JHIサマリー日本語版トップ

レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

病院感染の予防:非薬理学的介入に関するレビュー★★

Prevention of hospital-acquired infections: review of non-pharmacological interventions

L. T. Curtis*
*Norwegian American Hospital, USA

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 204-219

病院感染(院内感染)により罹患率、死亡率、および医療費が増加する。米合衆国に限っても、院内感染によって1年間で約170万件の感染が発生し、99,000人が死亡している。病院感染の伝播経路は表面(特に手指)、空気、水、経静脈経路、経口経路、手術など、多岐にわたる。手指や表面の適切な洗浄、良好な栄養状態、十分な看護師数、良好な人工呼吸器管理、コーティングされた尿道および中心静脈カテーテル、およびHEPAフィルタの使用などの介入は、いずれも院内感染率の有意な低下と関連している。複数の感染制御法および戦略を同時に実施すること(「バンドリング」)は、病院感染の罹患率と死亡率の低下を図る最良の方法となり得る。これらの感染制御戦略の多くは採算に合うだけではなく、院内感染に関連した医療費を削減することができる。多くの病院感染を予防するための様々な非薬理学的介入により、長期あるいは多剤による抗菌薬治療の必要性も減少する。抗菌薬使用の減少により、抗菌薬耐性菌のリスクが減少し、感染患者に対する抗菌薬の有効性が向上するはずである。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
医療関連感染症を防止するためのアプローチに関する適切なレビューである。この総説にも取り上げられている “バンドル” とは、科学的に証明されている限定された数の標準的なケアをグループ化して実施するものであり、組み合わせて実践することにより大きな改善を達成することができると期待されている。治療よりも予防が重要であるとの認識が必要であり、最近の米国の流行では、感染管理担当者を “infection control professional” という呼称から “infection preventionist” に変更しようとの動きもある。

電子サーベイランスシステムの妥当性:システマティックレビュー

Validity of electronic surveillance systems: a systematic review

J. Leal*, K. B. Laupland
*University of Calgary, Canada

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 220-229

データベースに蓄積された情報を利用する電子サーベイランスは、従来の感染サーベイランス手法より効率的であるが、その妥当性について十分には明らかにされていない。この研究では、電子サーベイランス法と従来のサーベイランス法の有効性を比較した研究のシステマティックレビューを行った。Medline(1980年から2007年)と文献レビューにより論文を特定して、電子サーベイランスの感度と特異度を従来のサーベイランス法と比較している24件の研究を対象とした。6件の研究は、微生物学的データのみを用いて、全般的に良好な感度(63%~91%)と優れた特異度(87%~>99%)で院内感染の検出ができたと報告していた。2件の研究は、検査室データに基づく3つのアルゴリズムを用いて、感染アウトブレイクを検出しており、その有効性の指標にはばらつきがあった(感度43%~91%、特異度67%~86%)。7件の研究では、退院診断コード(ICD-9-CM)、薬局データ、および請求データベースなどの管理データのみを用いて、良好な感度(59%~96%)と優れた特異度(95%~>99%)で院内感染を検出できていた。6件の研究では、感染症にかかわる検査室データと管理データを組み合わせることによって、全般的に高い感度(71%~94%)が得られたが、特異度はいずれかのデータを単独で用いた場合より低かった(47%~>99%)。3件の研究では市中感染に関して評価されたが、結果にはばらつきがあった。電子サーベイランスには、院内感染に対する従来のサーベイランス手法と比較して中等度以上の優れた有効性がある。電子アルゴリズム、特に市中感染用のものをさらに改良するためには、今後の研究が必要である。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
論文本文の最初にもあるように、「サーベイランスとは、罹患率と死亡率を低下させて医療を改善するための公衆衛生的な活動に用いるために、医療に関連したイベントに関するデータを継続的、体系的に収集することと定義される」ことから、単にデータを収集して医療関連感染症の発生率を求めるだけでは不十分であるが、医療関連感染率を継続的に測定するのは極めて困難である。余裕をもったサーベイランス活動の継続のためには、電子診療記録システムを利用して、効率よく発生率を求めることが望ましい。この論文では、複数の報告を比較吟味して、方法論を議論している。微生物学的データ、処方データ、医療費管理データなどの電子データシステムを利用したサーベイランスの方法論を確立すべき時期に来ている。

