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クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)の診断検査:英国の臨床検査室を対象とした包括的調査

Diagnostic testing for Clostridium difficile: a comprehensive survey of laboratories in England

S.D. Goldenberg*, G.L. French
*King’s College, London and Guy’s & St. Thomas’ NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 4-7


最近の研究から、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の臨床検査に広く用いられている毒素検出のための酵素免疫測定法(EIA)の性能が低いことが示されている。2009 年から 2010 年に、英国健康保護局と欧州臨床微生物学・感染症学会(European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases;ESCMID)は、毒素 EIA 検査単独では不十分であるとの提言を行い、2 段階の検査プロトコール(1 つの方法でスクリーニングを行い、別の方法で結果を確認する)を推奨した。英国国民保健サービス(NHS)の全急性期トラストの検査法と陽性率を明らかにするため、情報公開請求による調査を実施した。170 のトラスト中 168 から回答を得た(回答率 99%)。70%のトラストは毒素 EIA を単独の検査法として用いていたが、その一部では陽性的中率(PPV)がわずか 20%であった。平均陽性率は 2008 年の 6.45%から 2009 年の 4.47%へと低下したが、このことはこれらの検査の PPV に負の影響を及ぼすことが予想される。英国保健省は、C. difficile 感染症発生率はケアの質および適正な感染制御の実践の指標であるとしている。しかし、検査法に大きなばらつきがあるため、C. difficile 感染症発生率に基づいて適切な比較を行うことはできない可能性がある。本研究は英国の C. difficile 感染症の検査法には大きなばらつきがあることを示しており、臨床検査室はそれぞれの現行の検査戦略を再検討すべきである。

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監訳者コメント
C. difficile のスクリーニング検査には、グルタミン酸塩脱水素酵素(glutamate dehydrogenase;GDH)とトキシンAならびにBが採用されている。培養法と併せても100%にはならない。もっとも、発症している場合と保菌している場合を検査で区別できるわけではないので、臨床症状の評価が重要である。米国では遺伝子増幅検査法が台頭している。

クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)の診断検査法の変更が C. difficile 感染症の検出および英国の義務的サーベイランスのデータ全般に及ぼす影響

Impact of changes in Clostridium difficile diagnostic testing on detection of C. difficile infection and all England mandatory surveillance data

M.A. Chand*, M.J. Fleming, S. Wellsteed, M.C. Kelsey
*Department of Health, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 8-12


クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)検査キットの性能不良を示唆する Centre for Evidence-based Purchasing の報告を受け、英国保健省は 2 段階の検査アルゴリズムを推奨する改訂指針を発表した。本研究の目的は、英国国民保健サービス(NHS)の微生物診断検査室を対象として電子メールを用いた質問票調査を実施し、指針改訂に基づいた検査法の変更について調査すること、またこれらの変更が国や地域からの報告データに及ぼす影響をモデル化することである。検査法を変更した検査室は 24%であることが判明し、検査性能の管理に用いられる英国の義務的サーベイランスのデータ全般への影響を示すエビデンスは得られなかった。また、検査法の変更が個々の NHS トラストの症例数に影響を及ぼした可能性が示され、トラストにおけるこのような C. difficile の臨床検査診断結果の変化を予測するための簡易モデルを開発した。さらに、サンプルの選択基準にばらつきがあることを示すエビデンスが得られ、このことが地域の検査の陽性的中率および陰性的中率に影響していると考えられた。

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監訳者コメント
検査方法が変更になれば当然、疫学も大きく変化する可能性がある。我が国では検査そのものを行えていない医療機関もまだまだ多い。

スペインにおけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の臨床検査診断:地域住民調査

Laboratory diagnosis of Clostridium difficile infection in Spain: a population-based survey

L. Alcala*, M. Marin, A. Martin, M. Sanchez-Somolinos, P. Catalan, M.T. Pelaez, E. Bouza on behalf of the Spanish Clostridium difficile Study Group
*Hospital General Universitario Gregorio Maranon, Spain

