JHIサマリー日本語版トップ

レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

小手術(minor surgical procedure)および小範囲侵襲的介入(minimal access intervention)を実施する施設の要件に関するガイドライン

Guidelines on the facilities required for minor surgical procedures and minimal access interventions

H. Humphreys*, J.E. Coia, A. Stacey, M. Thomas, A.-M. Belli, P. Hoffman, P. Jenks, C.A. Mackintosh
*Royal College of Surgeons in Ireland, Ireland

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 103-109


近年の医療提供体制は大きく変化しており、例えば、かつては急性期病院が担っていた外科診療の一部はプライマリ・ケア施設や日帰り手術専用施設で実施されるようになっている。インターベンショナルラジオロジーや心血管インターベンションの領域が発展したことから、上述の医療施設で実施される手技は一層、多様かつ複雑になった。こうした変化に伴い、このような外科手技が実施される施設の基本的な物理的要件を、感染の予防・制御の見地から明確にする必要がある。著者らは Healthcare Infection Society の支援の下、新規施設の設計や既存施設の改修のための勧告を作成した。その作成にあたっては実用的かつ実施可能な提言を行うため、最良事例、現行のエビデンス、可能な場合は他のガイドライン、およびエキスパートコンセンサスを活用した。また、小範囲侵襲的介入(minimal access intervention)と小手術(minor surgical procedure)の定義も試みた。インターベンショナルラジオロジーを含む小範囲侵襲的介入については、新規施設では 1 時間あたり 15 回の機械的換気を行うべきであるが、小手術では自然換気で十分とした。すべての手技に際してはチェックリストを使用し、操作者は適切な訓練を受ける必要がある。正確な術後感染率を明らかにするために、前向きサーベイランスも必要である。最後に、このガイドラインが今後、繰り返し利用されるものとするために必要なエビデンスの基礎を築くためには、適切な応用研究が求められる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者注:
小範囲侵襲的介入(minimal access intervention):本稿での定義は、皮膚上の範囲は大きくないが、実態としては大手術である治療・診断のための手技のことであり、例として腹腔鏡下結腸切除術を挙げている。
小手術(minor surgical procedure):本稿での定義は、局所麻酔下で実施される表層性の手術のことであり、例として足部潰瘍のデブリードマンを挙げている。

蒸気化過酸化水素による消毒の殺ウイルス効果

Virucidal efficacy of hydrogen peroxide vapour disinfection

E. Tuladhar*, P. Terpstra, M. Koopmans, E. Duizer
*National Institute for Public Health and the Environment, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 110-115


背景
ウイルスによる表面汚染は、ウイルス伝播に重要であると考えられる。化学的消毒は効果的な介入法となり得るが、腸内ウイルスや呼吸器ウイルスに対する蒸気化過酸化水素の殺ウイルス効果についてはほとんど知られていない。

目的
施設や居室内で一般的にみられる材料上に存在している呼吸器ウイルスや腸内ウイルスに対する蒸気化過酸化水素の殺ウイルス効果を評価すること。

方法
ステンレススチール、フレーミングパネル、およびガーゼを担体として、これらの担体上でポリオウイルス、ヒトノロウイルス genotype II.4(GII.4)、マウスノロウイルス 1、ロタウイルス、アデノウイルス、および A 型インフルエンザウイルス(H1N1)を乾燥させ、アイソレータ内で 127 ppm の蒸気化過酸化水素に室温で 1 時間、曝露させた。ポリオウイルスについて、一室内の複数の場所で蒸気化過酸化水素への曝露を行った。回収されたウイルス力価を曝露のない対照群と比較し、殺ウイルス効果を調べた。PCR 法により、蒸気化過酸化水素がウイルスゲノム減少に及ぼす効果を評価した。

結果
蒸気化過酸化水素を用いた消毒により試験対象の全ウイルスが完全に不活化され、感染性粒子の減少量はステンレススチールおよびフレーミングパネルの担体上のポリオウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、マウスノロウイルスで > 4 log10、ステンレススチールおよびフレーミングパネルの担体上の A 型インフルエンザウイルス、およびガーゼの担体上の全ウイルスで > 2 log10 であった。ポリオウイルスの完全な不活化は、同一室内の複数の場所で認められた。ウイルスゲノムの減少はフレーミングパネルおよびガーゼの担体上ではわずかであったが、ステンレススチールの担体上では大幅であった。蒸気化過酸化水素に対する耐性が最も強かったのはヒトノロウイルス GII.4 ゲノムであった。