2006年度の4か国医療関連感染有病率調査(Four Country Healthcare Associated Infection Prevalence Survey)における結果の概要

Four Country Healthcare Associated Infection Prevalence Survey 2006: overview of the results

E. T. M. Smyth*, G. Mcllvenny, J. E. Enstone, A. M. Emmerson, H. Humphreys, F. Fitzpatrick, E. Davies, R. G. Newcombe, R. C. Spencer, on behalf of the Hospital Infection Society Prevalence Survey Steering Group
*Northern Ireland Healthcare Associated Infection Surveillance Centre, UK

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 230-248

医療関連感染有病率を推計するため、2006年2月から5月にかけてイングランド、ウェールズ、北アイルランド、およびアイルランド共和国の急性期ケア病院で成人患者の調査を実施した。合計75,694例の患者を調査したところ、このうち5,743例に医療関連感染が認められ、有病率は7.59%であった(95%信頼区間7.40%~7.78%)。医療関連感染有病率は、イングランドで8.19%、ウェールズは6.35%、北アイルランド5.43%、アイルランド共和国4.89%であった。頻度が高い医療関連の各臓器感染症は、消化管系(全医療関連感染の20.6%)、尿路系(19.9%)、手術部位(14.5%)、肺炎(14.1%)、皮膚・軟部組織(10.4%)、原発性血流感染(7.0%)であった。MRSA保有率は1.15%であり、MRSAが原因菌であった割合は全器官系感染の中で15.8%であった。クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)有病率は1.21%であった。本調査は、この4か国でこれまでに実施された最大規模の医療関連感染有病率調査であった。使用した方法および組織は、今後の医療関連感染調査イニチアチブにおける国、地域、または部門レベルでの基本的な枠組みとなる。本調査から得られた情報は、医療関連感染の減少を図るための継続的な取り組みにおいて、資源の優先順位を決定する上で寄与するとともに、保健省、病院、およびその他関連団体とって有用なものである。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
連合王国(UK)を中心に270病院が参加した大規模調査であり、従来から報告されていたように、急性期ケア病院では5%から10%の患者が何らかの医療関連感染を経験する。この論文も同様の結果を報告しているが、この調査は英国(イングランド)保健省が英国病院感染学会(HIS;Hospital Infection Society)に依頼して実施されたものである点からも大変に興味深い。

2006年度の4か国医療関連感染有病率調査(Four Country Healthcare Associated Infection Prevalence Survey)における危険因子の解析

Four Country Healthcare Associated Infection Prevalence Survey 2006: risk factor analysis

H. Humphreys*, R. G. Newcombe, J. Enstone, E. T. M. Smyth, G. Mcllvenny, F. Fitzpatrick, C. Fry, R. C. Spencer, on behalf of the Hospital Infection Society Steering Group
*Royal College of Surgeons in Ireland, Ireland

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 249-257

点有病率調査は、医療関連感染のパターンの変動を検出するうえで有用である。英国病院感染学会(HIS;Hospital Infection Society)は2004年に、イングランド、ウェールズ、北アイルランド、およびアイルランド共和国を対象とした第3回全国有病率調査を実施するように要請された。スコットランドでは、同一ではないが類似した調査が実施されている。データを米国疾病対策センター(CDC)の定義に基づいた標準化した形式で収集した。この報告では、すべての医療関連感染およびその主要カテゴリー(原発性血流感染、肺炎、手術部位感染、および尿路感染)の広範な危険因子との関連を検討する。全医療関連感染有病率は7.6%であり、年齢とともに有意に上昇した。末梢静脈カテーテルおよびその他の膀胱器具の最近の使用を除いて、検討したすべての危険因子は医療関連感染のリスクの増加と極めて有意に関連していた。原発性血流感染は抗菌薬投与、中心静脈カテーテルの使用、および経静脈栄養の実施と関連していた。肺炎は抗菌薬投与、中心静脈カテーテルの使用、経静脈栄養の実施、人工呼吸器の使用、および現在の末梢静脈カテーテルの使用と関連していた。手術部位感染は最近の手術、抗菌薬投与、中心静脈カテーテルの使用、人工呼吸器の使用、および経静脈栄養の実施と関連していた。尿路器具の使用および抗菌薬投与は尿路感染と関連していた。集中治療部門に入院した患者は、医療関連感染有病率が最も高かった(23.2%)。本報告は、原発性血流感染(中心静脈カテーテルなど)および肺炎(人工呼吸器など)などの医療器具関連感染が、医療関連感染を予防する上で注意を払うべき領域であることを明らかにした。またこの報告は、例えば危険因子の記録は評価時のみで十分であることなど、医療関連感染に関する今後の有病率調査のプロトコールを左右するものと考えられる。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
医療関連感染サーベイランスの結果としては極めて常識的である。医療器具の使用、侵襲的な医療処置、最近の抗菌療法が代表的なリスクであり、患者年齢や集中治療部門への入院などもリスクである。

