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医療従事者に対する季節性インフルエンザワクチンの有効性:システマティックレビュー

Effectiveness of seasonal influenza vaccination in healthcare workers: a systematic review

A.N.M. Ng*, C.K.Y. Lai
*Centre for Health Protection, Department of Health, Hong Kong SAR, China

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 279-286


ワクチン接種は、インフルエンザ易感染性グループに対する主要な防御策の 1 つと考えられている。本総説の目的は、検査により確認されたインフルエンザ感染、インフルエンザ様疾患、およびワクチン接種を受けた医療従事者の労働損失日数の減少に対するインフルエンザワクチン接種の効果を評価するとともに、ワクチン接種後の副反応について明らかにすることである。22 の医療関連データベースとインターネットリソースの検索を実施し、得られた全文献のリストのスクリーニングを行った。あらゆる医療従事者集団を対象として、何らかのインフルエンザワクチンの効果を、ワクチンと無介入との比較ではなくプラセボとワクチンとで比較しているすべての無作為化対照試験を本総説の対象とした。3件の試験のみが組み入れ基準に合致した。医療従事者に対するインフルエンザワクチン接種により、検査により確認されたインフルエンザ感染が減少することを示唆するエビデンスは限られている。インフルエンザワクチン接種を受けた医療従事者のインフルエンザ感染発生、インフルエンザ様疾患エピソード数、インフルエンザ様疾患症状発現日数、または病気休暇取得日数が有意に減少することを示したエビデンスはない。ワクチン接種後の副反応を評価するためのデータは不十分なものしか存在しない。医療従事者に対するインフルエンザワクチン接種の効果についての確定的な結論は、関連する試験件数が限られているため得られていない。毎年のワクチン接種がインフルエンザ感染から医療従事者を防御するための主要な防御策の 1 つであるのかを評価し、医療従事者のワクチンに対する信頼を向上させるためには、さらなる研究が必要である。現時点で可能であるのは、医療従事者へのインフルエンザワクチン推進の方向性を、懸念と誤解を払拭するための正確な情報を用いることによって、職員の防御から患者の防御へとシフトさせることである。

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英国の地域病院における MRSA サーベイランス:MRSA 臨床分離株の検査は MRSA 菌血症の検査よりも有用である

MRSA surveillance in a UK district hospital: measuring clinical isolates with MRSA is more useful than measuring MRSA bacteraemias

D.A. Enoch*, J.S. Cargill, A. Sismey, J.A. Karas
*Peterborough & Stamford Hospitals NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 287-291


英国でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)菌血症の義務的サーベイランスおよび半減目標が導入され、これにより大半の病院で菌血症が減少した。しかし、ピーターボロ・スタンフォード病院 NHS ファンデーショントラストでは、MRSA 菌血症がすでにまれなイベントとなっていたため、減少の確認が困難であった。著者らは有病率の低い病院における菌血症モニタリングの有効性に疑問をもち、本研究では介入の有効性を評価するため、菌血症検査の精度を全臨床分離株の検査(菌血症を除く創傷、喀痰、尿など)と比較した。6 年間の研究期間中に臨床検体中の MRSA は有意に減少し、スクリーニングにより新規に MRSA 保菌者が特定されたものの MRSA 菌血症有病率は低値が持続した。現在、英国のほぼ全域で MRSA 菌血症有病率は低値まで減少しているため、臨床分離株の検査は介入の有効性を評価するうえでより有用であると考えられる。

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家畜関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)CC398 保菌入院患者と他の MRSA クローン保菌入院患者の特性の比較

Characteristics of hospital patients colonized with livestock-associated meticillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) CC398 versus other MRSA clones

R. Köck*, K. Siam, S. Al-Malat, J. Christmann, F. Schaumburg, K. Becker, A.W. Friedrich
*University Hospital Münster, Germany

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 292-296


Clonal complex(CC)398に関連するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は、家畜や家畜に曝露したヒトの新興病原菌である。これまで MRSA CC398 は医療環境中の MRSA の拡散および疾患負荷との関連は比較的低いと考えられていた。本研究の目的は、MRSA CC398 保菌患者とその他の MRSA クローンの保菌患者における人口統計学的および臨床的特性の相違が、伝播および感染率の相違に寄与しているかどうかを評価することである。2008 年から 2009 年に当大学病院に入院した全 MRSA 保菌患者を対象として、年齢、性別、入院期間、診断、および診療内容を評価した。各患者から得た最初の MRSA 分離株の黄色ブドウ球菌プロテイン A 遺伝子(spa)のタイピングを行った。spa 遺伝子型 CC398 を示した MRSA(MRSA CC398)の保菌・感染患者を、他の MRSA クローン(MRSA 非 CC398)を認めた患者と比較した。MRSA CC398 患者と MRSA 非 CC398 患者では、年齢(53 歳対 59 歳)、平均入院期間(8 日対 13 日)、および集中治療室入室患者の割合(12%対 17%)が有意に異なっていた。診断および診療内容の平均件数と種類も両群の患者間で有意に異なっていた。医療環境における MRSA CC398 の伝播および感染率が相対的に低いことは、少なくともその一部は患者特性の差によって説明できると考えられる。

