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黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌により心臓大手術後の手術部位感染症のリスクが増加する

Nasal carriage of S. aureus increases the risk of surgical site infection after major heart surgery

P. Munoz*, J. Hortal, M. Giannella, J.M. Barrio, M. Rodriguez-Creixems, M.J. Perez, C. Rincon, E. Bouza
*Hospital General Universitario ‘Gregorio Maranon’, Spain

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 25-31


黄色ブドウ球菌は、心臓大手術後の手術部位感染の主要な原因菌であり、患者の微生物叢が主な感染源となる。しかし、心臓大手術後の手術部位感染発生に対する黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌の影響は明確にされておらず、米国疾病対策センター(CDC)のガイドラインでは、除菌を肯定または否定する勧告はいずれも行っていない。著者らは、心臓大手術を受ける患者を対象として、術前に黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌のスクリーニングを行う1年間の観察研究を実施した。手術部位感染症例を記録し、手術部位感染がある患者およびない患者の危険因子を解析した。研究期間中に患者357例を本プロトコールに組み入れた。患者96例(27%)に黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌が認められ、このうち9例(9.4%)はメチシリン耐性菌(MRSA)株を有していた。手術部位感染の全発生率は6.4%で、このうち縦隔炎が4.2%、表在性手術部位感染が2.2%であった。黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌者は、非保菌者よりも手術部位感染発生率が有意に高かった(12.5%対5%、P=0.01)。MRSA保菌者の手術部位感染発生率は33%に達した(P<0.001)。黄色ブドウ球菌は手術部位感染の64%で原因菌となっていた。多変量解析より、手術部位感染の独立危険因子は、黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌[相対リスク(RR)3.1、95%信頼区間(CI)1.4~7.3、P=0.009]、再手術(RR 3.1、95%CI 1.8~19.2、P=0.04)、および糖尿病(RR 5.9、95%CI 1.8~19.2、P=0.003)であることが示された。黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌により、心臓大手術後の院内手術部位感染発生率が有意に増加することから、本集団に対して除菌対策を実施すべきである。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌により、心臓大手術後の院内手術部位感染発生率が有意に増加することを疫学調査から見いだしている。除菌方法や実施期間が争点となろう。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.