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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

感染制御活動におけるリスク管理

Infection control risks

M. Millar*
*Barts and The London NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 103-107


感染リスクの管理は感染制御専門家の中心的活動であるが、感染制御のリスク管理に関する文献は比較的少ない。本総説の目的は、さらに解明と研究を進めるべき領域に注意を引くことである。例として、リスク管理の目的、留意すべきリスクの解明、専門家と非専門家の両者を対象とした専門用語の統一、病院感染の制御におけるリスク補償の重要性に関する研究などである。

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監訳者コメント:
多分に概念的な論文であり、感染制御の実務者レベルでは直接役立つことは必ずしも多くないかと思われる。少々難解でもある。

抗菌薬の使用:適切な使用は高額となるのか?

Antibiotic use: is appropriateness expensive?

V. von Gunten*, J.-P. Reymond, K. Boubaker, E. Gerstel, P. Eckert, J.-C. Luthi, N. Troillet
*Central Institute of the Valais Hospitals, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 108-111


抗菌薬は正しく使用されないことが多い。本研究では、3病院の600件の抗菌薬処方のうち、37%が不必要と判定された。また、適応内とされた抗菌薬療法のうち、45%は不適切と判定された。多変量解析から、適応内の治療は適応外の治療よりも高額であることが示された、これは適応外の治療では経口薬が多いためと考えられた。しかし、適応内の治療の中では、適切な治療と不適切な治療の費用に有意差は認められなかった。

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監訳者コメント:
抗菌薬の適切な使用とコストを検討した興味深い論文である。そもそも抗菌薬投与が不要と判定された症例の割合や、抗菌薬投与が必要あると判断されても不適切な使用だと判定された症例の割合は、これまでも多く報告されており、妥当な数値であろう。不要と判定された治療が主に経口抗菌薬に偏っていることも想定内である。しかし、適切な使用であっても、不適切な使用より費用が多くないという事実は重要である。すなわち、コストを増大させることなく、感染症治療の知識によって患者の予後を改善できる可能性が示唆されている点が興味深い。

新生児集中治療室由来の表皮ブドウ球菌  (Staphylococcus epidermidis)持続感染分離株および非持続感染分離株によるバイオフィルム形成

Biofilm formation by persistent and non-persistent isolates of Staphylococcus epidermidis from a neonatal intensive care unit

F. Eftekhar*, D.P. Speert
*Shahid Beheshti University, Iran

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 112-116


新生児の表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)持続感染および非持続感染からの臨床分離株161株を対象として、バイオフィルム形成とicaADBC遺伝子の存在との関連を検討した。バイオフィルム形成の比較は、ブドウ糖添加(0.5~9.23%)または非添加のトリプチケースソイブロス(TSB)および9.23%ブドウ糖含有完全経静脈栄養液中で行った。icaADBC遺伝子検出は、PCR法とica特異的プライマーを用いて行った。全分離株のバイオフィルム形成量は1%ブドウ糖添加TSBで最大であり、次いでTSB、完全経静脈栄養液であった。培地条件が異なっても、持続感染分離株と非持続感染分離株のバイオフィルム形成量に有意差はなかった。一方、完全経静脈栄養液中では持続感染分離株の70%がバイオフィルムを産生したのに対し、非持続感染分離株は56.3%であった。持続感染菌の表現型およびicaADBCオペロンの存在はいずれも、バイオフィルム形成との相関を示さなかった。

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中心静脈カテーテル関連血流感染:カテーテル挿入後のケアの改善

Central venous catheter-related bloodstream infections: improving post-insertion catheter care

I.M. Shapey*, M.A. Foster, T. Whitehouse, P. Jumaa, J.F. Bion
*University of Birmingham, UK