結論
蒸気化過酸化水素は、室内環境を汚染する腸内ウイルスおよび呼吸器ウイルスに対する効果的な殺ウイルス効果を有すると考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
蒸気化過酸化水素による環境汚染への有効性についてはすでに多くの報告があるが、この論文では、ウイルスの種類により効果が異なること、閉じられた空間への消毒効果が期待できないこと、表面の材質により効果に差があることが明らかにされた。

ノロウイルスの代用としてのネコカリシウイルスによる人工的な汚染表面からの蒸気化過酸化水素による汚染除去

Hydrogen peroxide vapour decontamination of surfaces artificially contaminated with norovirus surrogate feline calicivirus

K. Bentley*, B.K. Dove, S.R. Parks, J.T. Walker, A.M. Bennett
*Health Protection Agency, Porton Down, UK

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 116-121


背景
ノロウイルスは消化器系疾患の主要な原因であり、特に病院などの医療施設で問題となっている。ノロウイルスは環境中で安定的であることが報告されているため、アウトブレイク再発防止にはアウトブレイク後の効果的な汚染除去が必要である。

目的
ノロウイルスの代用としてネコカリシウイルス(FCV)で人工的に汚染させた種々の表面からの蒸気化過酸化水素による汚染除去について検討すること。病院内で典型的にみられる表面を対象として試験を行った。

方法
病院環境の典型的な材料(ステンレススチール、ガラス、ビニール製フローリング、セラミック製タイル、およびポリ塩化ビニル[プラスチック]製コーナーリング)を FCV で汚染させた。これらの担体を 30%(w/w)蒸気化過酸化水素に 20 分間曝露させ、その間に曝露後のウイルス力価を 5 分間隔で測定した。

結果
蒸気化過酸化水素により、曝露開始後 20 分以内に試験対象のすべての表面のウイルス力価が 4 log10 減少した。ウイルス力価の減少に最も時間を要したのはステンレススチール(20 分)、最も短時間であったのはビニール製フローリングであった(10 分)。ガラス、プラスチック、およびセラミック製タイルの表面では、ウイルス力価は 15 分以内に4 log10 減少した。蒸気化過酸化水素により、感染性病原体によるアウトブレイク後の汚染エリアの広範な汚染除去が可能である。

結論
蒸気化過酸化水素は、FCV に対する効果的な消毒法であり、種々の表面に対して有効である。したがって、ノロウイルスの病院アウトブレイク後の適切な汚染除去法の 1 つであると考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
素材により期待する消毒レベルに達する時間が異なることは興味深い。実際の運用を考える際には、素材によらず確実に効果が期待できる時間作動させることに加え、噴霧後十分なエアレーションの時間が必要であるため、一定時間病室が使用できなくなることを加味して使用するシーンや対象微生物を検討する必要があると考える。

監訳者注:
ポリ塩化ビニル製コーナーリング(PVC plastic cornering):病室の備品に使用されるプラスチック部分やコネクターなどの製品を意味すると思われる。

英国の住居型介護施設における現行の消毒薬と電解水の洗浄効果の比較

Comparison of cleaning efficacy between in-use disinfectant and electrolysed water in an English residential care home

N.S. Meakin*, C. Bowman, M.R. Lewis, S.J. Dancer
*Aqualution Systems Ltd, UK

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 122-127


背景
病院や介護施設における感染制御は依然として主要な問題である。これらの施設は衛生管理基準について定期的な監視を受けているが、視覚的な評価は必ずしも微生物汚染の程度とは相関しない。病原体の中には無生物環境で長期間生存するものがある。

目的
本前向き研究では、安定化次亜塩素酸を活性成分とし、電解水を含有する新規消毒剤(Aqualution)の効果を、介護施設で手指が接触する表面からの微生物除去に使用されている第 4 級アンモニウム消毒薬と比較した。本研究のデザインは、2 期間のクロスオーバー試験とした。