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黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)鼻腔内保菌後の感染:大学の医療施設における迅速なリスク層別化法

Staphylococcus aureus infection following nasal colonization: an approach to rapid risk stratification in a university healthcare system

U. Seybold*, S. Schubert, J.R. Bogner, M. Hogardt
*Ludwig-Maximilians-Universität, Germany

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 297-301


黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の保菌は感染リスクを上昇させる。この関連についての効果修飾因子を明らかにするために、黄色ブドウ球菌鼻腔内保菌成人患者の人口統計学的および微生物学的データを分析した。黄色ブドウ球菌の臨床培養陽性の予測因子を、二値変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いた症例対照研究により特定した。2005 年 1 月 1 日から 2009 年 4 月 1 日に、黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌を認め、追跡記録を 90 日以上有する患者 645 例を特定し、このうち 159 例(25%)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant S. aureus;MRSA)であった。患者の年齢中央値は 58 歳であり、421 例(65%)が男性であった。90 日の追跡期間中に臨床培養による黄色ブドウ球菌陽性が 1 回以上認められた患者は 131 例(20%)であった。多変量解析から、何らかの黄色ブドウ球菌の培養陽性歴(補正オッズ比[aOR]2.4、95%信頼区間[CI]1.5 ~ 3.8、P = 0.0005)が、保菌後の黄色ブドウ球菌感染の独立予測因子として特定された。MRSA 保菌は、年齢 > 40 歳の患者(aOR 2.5、95%CI 1.4 ~ 4.1、P = 0.0004)における感染の予測因子であり、年齢 ≦ 40 歳の患者(aOR 12.4、95%CI 3.0 ~ 51、P = 0.0005)ではさらに強い予測因子であった。年齢 > 40歳であることは、メチシリン感性黄色ブドウ球菌保菌の付加的独立リスク因子であったが(aOR 3.0、95%CI 1.2 ~ 7.8、P = 0.02)、MRSA 保菌の独立リスク因子ではなかった。MRSA 保菌とその後の感染リスクが高い患者がスクリーニング対象であったこと、および除菌に関する包括的な方針が欠如していたことが、この患者集団の黄色ブドウ球菌感染リスクが相対的に高かった理由の一部であると考えられる。MRSA 保菌者および繰り返し黄色ブドウ球菌培養陽性を認める高齢患者では、日常的な除菌策が極めて有効である可能性がある。

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北京同仁医院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の伝播動態モデル

Modelling the transmission dynamics of meticillin-resistant Staphylococcus aureus in Beijing Tongren hospital

J. Wang*, L. Wang, P. Magal, Y. Wang, J. Zhuo, X. Lu, S. Ruan
*Capital Medical University, China

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 302-308


中国の多くの 3 次病院では、セミプロのボランティアが医療助手として働いている。ボランティアが関与する院内伝播の減少を図るためには、適切な感染制御策が必要である。中国、北京にある北京同仁医院のボランティアを対象として、救急病棟および呼吸器集中治療室におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の伝播特性を記述するために、コンパートメントモデルを作成した。本モデルでは、対象者を非保菌患者か保菌患者か、非汚染医療従事者か汚染医療従事者か、および非汚染ボランティアか汚染ボランティアかというコンパートメントに分類する。基本再生産数R0)を算出し、モデルの種々の変数に対する R0 の依存性を分析した。さらに、2009 年 3 月 3 日から 2010 年 2 月 28 日に救急病棟および呼吸器集中治療室から報告された保菌患者数のデータを比較するために、モデルのシミュレーションを行った。R0 の感度分析から、医療従事者とボランティアの手洗いの遵守率が上昇すれば、伝播リスクは劇的に低下することが示された。ボランティアは 1 対 1 で患者ケアを行っているため、ボランティアが医療従事者に置き換わると MRSA 陽性患者が増加することが本研究から示された。したがって、医療従事者における手指衛生の改善に加えて、適切な訓練を受けたボランティアを採用することが、病院環境における MRSA および多剤耐性菌感染の減少のための魅力的な代替方法である。

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監訳者注:
基本再生産数(basic reproduction number):感受性集団において感染者 1 例あたりが再生産する二次感染者数。R0 > 1 であれば感染は拡大し、R0 < 1 の場合は終息する。

ロンドンの急性期病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)保菌・感染負荷:任意のサーベイランスプログラムの後向き解析

Burden of meticillin-resistant Staphylococcus aureus colonization and infection in London acute hospitals: retrospective on a voluntary surveillance programme

