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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

発展途上国に対する世界保健機関の主要な優先課題としての感染制御

Infection control as a major World Health Organization priority for developing countries

D. Pittet*, B. Allegranzi, J. Storr, S. Bagheri Nejad, G. Dziekan, A. Leotsakos, L. Donaldson
*University of Geneva Hospitals, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 285-292


医療関連感染は世界中で何億人もの人々が罹患しており、患者の安全にとってのグローバルな主要問題である。先進工業国の急性期治療病院では、入院患者の5%~10%が医療関連感染症を合併している。発展途上国では、そのリスクは2~20倍も高く、感染率が25%を超えることも多い。この問題に対する認識の高まりを受けて、世界保健機関(WHO)は患者安全のための世界連盟(World Alliance for Patient Safety)を設立した。医療関連感染の予防は、2005年10月に当連盟内に発足したGlobal Patient Safety Challengeの第1回の主題である「Clean Care is Safer Care(清潔なケアはより安全なケア)」の目標とされている。その2年後、医療関連感染の抑制活動実施を支援する誓約として、公式声明に72カ国の保健衛生関連大臣が調印したが、このうち30カ国は発展途上国であった。さらに、発展途上国が大半ではあるが、2008年中の調印を予定している国々もあり、これらを併せると世界人口の4分の3以上に相当する。提案された戦略はシンプルで低コストの解決策に重点を置いていることから、発展途上国で高い効果が得られると考えられる。また、これによって期待される種々の効用の結果、利用可能な資源や発展の程度にかかわらず、あらゆる医療環境の基本的な感染制御策の改善を通じて何百万人もの生命を救い、何億人もの患者の罹患と長期障害を予防し、大幅なコスト削減をもたらす可能性がある。

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監訳者コメント:
発展途上国において求められる感染対策は、物量に頼った大規模システムではなく、何はさておき、身の丈にあった一般衛生レベル(general hygiene level)の向上である。当たり前の衛生レベルが当たり前に維持されなければ、感染予防の前提が根底から崩れてしまう。このようなレビューを読んでおくと、限られた予算と人材がいない地域や病院では、最低限何を果たしていくべきかが明瞭にわかるので、ぜひ一読をお勧めする。

新生児集中治療室における院内感染の予防戦略★★

Strategies for the prevention of hospital-acquired infections in the neonatal intensive care unit

A. Borghesi*, M. Stronati
*Fondazione IRCCS―Policlinico San Matteo, Italy

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 293-300


院内感染は、新生児集中治療室における死亡および罹患の主要な原因の1つである。医療関連感染の予防は、宿主防御の強化、医療従事者による微生物伝播の遮断、および抗菌薬の慎重な使用の促進などの、感染に対する感受性の低下を図る戦略に基づいている。いくつかの戦略が利用可能であり、その中には手指消毒の実践、中心静脈カテーテル由来血流感染の予防、治療と予防のための抗菌薬の慎重な使用、宿主防御の強化、皮膚のケア、および母乳による早期の経腸栄養などがある。

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監訳者コメント:
小児科領域のICD/ICPにはぜひご一読いただきたいレビューである。知識の整理に役立つであろう。

オランダの大学病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のsearch and destroy戦略の費用★★

Cost of the meticillin-resistant Staphylococcus aureus search and destroy policy in a Dutch university hospital

E. Nulens*, E. Broex, A. Ament, R.H. Deurenberg, E. Smeets, J. Scheres, F.H. van Tiel, B. Gordts, E.E. Stobberingh
*Algemeen Ziekenhuis Sint-Jan, Belgium