方法
5 種類の表面を連日、4 週間洗浄し、洗浄前後にスクリーニングのためのスワブ採取を行った。スワブ培養により、各製剤による洗浄前後の表面の微生物汚染レベル(コロニー形成単位[cfu]/cm2)を比較した。

結果
表面の平均細菌量は、電解水による洗浄により 2.6(四分位範囲[IQR]0.30 ~ 30.40)cfu/cm2 から 0.10(IQR 0.10 ~ 1.40)cfu/cm2 に減少した(平均 log10 減少係数 1.042、95%信頼区間[CI]0.79 ~ 1.30)。現行の第 4 級アンモニウム消毒薬による洗浄では、細菌量は 0.90(IQR 0.10 ~ 8.50)cfu/cm2 から 93.30(IQR 9.85 ~ 363.65)cfu/cm2 に増加した(平均 log10 減少係数 -1.499、95%CI -1.87 ~ -1.12)(P < 0.0001)。病院内の表面の細菌量に関するベンチマーク基準として提案されている 2 種類の基準に従うと、電解水は現行の第 4 級アンモニウム消毒薬よりも「合格率」が高かった(80% ~ 86%対 15% ~ 21%、P < 0.0001)。

結論
電解水の殺菌作用は、現行の第 4 級アンモニウム消毒薬と比較してより効果的であったことから、電解水は介護施設などの環境中の表面に対する消毒剤として有用である可能性が示唆される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
電解水の現場での有用性については、議論の分かれるところである。この論文では第 4 級アンモニウム消毒薬と電解水による環境洗浄の有効性を比較しているが、いくつかの設定条件(盲検化されていない、スプレーによる噴霧後拭き取る方法、拭き取る布が再利用されること)を考えると、評価は慎重に行う必要があると思われる。

手術室の微生物汚染の評価のためのエアサンプリング法:整形外科部門での比較研究の結果

Air sampling methods to evaluate microbial contamination in operating theatres: results of a comparative study in an orthopaedics department

C. Napoli*, S. Tafuri, L. Montenegro, M. Cassano, A. Notarnicola, S. Lattarulo, M.T. Montagna, B. Moretti
*University of Bari ‘Aldo Moro’, Italy

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 128-132


目的
手術室における空気中の微生物汚染レベルを、積極的サンプル採取法(表面エアシステム[SAS])と受動的サンプル採取法(空気の微生物汚染指標[IMA]、および創部近傍に配置したニトロセルロース膜)により評価すること。

方法
南イタリアの大学病院の整形外科部門の手術室で、2010 年 1 月から 2011 年 1 月にサンプル採取を実施した。

結果
手術中に記録された平均細菌量は、IMA 法 2,232.9 コロニー形成単位(cfu)/m2/時、SAS 法 123.2 cfu/m3、ニトロセルロース膜法 2,768.2 cfu/m2/時であった。3 法の結果の間には相関が認められた。60 件の手術のうち、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が検出された件数はニトロセルロース膜法 12 件(20%)、SAS 法 5 件(8.3%)、IMA 法 3 件(5%)であった。

結論
創部近傍に配置したニトロセルロース膜を使用する方法は、空気中の微生物汚染の測定に有効である。この方法は IMA 法よりも感度が高く、また積極的監視法のような較正バイアスを受けにくい。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
手術室における 3 種類のエアサンプリング方法を比較した論文である。測定方法が異なるため直接の比較はできないものの、いずれの方法も環境中の微生物レベルとの相関性が確認された。それぞれのサンプリング方法や設置場所について考える際に参考になる論文と思われる。

人員不足、過密状態、不適切な看護師-人工呼吸器装着患者比、および院内感染:どのパラメータが問題点を最も反映しているか?

Understaffing, overcrowding, inappropriate nurse:ventilated patient ratio and nosocomial infections: which parameter is the best reflection of deficits?