S. Mumtaz*, L.A. Bishop, A.L. Wright, L. Kanfoudi, G. Duckworth, G.G. Fraser
*London Regional Epidemiology Unit, London, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 309-312


メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は病院感染および市中感染の重要な原因であり、その保菌は感染の前段階であると見なされているが、急性期医療施設での保菌・感染負荷を明確な医療経済の枠内で評価する研究はほとんど行われていない。本稿の目的は、2000 年から 2001 年に任意のサーベイランスプログラムに参加したロンドンの急性期病院トラストにおける MRSA 保菌・感染の有病率と発生率について記述することである。MRSA による保菌、菌血症、およびその他の重要な感染症の発生と罹患の詳細を、病院の感染制御担当者が週報に記入した。参加期間が両年とも十分であった病院で有病率と発生率を算出した。MRSA 新規発生症例の 79%が保菌であり、菌血症は 4%、その他の重要な感染症は 17%であった。2000 年と 2001 年の入院患者の保菌発生率に変化は認められなかった。一方、この期間に保菌有病率の49%の原因不明の上昇がみられた。いずれの月においても、保菌者数は新規保菌者数の 2 倍以上であった。英国の地域医療経済の枠内で保菌と感染の両方について発生例と罹患例を前向きに評価したという点で、この MRSA サーベイランスプログラムは異例であった。他の研究と同様に、保菌の発生率と有病率は、感染の場合を大幅に上回っていた。MRSA の全負荷に占める菌血症の寄与が小さいことや、近年のサーベイランス、スクリーニング、および制御介入を考慮すると、現在の菌血症サーベイランスの偏重は再考するのが妥当であると考えられる。

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クロルヘキシジンによる術前処理の効果の経時的変化

Time-dependent effect of chlorhexidine surgical prep

D.J. Stinner*, C.A. Krueger, B.D. Masini, J.C. Wenke
*Fort Sam Houston, USA

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 313-316


術前予防策や無菌操作技術の進歩は継続しているものの、手術部位感染症は依然として問題となっている。本研究の目的は、一般的な術前処理溶液であるクロルヘキシジンの効果の経時的変化を種々の濃度で評価することである。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(lux)をミュラーヒントン寒天平板培地に接種した。この細菌は遺伝子組換えにより発光性を示し、光学イメージングシステムを用いて定量が可能である。規定量のクロルヘキシジン水溶液を 3 種類の濃度(第 1 群 4%、第 2 群 2%、第 3 群 0.4%)で寒天平板に添加し、細菌数の減少を比較した。接触時間 2 分後の第 1 群と第 2 群の細菌数減少は同等であり、各群の残存細菌数は 30%であった(P = 0.512)が、第 3 群の細菌数(33%)は第 1 群および第 2 群のいずれとの比較でも有意に多かった(第 1 群対第 3 群でP < 0.0001、第 2 群対第 3 群でP = 0.0002)。全 3 群の細菌数は経時的に減少し、最終時点(1 時間)の残存細菌数は第 1 群が最少の 9%(P < 0.0001)、第 3 群が最多の 19%(P < 0.0001)であった。本研究から 2 つの重要な結果が示された。すなわち、1 つはクロルヘキシジンの希釈率は殺菌効果と直接的に相関すること、もう 1 つはクロルヘキシジンの効果は接触時間と直接的に関連することである。本研究の結果に基づいて、手術部位の処理には 4%クロルヘキシジンを使用すること、および皮膚切開前の接触時間を最低 2 分間とすることを推奨する。

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血管内留置カテーテルの防腐剤含有ロック溶液の微生物定着防止効果

Efficacy of intravascular catheter lock solutions containing preservatives in the prevention of microbial colonization

L.E. Shenep*, M.A. Shenep, W. Cheatham, J.M. Hoffman, A. Hale, B.F. Williams, R. Perkins, C.B. Hewitt, R.T. Hayden, J.L. Shenep
*St. Jude Children’s Research Hospital, USA