2006年度の4か国医療関連感染有病率調査(Four Country Healthcare Associated Infection Prevalence Survey)における結果のウェブによる報告★★

Web-based reporting of the results of the 2006 Four Country Prevalence Survey of Healthcare Associated Infections

S. Harris*, M. Morgan, E. Davies
*National Public Health Service, UK

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 258-264

2006年度に実施された医療関連感染有病率調査の結果を、イングランド、ウェールズ、北アイルランドのすべての参加病院に適時にフィードバックするため、ウェブベースの報告システムを開発した。250を超える病院の約75,000件の記録をデータベースに収容した。報告システムは英国国民保健サービス(NHS)のイントラネットにホスティングした上で、セキュリティをかけたログインによってアクセスすることを可能とした。ユーザーは既定の一連のレポートを介して個々の医療機関のデータにアクセスできるようになっており、また追加解析ができるようにデータのエクスポート機能を搭載した。参加病院では調査の終了から12か月間、この報告システムを利用できるようにした。ユーザー満足度の調査結果によると、エンドユーザーは、このフォーマットによるフィードバックを受けることに肯定的な回答を示した。この報告システムは今後の有病率調査の結果をフィードバックするための有用なモデルとなるであろう。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
「サーベイランスとは、罹患率と死亡率を低下させて医療を改善するための活動に用いるために、医療に関連したイベントに関するデータを継続的、体系的に収集することと定義される」前提で考えても、電子情報システムを用いたタイムリーな現場へのフィードバック、さらにそれぞれの医療機関における解析のための情報提供システムなど、極めて有用なモデルであり、システムを構築する上で参考にすべき点は極めて多い。

2006年度の英国病院感染学会医療関連感染有病率調査(Hospital Infection Society Prevalence Survey of Healthcare Associated Infection):北アイルランドとアイルランド共和国の結果の比較

Hospital Infection Society Prevalence Survey of Healthcare Associated Infection 2006: comparison of results between Northern Ireland and the Republic of Ireland

F. Fitzpatrick*, G. Mcllvenny, A. Oza, R.G. Newcombe, H. Humphreys, R. Cunney, N. Murphy, R. Ruddy, G. Reid, R. Bailie, C. Lavelle, L. Doherty, E.T.M. Smyth
*Health Protection Surveillance Centre, Ireland