F. Schwab*, E. Meyer, C. Geffers, P. Gastmeier
*Charité - University Medicine Berlin, Germany

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 133-139


背景
稼働率が高く処置数が多い医療施設では過密状態(病床利用率が高い状態)や人員不足(看護師-患者比が低い状態)が断続的に発生し、院内感染のリスク因子となることが多くの報告で指摘されている。

目的
集中治療室(ICU)182 室を対象として、病床利用率(患者-病床比)、看護師-患者比、看護師-人工呼吸装着患者比が、院内血流感染症(BSI)および院内肺炎に及ぼす影響を調査した。

方法
各 ICU が、2007 年の器材使用および院内器材関連感染に関する毎月のデータを、院内感染に関するドイツの全国的病院サーベイランスシステムに報告した。質問票を用いて 2007 年の 24 時間あたりの病棟の医療従事者数、および建築構造的パラメータ(ICU や病院のタイプや規模)に関する情報を収集した。一般化推定方程式モデルを用い、病床利用率または人員配置パラメータと、毎月の院内感染発生数との関連を分析した。

結果
合計で、サーベイランス実施期間 1,921 か月、563,177 患者日の間に ICU 182 室から肺炎 1,313 例、BSI 513 例が報告された。院内感染が少ないことは、看護師-人工呼吸器装着患者比が高いことと関連していた(看護師-人工呼吸器装着患者比 > 75 パーセンタイルの月を ≦ 25 パーセンタイルの月と比較した場合の補正発生率比 0.42[95%信頼区間 0.32 ~ 0.55])。興味深いことに、看護師-患者比は、BSI および肺炎の発生についての有意なパラメータではなかった。病床利用率が高いこと(> 75 パーセンタイル)は、院内感染が少ないことと関連していた。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
ドイツの院内感染サーベイランスシステム(Krankenhaus Infektions Surveillance System;KISS)は、ICU、NICU におけるデバイス関連と手術後の SSI を対象としている。この KISS に参加している ICU を対象に行われた調査は、看護師-人工呼吸器装着患者比がより患者の重症度をよく反映しており、多施設で比較する際の ICU における院内感染のパラメータとして有用であるという結果を示した。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の自宅での除菌の実践に関するスコットランドの横断研究

Cross-sectional survey of meticillin-resistant Staphylococcus aureus home-based decolonization practices in Scotland

K. Currie*, L. Cuthbertson, L. Price, J. Reilly
*Glasgow Caledonian University, UK

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 140-143


背景
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の除菌の有効性に関するエビデンスはわずかであるが、入院前の患者と入院中の患者のいずれに対しても除菌が実施される例が増えている。全国保健サービス(NHS)スコットランドの最近の調査では、自宅での除菌実施率は低く、その有効性も低いことが判明した。現時点では自宅での除菌に関する国のガイドラインは存在しないため、NHS スコットランド内での実践にはばらつきがあると考えられる。

目的
NHS スコットランドにおける現行の入院前の自宅での MRSA 除菌プロトコールおよび患者への指導内容を明らかにすること。ばらつきの原因を推定するために、類似点と相違点を特定した。

方法
NHS スコットランドの各地域の MRSA スクリーニングプロジェクトの管理者(15 名)を対象として、電子的な調査法による横断研究を実施した。

結果
NHS の 15 地域のうち 13 地域から回答を得た。このうち 1 地域は、標準的なプロトコールを使用していないと報告した。残る 12 地域はすべて、連日 5 日間のムピロシンと抗菌ボディソープの使用を推奨しており、これは回答があった地域で一致がみられた唯一の実践内容であった。ムピロシンの塗布方法、および推奨されるボディソープの製品と使用量に関する指導にはばらつきがみられた。6 地域(50%)はボディソープの皮膚への接触時間を規定していたが、その時間は地域によって様々であった。口腔ケアを奨励していたのは 3 地域(25%)であった。洗顔タオルと衣類を毎日交換することを支持していたのは 5 地域(41.7%)、タオルを毎日交換することを奨励していたのは 4 地域(33.3%)であった。寝室を毎日清掃することを支持していたのは 1 地域(8.3%)のみであったが、シーツを毎日交換するように指導していたのは 3 地域(25%)であった。

結論
プロトコールおよび患者への指導のばらつきは、自宅での除菌の有効性に影響を及ぼしていると考えられる。さらなる研究により、エビデンスに基づく臨床ガイドラインを作成するうえで有用な情報が得られると思われる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
スコットランドにおける入院前の自宅での MRSA 除菌方法について各地域の状況を調査したものである。地域で実施される内容にはばらつきが見られたが、それによる除菌の有用性やあるいは、ムピロシン耐性などのアウトカムや評価については言及されていない。