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 317-322


防腐剤含有ヘパリンロック溶液によりカテーテル関連感染が予防できるかについて、論文発表されているエビデンスはほとんどない。しかし、防腐剤含有溶液によるフラッシングが新生児に有害な作用を及ぼすことが示されており、多くの病院がその使用を完全に中止している。カテーテル関連感染の発生および防腐剤含有静脈内留置カテーテルロック溶液の使用について、St. Jude Children’s Research Hospital(SJCRH)における 1982 年から 2008 年の感染制御記録を調査した。さらに、防腐剤であるパラベン(0.165%)またはベンジルアルコール(0.9%)を含有するヘパリンロック溶液および 70%エタノールの抗菌活性を、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を対象として評価し、ヘパリン含有および非含有の防腐剤非含有生理食塩液と比較した。各試験液を 35℃で 0、2、4、および 24 時間曝露後に菌の増殖を評価した。浮遊(遊離)菌と固着(バイオフィルム形成)菌に対する防腐剤の効果を MBEC アッセイにより評価した。感染制御記録から、カテーテル関連感染の増加がみられた 2 つの期間は、SJCRH で防腐剤非含有ヘパリンが使用された 2 期間と一致することが判明した。防腐剤含有ヘパリン溶液は、浮遊性および固着性の 6 種類の菌種のいずれに対しても有意な抗菌活性を示した。エタノールは最大の抗菌活性を示し、特にインキュベーション時間が短い場合に顕著であった。防腐剤であるパラベンまたはベンジルアルコールを含有するヘパリンロック溶液と 70%エタノールは、カテーテル関連感染に関与することが多い浮遊菌および固着菌に対して、有意な抗菌活性を示した。これらの知見と著者らの感染制御の経験から、カテーテル関連感染を減少させるために、新生児期以外の患者では静脈内ロック溶液に防腐剤を使用することが支持される。

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中国の大学教育病院における院内急性発症術後眼内炎

Nosocomial acute-onset postoperative endophthalmitis at a university teaching hospital in China

M. Lin*, W. Zhang, Y. Liu, L. Wang, Y. Ding, X. Wu, Y. Shi, L. Sun, Y. Li
*Sun Yat-sen University, People’s Republic of China

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 323-327


2000 年 1 月 1 日から 2009 年 12 月 30 日に中国の中山眼科センターで実施されたすべての眼内手術を対象とした後向き研究を行い、院内急性発症術後眼内炎の詳細なデータを得た。この期間に合計 147,244 件の眼内手術が実施された。29 例が急性発症術後眼内炎と診断され、その発生率は 0.020%であった。この 10 年間にわたり発生率は低値が持続し、増加は認められなかった。眼内炎の発生率は、眼内レンズの二次移植後が最も高かった(0.129%)。白内障手術後の発生率は 0.01%であり、この値は他の大規模研究での推定値の下限であった。最も頻度が高い分離菌はグラム陽性細菌(71%)であり、大半は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(64%)であった。しかし、表皮ブドウ球菌は白内障摘出術後の患者には認められなかった。これらの患者は、手術終了時にバンコマイシンの前房腔内投与を受けていた。術後眼内炎患者の視力の転帰は全般的に不良であった。経過観察のための最終来院時の視力は 20/40 以上 3 例(10%、全例が白内障手術施行例)、20/400 以下 15 例(52%、10 例は経扁平部硝子体切除術施行例)であった。視力の転帰不良に関連する因子は、初回測定視力が手動弁以下であること、および培養陽性などであった。10 年間の本研究の結果は、他の施設や今後の研究の比較対象として利用できると考えられる。

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乳癌手術による手術部位感染症と関連する周術期因子

Perioperative variables associated with surgical site infection in breast cancer surgery

F.A. Angarita*, S.A. Acuna, L. Torregrosa, M. Tawil, J. Escallon, Á. Ruíz
*Pontificia Universidad Javeriana, Colombia

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 328-332


乳房手術は一般的に清潔手技に分類されるものの、手術部位感染症(SSI)発生率は高いことが報告されている。本研究の目的は、乳癌患者の SSI に関連する周術期の因子を特定することである。大学病院で 2005 年 1 月から 2007 年 8 月に手術を受けた乳癌患者のカルテレビューを実施した。患者 199 例から術前、術中、および術後の臨床データを抽出し、解析を行った。全体の SSI 発生率は 19.1%(38 例)であった。SSI は、体格指数(BSI)高値(P = 0.001)、糖尿病既往歴(P < 0.0001)、喫煙(P < 0.0001)、または活動性の皮膚障害(P < 0.0001)と関連していた。SSI と関連するその他の因子は、腫瘍の臨床病期が進行期であること(P = 0.003)および術前療法の施行(P = 0.003)などであった。乳房温存手術は、根治的手術(乳房切除術単独および乳房切除術時の同時再建)と比較して SSI との関連が小さかった(P = 0.0001)。

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南アフリカの農村地域における結核感染制御:病院職員の知識、姿勢、および実践に関する調査

Tuberculosis infection control in rural South Africa: survey of knowledge, attitude and practice in hospital staff

