JHIサマリー日本語版トップ

レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

硬性喉頭鏡検査中の医療関連感染リスクの再評価

Reassessment of the risk of healthcare-acquired infection during rigid laryngoscopy

L.F. Muscarella*
*Custom Ultrasonics, Inc., Pennsylvania, USA

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 101-107


硬性喉頭鏡の不適切な再処理が、院内アウトブレイク、およびこれに関連する疾患と死亡をもたらしている。昨年、新生児集中治療室で緑膿菌のアウトブレイクが複数の感染および保菌の原因となり、少なくとも2例の乳児がこれにより死亡した。このアウトブレイクの調査によって、感染源は汚染された硬性喉頭鏡であることが判明し、硬性喉頭鏡の不適切な再処理が依然として現在の公衆衛生上の問題であることが示された。本稿では、硬性喉頭鏡検査中の医療関連感染リスクを再検討・再評価するとともに、硬性喉頭鏡のブレードおよび持ち手の再処理に最低限必要とされる条件を明らかにする。微生物伝播をもたらす潜在的ないくつかの危険因子について、見解が一致していない既存の硬性喉頭鏡再処理ガイドラインなども対象として、特定し、検討する。硬性咽頭鏡の低~中水準消毒を推奨しているガイドラインへの懸念を述べる。また、硬性咽頭鏡をカバーして汚染リスクを最小化する滅菌ディスポーザブルシースの使用についても考察する。処置中にシースを使用しているかどうかにかかわらず、微生物の伝播を予防するためには、器具の徹底した洗浄と、その後の高水準消毒および乾燥が推奨される。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
特定のデバイスに関する滅菌消毒の方針を記したものである。多くの文献の検索も行われているので大変参考になる。

集中治療室における基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌およびKlebsiella属菌による血流感染の危険因子の評価:抗菌薬の管理および臨床転帰

Evaluation of risk factors for the acquisition of bloodstream infections with extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli and Klebsiella species in the intensive care unit: antibiotic management and clinical outcome

R.J. Cordery*, C.H. Roberts, S.J. Cooper, G. Bellinghan, N. Shetty
*University College London Hospitals, UK

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 108-115


集中治療室(ICU)における基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌感染の危険因子、および感染後の臨床転帰を検討している比較対照試験は、極めて少ない。本研究の目的は、ICUにおけるESBL産生菌獲得の危険因子を明らかにし、重症度および即時の適切な抗菌薬投与の有無で補正したESBLおよび非ESBL血流感染患者の死亡率を比較することである。2004年3月から2006年5月に、ICUで後向きコホート研究を実施した。ICUのESBL産生大腸菌またはKlebsiella属菌による全血流感染成人患者16例を症例とし、ICUの非ESBL産生大腸菌またはKlebsiella属菌による血流感染患者39例を対照とした。疾患の重症度は、APACHE(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)およびSOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアで測定した。転帰は退院またはすべての原因による死亡として記録した。個々の危険因子とESBL産生菌との間には統計学的に有意な関連は示されなかったが、症例患者では適切な治療の遅延が多く(OR 9.17、95%CI 2.00~42.20、P=0.0005)、生存推定値からは早期(感染後25日未満)の死亡率の有意な増加が示された(死亡のOR 3.93、95%CI 1.05~14.63、P=0.03)。ICUの死亡率は、疾患の重症度および適切な抗菌薬投与で補正しても有意であるが、この結果は症例が少数のため(2年で16例)、慎重に扱う必要がある。著者らは、ICUのリスクのある全患者に対して、感染の疑いを強くもつこと、早期に適切な治療を行うこと、および感染管理を厳密に遵守することが必要であると考える。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
本論文も含め、本号には複数のESBL産生菌感染のリスク因子解析に関連する論文が掲載されている。手法の違いはあれ、結論はほぼ同様であり、基本的な事項である「感染症の早期かつ適切な診断治療」の重要性を改めて感じさせられる。

入院患者の基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌感染:死亡率に影響する因子

Infections due to Escherichia coli producing extended-spectrum β-lactamase among hospitalised patients: factors influencing mortality

C. Peナ・*, C. Gudiol, L. Calatayud, F. Tubau, M.A. Dominguez, M. Pujol, J. Ariza, F. Gudiol
*Hospital Universitari de Bellvitge, Spain