新生児集中治療室の早産児におけるアデノウイルス 8 型による結膜炎のアウトブレイク

Outbreak of adenovirus serotype 8 conjunctivitis in preterm infants in a neonatal intensive care unit

Y. Ersoy*, B. Otlu, P. Türkçüoğlu, F. Yetkin, S. Aker, C. Kuzucu
*Inonu University School of Medicine, Turkey

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 144-149


背景
早産児のアデノウイルス角結膜炎のアウトブレイクの報告はまれである。トルコの大学病院の新生児集中治療室で、1 月 15 日から 2 月 25 日にアデノウイルス結膜炎のアウトブレイクが発生した。

目的
アウトブレイクの拡大、調査、および管理について述べること。

方法
PCR 法により、14 サンプルからアデノウイルス 8 型が同定された。リスク因子を明らかにするために症例対照研究を実施した。

結果
早産児 15 例、医療従事者 5 例、および新生児の親 4 例に流涙、眼の腫脹や充血などの結膜炎の徴候が認められた。アデノウイルス結膜炎の最も重要なリスク因子は、未熟児網膜症の検査であった(オッズ比 17.5、95%信頼区間 1.9 ~ 163.0、P = 0.012)。未熟児網膜症の検査に使用された開瞼器が患者ごとに滅菌されておらず、これが汚染源であることが判明した。

結論
バリアプリコーション、手指衛生、開瞼器の滅菌、患者の他科への移動の待機、および感染した医療従事者の最低 15 日間の出勤停止などの対策により、アウトブレイクは制御された。

サマリー原文(英語)はこちら

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)による人工呼吸器関連肺炎:大規模総合病院におけるリスク因子および転帰

Ventilator-associated pneumonia due to meticillin-resistant Staphylococcus aureus: risk factors and outcome in a large general hospital

E. Bouza*, M. Giannella, E. Bunsow, M.V. Torres, M.J. Pérez Granda, P. Martín-Rabadán, P. Muñoz on behalf of The Gregorio Marañón Task Force for Pneumonia (GANG)
*Hospital General Universitario Gregorio Marañón, Spain

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 150-155


背景
任意抽出された人工呼吸器関連肺炎(VAP)患者におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)のリスク因子および転帰への影響に関するデータは限られている。

目的
大規模教育施設における MRSA による VAP の素因および転帰を評価すること。

方法
当院の成人集中治療室 3 室で 4 年間にわたる前向き研究を実施した。MRSA による VAP 患者を他の細菌による VAP 患者と比較した。

結果
合計 474 件の細菌性 VAP エピソードを収集した。MRSA による VAP(111 件)と他の細菌による VAP(363 件)との比較で有意差が認められた因子は、年齢中央値(68 歳対 62 歳)、APACHE II スコア中央値(12 対 11)、脳神経外科手術(5.4%対 13.8%)、腹部手術(35%対 19%)、今回の入院での VAP 発症前の抗菌薬投与歴(82.9%対 64.5%)とイミペネム投与歴(24%対 11%)、および胸水(12%対 5%)であった。交絡因子で補正した多変量解析による MRSA の独立リスク因子は、APACHE II スコア高値、抗菌薬投与歴、および胸水であった。治療および転帰に関して MRSA による VAP と他の細菌による VAP との比較で差が認められた因子は、不適切な経験的治療(70%対 53%)、1 エピソードあたりの抗菌薬の費用の中央値(974 ユーロ対 726 ユーロ)、および院内死亡率(60%対 47%)であった。しかし多変量解析からは、MRSA は死亡の独立リスク因子であることは示されなかった。

結論
MRSA は、VAP の原因として高頻度にみられる。基礎疾患の重症度が高い場合は、VAP 患者の死亡率が高くなる。

サマリー原文(英語)はこちら

長期療養型施設から病院への入院および病院から長期療養型施設への退院は病院のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染率に影響を及ぼすか?