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 301-307


2000年から2004年のマーストリヒト大学病院の黄色ブドウ球菌菌血症に対するsearch and destroy戦略および治療に関連した費用を算出した。Search and destroy戦略の費用対効果の損益分岐点をモデル化により判定した。1年あたり平均22,412例の患者が平均8.7日間入院していた。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のスクリーニングを1年あたり246例に実施し、そのうち74例が除菌の対象となり、予防隔離下で治療した。血液培養陽性から算出した当病院のMRSA有病率は0.7%であり、黄色ブドウ球菌血流感染症患者全員の平均入院期間は39.9日であった。当病院でMRSAに対する前向き調査に要した費用は1年あたり1,383,200ユーロ、MRSA予防と黄色ブドウ球菌血流感染症の治療に要した費用は2,736,762ユーロであった。MRSAとメチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)の種々の比率をシミュレーションしたところ、MRSAの有病率が8%に達しても、予防費用は黄色ブドウ球菌感染症の治療費用より少ないことが判明した。結論として、当病院のsearch and destroy戦略の総費用は、黄色ブドウ球菌血流感染症の治療費用より少ない。MRSAの有病率が8%以下であれば、search and destroy戦略は費用対効果に優れる。経済的観点から、search and destroy戦略は院内のMRSA有病率を1%未満に維持するための最善の選択肢である。

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監訳者コメント:
有病率が8%までは、Search & Destroyが有効という試算を表した論文である。それではっきりしたことは、これをそのまま輸入しても採算が取れないということである。しかし諦めなくとも、部分的に能動的サーベイランス培養(ASC)を取り入れていくための参考にはなる。

抗菌薬関連下痢症患者の死亡率:Clostridium difficileの影響

Mortality of patients with antibiotic-associated diarrhoea: the impact of Clostridium difficile

J. Bishara*, N. Peled, S. Pitlik, Z. Samra
*Tel-Aviv University, Israel

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 308-314


クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染関連の死亡率に関する従来の研究は、相反する結果を示している。本研究の目的は、抗菌薬関連下痢症を呈する入院患者の短期および長期死亡率に対するC. difficile感染の影響を明らかにすることである。抗菌薬を投与されて下痢を発症し、糞便中のC. difficile TOX A/Bの酵素免疫アッセイを行った入院患者217例を対象として、前向き症例対照研究を実施した。Kaplan-Meier検定およびlog-rank検定を用いて単変量生存分析を行い、Cox回帰モデルで28日および長期死亡率の多変量解析を行った。組み入れ基準を満たした患者217例中52例(24%)がC. difficile TOX A/B陽性と判定された。全コホートの28日粗死亡率および長期粗死亡率は、それぞれ12.4%、56%であった。Cox回帰分析から、長期死亡率と関連する独立した統計学的に有意な変数は、低アルブミン血症、生活機能低下、および血清尿素レベル上昇のみであることが示された。C. difficile毒素陽性そのものは、短期または長期死亡率の増加と関連はなかった。結論として、低アルブミン血症、腎不全、および生活機能低下は抗菌薬関連下痢症による死亡を予測したが、C. difficileの関与自体はこれらの患者の死亡リスクをさらに増加させることはなかった。

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アイルランド共和国におけるClostridium difficile関連疾患の臨床検査診断:アイルランドの微生物学検査室に関する調査

Laboratory diagnosis of Clostridium difficile-associated disease in the Republic of Ireland: a survey of Irish microbiology laboratories

F. Fitzpatrick*, A. Oza, A. Gilleece, A.M. O’Byrne, D. Drudy, on behalf of the C. difficile subcommittee of the Health Protection Surveillance Centre
*Health Protection Surveillance Centre, Ireland

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 315-321


2006年、Health Protection Surveillance Centre(HPSC)はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)に関するアイルランドの国内ガイドラインを作成するための作業グループを設立した。C. difficile診断業務の現状を明らかにするために、臨床検査室に質問票を送付した。34の病院のC. difficile診断業務を請け負っている44の検査室中、29カ所から回答を得た。29の検査室中、25カ所(86%)でC. difficile検査のための試料の処理を行っており、4カ所(13.8%)は試料を他の検査室に転送していた。16の検査室(64%)は他の医療施設の試料の処理を行っていた。便のC. difficile検査をルーチンに行っていた検査室はなく、依頼された場合のみ試料を検査する検査室が7カ所(28%)、また、全水様便検査時(39%)、全院内感染下痢症(44%)、特定の臨床基準(28%)、抗菌薬治療歴あり(22%)などの特定の選択基準を採用していた検査室が18カ所(72%)であった。すべての検査室が種々の酵素免疫測定法を用いて便のC. difficile毒素を直接検査していたが、このうち24カ所(96%)は毒素AとBの両方、1カ所は毒素Aのみの検出を行っていた。3カ所(12%)は細胞毒性検査を実施していたが、PCR法を使用していた検査室はなかった。6カ所(24%)はC. difficileの培養を行っていたが、特定の場合に限られていた。7カ所(28%)はアウトブレイク時に分離株のタイピングを行っていたが、自施設に検査設備を有する検査室はなかった。HPSC作業グループは、C. difficile感染症を対象とした検査診断、サーベイランス、および管理の国内勧告を作成する予定である。国内の診断業務には顕著な相違があり、また国の標準検査施設がないため、これらの勧告の実施にあたっては対処すべき費用上の問題があると考えられる。