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 265-273

英国とアイルランドを対象とした第3回医療関連感染有病率調査の一環として、医療関連感染の点有病率調査が北アイルランドおよびアイルランド共和国で実施された。本稿では、医療制度が異なる2か国で、類似の方法および同一の医療関連感染の定義を用いた調査結果を比較することの有益性を検討する。アイルランド共和国では44、北アイルランドでは15の成人急性期病院が参加し、合計11,185例の患者(北アイルランド3,644例、アイルランド共和国7,541例)が調査対象となった。全医療関連感染有病率は北アイルランド5.4%、アイルランド共和国4.9%であった。医療関連感染、器材関連の医療関連感染、または血流感染を伴う医療関連感染の各有病率は2か国間で有意差はみられなかったが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による医療関連感染の有病率には相違が認められた(P=0.02)。北アイルランドでは尿路感染およびクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染が有意に多かった(それぞれP=0.002、P<0.001)。両国とも、65歳を超す患者および集中治療室入室患者の医療関連感染有病率が高かった。また、人工呼吸器装着患者、インプラント手術以外の手術直後の患者(アイルランド共和国)、または医療関連感染の危険因子が多い患者の医療関連感染有病率が高かった。北アイルランドとアイルランド共和国の医療関連感染有病率の比較が直接行われたのは、今回が初めてであった。両国の医療関連感染有病率の類似点と相違点を綿密に検討することにより、その結果が医療計画に影響を与えると同時に、公衆に対して医療関連感染の重要性および医療関連感染対策が実施されていることを認識させることが期待される。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
要旨に書かれているように、「近隣との比較で施策(対策)の違いが医療関連感染の発生にどのように関わっているのか?改善点が見いだせるのか?」など、すべては比較することで土俵に上げることができる。こうした意味で、医療関連感染を施設間あるいは地域間や国の間で比較するのは重要である。

誰が医療関連手術部位感染症の費用を負担しているのか?

Who bears the cost of healthcare-acquired surgical site infection?

N. Graves*, K. Halton, S. Doidge, A. Clements, D. Lairson, M. Whitby
*Princess Alexandra Hospital, Australia

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 274-282

本研究の目的は、医療関連手術部位感染症の経済費用を推計し、その費用が治療から回復に至るまでの入院期間と退院後期間でどのように分布するかを示すことである。医療関連手術部位感染症の疫学および経済的影響の定量化モデルを使用し、データは外科患者の前向きコホートおよびその他の関連情報源から収集した。論理モデル構造を作成し、モデルパラメーターにデータを当てはめた。外科患者10,000例の仮説的コホートの評価を行った。入院中に感染症例と診断されるのは111例、退院後の新規発症は784例と推定された。総負担費用のうち入院期間中に発生する費用は、退院後の生産損失を計上する場合は31%、生産損失を除外した場合は67%であった。病院が負担する費用の多くはベッド使用日数による損失であり、変動費はわずかであった。著者らは、これらの費用に関する問題を検討し、どこが費用を負担しているかというデータを提示した。これらの結果は、医療関連手術部位感染症リスク低下プログラムの有効性評価を目的とした今後の費用対効果分析に対して、情報を提供するために利用できる。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
医療関連手術部位感染症を個人単位だけでなく社会の損失として評価し、改善を促すことは重要である。いずれにせよ、比較検討する基礎データがないことには検討ができない。

2004年から2005年のイランのシラーズにおける医療関連感染症

Healthcare-associated infection in Shiraz, Iran 2004-2005

S. Lahsaeizadeh*, H. Jafari, M. Askarian
*Shiraz University of Medical Sciences, Iran

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 283-287

医療関連感染症は、罹患および死亡の重要な原因である。入院患者の約10%が医療関連感染症を発症する。イランで初めて実施された、頻度の高い3つの医療関連感染症(尿路感染症、手術部位感染症、血流感染症)の点有病率調査を報告する。2004年5月、2004年9月、2004年11月、および2005年3月の各1日ずつ、8つの参加病院の全入院患者を調査した。米国疾病対策センター(CDC)の全米病院感染サーベイランス(NNIS)システム基準を用いて、患者2,667例の年齢、性別、病棟、臨床的特徴、および臨床検査結果などのデータを調査した。医療関連感染症有病率は臨床部門間で大きなばらつきがあり、3.9%~34.0%の範囲であった。有病率は産婦人科病棟で最も低く、熱傷病棟および集中治療室で最も高かった。シラーズの病院の医療関連感染症有病率はラトビア、スロベニア、フランス、およびイタリアの調査で報告された有病率と比較して高かったが、ギリシャ、ブラジル、サウジアラビア、およびその他の発展途上国との比較では低かった。今回の知見は、イランの医療関連感染症は懸念すべきものであること、また危険因子を特定し予防的介入を行うためにはさらなる研究が必要であることを示している。

サマリー 原文(英語)はこちら

フィンランドの急性期病院における医療関連感染症:2005年の有病率全国調査

Healthcare-associated infections in Finnish acute care hospitals: a national prevalence survey, 2005