Do admissions and discharges to long-term care facilities influence hospital burden of Clostridium difficile infection?

R. Ricciardi*, J. Nelson, J.L. Griffith, T.W. Concannon
*Lahey Clinic, USA

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 156-161


背景
米国の病院におけるクロストリジウム・ディフィシル感染症(Clostridium difficile infection;CDI)アウトブレイクには、大規模な地理的集積性がみられることが報告されている。

目的
病院の CDI 感染率は、長期療養型施設から病院への入院、および病院から長期療養型施設への退院が関連するという仮説を検証すること。

方法
米国 19 州の退院データを利用して、2002 年 1 月 1 日から 2004 年 12 月 31 日に退院し、CDI と診断された全患者を特定した。各病院ごとに、全退院患者中の CDI と診断された患者の割合を算出し、90 パーセンタイルを超える病院を「高 CDI」病院に分類した。病院の CDI 感染率と、長期療養型施設からの入院患者および長期療養型施設への退院患者の割合との関連を検証した。その他の病院特性、疾患重症度、および地域住民の特性による補正を行った。

結果
3 年間の試験期間中に 38,372,951 例の退院が特定された。全退院のうち 274,311 例(0.71%)が CDI の一次診断または二次診断を受けていた。全病院の平均 CDI 感染率は退院 1,000 例中 7.8 例であった。高 CDI 病院(610 施設、10.0%)の平均 CDI 感染率は退院 1,000 例中 34.8 例であった。高 CDI 病院は、その他の病院と比較して長期療養型施設への退院および長期療養型施設からの入院の割合が高かった。その他の病院特性、疾患重症度、地域住民の特性で補正後も、同様の関連が認められた。

結論
長期療養型施設からの入院および長期療養型施設への転院の割合が高いことは、病院の CDI 感染率が高いことと関連する。

サマリー原文(英語)はこちら

台湾の医療従事者における水痘・帯状疱疹ウイルス感染:抗体保有状況、および水痘既往歴による抗体保有の予測

Varicella zoster virus infection among healthcare workers in Taiwan: seroprevalence and predictive value of history of varicella infection

M.-F. Wu*, Y.-W. Yang, W.-Y. Lin , C.-Y. Chang, M.-S. Soon, C.-E. Liu
*Changhua Christian Hospital, Taiwan

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 162-167


背景
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は、感染した医療従事者から同僚や患者に伝播する可能性がある。自己報告による水痘の既往歴が、VZV に対する免疫を有していることの証明であると見なされることがある。

目的
台湾の 3 次ケア病院の医療従事者を対象として、記憶に基づく VZV 感染歴と VZV 抗体陽性との関連を明らかにすること。

方法
2008 年 5 月から 2009 年 4 月に、台湾の 3 次ケア病院の全医療従事者が VZV IgG 検査を受け、水痘の既往歴またはワクチン接種歴に関する自記式質問票に記入した。抗体陰性の医療従事者にはワクチン接種を行った。

結果
病院の全医療従事者(3,733 名)が本研究に参加した。参加者の平均年齢は 34.6 歳、VZV 抗体陽性率は 91.1%であった。自己報告による水痘の既往歴の感度 82.3%、特異度 48.6%、陽性的中率 96.3%、および陰性的中率 14.4%であった。水痘ワクチン接種歴については、それぞれ 23.4%、69.4%、90.9%、および 6.5%であった。若年の医療従事者、および医療専門職(医師、看護師、およびパラメディカル)では、記憶に基づく水痘の既往歴の感度は高かった。しかし、有意に高い陽性的中率を示したのは、医療専門職の記憶に基づく既往歴のみであった。

結論
記憶に基づく水痘の既往歴およびワクチン接種歴は、防御抗体 VZV IgG の保有を証明するものではなく、記憶に基づく既往歴がないことは、免疫がないことを予測するものではなかった。院内感染を有効に予防するためには、全医療従事者の VZV IgG の保有状況を確認し、水痘に感受性を有する医療従事者に対してはワクチン接種を実施すべきである。

サマリー原文(英語)はこちら

急性期医療施設の高齢入院患者の医療関連感染症の予測因子としての栄養リスク

Nutritional risk as predictor for healthcare-associated infection among hospitalized elderly patients in the acute care setting