Z. Kanjee*, K. Catterick, A.P. Moll, K.R. Amico, G.H. Friedland
*Yale University School of Medicine, USA

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 333-338


南アフリカの資源が乏しい農村地域にある、多剤耐性・広範囲薬剤耐性結核の院内伝播が報告された病院の職員を対象として、結核感染制御に対する知識、姿勢、およ実践に関するベースライン評価を実施した。多剤耐性・広範囲薬剤耐性結核が報告された直後の 2007 年 7 月から 9 月に、無記名の質問票および直接観察による評価を行った。57 名からの質問票および 10 時間の直接観察によりデータを得た。概して、知識と姿勢は結核感染制御の推進に肯定的なものであったが、職員の 49.1%は職員に対する病院の配慮が欠けている、または病院は職員の結核感染予防に尽力していないと感じており、また 42.9%は職員が結核、多剤耐性結核、または広範囲薬剤耐性結核により死亡しているため医療従事者としての仕事の継続に消極的であった。実践については多様であった。感染制御担当者が最近任命されていることや自然換気の実施状況は長所として挙げられるが、施設には結核感染制御に関する方針がなく、患者の結核スクリーニングプロセスは不十分であり、回答者の 41.5%は自身のヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染状況を認識していなかった。回答者は結核感染制御を推進するうえでの障壁として、職員の健康情報の機密性、結核および HIV に対する偏見、不十分な資源、および患者の治療不遵守などの多くの懸念事項を報告した。職員の知識、姿勢、および実践を評価することは、結核感染制御における欠点および障壁に関する有用なデータをもたらし、またその後の感染制御策に注力するうえで有用であった。結核の院内伝播の減少が極めて重要であることを考慮すると、施設は結核感染制御の簡易な評価を実施し、職員の健康情報の機密性を確保し、結核や HIV に対する偏見の解消を図り、結核感染制御設備と行動様式変革のための介入を多角的に導入すべきことが推奨される。行動科学的手法によって、結核感染制御の研究と推進が改善すると考えられる。

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血液腫瘍内科における給水システム関連の非結核性抗酸菌菌血症アウトブレイク

Cluster of non-tuberculous mycobacteraemia associated with water supply in a haemato-oncology unit

S.F. Baird*, S.K. Taori, J. Dave, L.J. Willocks, H. Roddie, M. Hanson
*Western General Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 339-343


非結核性抗酸菌は広く存在する環境微生物であるが、感染症の起因菌となることはまれである。当院の血液腫瘍内科における非結核性抗酸菌菌血症アウトブレイクの臨床的、微生物学的、および疫学的調査と、その後の管理について報告する。2007 年 10 月から 2008 年 7 月に、血液悪性腫瘍の管理を受けていた患者 5 例に発熱と全身倦怠感が発現した。血液培養によりマイコバクテリウム・ムコゲニカム(Mycobacterium mucogenicum)(4 例)とマイコバクテリウム・ネオオーラム(Mycobacterium neoaurum)(1 例)が同定された。感染源を特定するために環境、特に給水システムを調査し、複数の水サンプルを常法に従って培養した。非結核性抗酸菌は病院の給水システムからも分離された。中心静脈カテーテル(CVC)を抜去し、抗菌薬を投与することにより患者は回復した。これらの患者のさらなる非結核性抗酸菌菌血症を予防するため、環境対策および CVC ケア改善策を導入した。これらの対策にもかかわらず水供給システム中の非結核性抗酸菌の存在は持続したが、新規症例は確認されなかった。非結核性抗酸菌は一般的な環境微生物であり、給水システムからの除去は困難であると認識されている。今回の非結核性抗酸菌菌血症アウトブレイクの進入路は CVC であると考えられ、CVC ケアプロトコールの改善により免疫低下患者群におけるさらなる感染拡大の予防に成功した。

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監訳者コメント
CVC ケアの変更点とは、ライン接続システムの簡素化(より接続部位個数の少ないものに変更)と、刺入部のシャワー時被覆材使用(以前ははがしてシャワーしていた)である。環境の病原体自体をなくすことは困難であり、ケアの改善によって感染防止を図るという方向性は妥当である。

新生児集中治療室における皮膚アスペルギルス症アウトブレイクの調査

Investigation of a cluster of cutaneous aspergillosis in a neonatal intensive care unit

K.A. Etienne*, C.P.K. Subudhi, P.R. Chadwick, P. Settle, J. Moise, S.S. Magill, T. Chiller, S.A. Balajee
*Centers for Disease Control and Prevention, USA

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 344-348


2007 年 12 月から 2008年 7 月に、英国サルフォードの新生児集中治療室(NICU)の 3 例の新生児がアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)による原発性皮膚アスペルギルス症(PCA)と診断された。初発 PCA 症例は 2007 年 12 月に多臓器不全を発症して短期間で死亡し、他の 2 症例は抗真菌薬静脈内投与後の経口 posaconazole による治療で救命した。NICU 内およびこれらの新生児を収容していた保育器から、空気、表面、および水のサンプルを採取した。検出された真菌分離株はすべて A. fumigatus であることが、βチューブリン領域のシークエンシングにより確認された。マイクロサテライトマーカーによる菌株タイピングにより、遺伝子的に関連する A. fumigatus 分離株が新生児および保育器の恒湿器から検出され、感染の原因は NICU で使用していた恒湿器・保育器であることが示唆された。Aspergillus 属菌株のタイピングは、臨床環境でのアウトブレイクにおける感染源の特定、およびその後の感染予防のための環境介入法の計画に有用であると考えられる。