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 13-17


スペインの 103 の病院を対象として、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の臨床検査診断に関する調査を実施した。C. difficile 感染症検出のため、入院 1,000 件あたり平均 23.2 の便検体の検査を行った。C. difficile 毒素検査による診断のために便検体の選別を実施している検査室は、全体の 35.9%であった。選別基準として多く用いられていたのは、軟便または水様便、抗菌薬療法歴、および院内感染下痢症であった。大半の検査室(95.1%)は自施設内で便検体の検査を行っており、その頻度はほとんどが週 5 ~ 7 日であった。1 施設を除くすべての検査室は便検体からの直接的な毒素検出を行っており、94.9%の検査室が酵素免疫測定法(EIA)を使用していた。診断法として毒素産生性検査培養を使用していた検査室は 16.3%のみであり、その大半は EIA を用いて分離株の毒素検出を行っていた。最も頻度が高い診断法は EIA 単独による便検体からの毒素検出であり(79.6%)、次いで便検体と分離株からの毒素検出を組み合わせる方法であった(10.2%)。C. difficile 感染症の 1 年間の推定発生率は入院 1,000 件あたり 1.71 件であり、大規模病院で有意に高値であった。スペインでは、ほとんどの検査室が EIA による便検体の直接的な検査を唯一の診断法としているため、C. difficile 感染症は過小診断されている。検査室を対象とした C. difficile 感染症の診断法および診断のための検査プロトコールに関する全国レベルの調査は、簡易かつ低コストであり、C. difficile 感染症の至適な診断のための国レベルでの基準の策定に向けた第一歩となると考えられる。

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監訳者コメント
我が国でも国内の疫学に関する情報に乏しいため、こうした取り組みが今後は必要となろう。

病院環境におけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)に対する各種化学消毒薬の殺芽胞活性評価

Evaluation of the sporicidal activity of different chemical disinfectants used in hospitals against Clostridium difficile

S. Speight*, A. Moy, S. Macken, R. Chitnis, P.N. Hoffman, A. Davies, A. Bennett, J.T. Walker
*Porton Down, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 18-22


クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)伝播の制御には表面および医療器具の汚染除去が不可欠であり、多くの製品が本菌に対する不活化効果を標榜している。32 種類の消毒薬の C. difficile 芽胞に対する効果について、欧州規格 BS EN 13704:2002 に基づく懸濁試験により、清浄条件(0.3%アルブミン)と汚染条件(3%アルブミン)のシミュレーション下で接触時間 1 分と 60 分で評価した。欧州規格で定められた接触時間 60 分に、接触時間 1 分での評価を追加した理由は、本研究モデルが想定している実際の曝露条件のより現実的なシミュレーションを行うためである。製造者の推奨濃度の最低値で試験を行った。16 製品では、清浄条件および汚染条件での 60 分後の生残芽胞数減少 > 103 (欧州規格の合格基準)に到達した。しかし、汚染条件で 1 分以内に生残芽胞数減少 > 103 に到達したのは 8 製品のみであった。3 製品では、いずれの試験条件でも C. difficile 芽胞生残数は 103 分の 1 に減少しなかった。本研究から、殺芽胞効果を標榜する消毒薬それ自体は環境中の C. difficile を制御するための万能の解決策ではないが、慎重に選択された環境消毒薬は、各種洗浄戦略を含む多くの制御策の一部を担うことができると考えられる。

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監訳者コメント
英国では二酸化塩素が環境消毒に使用されているため,本評価でも多くの検証が行われている。一方米国では、6,000 ppmの次亜塩素酸ナトリウムや蒸気化過酸化水素が用いられており、国により状況は様々である。

Horn 指標スコア高値はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症患者の不良な転帰を予測する

High Horn’s index score predicts poor outcomes in patients with Clostridium difficile infection