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 116-122


大腸菌感染患者の死亡の危険因子を判定するために、後向きマッチドコホート研究を実施した。1996年1月から2003年12月に、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌感染入院患者100例を、ESBL産生大腸菌感染がない患者と比較した。これらの対照患者は、感染部位が同一であること、および入院日がごく近いことを基準として選択した。両群の比較により、ESBL産生大腸菌感染患者では不適切な経験的抗菌薬投与が多く(44%対15%、P<0.01)、早期死亡率(16%対6%、P=0.02)および全死亡率(25%対11%、P=0.01)もESBL産生大腸菌感染患者で有意に高いことが示された。多変量モデルから、大腸菌感染の早期死亡に影響する唯一の独立危険因子は、尿路の病巣であることが判明した[オッズ比(OR)0.1、95%信頼区間(CI)0.03~0.7、P=0.01]。オキシイミノβ-ラクタム系薬を初期に投与したESBL産生大腸菌尿路感染患者12例は、全例が生存していた。尿路以外の大腸菌感染患者130例のコホートを対象として引き続き行った、早期死亡に影響する因子の解析からは、不適切な経験的抗菌薬投与が尿路以外の大腸菌感染のみの独立危険因子であることが示された(補正OR 3.0、95%CI 1.0~8.6、P=0.03)。本研究から、ESBL産生大腸菌感染入院患者では不適切な経験的抗菌薬投与が多く、非ESBL産生菌株感染患者よりも死亡率が高いことが示された。感染部位は死亡に強く影響する。不適切な経験的抗菌薬投与は尿路以外の感染患者の場合のみ、独立して高い死亡率と関連する。

サマリー 原文(英語)はこちら


監訳者コメント:
適切かつ迅速な診断と、経験的抗菌薬の適切な選択が、抗菌薬耐性の大腸菌感染症を防止するということになる。診断はともかく、検体培養の結果を得るまでの経験的抗菌薬の選択については感染症科医師へのコンサルトやガイドラインが必要であろう。日本の状況はその点において、近年急速に進歩がみられている。

監訳者注:
オキシイミノβ-ラクタム系薬(oxyimino-β-lactam):Cefotaximeやceftazidimeなどがある。

基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染の危険因子の解析における対照群選択の影響:前向き比較対照研究

The effect of control group selection in the analysis of risk factors for extended spectrum β-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae infections. A prospective controlled study

P.R.P. Behar*, P.J.Z. Teixeira, J.M.G. Fachel, A.C. Kalil
*Fundacao Faculdade Federal de Ciencias Medicas de Porto Alegre (FFFCMPA), Brazil

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 123-129


本研究の目的は、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染の危険因子の解析における対照群選択の影響の評価である。患者372例を対象として、以下の4種類の前向き症例対照研究を同時並行で実施した。研究1(ESBL産生K. pneumoniae感染患者対非感染患者)、研究2(ESBL産生K. pneumoniae感染患者対ESBL非産生K. pneumoniae感染患者)、研究3(すべてのK. pneumoniae感染患者対非感染患者)、研究4(ESBL非産生K. pneumoniae感染患者対非感染患者)。リスクのある時間(time at risk;TAR、すなわち入院期間中)は最も重要な危険因子であった[研究1:オッズ比(OR)5.74、95%CI 2.26~14.59、P<0.001、研究2:OR 3.52、95%CI 1.47~8.43、P=0.005、研究3:OR 2.68、95%CI 1.57~4.58、P<0.001]。中心静脈カテーテル留置(CVC)は、研究1(OR 5.31、95%CI 1.67~16.82、P=0.005)および研究3(OR 2.10、95%CI 1.04~4.27、P=0.04)の危険因子であった。セファロスポリン系抗菌薬投与歴(PUC)は、非感染患者を対照とした研究のみの危険因子であった(研究1:OR 5.64、95%CI 1.90~16.72、P=0.002、研究3:OR 4.60、95%CI 2.09~10.13、P<0.001)。オッズ比は、ESBL非産生K. pneumoniae感染患者を対照群とした場合(TAR 3.52、CVC 2.07、PUC 1.97)のほうが、非感染患者を対照群とした場合(TAR 5.74、CVC 5.31、PUC 5.64)よりも一貫して低かった。対照患者の選択は、ESBL産生K. pneumoniae感染の危険因子の評価に極めて重要な役割を果たす。対照群をESBL非産生K. pneumoniae感染患者と定義した場合は、危険因子の重要性が一貫して過小評価された。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
耐性菌感染のリスク因子を明らかにする研究において、どの集団を対照群に持ってくるべきかという方法論に関する研究である。学問的には興味深いが、感染対策実践上は特に有益な結果が得られているわけではない。入院期間や中心ライン留置、抗菌薬投与歴など、介入が困難な因子が危険因子として同定されている。