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監訳者コメント
加湿器の医療関連感染に対するリスクを明確に示した論文である。NICU で発生したため問題が顕在化したが、他の病棟なら顕在化しなかったかもしれない。いずれにせよ、インフルエンザの季節に病院環境において加湿を行うことに関する警鐘である。

市販の DNA マイクロアレイシステムを用いた基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ遺伝子の分布の調査

Distribution of extended-spectrum beta-lactamase genes using a commercial DNA micro-array system

R.H.T. Nijhuis*, A.A. van Zwet, P.H.M. Savelkoul, E.A. Roovers, R.W. Bosboom, B. Postma, A.J. van Griethuysen
*Department of Medical Microbiology and Medical Immunology, Rijnstate, Velp, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 349-353


基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)遺伝子は世界中に分布しており、その疫学は複雑である。Check-ESBL 法を用いて、オランダ東部の 3 検査機関から得た好気性グラム陰性桿菌臨床分離株のクラス A ESBL 遺伝子分布を調査した。患者を以下の 4 カテゴリーに分類した。(i)集中治療室(ICU)入室患者(‘ICU’)、(ii)ICU 以外の入院患者(‘non-ICU’)、(iii)臨床分離株採取前 1 年以内の入院歴を有する外来患者(‘< 1’)、(iv)臨床分離株採取の 1 年以上前の入院歴を有する患者または入院歴のない患者(‘> 1’)。2009 年 2 月から 2010 年 3 月に、自動感受性検査システム Vitek2 または Phoenix により ESBL 陽性と推定された 491 分離株のうち 247 株(50.3%)から、Check-ESBL 法により ESBL 遺伝子が検出された。このうち 116 株は入院患者からのものであり(‘ICU’が35 株、‘non-ICU’が 81 株)、131 株が外来患者からのものであった(‘< 1’ が 43 株、‘> 1’ が 88 株)。全体で 247 分離株に 274 の ESBL 遺伝子が確認され、その内訳は CTX-M-1 型 153(大腸菌[Escherichia coli]および肺炎桿菌[Klebsiella pneumoniae]に優勢で、それぞれ70.4%、51.6%)、CTX-M-9 型 67(エンテロバクター・クロアカエ[Enterobacter cloacae]に優勢で57.9%)、SHV 型 32、TEM 型 14、および CTX-M-2 型 8であった。ESBL 産生 E. cloacae は、入院患者(20.7%)のほうが外来患者(3.8%)よりも有意に高頻度に分離された(P = 0.001)。CTX-M-9 型 ESBL は ICU 入室患者で有意に多く(P = 0.003)、SHV 型は入院患者のほうが外来患者よりも多かった(P < 0.001)。2 つの外来患者群間の ESBL 遺伝子分布には有意な相違はなかった。

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監訳者コメント
ESBL 産生菌は世界中に拡大しており、日本でもしばしば分離されるようになってきている。遺伝子型は多様であり、入院(病院)と関連の薄い株もみられ、その制御は非常に困難であるといえる。

2007 年から 2009 年のスコットランドの NHS ロシアンにおけるノロウイルスアウトブレイクの疫学とコスト

Epidemiology and costs associated with norovirus outbreaks in NHS Lothian, Scotland 2007-2009

J. Danial*, J.A. Cepeda, F. Cameron, K. Cloy, D. Wishart, K.E. Templeton
*Royal Infirmary of Edinburgh, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 354-358


医療関連胃腸炎のアウトブレイクが増加しており、院内および市中の両環境における課題となっている。2007 年 9 月から 2009 年 6 月に、エジンバラ(国民保健サービス[NHS]ロシアン)の全病院で胃腸炎アウトブレイクの積極的監視培養を行った。合計で、192 件の病棟アウトブレイクにおいて患者 1,732 例および医療従事者 599 例が胃腸炎を発症した。急性期部門では、155 件の病棟アウトブレイク(0.23 件/日)において患者 1,368 例(1,000 病床日あたり 0.99 例)および医療従事者 406 例(1,000 病床日あたり 0.29 例)が胃腸炎を発症した。142 件(74%)のアウトブレイクからノロウイルスが検出され、50 件は検査確認されていないものの疫学的根拠に基づいてノロウイルスが原因であると考えられた。アウトブレイクが発生した病棟で新規入院患者を対象として閉鎖を実施したことにより、3,678 病床日の損失が発生した。外挿法を用いた推計では、胃腸炎アウトブレイクによる病床日の損失および医療従事者の欠勤により、2 回のノロウイルスシーズンで NHS ロシアンに 120 万ポンドのコスト負担が生じた。初発症例確認後 3 日以内に病棟を閉鎖した場合、当該病棟のアウトブレイクは平均 6 日間で封じ込められたが、これよりも病棟閉鎖が遅れた場合は、アウトブレイクは平均 7 日間持続した。この差は統計学的に有意ではなかった。制御対策の速やかな実施はアウトブレイク制御に有効であった。