V. Arora*, S. Kachroo, S.S. Ghantoji, H.L. DuPont, K.W. Garey
*University of Houston College of Pharmacy, USA

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 23-26


クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症患者の予後予測変数としていくつかのものが提案されているが、医療資源の利用の程度を予測する臨床的に有用なツールについては不明である。基礎疾患に基づく重症度スコアである Horn 指標は C. difficile 感染症リスクの高い患者を正確に予測する。本研究の目的は、臨床的および医療経済的転帰が不良である C. difficile 感染症高リスク患者の層別化のための Horn 指標の使用について評価することである。C. difficile 感染症と診断された入院患者を 3 か月間前向きに追跡した。各患者の C. difficile 毒素検査陽性判定日の Horn 指標スコアを算出し、これを用いて転帰の変数(入院期間、死亡率、医療費)の相違を層別化した。C. difficile 感染症患者 85 例(男性 50%、白人 64%)を登録した。退院時死亡率は、Horn 指標スコア 1 ~ 2 で 0%、3 で 5%、4 で 50%であった(P < 0.001)。3 か月死亡率は、Horn 指標スコアが 1 で 0%、2 で 5%、3 で 17%、4 で 60%であった(P = 0.0004)。3 か月医療費の中央値は Horn 指標スコア 1 で8,585 ドル、2 で 12,670 ドル、3 で 29,077 ドル、4 で 68,708 ドルであった(P < 0.001)。Horn 指標スコア 3 ~ 4 の患者の入院期間(平均 33.4 日[標準偏差 33.3 日])は、1 ~ 2 の患者(平均 15.1 日[標準偏差 16.2 日])より有意に長かった(P = 0.001)。本研究から、Horn 指標は臨床的および医療経済的転帰が不良である C. difficile 感染症高リスク患者を特定するための簡便かつ有用な方法であることが示された。

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監訳者コメント
C. difficile による感染症を発症しやすいリスク因子と死亡するリスク因子との関連について、さらなる検討が必要であろう。

高齢者における市中発症ノロウイルス腸炎後の超過死亡率

Excess mortality following community-onset norovirus enteritis in the elderly

L. Gustavsson*, L.-M. Andersson, M. Lindh, J. Westin
*University of Gothenburg, Sweden

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 27-31


ノロウイルスは超過死亡をもたらす。ノロウイルス腸炎後の死亡率に関する後向き研究を実施した。症例はスウェーデン、ヨーテボリの Sahlgrenska 大学病院で 2008 年 8 月から 2009 年 6 月に PCR 法により便検体のノロウイルス genogroup II 陽性を認め、治療を受けたすべての成人入院患者とした(598 例、年齢 18 ~ 101 歳)。比較対象として、腸炎のないマッチさせた対照(1,196 例)を選択した。カルテレビューを行い、陽性検体採取日から 90 日後までの死亡、併存疾患、および入院期間を記録した。30 日および 90 日生存率を算出した。全体の 30日死亡率は 7.6%であり、18 ~ 59 歳の症例では死亡は認められなかった。60 ~ 101 歳では、基礎疾患を有する症例の 30 日死亡率は、併存疾患のない症例と比較して高かった(30 日生存率 89.5%対 94.7%、P < 0.05)。80 歳を超える症例では、市中発症ノロウイルス腸炎患者(64 例)の死亡率は病院発症ノロウイルス腸炎患者(305 例)より高く(30 日生存率 81.2%対 90.2%、P < 0.05)、対照(128 例)との比較でも高かった(30 日生存率 81.2%対 91.4%、P < 0.05)。入院期間中央値は、病院発症ノロウイルス腸炎例 20 日(四分位範囲[IQR] 12 ~ 29 日)、対照例 7 日(IQR 2 ~ 13 日)であった(P < 0.001)。結論として、入院を要する市中発症ノロウイルス腸炎は、病院発症ノロウイルス腸炎および高齢入院患者のマッチさせた対照と比較して死亡率が高かった。

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監訳者コメント
入院を要する市中発症ノロウイルス腸炎の死亡率が病院発症ノロウイルス腸炎および高齢入院患者のマッチさせた対照と比較して高い理由は、治療開始時期の遅れだろうか?

ノロウイルスの病院アウトブレイク制御に病棟全体の閉鎖は必要か? 2 つの感染制御戦略の有効性の比較

Is closure of entire wards necessary to control norovirus outbreaks in hospital? Comparing the effectiveness of two infection control strategies

E. Illingworth*, E. Taborn, D. Fielding, J. Cheesbrough, P.J. Diggle, D. Orr
*The University of Manchester, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 32-37