M.N. Gamaletsou*, K.-A. Poulia, D. Karageorgou, M. Yannakoulia, P.D. Ziakas, A. Zampelas, N.V. Sipsas
*National and Kapodistrian University of Athens, Greece

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 168-172


背景
栄養状態不良は、高齢入院患者の医療関連感染症の高い発症率と関連する。医療関連感染症リスクを有する患者の早期把握は重要である。Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)は、栄養関連合併症を予測するためのスクリーニング指標である。

目的
急性期医療施設の医療関連感染症の予測因子として GNRI を評価すること。

方法
急性期病院の内科に緊急入院した年齢 > 65 歳の連続症例合計 248例を登録した。入院時に、臨床所見および検査所見の評価、身体測定、performance status(PS)と GNRI スコアの評価を実施した。入院中の医療関連感染症を記録した。

結果
入院時の GNRI を用いた層別化により、患者の 53.8%は栄養関連合併症リスクなし、37.2%は低・中等度リスク、8.9%は高リスクに分類された。入院中に患者の 23.7%が医療関連感染症を発症した。医療関連感染症患者は死亡率が高く(P < 0.001)、入院期間が長かった(P < 0.001)。多変量解析からは、PS > 1(ハザード比[HR]2.08、95%信頼区間[CI]1.07 ~ 4.02、P = 0.03)および糖尿病(HR 2.57、95%CI 1.37 ~ 4.84、P = 0.003)と、医療関連感染症のリスク上昇との関連が認められたが、GNRI スコア高値には防御効果が認められた(1 単位増加あたりの HR 0.97、95%CI 0.95 ~ 0.99、P = 0.01)。栄養状態が良好な患者(GNRI > 98)は、入院中の医療関連感染症の非発症率が有意に高かった(P = 0.003)。

結論
GNRI により、高齢入院患者の医療関連感染症の発症リスクを正確に層別化することが可能である。

サマリー原文(英語)はこちら

タイの大学病院の新人医療従事者を対象としたツベルクリン皮内反応検査の 5 年間の前向き研究

Five-year prospective study of tuberculin skin testing among new healthcare personnel at a university hospital in Thailand

S. Kiertiburanakul*, S. Suebsing, P. Kehachindawat, S. Apivanich, S. Somsakul, B. Sathapatayavongs, K. Malathum
*Mahidol University, Thailand

Journal of Hospital Infection (2012) 80, 173-175


タイの病院の新人医療従事者を対象として、ツベルクリン皮内反応検査(TST)の陽性率および陽転率の判定を行った。2005 年から 2008 年に医療従事者 1,438 名に TST を実施し、陽性率は 66.3%であった。年齢、男性、および BCG 瘢痕は、TST 陽性と関連していた(すべて P < 0.05)。TST 陽転率は、医療従事者 100 人年あたり 4.8 名であった。活動性結核と診断された医療従事者は 9 名(0.6%)であった。タイの医療従事者に対する年 1 回のサーベイランスプログラムは、結核の早期診断および予防のために重要である。

サマリー原文(英語)はこちら

脳神経外科手術後のアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)による院内感染髄膜炎:カタールの Hamad General Hospital に入院した 6 症例の後向き研究

Nosocomial postneurosurgical Acinetobacter baumannii meningitis: a retrospective study of six cases admitted to Hamad General Hospital, Qatar

F.Y. Khan*, M. Abukhattab, K. Baager
*Hamad General Hospital, Qatar

Journal of Hospital Infection (2012) 80,176-179


本稿では、脳室ドレナージを留置する脳神経外科手術後に発症したアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)による院内感染髄膜炎 6 症例を報告する。手術から感染症発症までの平均期間は 27 日(標準偏差[SD]14)であった。3 例(50%)に多剤耐性、2 例(33%)にカルバペネム耐性が認められた。全患者が経験的抗菌薬治療を受け、このうち 5 例(83%)では適切な治療であった。抗菌薬治療の平均期間は 12.5 日(SD 2.4)であった。6 例中 2 例(33%)は入院中に死亡した。

サマリー原文(英語)はこちら

サイト内検索

Loading

アーカイブ

最新のコンテンツ

Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.