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 117-122


中心静脈カテーテル(CVC)留置患者は血流感染および敗血症関連死のリスクが高い。CVC関連血流感染は高額の医療費を要し、病院感染のかなりの割合を占める。本調査の目的は、CVC挿入後のケアに関する現行の実践とスタッフの知識を評価し、CVC挿入後ケアの改善の余地を明らかにすることである。CVCの使用頻度が高い病棟でCVC挿入後ケアの現行の実践に関する調査をしている大学教育病院で、連続28日間にわたり前向き調査を実施した。CVC挿入およびケアの最良の実践についての多肢選択式質問票を臨床スタッフに配布した。カテーテルケアの過失率およびCVC関連血流感染発生率を算出し、P<0.05の場合に統計学的に有意とした。患者106人に対するCVC 151本、合計721カテーテル・日のデータを記録した。全体でケアの過失は323件、過失率は44.8%であり、集中治療室(ICU)と非ICU病棟との間に有意差がみられた(P<0.001)。頻度の高いCVCケアの過失はドレッシング(不完全な)およびキャップとタップ(誤って設置)であり、1,000カテーテル・日あたりそれぞれ158件、156件であった。調査期間中に4件のCVC関連血流感染が発生し、CVC関連血流感染発生率は1,000カテーテル・日あたり5.5件であった(95%信頼区間0.12~10.97)。CVC挿入後ケアを改善する余地は複数ある。ケアの信頼性を高めるための介入として、今後は教育の向上よりも最良の実践の実施に重点を置く必要がある。

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監訳者コメント:
本事例でスタッフは感染管理の実践方法について知っていながら、それを実践できていないということが判明している。結語で教育よりも実践させることに重点を置くとあるが、知っていながらなぜそれを実践できていないかが検討されていない。この点の検討が、よりよい感染管理の実践のためには必須の要素となってくる。

バンコマイシン耐性腸球菌による環境汚染の介入評価:従事者、製品、手順のいずれかの不備か?

Interventional evaluation of environmental contamination by vancomycin-resistant enterococci: failure of personnel, product, or procedure?

B. Hota*, D.W. Blom, E.A. Lyle, R.A. Weinstein, M.K. Hayden
*Rush University Medical Center, USA

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 123-131


洗浄剤、清掃手順、または清掃従業員の作業能力が変わることによって、環境汚染除去の改善を効率的に達成できるかどうかは不明である。バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)による環境汚染に対する清掃作業能力の影響を評価するため、内科集中治療室と呼吸器回復期病棟に環境清掃の多面的改善介入を導入し、連続的な試験を実施した。介入は清掃従業員に対する教育的講義および清掃従業員の行動観察プログラムで構成され、洗浄剤や手順書の変更は行わなかった。介入実施後には、環境清掃率は49%から85%(P<0.001)に改善し、環境汚染率は、清掃前では21%から8%(P<0.0001)に、清掃後では13%から8%(P<0.0001)に低下した。清掃率と汚染率の改善は、ウォッシュアウト期間も持続していた。多変量モデルでは、清掃の徹底が環境汚染の程度に強く影響することが示され、環境清掃率が10%上昇するごとにVRE存在率が6%低下した。これらの結果から、VREによる表面汚染は清掃手順や洗浄剤によるものではなく、清掃の不徹底によることが示唆される。

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監訳者コメント:
清掃の徹底が環境清浄化に必要であり、清掃を徹底するために教育と行動観察が必要である、という趣旨の論文だが、後半部分は清掃に限らず手指衛生などに共通する、感染管理の基本ともいえることがらであろう。教育のみではダメであり、行動観察により実行されていることを確かめる点が最も重要であると考える。

マイクロファイバークロスによる清掃時の表面細菌の拡散★★

Spread of bacteria on surfaces when cleaning with microfibre cloths

L.K. Bergen*, M. Meyer, M. Hog, B. Rubenhagen, L.P. Andersen
*Copenhagen University Hospital, Denmark