英国の病院におけるノロウイルス制御の標準的なアプローチでは、健康保護局の指針に記載されているように、感染症が発生した病棟の早期閉鎖を行う。これは、かつてランカシャー教育病院で実施されたことがある。しかし、この方法は病床使用日数の損失や入院のキャンセルなどの大きな影響を及ぼす。2008 年、当病院に新しい戦略が導入された。その要点は、感染症が発生した区画(病棟ではない)の閉鎖、区画へのドアの設置、清掃の強化、院内での迅速な分子的検査、および感染制御チームの強化等であった。これらの変更の影響を、新規戦略導入の前後 2 回のノロウイルスシーズン(2007/2008 年と2009/2010 年)を比較することによって評価し、シーズン間の差を各シーズンの予測カウントの比(r)によって示した。確認された病院アウトブレイクの市中アウトブレイクに対する発生率の比は有意に低下し(r= 0.317、P = 0.025)、アウトブレイクあたりの病棟への入院制限日数(r = 0.742、P = 0.041)およびアウトブレイクあたりの病床使用日数の損失(r = 0.344、P < 0.001)は有意に減少した。しかし、病院アウトブレイクあたりの感染患者数(r = 1.080、P = 0.517)、およびアウトブレイクあたりの感染医療従事者数(r = 0.651、P = 0.105)には有意な変化は認められなかった。ノロウイルスアウトブレイク時の病棟全体の閉鎖は必ずしも必要ではない。当病院で実施された変更によりアウトブレイクあたりの病床使用日数の損失が有意に減少し、同時にアウトブレイクの頻度の減少および大幅なコスト軽減がもたらされた。

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監訳者コメント地域における流行期と院内におけるアウトブレイクが重なったとき、その制御は一筋縄ではいかない。理論通りの対策で常に対応可能とは限らないことを理解する必要がある。

院内感染症の自動検出:2000 年から 2006 年に集中治療室で実施された種々の方策の評価

Automated detection of nosocomial infections: evaluation of different strategies in an intensive care unit 2000-2006

S. Bouzbid*, Q. Gicquel, S. Gerbier, M. Chomarat, E. Pradat, J. Fabry, A. Lepape, M.-H. Metzger
*Universite de Lyon, France

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 38-43


本研究の目的は、種々の病院情報システム、すなわち微生物データベース、抗菌薬処方、医療管理データベース、および退院時サマリーを使用した、集中治療室(ICU)における院内感染症の自動検出のための 7 種類の方策を評価することである。本研究の対象は、2000 年から 2006 年にフランスのリヨン大学病院の ICU 入室患者 1,499 例である。データの抽出は微生物検査情報システム、病棟内の臨床情報システム、および医療管理データベースから行った。これらのデータベースを個別に、または組み合わせて使用し、種々のアルゴリズムと方策を作成した。ゴールドスタンダードである全米病院感染サーベイランスシステムに準ずる全国的な標準的サーベイランスプロトコールに従って収集した病棟データを用いて結果を比較し、各方策の性能を評価した。1,499 例の患者から 282 件の院内感染症が報告された。自動検出法による院内感染症の検出にあたって最も感度が高い方策は抗菌薬処方アルゴリズムまたは微生物アルゴリズムの併用による方法であり、その感度は 99.3%(95%信頼区間[CI] 98.2% ~ 100%)、特異度は 56.8%(95%CI 54.0% ~ 59.6%)であった。院内感染症の自動検出法は、従来のモニタリング法の代替手法となることが示された。全国的な推奨法を確立するためには、より多くの ICU を対象としたさらなる研究を実施すべきである。

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集中治療室における緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)肺炎の新たなリスク因子の特定:フランスの全国的サーベイランス REA-RAISIN の経験

Identifying new risk factors for Pseudomonas aeruginosa pneumonia in intensive care units: experience of the French national surveillance, REA-RAISIN

A.G. Venier*, D. Gruson, T. Lavigne, P. Jarno, F. L’Heriteau, B. Coignard, A. Savey, A.M. Rogues and the REA-RAISIN group
*Coordinating Centre for Nosocomial Infection Control, France