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監訳者注:
標準検査施設(Reference laboratory):特定の微生物について、国内最高峰の詳細な検査ができる検査センターで、各支部で同定が困難であったり、アウトブレイクがあると、検体を随時受け入れて調査を行っている。

胸部外科部門におけるC型肝炎院内感染:後向き所見に基づく前向き研究★★

Nosocominal hepatitis C in a thoracic surgery unit; retrospective findings generating a prospective study

K. Cardell*, A. Widell, A. Fryden, B. Akerlind, A.-S. Mansson, S. Franzen, U.-B. Lymer, B. Isaksson
*University Hospital, Sweden

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 322-328


C型肝炎ウイルス(HCV)感染を自覚していなかった胸部外科医から患者2例へのHCV伝播について報告する。非構造遺伝子5Bの部分配列決定および分子系統学的解析により、両患者のウイルスは外科医由来の遺伝子型1a株と密接な関連があることが判明した。さらに、胸部外科治療に関連した2例のC型肝炎症例が発見された。この2例のHCVの配列は相互に関連はあるが遺伝子型2bであり、感染源は明らかにならなかった。この問題の重要性を解明するために、胸部外科手術を予定している患者に試験への参加を呼びかけ、前向き研究を17カ月間にわたり実施した。手術前および手術から4カ月以上後に血液検体を採取した。術後検体で抗HCV抗体のスクリーニング検査を行い、陽性の場合は術前検体も分析を行った。術前の抗HCV抗体陽性が確認されたのは患者2例のみ(0.4%)で、観察期間中に抗HCV抗体陽性へのセロコンバージョンが認められた症例は、評価可能456例中1例もなかった。後向きに同定された症例が存在したものの、当部門のC型肝炎院内感染はまれであった。本研究は、C型肝炎に感染した従業員からの感染伝播のリスクを示すとともに、普遍的予防策の必要性を再認識させるものである。

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監訳者コメント:
手術医や麻酔医がC型肝炎に感染し、他の患者にC型肝炎を伝播させた事例は他にもある。本報告は改めてその可能性を示したものであり、医療従事者が標準予防策を守ることにより患者から感染伝播を受けないこと、および患者に伝播させるリスクの高い手術医や麻酔医などは、定期的な健康診査によりC型肝炎のスクリーニングをすることが必要であると感じる。ぜひご一読いただきたい論文である。

犯罪捜査用ルミノール反応による血液検査の感染制御への適用★★

Application of the forensic Luminol for blood in infection control

P.W.M. Bergervoet*, N. van Riessen, F.W. Sebens, W.C. van der Zwet
*Deventer Ziekenhuis, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 329-333


血液透析部門ではC型肝炎ウイルス伝播が頻発している。経路としては病院環境を介する間接的な伝播が考えられるが、記録されたものはない。オランダのDeventerにあるDeventer Hospitalで、犯罪捜査用ルミノール検査により血液透析部門の調査を行った。この検査では、生化学発光の原理に基づいて目にみえない血痕を可視化することができる。著者らの調査により、血痕による広範囲の環境汚染が示された。本論文の目的は、この方法を感染制御専門家に紹介し、清掃・消毒手順の監視への利用に供すること、および血液による病院環境汚染の可能性を医療従事者に警告することである。