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 132-137


院内交差伝播に対する環境汚染の影響はほとんど解明されておらず、デンマークの病院では、目視基準のみで清掃評価を行っている。経済的・人間工学的利点から、デンマークの病院では湿式マイクロファイバークロスを用いた16面法による清掃法が導入されているが、病院清掃での適用性評価は行われていない。著者らは、この方法では細菌が拡散する可能性があるという仮説を立てた。表面を細菌で汚染し(各細菌4 cfu/cm2)、16面を使用できるように折りたたんだ湿式マイクロファイバークロスの1面で清掃した。滅菌表面15面の各面を、マイクロファイバークロスの未使用面で清掃した。清掃後、マイクロファイバークロスで清掃した滅菌表面およびマイクロファイバークロスから捺印サンプルを採取し、実験を12回繰り返した。清掃後に、マイクロファイバークロスの汚染表面からの捺印サンプルの細菌量中央値は、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)45.5 cfu/平板培地、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)2.5 cfu/平板培地であった。マイクロファイバークロスの第2面から第16面までの捺印サンプルの細菌量中央値は、E. faecalis 1~12 cfu/平板培地、B. cereus 0 cfu/平板培地であった。清掃後の汚染表面からの捺印サンプルの細菌量中央値はE. faecalis 45.5 cfu/平板培地で、清掃前から5.6倍の減少を示した。B. cereusの中央値は0 cfu/平板培地であった。清掃後の滅菌表面の第2番から第16番までのE. faecalis細菌量は0.5~7.5 cfu/平板培地であり、滅菌表面15面のうち11~15面への拡散がみられた(P<0.01)。B. cereusは、清掃後の滅菌表面の第2番から第16番までの捺印サンプル180個のうち6個から検出され、いずれも1 cfu/平板培地であった(有意差なし)。本研究から、汚染表面の細菌数は清掃により全体的に減少するが、引き続いて清掃された表面に細菌が拡散することが示唆された。

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監訳者コメント:
面が異なるとはいえ、一枚の大きな布を16か所の清拭に使うと、先に清拭した場所の病原体が後に清拭した場所に移っていくのは当然ともいえる。本論文は、その当然のことを実験によって証明したものであり、結果そのものは驚くに値しないが、科学的手法によりそのことを明らかにした点が評価できる。一読の価値がある。

緑膿菌感染症アウトブレイクによる病院への経済的影響

Hospital economic impact of an outbreak of Pseudomonas aeruginosa infections

R. Bou*, L. Lorente, A. Aguilar, J. Perpiナ・n, P. Ramos, M. Peris, D. Gonzalez
*Hospital de La Ribera, Spain

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 138-142


集中治療室(ICU)の緑膿菌のアウトブレイクに関係した67例の患者を後向きに追跡し、症例患者の費用、入室期間、および生存率を非症例患者と比較した。病院で提供されたすべてのケア項目とサービスを詳細に特定し、算定する手法であるミクロ原価計算法(microcosting)を使用して、各患者の診断のための検査や手技、薬剤、およびICU入室に関連する帰属原価を明らかにした。院内緑膿菌感染症を発症した患者は17例であった。これらの患者に要した病院の補正費用は平均27,917ユーロで、非症例患者より66%高額であった(P=0.002)。緑膿菌感染によるICU入室期間の延長日数は70日であった(P=0.0001)。多重線形回帰分析では、緑膿菌感染は入院費用増加と入院期間延長の独立予測因子であった。これらの知見に基づき、当院のICUにおける緑膿菌感染による超過費用は、控えめな見積もりで312,936ユーロ(95%信頼区間305,676~320,196)であった。

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監訳者コメント:
コスト計算のよいお手本となる文献です。自分もやってみたい人には役に立ちます。

インドの病院における病院感染菌血症に関連する費用:症例対照研究

Costs associated with hospital-acquired bacteraemia in an Indian hospital: a case-control study