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 44-48


緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、集中治療室(ICU)における肺炎合併の重要な病原菌である。著者らの目的は、ICU の院内肺炎患者における緑膿菌肺炎の「患者側」および「病棟側」のリスク因子を明らかにすることである。2004 年から 2006 年に ICU を対象として実施されたフランスの院内感染症の全国的な前向きサーベイランス(REA-RAISIN)から、ICU に 48 時間を超えて入室し、院内感染肺炎を発症した患者のデータを使用した。初発肺炎のみを対象として、緑膿菌肺炎またはその他の細菌による肺炎のいずれかに分類した。緑膿菌肺炎を 2 値アウトカムとした多層ロジスティック回帰モデル(第 1 層:患者、第 2 層:病棟)による解析を実施した。201 の病棟の患者 3,837 例の 25%が緑膿菌肺炎であった。遅発型肺炎のほうが緑膿菌検出率が有意に高かった。緑膿菌肺炎の発生率が高いことは、高齢、人工呼吸器装着期間が長いこと、入院時の抗菌薬投与、病棟や ICU からの移送、および緑膿菌感染症の発生率が高い病棟への入院と関連していた。緑膿菌検出率が低いことは、外傷および病床回転率が高い病棟への入院と関連していた。本解析により、緑膿菌感染が疑われる院内肺炎症例の患者プロファイルおよび病棟側の要因が特定された。

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血液腫瘍内科におけるカルバペネム耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)アウトブレイクの制御

Control of an outbreak of carbapenem-resistant Pseudomonas aeruginosa in a haemato-oncology unit

M. Nagao*, Y. Iinuma, J. Igawa, T. Saito, K. Yamashita, T. Kondo, A. Matsushima, S. Takakura, A. Takaori-Kondo, S. Ichiyama
*Kyoto University Hospital, Japan

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 49-53


1,240 床の 3 次ケア施設である京都大学病院の血液腫瘍内科におけるメタロ-β-ラクタマーゼ産生多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa producing metallo-β-lactamase;MBLPA)アウトブレイクを、多分野にわたる介入により制御した。本研究では、積極的監視培養により MBLPA 発生率を明らかにすることによって上記の介入効果を評価した。2004 年の感染制御策は、接触予防策の強化、MBLPA 感染のリスク因子の分析、および尿検体採取の中止などであった。しかし、2006 年に新たな MBLPA 感染が確認されたため、環境洗浄の強化、定期的な積極的監視培養、およびカルバペネム系抗菌薬の使用制限を実施した。2004 年から 2010 年に、当科で識別不能の MBLPA 株に感染した患者は 17 例であった。最終的に、定期的な積極的監視培養によって確認された感染患者は 5 例であったが、水平伝播は確認されなかった。血液腫瘍内科における MBLPA アウトブレイクは 2008 年に制御された。

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入院患者における広範囲薬剤耐性緑膿菌(extensive drug-resistant Pseudomonas aeruginosa)感染:そのリスク因子およびカルバペネム耐性機序

Acquisition of extensive drug-resistant Pseudomonas aeruginosa among hospitalized patients: risk factors and resistance mechanisms to carbapenems

Y.S. Park*, H. Lee, B.S. Chin, S.H. Han, S.G. Hong, S.K. Hong, H.Y. Kim, Y. Uh, H.B. Shin, E.J. Choo, S.-H. Han, W. Song, S.H. Jeong, K. Lee, J.M. Kim
*Gachon University Gil Hospital, Republic of Korea

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 54-58


近年、緑膿菌に有効なすべての抗菌薬に耐性を示す広範囲薬剤耐性緑膿菌(extensive drug-resistant Pseudomonas aeruginosa;XDRPA)株が報告されている。本研究の目的は、患者の XDRPA 獲得のリスク因子、およびカルバペネム耐性の機序について調査することである。2007 年 6 月から 11 月に、3 次ケア病院 8 施設の患者から XDRPA 分離株を採取した。症例対照研究を実施し、XDRPA 獲得に関連する因子を特定した。EDTA-イミペネム disc synergy test、PCR 法、およびシークエンシング法を用いてメタロ-β-ラクタマーゼの検出を行った。患者 33 例を対象としてリスク因子解析を行った。人工呼吸器装着(オッズ比[OR] 8.2、95%信頼区間[CI] 1.3 ~ 52.2、P = 0.026)および APACHE II スコア(OR 1.2、95%CI 1.0 ~ 1.3、P = 0.007)が、XDRPA 獲得の独立したリスク因子として特定された。XDRPA のパルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE)により、流行性クローン株と同時に散発性株が特定された。XDRPA 分離株 43 株中 8 株(19%)はメタロ-β-ラクタマーゼ産生株、4 株は VIM-2 産生株、4 株は IMP-6 産生株であることが示された。本研究から、人工呼吸器装着が XDRPA 獲得に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、PFGE により、病院内に流行性クローン株が存在することが確認された。まとめとして、これらの結果から、韓国では XDRPA 獲得には患者から患者への伝播が寄与していることが示唆された。