O. Lyytikainen*, M. Kanerva, N. Agthe, T. Mottonen, P. Ruutu, the Finnish Prevalence Survey Study Group
*National Public Health Institute, Finland

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 288-294

フィンランドにおける初の医療関連感染症有病率の全国調査の目的は、医療関連感染症の規模、各種医療関連感染症の分布、原因菌、素因保有率、および抗菌薬使用を評価することである。2005年2月から3月にかけて、国内の三次および二次病院と、国内のその他の急性期病院10か所(全40か所の25%)の合計30の病院で任意調査を実施した。全医療関連感染症有病率は8.5%(8,234例中703例)であった。最も頻度の高い医療関連感染症は手術部位感染症(29%)で、次いで尿路感染症(19%)、原発性血流感染症または臨床的敗血症(17%)であった。医療関連感染症有病率は男性、集中治療室入室患者、および外科患者で高く、年齢および基礎疾患の重症度に従って上昇した。医療関連感染症患者の56%(703例中398例)で原因菌を同定し、頻度が高いものは大腸菌(13%)、黄色ブドウ球菌(10%)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)(9%)であった。多剤耐性菌による医療関連感染症はまれであった(6例)。多剤耐性菌を保菌していたために接触隔離下で治療された患者は合計122例であった。調査時点では、患者の19%に尿路カテーテル、6%に中心静脈カテーテルを留置しており、1%に人工呼吸器を装着していた。また、抗菌薬治療は患者の39%で実施していた。今回の結果は、感染制御対策の優先順位の決定、およびより詳細な医療関連感染症発生率サーベイランスの立案に利用可能であると考えられる。本調査は、参加病院の医療関連感染症への意識を高め、医療関連感染症の診断にあたる感染制御担当職員を訓練するうえで有用な手段であった。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
北欧諸国ではこれまでは多剤耐性菌感染症が少なく、注目に値する。最近は多剤耐性菌感染症が増加傾向にあり、少ない中での増加している背景がこれらの資料から読み取れれば、我が国の感染対策にも寄与できるであろう。

全米病院感染サーベイランス(NNIS)のリスクインデックスによる手術部位感染率の層別化はサーベイランスシステムにおける病院の順位化に影響するか?

Does stratifying surgical site infection rates by the National Nosocomial Infection Surveillance risk index influence the rank order of the hospitals in a surveillance system?

S. Brummer*, C. Brandt, D. Sohr, P. Gastmeier
*Charite-University Medicine Berlin, Germany

Journal of Hospital Infection (2008) 69, 295-300

全米病院感染サーベイランス(NNIS)のリスクインデックスに基づく手術部位感染率の層別化は、簡便な手法と比較して、外科部門間の順位を比較するための良好な基準であるかどうかを検討するため、本研究を実施した。ドイツの全国的院内感染サーベイランスシステム(Krankenhaus Infektions Surveillance System;KISS)の234の外科部門が任意参加したサーベイランスデータを用いて、後向き解析を実施した。全体で、2001年1月から2006年6月の66カ月間に実施された12カテゴリーの外科手技による223,367件の手術の中から、4,275件の手術部位感染を調査対象とした。NNISの手法および米国疾病対策センター(CDC)の定義に従って、手術部位感染の能動的サーベイランスを実施した。各外科部門で手術手技ごとに以下の2種類の手術部位感染率、すなわち粗感染率、およびNNISリスクインデックスに基づくリスク補正後の標準化感染比(standardized infection ratio)を算出した。それぞれの感染率に基づいて外科部門の順位化を行った。両順位間の相関をSpearmanの相関係数(ρ)を用いて調べた。12カテゴリーの外科手技すべてにおいて、粗感染率と標準化感染比の間に強い相関が認められた(ρ>0.95)。比較の際に、標準化感染比の代用として理解が容易で記録が簡単な粗感染率を用いても、外科部門の順位が顕著に変動することはない。

サマリー 原文(英語)はこちら

監訳者コメント:
海外の基準をそのまま自国のサーベイランスに適用することにより、時には問題が生ずる。本論文のように評価基準の評価が必要であるが、この議論は我が国にもあてはまる。

サイト内検索

Loading

アーカイブ

Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.