A. Kothari*, V. Sagar, V. Ahluwalia, B.S. Pillai, M. Madan
*Dr BL Kapur Memorial Hospital, India

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 143-148


病院感染症により医療費が増加し、罹患率と死亡率が上昇することが、世界中の研究から示されている。本研究の目的は、インドの三次医療施設における病院感染菌血症に関連する費用と死亡率を明らかにすることである。本研究は、200床の三次心臓病病院の胸部心臓外科における費用効用分析の後向き症例対照研究である。冠動脈バイパス術または弁置換術を受け、術後入院中に菌血症(血液培養陽性)を発症した成人患者を症例とした(24例)。対照は、年齢と性別をマッチさせた、同様の施術を受けたが菌血症を発症しなかった成人患者とした(48例)。データは患者のカルテから収集し、費用解析に関しては他の管理データベースから収集した。病院感染菌血症に関連する入院期間の延長、死亡率、追加費用について解析した。統計解析はFisherの正確確率検定および対応のないt検定で行った。病院感染菌血症患者は対照と比較して入院期間が有意に長く[平均22.9日、95%信頼区間(CI)17.2~28.6、P<0.0001]、ICU入室期間が有意に長く(平均11.3日、95%CI 9.0~13.6、P<0.0001)、死亡率が有意に高く(平均54%、P<0.0001)、費用が有意に高かった(平均14,818米ドル、95%CI 10,663~18,974、P<0.0001)。結論として、病院感染菌血症により、低所得の発展途上国では死亡率と入院費用が有意に増加する。本研究により、病院感染症に伴う費用は、発展途上国と先進国で同等であることが示された。より優れた感染制御計画と設備により、この費用の一部を相殺することが可能であると考えられる。

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監訳者コメント:
Matched case-controlであるために、症例数が少ないながらも統計的なパワーが高い研究である。これも日本で同様の研究をするときのよい手本となる文献です。

光フェントン試薬を利用したプリオンの光触媒分解

Photocatalytic degradation of prions using the photo-Fenton reagent

I. Paspaltsis*, C. Berberidou, I. Poulios, T. Sklaviadis
*Aristotle University of Thessaloniki, Greece

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 149-156


プリオンは、伝達性海綿状脳症(TSE)として知られる一群の致死性神経変性疾患の原因因子とされる感染性蛋白質である。伝達性海綿状脳症のヒトへの既知の医原性感染経路は、プリオンに汚染された手術器具や生体物質を介するものである。プリオンは、多くの一般的な病原体とは異なり、従来の汚染除去処理に対して極めて強い耐性を示す。我々は最近、二酸化チタンベースの不均一系光触媒酸化によりプリオンの感染性の大幅な低下が可能であることを明らかにした。本研究では、光フェントン試薬をベースにした均一系光触媒法によるプリオン蛋白の潜在的分解能について検討した。光フェントン試薬は組み換え型プリオン蛋白を効果的に分解するだけでなく、自然感染または実験感染した動物の脳標本中の総蛋白質量および羊スクレイピーの脳ホモジネート中のPrPSc(スクレイピー・プリオン蛋白質)を減少させることが示された。

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監訳者コメント:
実用化に至るかどうかは現段階では判然としない。

中国における手指衛生の実施についての認識★★

Perceptions of hand hygiene practices in China

C.T. Yuan*, L.M. Dembry, B. Higa, M. Fu, H. Wang, E.H. Bradley
*Yale School of Medicine, USA

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 157-162


手指衛生は、医療関連感染を予防するために最も重要な感染制御対策の1つと考えられている。しかし、推奨されている手指衛生の実施についての病院内の遵守率は依然として低い。手指衛生行動の改善方法に関するこれまでの文献は米国およびヨーロッパに焦点を当てたものであり、発展途上国からの研究は少ない。本研究の目的は、中国の病院で手指衛生の実施を改善させるうえで、共通の問題点と、想定される戦略を明らかにすることである。中国保健省が指定した8か所の病院の主要な病院職員および公衆衛生職員25名に対する詳細な聞き取り調査に基づき、定性的調査を実施した。病院職員は、手指衛生は効果的な感染制御に最も重要であると考え、正しい手指衛生の実施に関する適切な知識を有していた。このような積極的な姿勢と適切な知識にもかかわらず、正しい手指衛生の実施の遵守率を改善させるための重大な課題が判明した。それは、必要なリソースが不足していること、病院組織内での感染制御部門の権限が限られていること、および改善を動機づけるデータの監視とフィードバックが非効果的であることなどであった。中国で手指衛生の実施を改善させるための中心的課題は、経営上層部に対する感染制御部門の権限系統を明確にして、病院内の感染制御部門を重視し、優先権と影響力を付与することであることが、本研究から示唆される。感染制御部門を病院組織図の上位に配置し、サーベイランスのパラダイムを継続的な監視およびデータの効果的なフィードバックへと移行させることが、手指衛生の実施およびケアの質を改善するために不可欠である。

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監訳者コメント:
これは本当に大事なメッセージです。ほとんどのコメントは、このまま先進国であるはずの我々の医療環境に残っている共通課題であると思います。逆境にマケズにガンバレ!自分!