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カナダの小児病院における院内感染ロタウイルス胃腸炎:発生率、疾患負荷、および患児の特性

Nosocomial rotavirus gastroenteritis in a Canadian paediatric hospital: incidence, disease burden and patients affected

P. Verhagen*, D. Moore, A. Manges, C. Quach
*McGill University Health Centre, Canada

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 59-63


ロタウイルスは小児科における院内感染病原体としてよく知られている。ロタウイルス胃腸炎はワクチンで予防可能な疾患であるが、カナダには現在、公的資金で運営されるプログラムは存在していない。本研究の目的は、院内感染ロタウイルス胃腸炎の発生率を明らかにするとともに、疾患負荷を推計し、患児の特性を明らかにすることにより、ロタウイルスワクチン接種戦略に関する情報を提供することである。カナダの 3 次小児病院で 10 年間に特定された院内感染ロタウイルス胃腸炎患児全例を対象とした後向きコホート研究を実施した。症例(214 例)の特定は、当院の院内感染の前向きサーベイランスプログラムにより行った。発生率は 1,000 患者日あたり 0.5 件(95%信頼区間 0.43 ~ 0.57)であり、この 10 年間で有意な減少は認められなかった。また発生率は、入院日数が 5 日を超える患児は有意に高かった。慢性基礎疾患が 126 例(59%)に認められたが、その有病率は入院歴がある患児では高く、また 95 例(44%)は生後早期に診断されていた。132 例(62%)は輸液が必要となり、このうち 98 例(46%)に静注輸液が行われた。26 例(12%)は退院後に発症した院内感染ロタウイルス胃腸炎により再入院が必要となり、入院日数中央値は 4 日であった。小児病院では依然として、ロタウイルス院内感染は主に再入院や長期入院を要する基礎疾患を有する小児の重要な問題である。カナダやロタウイルスワクチンの全員接種制度が導入されていないその他の国では、先天性疾患のある乳児や低出生体重児などの高リスク患児を対象としたロタウイルスワクチン接種プログラムの評価を実施する必要がある。

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人工股関節・人工膝関節関連感染症における B 群レンサ球菌

Group B streptococcus in prosthetic hip and knee joint-associated infections

P. Sendi*, B. Christensson, I. Uckay, A. Trampuz, Y. Achermann, K. Boggian, D. Svensson, M. Widerstrom, W. Zimmerlia on behalf of the GBS PJI study group
*Basel University Medical Clinic Liestal, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 64-69


妊娠していない成人の侵襲性 B 群レンサ球菌感染症が増加している。人工関節周囲感染症における B 群レンサ球菌についての知見はほとんどない。本研究の目的は、B 群レンサ球菌による人工関節周囲感染症の臨床像と、その転帰にかかわる治療法について解析することである。10 施設から収集した 36 件の B 群レンサ球菌による人工関節周囲感染症のエピソードの特徴を評価した。34 件のエピソードについては 2 年以上にわたる追跡評価が実施され、治療および転帰の解析が可能であった。大半の感染症(75%)は移植手術から 3 か月以上後に発生していた。ほとんどの患者(91%)は 1 つ以上の併存疾患を有しており、69%が急性症状を呈し、83%は人工関節周囲の軟部組織に損傷が認められた。34 件のエピソード中 20 件ではデブリードマン+人工関節温存を試みたが、このうち 5 件は最終的に人工関節が抜去された。したがって、19 件(56%)のエピソードで人工関節が抜去され、このうち 14 件は即時に抜去が行われた。4 件の抜去は永久的なものであった。使用頻度が高い薬剤はペニシリン誘導体およびクリンダマイシンであった(68%)。94%のエピソードでは感染症が治癒し、82%は機能的可動性が維持された。デブリードマン+人工関節温存の成功が得られたのは、症状の持続期間が短く、人工関節が安定しており、組織損傷が少ない場合であった(10 件/10 件対 3 件/10 件、P = 0.003)。公表されているアルゴリズムに準拠した手術は、良好な転帰と関連していた(P = 0.049)。