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監訳者コメント
イギリスの一地域病院におけるノロウイルスの集団発生。本研究では、1 例でもアウトブレイクとしているためか、2 年間で 192 例という大きな数のアウトブレイクが発生したこととされている。日本の医療施設でもノロウイルス感染症の集団発生をみることはあるが、ここまで大規模な例はあまりみないと思う。

クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の死亡の予測因子としての併存疾患および ARC 予測スコアの算出

Co-morbidities as predictors of mortality in Clostridium difficile infection and derivation of the ARC predictive score

M.R. Welfare*, L.C. Lalayiannis, K.E. Martin, S. Corbett, B. Marshall, J.B. Sarma
*North Tyneside General Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 359-363


クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)関連下痢症はこの 15 年間で著しく増加しているが、転帰の予測因子については十分に明らかにされていない。本研究は、2002 年から 2009 年にイングランド北東部で実施された 2,761 例の患者を対象としたコホート研究であり、その評価項目は 30 日死亡率であった。二項ロジスティック回帰により、年齢、性別、および併存疾患の影響を評価した。四捨五入して整数値としたオッズ比を用いて予測スコアを開発した。年齢、腎疾患、および癌に基づく予測スコア(ARC スコア)により、30 日死亡リスクの異なるグループに患者を区分することができた(スコア 0 ~ 3 のリスクは 9% ~ 21%、スコア 4 ~ 7 は 31% ~ 48%、スコア 8 は 66%)。併存疾患は、C. difficile 関連下痢症の転帰の重要な予測因子であることが示された。併存疾患と年齢を組み入れた ARC スコアにより生存確率を評価することが可能である。他の集団でさらなる検証を行う必要があるものの、ARC スコアは診療と研究に重要な意味をもつ。

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監訳者コメント
日本ではまだまだ C. difficile 関連下痢症の頻度が低く、転帰についてもその詳細が明らかでない。しかし、本研究で示された、年齢・腎疾患・癌が本症の転帰の予測因子になり得ることは知っておいたほうがよいと思われる。スコアは、年齢 4 点(80 歳以上が最高点)、癌 2 点、腎疾患 2 点であり、最高 8 点である。

大腸菌(Escherichia coli)菌血症:どの程度予防可能か?

Escherichia coli bacteraemia: how preventable is it?

J. Underwood*, J.L. Klein, W. Newsholme
*Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 364-365


2011 年 6 月から菌血症の報告義務の範囲が拡大され、大腸菌(Escherichia coli)が対象となった。本研究の目的は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)感染率低下の成功が、大腸菌にも同様に可能であるかどうかを検討することである。2010 年に著者らのトラストで発生した大腸菌菌血症の全症例のデータを精査した。大腸菌菌血症のエピソードは 216 例にみられ、このうち 63%が市中獲得型であった。その原因が予防し得るものであることが特定された患者は 19%のみであり、その半数以上(71%)は尿路カテーテル関連菌血症であった。今後、大腸菌菌血症の減少を目指す際には、これらのデータを念頭に置く必要がある。

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監訳者コメント
大腸菌の菌血症の 3 分の 2 が市中獲得型であるということは、医療関連感染防止対策だけではその制御が難しいということを物語っている。MRSA も以前と異なり市中感染型と思われる感受性パターンのものが散見されるようになり、今後の感染対策のあり方に一石を投じるデータである。

ムピロシン耐性はムピロシン使用による不可避の結果ではない

Mupirocin resistance is not an inevitable consequence of mupirocin use

D. Talon*, C. Marion, M. Thouverez, X. Bertrand
*Service d’Hygiène Hospitalière Centre Hospitalier Universitaire Besançon, France

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 366-367


ブザンソン大学病院ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)のムピロシン耐性率は低値であり、2004 年の 10%から 2009 年の 3%へと低下傾向にある。この耐性率の低下傾向はムピロシン使用量の減少と並行していた。遺伝子タイピングから、ムピロシン耐性率の低下は MRSA クローンの変化とは無関係であることが示された。ムピロシンの使用量よりもいかに使用するかということが耐性出現に関与しており、慎重に使用すればムピロシン耐性は低レベルに維持されるため、その効果は持続すると考えられる。

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監訳者コメント
本論文の著者らの所属する施設では、ムピロシン軟膏の適用とその使用方法を定め、適切に使用していると考えられる。このことがムピロシン耐性 MRSA の減少に寄与している、というのが著者らの主張である。明確な裏づけはないものの、理論的には理解できる。

e ラーニングを利用した医療関連感染の予防と制御に関する医学生の理解と知識の強化

Use of e-learning to enhance medical students’ understanding and knowledge of healthcare-associated infection prevention and control