院内感染による直接医療費の増加:フランスの大学病院の患者コホートによる推定

Additional direct medical costs of nosocomial infections: an estimation from a cohort of patients in a French university hospital

C. Defez*, P. Fabbro-Peray, M. Cazaban, T. Boudemaghe, A. Sotto, J.P. Daures
*Groupe Hospitalo-universitaire Caremeau, France

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 130-136


フランスのニーム大学病院の急性期および長期ケアに関するコホート研究を利用して、院内感染による直接医療費の増加額を推定した。2001年5月から2003年1月に入院した院内感染患者を曝露患者、その他の全患者を非曝露患者とした。気道、血流、手術部位、尿路、およびその他の部位の感染部位ごとに30例を無作為に選択し、合計150例の曝露患者とした。各曝露患者を性別、年齢、基礎疾患の重症度、病院の退院記録による診断、入院病棟、および組み入れ前の入院期間に従って、非曝露患者1例とマッチさせた。曝露患者の直接医療費の増加額を非曝露患者と比較し、実費用と診断群分類(diagnosis-related group;GRD)の医療費の差を算出した。臨床検査、放射線手技、手術とその予備検査、および抗菌薬に要した費用は、気道感染2,421ユーロ、手術部位感染1,814ユーロ、血流感染953ユーロ、尿路感染574ユーロであった。急性期ケアでの院内感染による追加費用(直接医療費および延長した入院期間の費用)の合計は、最大年間320万ユーロと推定された(95%信頼区間2,275,063~4,132,157ユーロ)。結論として、すべての医療施設は、回避可能な院内感染の予防および実費用のより正確な推定を優先すべきである。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
院内感染による医療費増加の推定値として、先行する研究とさほど違わない値になっており、新たな知見をもたらしたとは言えない。しかし、各々の国レベルでこういった検討を行うことは必要であり、その意味で有意義な研究と言える。特に、病院管理者に対して院内感染が病院経営上好ましくなく、その防止が経営に寄与することを示す上で欠かせない情報である。

vanB型バンコマイシン耐性Enterococcus faeciumの病原性決定因子:オーストラリアの血液疾患患者におけるクローン性分布と、esp遺伝子およびhyl遺伝子の保有率、および有意性

Virulence determinants in vancomycin-resistant Enterococcus faecium vanB: clonal distribution, prevalence and significance of esp and hyl in Australian patients with haematological disorders

L.J. Worth*, M.A. Slavin, V. Vankerckhoven, H. Goossens, E.A. Grabsch, K.A. Thursky
*Peter MacCallum Cancer Centre, Australia

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 137-144


欧州での研究によれば、esp遺伝子やその他の病原性決定因子が、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)(VREfm)感染症に関与していることが示唆されている。本研究の目的は、vanB型VREfm分離株の疾患スペクトルと推定的な病原性決定因子との関連を調べることである。オーストラリアの血液腫瘍患者から採取したVREfm分離株において、病原性遺伝子と考えられる遺伝子(asa1gel EcylAesphyl)を、マルチプレックスPCR法により増幅した。クロナリティについては、パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)および自動化リボタイピング法により評価した。菌の病原性の臨床的指標として、感染症、集中治療室(ICU)への入室の必要性、30日全死亡率を用いた。vanB型VREfm分離株41株(患者41例;感染14例、保菌のみ27例)を解析対象とした。これらの分離株のうち35株の遺伝子型別をPFGEで行ったところ、31株に3種類の代表的クラスターが認められた。esp遺伝子は、保菌株27株中22株(81.5%)および感染症に関連した分離株14株中11株(78.6%)で同定された。hyl遺伝子陽性は1株であり、asa1gel E、またはcylAを保有する分離株はなかった。VREfm感染症は、宿主因子(基礎疾患として急性骨髄性白血病の診断、60歳以下)と独立して関連していたが、esp遺伝子の存在との関連は認められなかった。ICUへの入室は、esp遺伝子の存在と負の関連が認められた(OR 0.05、95%CI 0.01~0.61、P=0.02)。30日死亡率と、宿主因子またはesp遺伝子の存在との間には関連はなかった。本研究の免疫低下集団から採取した多クローン性のバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)分離株では、欧米の報告と比較してesp遺伝子の保有率が高く、hyl遺伝子の保有率が低かった。