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ブラジルのアウトブレイクの原因菌としてのバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)の変異

Changes in vancomycin-resistant Enterococcus faecium causing outbreaks in Brazil

I.C.V. Palazzo*, A. Pitondo-Silva, C.E. Levy, A.L. da Costa Darini
*Universidade de Sao Paulo, Brazil

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 70-74


腸球菌は、毒力に関連する因子や抗菌薬耐性のために、ヒトに重症感染症をもたらす。世界各地のアウトブレイクに関連しているバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)の多くは clonal complex 17 (CC17)に属している。しかしブラジルでは、これまでに報告されたアウトブレイクに関与したバンコマイシン耐性 E. faecium の多くは CC17 には属していない。本研究では、ブラジルのカンピナス市内の病院で感染症アウトブレイクおよび散発例の原因菌となったバンコマイシン耐性 E. faecium 株を、国内のその他のバンコマイシン耐性 E. faecium 株と比較した。E. faecium 23 株中 22 株はバンコマイシン耐性であり、vanA 遺伝子を保有していた。バンコマイシン感性 E. faecium 1 株も、この菌株が分離された患者から 1 週間後にバンコマイシン耐性 E. faecium 株が検出されたため、本研究の対象とした。バンコマイシン感性株を除く全菌株の VanA エレメントに、トランスポゾン左端の欠失、および vanS 遺伝子と vanH 遺伝子間への IS1251 の挿入という同一の変異が認められた。本研究の対象としたバンコマイシン耐性 E. faecium とバンコマイシン感性 E. faecium から、コラーゲン接着蛋白、腸球菌表面蛋白、およびヒアルロニダーゼなどの毒力因子をコードする遺伝子が検出された。パルスフィールド・ゲル電気泳動および複数部位塩基配列タイピング(MLST)法のいずれからも、バンコマイシン耐性 E. faecium 株とバンコマイシン感性 E. faecium 株との間のクローン関係が示された。MLST 法により、新規の遺伝子配列型(ST)として ST447、ST448、ST478、および ST412 が特定されたが、いずれも CC17 に属していた。本研究から、ブラジルのバンコマイシン耐性 E. faecium によるアウトブレイクは、共通の進化過程をもたない菌株が原因となっており、他国と同様に CC17 に属するバンコマイシン耐性 E. faecium 株が主として関与していると考えられた。

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ナーシングホームにおける感染制御のためのガイドライン:デルファイ法によるウェブベースのコンセンサス調査

Guidelines for infection control in nursing homes: a Delphi consensus web-based survey

K. Chami*, G. Gavazzi, B. de Wazieres, B. Lejeune, F. Carrat, F. Piette, J. Hajjar, M. Rothan-Tondeur
*Charles-Foix University Hospital, France

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 75-89


ナーシングホーム入居者の感染予防を目的とする一連のコンセンサスガイドラインを作成するため、デルファイ法による 2 段階のウェブベースの全国調査を実施した。6 名の専門家からなる調査会メンバーが研究グループを主導した。本研究の解析担当者が、感染予防に関する英語またはフランス語で発表された診療ガイドライン、システマティックレビュー、および論文・抄録の文献検索およびレビューを行った。23 名の専門家が文献検索結果を精査し、301 項目の推奨事項の予備的リストを作成した。感染予防・制御および老年医学の領域に関連するあらゆる医学分野からの専門家 81 名が、デルファイ調査用のオンラインツールを使用し、各推奨事項に対する同意の程度を 9 段階の尺度(1 = 強く反対、9 = 強く同意)により評価した。2 段階目の調査では、79 名の参加者が初回調査の匿名のフィードバックを受け取り、130 項目に絞られた推奨事項を評価した。スコア中央値および何%の評価者による評価を受けたのかに基づいて推奨事項を選抜し、分類した。10%以上の項目に対して評価を行った評価者は 79 名であった。264 項目の推奨事項が選抜され、このうち 240 項目がコンセンサスに到達、24 項目がコンセンサスにほぼ到達、37 項目が却下、1 項目が取り消しとされた。病弱な高齢者の多くの感染症は、すべてではないが予防が可能である。したがって、医療従事者および医療施設はこれらのガイドラインを採用し、定期的な感染制御策を実施すべきである。

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