エチオピアにおけるHIV/AIDSおよび医療従事者の体液への曝露:普遍的予防策に取り組む態度

HIV/AIDS and exposure of healthcare workers to body fluids in Ethiopia: attitudes toward universal precautions

A.A. Reda*, J.-M. Vandeweerd, T.R. Syre, G. Egata
*Haramaya University, Ethiopia

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 163-169


HIV/AIDSのパンデミック状態にあるエチオピアでは、医療従事者の普遍的予防策に取り組む態度に関する研究は行われていない。エチオピア東部の2地域で、普遍的予防策と血液・体液への曝露に関する医療従事者の知識と認識を調査した。19か所の医療施設の全医療従事者を調査対象とし、アンケートによりデータを収集した。記述統計学的解析とロジスティック回帰による多変量解析を実施した。その結果、普遍的予防策に関する医療従事者の知識と認識は不十分であり、過去1年間の針刺し損傷発生率は29.1%であった(95%信頼区間24.2~34.0)。エチオピアの医療従事者には、施策とより集中的な訓練が求められる。

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監訳者コメント:
日本のドクターやナースの中にも、これと変わらない現象をみてとることができます。別にエチオピアだけの問題ではないと思います。そういった人たちに限って、HIV陽性者の採血は拒否したいといったりしますので、教育による啓発が何より大切です。

長期ケア施設におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による医療従事者の制服の汚染★★

Meticillin-resistant Staphylococcus aureus contamination of healthcare workers’ uniforms in long-term care facilities

P. Gaspard*, E. Eschbach, D. Gunther, S. Gayet, X. Bertrand, D. Talon
*Centre Hospitalier de Rouffach, France

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 170-175


長期ケア施設では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やその他の多剤耐性菌が高い頻度で分離される。本研究では、3か所の長期ケア施設で職員の衣服の汚染を評価した。制服とそのポケットから500件以上のサンプルを採取したところ、これらのサンプルには高度なMRSA汚染が認められた。ビニール製のエプロンを着用してポケットの内容物を整理すると、汚染率は改善した。医療従事者は自分の制服に触れることが多く、ケアの前に手指が汚染される可能性があるため、引き続いて手指衛生が重要であることが本研究の結果から強調される。

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監訳者コメント:
これをニュースレターにして職員の啓発活動に役立てましょう。単純だけど、よい論文です。

脳神経外科関連のアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)による院内感染髄膜炎:2件の症例報告および文献レビュー

Neurosurgically related nosocomial Acinetobacter baumannii meningitis: report of two cases and literature review

V. Krol*, N.S. Hamid, B.A. Cunha
*Winthrop-University Hospital, USA

Journal of Hospital Infection (2009) 71, 176-180


院内感染髄膜炎は脳神経外科処置の合併症としてはまれであるが、脳神経外科集中治療室(NSICU)ではグラム陰性桿菌による院内感染髄膜炎が発生することがある。アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)は院内感染髄膜炎の原因菌としてはまれであり、NSICUでの髄膜炎アウトブレイクの原因菌となる頻度も非常に低い。脳脊髄液検体採取時の不適切な無菌操作が原因となった、NSICUにおけるA. baumannii髄膜炎の2症例を報告する。脳脊髄液検体を側脳室ドレナージの遠位ポートから無菌的に採取するという感染制御策を実施した後、新たな症例の発生はなかった。本報告では、脳神経外科の成人患者におけるアシネトバクター属による院内感染髄膜炎のレビューも実施している。

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監訳者コメント:
これは頻度としては少ないが、たった1症例でも髄液から分離された場合には、不適切なプラクティスが行われていないか監査しフィードバックすることが大切である。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.