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監訳者コメント:
血液透析部門における感染対策は課題が山積しているが、C型肝炎などの血液媒介感染症の伝播防止が感染対策の中心であることは疑いの余地がない。しかし日本では透析装置に触れる際は言うに及ばず、シャントやグラフトの穿刺時にすら手袋を着用しない医療従事者が未だに存在し、大きな問題になっている。かといって着用すればよいかと言えばそのようなことはなく、汚染された手袋を着用したまま他の場所に触れれば、本論文にあるような広汎な環境汚染を来たす。本論文は、感染制御専門家よりもむしろ、透析現場の医療従事者に、これだけの環境汚染が起こっているということを知ってもらうために紹介すべき文献であろうと思う。ぜひオリジナル論文を、掲載されたカラー写真とともにご覧いただき、汚染の実態を透析現場のスタッフと共有していただきたい。

小児感染症病棟における治療中および治療後の病院関連感染症

Hospital-associated infections during and after care in a paediatric infectious disease ward

S.E. Kinnula*, M. Renko, T. Tapiainen, M. Knuutinen, M. Uhari
*University of Oulu, Finland

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 334-340


ウイルスは小児科の病院関連感染症の重要な原因となっている。著者らは、小児感染症病棟の入院中および退院後のウイルスによる病院関連感染症の頻度について評価を行った。データの収集は、新たな感染症の症状を親が報告する経過観察質問票を用いて、2年にわたり実施した。入院後72時間以降または退院後72時間以内に発生した感染症を、病院関連感染症とした。患者の平均年齢は3.0歳、平均入院期間は3.0日であった。入院中に病院関連感染症を発症した患者は1,927例中21例[1.1%、95%信頼区間(CI)0.7~1.7]で、全例が下痢であった。合計1,175件(61%)の質問票を回収した。全体で、退院後72時間以内に新たな症状が発現した小児は86例(7.3%、95%CI 5.9~9.0)で、最も頻度が高いものは下痢(49%)であった。年長児は病院関連感染症が少なかった[オッズ比(OR;1歳ごと)0.92、95%CI 0.85~0.99、P=0.02]。呼吸器感染症で入院している患者では、相部屋であることが病院関連感染症のリスクを高めた(OR 2.3、95%CI 1.1~4.8、P=0.03)。本病棟では、アルコール手指消毒薬のハンドジェルを積極的に使用し、1人部屋が一般的であるが、患者の8%が病院関連感染症を発症した。病院関連感染症の80%は家庭で発症したことから、退院後の観察の重要性が示された。

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監訳者コメント:
筆者の施設は小児感染症病棟の多くが個室であり、アルコール系手指消毒薬を使用しているが、それでも退院後に多くの病院関連感染が発生している。小児感染症病棟での病院感染制御の困難さを感じさせる論文である。

小児集中治療室における再利用可能な人工呼吸器気流センサーの不十分な消毒に由来するBacillus cereusの伝播拡散

Dissemination of Bacillus cereus in a paediatric intensive care unit traced to insufficient disinfection of reusable ventilator air-flow sensors

J.S. Kalpoe*, K. Hogenbirk, N.M. van Maarseveen, B.J. Gesink-Van der Veer, M.E.M. Kraakmana, J.J. Maarleveld, T.J.K. van der Reyden, L. Dijkshoorn, A.T. Bernards
*Leiden University Medical Center, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 341-347


2006年11月の2週間にわたり、小児集中治療室(PICU)で人工呼吸器を装着した患児6例の呼吸器検体からバンコマイシン耐性バチルス・セレウス(Bacillus cereus)が分離された。想定される共通感染源および伝播範囲を調べるために、人工呼吸器に関連するすべての処置をモニターし、監視培養を行った。70%アルコールによるPICUでの消毒の前後に、再利用可能な気流センサーからB. cereusが分離された。人工呼吸器を装着したその他の患児3例の呼吸器検体、およびPICUの天井に設置された2個の換気格子、およびアルコール溶液自体からもB. cereusが分離された。増幅断片長多型(AFLP)型別により、PICUの患児6例に由来するB. cereus株と、気流センサーおよびアルコール溶液から回収した分離株との密接な関連が認められた。換気格子から分離された株は、アウトブレイク株とはAFLPパターンが異なっていた。すべての再利用可能な気流誘導用の部品に対する高圧蒸気滅菌や、高圧蒸気滅菌不可の部品を使い捨て用にするなどの介入策により、アウトブレイクは速やかに終息した。B. cereus感染症は、特に集中治療室の患者に重大な疾患を引き起こす可能性がある。人工呼吸器の気流誘導用の再利用可能なすべての部品の消毒には細心の注意が必要であり、芽胞を殺滅するために効果的な高圧蒸気滅菌を行う必要がある。

