は患者が保菌しているものと類似することが明らかになった。患者退室後の従来の方法による最終清掃後、5カ所(17.2%)からMRSAが分離された。過酸化水素蒸気による汚染除去後、患者の再入室前には、環境中からMRSAは分離されなかった。MRSA保菌者2例を含む患者の再入室から24時間後に、本菌は5カ所から分離された。これらの菌株は患者が保菌している菌株と識別できなかったが、すべてが保菌患者に隣接した箇所から分離されたわけではなかった。過酸化水素蒸気の使用後8週間、週に1回の割合で環境中のサンプルを採取したところ、MRSAは検査箇所の16.3%から分離された。過酸化水素蒸気は、環境中から細菌を除去するためには有効であるが、その急速な再汚染からは、開放設計の集中治療室で環境汚染を低いレベルに維持するためには有効な方法ではないことが示唆される。

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監訳者コメント:
MRSA保菌者による環境汚染をデータで示した興味深い研究である。ただ一度の環境消毒を行っても、MRSA保菌者がいるとすぐにまた環境汚染が生じるという結果から、日常の定期的な清掃と保菌者も含めたMRSA患者に対する接触予防策が重要であることがいえる。

英国の行政区における地区看護師が担当する患者のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌保菌と入院

Meticillin-resistant Staphylococcus aureus carriage among district nurse patients and
medical admissions in a UK district

S. Thomas*, J.A. Karas, M. Emery, G. Clark
*Cambridgeshire Primary Care Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 369-373


限定した2つの地域集団におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)保菌率を調査し、MRSA保菌に関連する危険因子を評価した。本研究は集団有病率調査としてデザインされ、ハンティングドンシャー地区の地域病院のmedical assessment unit(MAU)の患者、および地区看護師※※が担当する患者(district nurse patient;DNP)集団を対象として実施された。全体で162名の参加者を登録し、内訳はMAUから91例、DNP集団から71例であった。MRSAの検出率はDNP集団21.1%[95%信頼区間(CI)11.6~30.4]、MAU集団6.6%(95%CI 1.5~11.7)であった。MRSA保菌と有意に関連することが明らかになった因子は、年齢(76.6歳、P=0.008)、創傷または潰瘍の存在(P=0.012)、過去1年以内の入院(P=0.017)、MRSA感染/保菌歴(P<0.001)、および過去6カ月以内の抗生物質使用(P=0.016)であった。MRSA保菌の独立予測因子はMRSA感染/保菌歴(補正オッズ比8.53、95%CI 2.11~34.43、P=0.003)のみであった。DNP集団は地域における重要なMRSAリザーバであり、この知見を高リスク患者のスクリーニングに関する政策に反映させる必要がある。

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監訳者コメント:
MRSA感染/保菌の既往のある患者は、MRSA感染症に対する治療ないしは保菌に対する除菌治療を受けたかどうかにかかわらず、保菌に関するハイリスク群であると一般に考えられている。このスタディはその見解を後押しするものである。MRSA保菌者のスクリーニングによるあぶり出しが必要であるが、全員に対してスクリーニングを行うことが現実的ではない場合に、MRSA感染/保菌の既往のある患者を優先的にスクリーニングすべきであるといえる。

監訳者注:
medical assessment unit:一般開業医などから紹介を受けた患者に対して緊急検査や初期治療を行う病院部門。
※※地区看護師(district nurse):英国における看護職種の1つで、地域住民に対する訪問看護を専門とする。

ポリプロピレン製メッシュを使用した鼠径ヘルニア修復術後のMycobacterium fortuitumによる創感染

Wound infections due to Mycobacterium fortuitum after polypropylene mesh inguinal hernia repair

A. Celdran*, J. Esteban, J. Manas, J.-J. Granizo
*Fundacion Jimenez Diaz, Spain

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 374-377


Mycobacterium fortuitum complexは、迅速に発育する抗酸菌の一群である。これらの日和見病原体は、生体材料を使用する外科手術での感染と関連することが多い。鼠径ヘルニア修復術の前向き研究で、2例のM. fortuitum感染が発生した。これらの感染は、発症機序、臨床症状、および予防的または治療的な抗生物質療法の両者に対する抵抗性の点で、他の細菌による感染とは異なっていた。

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ロシア北西部の小児病院における病院感染と抗菌薬使用の点有病率調査★★

A point prevalence survey of hospital-acquired infections and antimicrobial use in a paediatric
hospital in north-western Russia

A. Hajdu*, O.V. Samodova, T.R. Carlsson, L.V. Voinova, S.J. Nazarenko, A.V. Tjurikov, E.G. Petrova, A.V. Tulisov, S. Andresen, H.M. Eriksen
Norwegian Institute of Public Health, Norway

Journal of Hospital Infection (2007) 66, 378-384


2006年2月に、ロシア北西部のアルハンゲリスクの小児病院において、病院感染と抗菌薬使用について1日の点有病率調査を実施した。18歳以下の患児合計472例を研究の対象とし、そのうちの395例(84%)が調査日の時点で48時間以上入院していた。後者の患者群の病院感染有病率は17%[395例中67例、95%信頼区間(CI)13.8~21.2%]で、最も多い診断は上気道感染症(45%)、次いで下気道感染症(19%)と尿路感染症(12%)であった。1歳未満の患児と入院が10日を超える患児で、病院感染率が最も高かった。入院患児全体の39%(472例中183例、95%CI 34.5~43.2%)が抗菌薬投与を受けていた。抗菌薬処方全体の39%(211件中82件)がセファロスポリン系で、次いでペニシリン系(22%、211件中46件)であった。本研究により、病院感染および病院内の抗菌薬使用についてのサーベイランスのベースラインが明確になり、目標を絞った感染制御策の導入が促進されることとなった。

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監訳者コメント:
小児病院における病院感染の点有病率調査を行った報告である。病院感染有病率17%は感覚的には高いが、この病院の特性やロシアの医療制度などによるものかもしれない。また、本研究により目標を絞った感染制御策の導入が促進された、とあるが、上気道感染症を制御するための換気など限られた対策にしか言及されていない。この施設における病院感染のベースラインを明確にした点では評価できる研究であるが、このような研究はかなりの量の人的資源を必要とする。定期的に実施することが果たして適切かどうか、検討の余地がありそうだ。点有病率調査は手法としては簡単であり、実施している、あるいは実施を検討している日本の医療施設も少なくないと思われるが、本研究はその実施の適否を検討する資料となる。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.