サマリー 原文(英語)はこちら

銅およびスチール上のClostridium difficileの生存:病院衛生に対する将来の選択肢

Survival of Clostridium difficile on copper and steel: futuristic options for hospital hygiene

L. Weaver*, H.T. Michels, C.W. Keevil
*University of Southampton, UK

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 145-151


クロストリジウム・ディフィシール(Clostridium difficile)は、糞便中の病原体による汚染手指から接触面への伝播などにより、世界中で院内感染症の主要な原因に急速になりつつある。そこで本研究では、医療施設でよく用いられる接触面であるステンレススチール上のC. difficileの栄養型および芽胞の生存を評価し、5種類の銅合金(銅含有量65~100%)と比較した。C. difficileは増殖に長時間の培養を要するため、全菌数および生存菌数を蛍光二重染色法で推計した。生存評価には、代謝活性測定のために酸化還元色素である5-シアノ-2,3-ジトリルテトラゾリウム(CTC)を用いた。試験結果から、銅含有量が70%を超える銅合金上のC. difficileの栄養型および芽胞の生存率は、ステンレススチールと比較して有意に低下することが示された。銅合金上では24~48時間後に芽胞の死滅が認められたのに対して、ステンレススチール上では168時間後でも有意な死菌率は認められなかった。CTCを使用したデータは、培養と同様の結果が得られ、培養よりも迅速(8時間)な生存分析が可能であった。この結果は、病院やその他の医療施設で銅合金を使用することにより、汚染表面からのC. difficileの伝播が減少する可能性があることを示している。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
銀と同じく、調理用器具に銅製が多いひとつの理由がここにある。銀に比べてコストも安く、比較的容易に導入されていくものと思われる。

熱帯地方の三次病院におけるLegionella pneumophila除去のために病院浄水設備の取水部(point-of-entry)に設置した銅-銀イオン化システムの有効性:温水と冷水の両方がレジオネラ菌に汚染された病院での効果

Survival of Clostridium difficile on copper and steel: futuristic options for hospital hygiene

Y.S. Chen*, Y.E. Lin b, Y.-C. Liu, W.K. Huang, H.Y. Shih, S.R. Wann, S.S. Lee, H.C. Tsai, C.H. Li, H.L. Chao, C.M. Ke, H.H. Lu, C.L. Chang
*Kaohsiung Veterans General Hospital, Taiwan, ROC

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 152-158


台湾南部の医療施設で、配水システムが感染源と考えられる院内感染レジオネラ症のアウトブレイクが発生した。2回にわたる加熱処理とフラッシュ洗浄の実施後も、病棟および集中治療室(ICU)の末端箇所のレジオネラ菌陽性率は、それぞれ14%、66%であった。温水システムおよび冷水システムの内部のレジオネラ菌定着を制御するために、銅-銀イオン化システムを導入した。環境培養およびイオン濃度検査を実施し、イオン化の効果を評価した。イオン化システム作動後3カ月間のレジオネラ菌陽性率は、イオン化システムを設置した建物の病棟(20%、ベースライン時30%)およびICU(28%、ベースライン時34%)ともに有意な変化が認められなかったが、レジオネラ症予防の任意に定めた目標である30%は下回った。しかし、4カ月から7カ月目には、イオン濃度が上昇するとレジオネラ菌陽性率は病棟で平均5%(P=0.037)に、ICUで平均16%(P=0.037)に有意に低下した。レジオネラ菌陽性率はさらに病棟0%、ICU平均5%まで低下したが、イオン化システムを設置していない建物では依然として50%の箇所で陽性であった。試験期間中、レジオネラ菌は完全には除去されなかったが、培養または尿検査で確認された院内感染レジオネラ症の報告はなかった。イオン化システムは温水、冷水のいずれのレジオネラ菌の制御にも有効であり、レジオネラ菌に対する病院浄水設備の取水部での系統的な消毒方法として興味深い代替法である可能性がある。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
先ほどの銅と同じく、抗菌作用のある金属の効用を活かした工夫である。筆者はあまりディスカッションしていなかったが、盲端が多い配管デザインは、レジオネラの温床となりやすいため、なるべく盲端を少なくする工夫も大切である。

ネコカリシウイルスに対する手指消毒剤のin vivoでの有効性:ノロウイルスの代用

In-vivo efficacy of hand sanitizers against feline calicivirus: a surrogate for norovirus

S.L.S. Lages*, M.A. Ramakrishnan, S.M. Goyal
*University of Minnesota, Minnesota, USA