E. O’Neill*, N.T. Stevens, E. Clarke, P. Cox, B. O’Malley, H. Humphreys
*Royal College of Surgeons in Ireland, Ireland

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 368-370


医学生を対象としたオンラインの感染予防・制御プログラムの開発と評価を行った。517 名の学生の 2 つのモジュール修了後の知識スコアには統計学的に有意な改善が認められた(P < 0.0001)。評価終了後の学生の大半は、この学習経験に対して肯定的であった。

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監訳者コメント
約 45 分間のセッションを 2 つ、細菌学の授業時間の中で自己学習させることにより、医学生の感染防止に関する知識が増大したというもの。知識の評価の具体的な項目は示されていないが、スコア化されており、セッション 1 が 84 点から 90 点、セッション 2 が 78 点から 85 点に上昇している。学生の評価もよく、教員にもあまり負担にならないこのe ラーニングシステムは、本邦でも取り入れていくべき手法の 1 つであると考えられる。

マリ共和国、バマコの Gabriel Touré 教育病院における小児の手術部位感染のリスク因子

Risk factors for surgical site infection in children at the teaching hospital Gabriel Touré, Bamako

A. Togo*, Y. Coulibaly, B.T. Dembélé, B. Togo, M. Keita, L. Kanté, A. Traoré, I. Diakité, H. Ouologuem, G. Diallo
*CHU Gabriel Touré, Mali

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 371-372


マリ共和国のGabriel Touré大学病院の 15 歳未満の小児患者を対象として、2010 年 1 月から 6 月に術後の手術部位感染(SSI)に関する 6 か月の前向きサーベイランス研究を実施した。SSI は患児 352 例中 43 例(12.2%)に認められた。また、SSI が有意に多く認められたのは救急手術後、全米病院感染サーベイランスシステム(NNISS)スコア 2 ~ 3 の患者、および熟練した外科医ではなく研修医の手術を受けた患者であった。貧血または栄養不良の小児は、感染症の術後発症率が有意に高かった。患児の性別、術前入院期間、および病室内の患者数は、感染のリスク因子ではないと考えられた(P > 0.05)。

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完全静脈栄養に関連する感染症発生率

Infection rates associated with total parenteral nutrition

M. Madeo*, L. Lowry
*Doncaster & Bassetlaw NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 373-374


中心静脈アクセス器材の使用は増加しているが、このような器材には感染リスクが伴う。リスク低下を図るための追加的戦略として、回避可能な感染を減少させるための研究が必要である。完全静脈栄養を受けている患者のカテーテル出口部を透明な 2%グルコン酸クロルヘキシジン含有抗菌ドレッシングで被覆することについて、12 か月間の前向き監査を実施した。その結果、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)の症例数が 8 例から 0 例に減少し(P = 0.057)、このフィルムドレッシングは、このような高リスク患者群の回避可能なCRBSIをゼロにするという目標を達成するうえで有用な追加的方策であると考えられた。

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監訳者コメント
カテーテル刺入部にクロルヘキシジン含有のスポンジを使用して被覆することが CRBSI 防止につながると、2011 年に出された CDC の BSI 防止ガイドラインにも明記されている。本研究ではスポンジではなく、ドレッシングにジェル剤を組み込んだ製品が使用されているが、同様に BSI 防止効果があることは先行する研究で示されている。そうした介入の有効性を確認したスタディである。

熱傷感染予防のための創傷被覆材としてのラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)含有アルギン酸フィルム

Alginate films containing Lactobacillus plantarum as wound dressing for prevention of burn infection

M.I. Brachkova*, P. Marques, J. Rocha, B. Sepodes, M.A. Duarte, J.F. Pinto
*Universidade de Lisboa, Portugal

Journal of Hospital Infection (2011) 79, 375-377


表在性皮膚感染および熱傷創感染の予防方法として、乳酸桿菌の局所投与が注目されている。アルギン酸カルシウムのフィルムに固定したラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の特性を調べ、ラットの熱傷創モデルを用いてこれらのフィルムの抗菌活性を評価した。多剤耐性の臨床分離株である VIM-2-メタロβ-ラクタマーゼ産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を指標株として用いた。L. plantarum を 108 cfu/mL の細胞濃度で含有したフィルムにより、熱傷創モデルの緑膿菌は 5 ~ 6 log10 減少した。凍結乾燥アルギン酸カルシウムフィルムに固定された L. plantarum は、4℃の保存で 6 か月間生残した。

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監訳者コメント
熱傷の感染予防は非常に難しい。特に多剤耐性緑膿菌(MDRP)などの感染症をきたしやすく、国内での MDRP 集団発生事例の原因としても知られている。乳酸桿菌に着目したこの方法は、新たな感染予防策として大きな可能性を秘めていると考えられる。

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Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.