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監訳者コメント:
日本でもB. cereusによる感染症の伝播が報告されているが、不十分な再利用可能物品の消毒による伝播は比較的珍しくない。

超音波噴霧式電解酸化水:歯科医院で使用される歯科印象、金属、および石膏鋳造模型のための有望な新規感染制御プログラム

Ultrasonically nebulised electrolysed oxidizing water: a promising new infection control programme for impressions, metals and gypsum casts used in dental hospitals

G. Wu*, X. Yu, Z. Gu
*Zhejiang University, People's Republic of China

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 348-354


歯科医院における歯科印象、金属、および歯科鋳造模型を介する感染症伝播の制御は依然として課題であり、現在の消毒方法には種々の欠点がある。本研究では、超音波噴霧式電解酸化水(UNEOW)の新たな感染管理プログラムとしての利用可能性について、予備的評価を紹介し、提示する。新たに生成した電解酸化水(EOW)からUNEOWを発生させ、歯科印象、チタンおよび石膏の試料に対して以下の処理を施した。(1)1%次亜塩素酸ナトリウムに10分間浸漬、(2)EOWに10分間浸漬、(3)UNEOWに15、30、45分間曝露、(4)消毒なし(対照)。殺菌効果は、黄色ブドウ球菌およびバチルス・サブティリス変種ニガー(Bacillus subtilis var. niger)芽胞を指標として評価した。また、各試料で寸法精度、表面性状、および腐食作用の評価も行った。その結果、石膏模型上のB. subtilis var. niger芽胞を除き、UNEOWで30~45分間処理後の細菌数減少を示すlog10値は、すべて4を超えていた。歯科印象の寸法変化は、対照群とUNEOW群で差を認めず、両群ともにEOW群および次亜塩素酸ナトリウム群より有意に低値であった(P<0.05)。また、歯科印象および石膏鋳造模型の表面性状についても同様であった。UNEOWで45分間処理を行ったチタン表面には、評価可能な腐食を認めなかった。今回の知見から、UNEOWの使用は、歯科施設における歯科印象、石膏鋳造模型、および義歯用金属を介する感染症伝播の制御のための利用可能かつ有望なアプローチであることが示された。

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監訳者コメント:
歯科診療における特殊な材質のものに対する消毒滅菌の新たな知見であり、興味深い。

基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌:ニュージーランドのオークランドにおける市中感染関連因子

Extended-spectrum β-lactamase (ESBL)-producing enterobacteria: factors associated with infection in the community setting, Auckland, New Zealand

C.T. Moor*, S.A. Roberts, G. Simmons, S. Briggs, A.J. Morris, J. Smith, H. Heffernan
*Auckland Regional Public Health Service, New Zealand

Journal of Hospital Infection (2008) 68, 355-362


オークランド市中での基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌の疫学を記述し、症例対照研究デザインを用いて感染に関連する因子を特定することを目的とした。感染患者107例からESBL産生腸内細菌を分離し、そのうち98例(92%)から人口統計学的データおよび臨床データが入手できた。優勢な菌種は大腸菌(82%)であり、その分離源で最も多かったのは尿(97%)であった。単変量解析より、ESBL陰性腸内細菌に感染した対照群と比較して感染に有意に関連していた因子は、居住型介護施設への入居、M病院への最近の入院、最近の抗菌薬使用、高齢(75歳以上)、導尿カテーテル留置、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心血管疾患、神経疾患、および再発性尿路感染症の併存歴であった。多変量解析でも、居住型介護施設への入居とCOPDは有意な関連因子であった。また、パルスフィールド・ゲル電気泳動法によるESBL産生大腸菌の型別により、1種類の共通株を特定した。居住型介護施設入居とCOPD歴が、オークランド市中でのESBL産生腸内細菌感染と有意に関連していると結論される。居住型介護施設に複数の空間クラスターがみられること、および共通株の存在から、点発生源によるアウトブレイクが示唆された。市中患者の相当数が、居住型介護施設に入居しておらず、最近入院してもいなかったことから、さらに広域でのESBL産生腸内細菌の独立した発生が示唆される。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.