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 159-163


手指消毒は、ノロウイルスなどのウイルス伝播予防に重要であると考えられている。ノロウイルスの代用として、ネコカリシウイルスに対する手指消毒剤9種(アルコール系消毒剤4種、非アルコール系消毒剤3種、トリクロサン含有抗菌性液体石けん2種)の殺ウイルス作用を、人工的に汚染させた指先に対する30秒および2分間の接触により検討した。アルコール系消毒剤の中では、99.5%エタノール含有製品が、62%エタノール含有製品、70%イソプロパノール含有製品、または91%イソプロパノール含有製品より有効性が高かった。99.5%エタノールでは、log10ウイルス減少係数は1.00~1.30に達したが、より低濃度のアルコール含有製品のlog10減少係数は≦0.67にとどまった。10%ポビドンヨード(1%ヨードに相当)含有生体消毒剤は30秒の接触時間でウイルス量が減少し、log10減少係数は2.67であった。このウイルス減少率は、アルコール系消毒剤、非アルコール系消毒剤、または抗菌石けんのいずれの減少率よりも大きかった。試験を行った2種の抗菌石けんによるウイルス量減少は最小であり(log10減少係数0.17~0.50)、これは石けんを使用せずに手を洗った際の減少係数(log10減少係数0.33~0.42)と同等であった。これらの結果から、トリクロサン含有抗菌石けんまたは擦式アルコール製剤は、ノロウイルス伝播の予防には不十分である可能性が示唆された。ノロウイルス感染を効果的に制御するためには、その他の手指消毒剤に関する調査をさらに継続する必要がある。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
95%エタノール自体は、皮膚へのダメージの観点から現実的ではないが、10%ポビドンは有効であったことから、これをベースにアルコールゲルのようにベッドサイドで気軽に利用できる製品の開発が望まれる。

ナーシングホームにおける手指消毒に関する看護助手の知識と遵守についての研修プログラムの評価★★

Evaluation of a training programme on knowledge and compliance of nurse assistants' hand hygiene in nursing homes

T.-T. Huang*, A.-C. Wu
*Chang Gung University, Taiwan

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 164-170


本研究の目的は、手指消毒の総合的な看護助手用研修プログラムが、看護助手の知識と遵守、およびナーシングホーム入居者の感染率に及ぼす影響を調べることである。台湾北部の3つの長期ケア施設で介入を実施した。看護助手40名が、1時間の職場講習会および30分の実地研修からなる手指消毒研修プログラムに参加した。人口統計学的データおよび手指消毒に関する看護助手の知識と遵守のデータを収集し、さらに入居者の感染率を算出した。手指消毒研修3カ月後には、介入前と比較して看護助手の知識は有意に増加し(13.82から15.41、P<0.001)、コンプライアンスも有意に改善した(9.34%から30.36%、P<0.001)。入居者の感染率は、1.74%(2004年12月~2005年2月)および2.04%(2005年6月~8月)から1.52%(2005年12月~2006年2月)に減少した(P<0.001)。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
重要なエビデンスのひとつとなる論文です。

5種類の消毒液の蛋白質固定特性の比較

Comparison of the fixative properties of five disinfectant solutions

L. Pineau*, C. Desbuquois, B. Marchetti, D. Luu Duc
*Biotech-Germande, France

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 171-177


2001年に発表されたフランスの勧告を受けて、グルタルアルデヒドは再利用可能な医療器材の消毒に使用されなくなり、代わりに過酢酸系溶液のような非固定消毒薬の使用が支持されるようになった。代替消毒薬の固定特性に関する公表データは依然として一貫していない。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の液体培養液で汚染させたポリテトラフルオロエチレンチューブに対する、過酢酸液2種(活性剤ありとなし)、グルタルアルデヒド、オルソフタルアルデヒド、およびサクシンジアルデヒドの5種類の異なる消毒液による反復処理の効果を比較した。ポリテトラフルオロエチレンチューブの2%グルタルアルデヒドによる反復処理は、過酢酸系消毒薬と比較して、蛋白質の高レベルの蓄積および/または固定を引き起こした。一方、過酢酸系消毒薬では蛋白質の蓄積および/または固定は低レベルであり、それぞれの組成によってばらつきがあった。


サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
基礎データとして興味深い。まず洗浄、それから消毒。これ常識。

サイト内検索

Loading

アーカイブ

最新のコンテンツ

Reproduced from the Journal of Hospital Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.