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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

感染制御における日光と自然換気の役割:これまでの研究と最新の展望

Roles of sunlight and natural ventilation for controlling infection: historical and current perspectives

R.A. Hobday*, S.J. Dancer
*8 Springvale, Cwmbran, Torfaen, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 271-282


背景
屋内での感染は、世界的に疾患や死亡の主要な原因となっている。感染の伝播様式を理解することは公衆衛生上、重要であるが、屋内での伝播に関する現在の知識はまだ十分なものではない。

目的
医療環境での感染制御における自然換気と日光の役割についてレビューすること。

方法
図書館の電子データベースを用いて包括的な文献検索を行い、検索語「感染(infection)」、「リスク(risk)」、および「病原体(pathogen)」を含み、かつ「換気(ventilation)」、「外気(fresh air)」、および「日光(sunlight)」について言及している英語論文を抽出した。英語に翻訳されている外国語の論文も対象とし、発表年は限定しなかった。

結果
外気と日光は感染リスクを低下させると考えられていたため、これまでの病院は南向きのガラス窓、自然通風、および高い天井を備えた設計が行われていた。自然換気は空気感染する病原体の伝播に対して防御的に働くことが、過去および現在の研究から示唆されている。空気感染する病原体に対する感染制御実践の妥当性を証明するためには、粒子径、飛散特性、および伝播リスクに関する研究をさらに推し進める必要がある。日光により感染への抵抗性が増大し、また過去の研究では表面のコンタミネーション除去に日光が役割を果たしている可能性が示唆されている。

結論
粒子の種類やその伝播様式の定義について一致した見解が得られていないこともあり、屋内での病原体伝播に関する現在の知識は不十分なものである。自然換気の効果に関する過去のデータを支持する新しいエビデンスが得られているが、日光についてはそのようなエビデンスはほとんどない。快適さを追求した現代の医療機関の建物の設計は、病原体の残存に好適である。有効な抗菌薬の数が減少していることから、空気感染する病原体の絶対リスクを明らかにするため、また外気と日光の取り込みを増加することで得られると考えられる有益性を明らかにするために、さらなる研究が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
自然換気や日光消毒が有効か否か、を 194 の過去の論文から考察したレビューである。自然換気や直接の日光には一定の効果が見られた。その中で目を引いたのは、窓やドアを開けて換気することは、時に換気装置が目指している 1 時間あたり 12 回の換気を上回ることが報告されていたことだった。同時に、窓を開けることは真菌の流入を促すことにもつながることにも言及されていた。

人工呼吸器関連肺炎の予防のための口腔内汚染の局所的除去:ランダム化対照試験のシステマティックレビューとメタアナリシス

Oral topical decontamination for preventing ventilator-associated pneumonia: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

J. Li*, D. Xie, A. Li, J. Yue
*Sichuan University, China

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 283-293


背景
口腔内汚染除去は、人工呼吸器関連肺炎の効果的な予防法であるとされている。

目的
本研究の目的は、48 時間を超えて人工呼吸器を使用する成人患者における、口腔内汚染除去の効果を評価することである。

方法
48 時間を超える人工呼吸器の使用を要する何らかの成人患者集団を対象として、口腔内汚染の局所的除去と、プラセボ、生理食塩液、または標準的な口腔ケアとの比較を行っているすべてのランダム化対照試験を評価した。

結果
合計 2,399 例を対象とした 16 件の試験を評価した。メタアナリシスからは、人工呼吸器関連肺炎の発生率が口腔用の局所消毒薬によって有意に低下したことが示された(リスク比[RR]0.66、95%信頼区間[CI]0.49 ~ 0.88)。抗菌薬による汚染除去について調査した試験では、iseganan を除くと、人工呼吸器関連肺炎は有意に減少していた(RR 0.27、95%CI 0.18 ~ 0.42)。消毒薬と抗菌薬はいずれも、全原因死亡率、人工呼吸器装着期間、または集中治療室(ICU)入室期間に影響を及ぼしていなかった。

結論
口腔内汚染除去により、人工呼吸器を使用している成人の人工呼吸器関連肺炎の発生率が低下したが、人工呼吸器使用患者の全原因死亡率、人工呼吸器装着期間、または ICU 入室期間には影響を及ぼさなかった。質の高い試験からの、さらなるエビデンスが必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発生率が減少した論文で使用された抗菌薬は、アムホテリシン B・トブラマイシン・ポリミキシン E が配合されたペースト、あるいはゲンタマイシン、コリスチン、バンコマイシンであった。消毒薬では、0.12% ~ 0.2%クロルヘキシジングルコンサン塩含有の含嗽液やジェル、希釈したポピドンヨードが使用されていたが、いずれも死亡率などのアウトカムにはこれらを使用しない口腔ケアを上回る効果は見いだせなかった。抗菌薬や消毒薬に頼らず、丁寧な口腔ケアを実施することが VAP 発生の予防につながると再認識させられた。

ESBL 大腸菌(Escherichia coli)感染のリスク因子:医師は保菌歴を有する患者の感染を予測できるか?

Risk factors for developing ESBL E. coli: can clinicians predict infection in patients with prior colonization?

T. Goulenok*, A. Ferroni, E. Bille, H. Lécuyer, O. Join-Lambert, P. Descamps, X. Nassif, J-R. Zahar
*Hôpital Necker-Enfants Malades, France

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 294-299


背景
基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ産生大腸菌(extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli;ESBLEC)による病院内感染が増加している。ESBLEC 保菌・感染のリスク因子が報告されているが、保菌歴を有する患者における ESBLEC 感染のリスク因子に関する情報は不足している。

目的
ESBLEC 保菌患者における感染のリスク因子を特定すること。

方法
2007 年から 2010 年にパリの Hôpital Necker-Enfants Malades で後向き研究を実施した。多変量モデルを作成し、ESBLEC 保菌が記録された後に ESBLEC 院内感染を認めた患者群と、ESBLEC 保菌患者である対照群との比較を行った(症例対照デザイン)。

結果
対象患者は合計 118 例で、このうち保菌と感染を有する患者は 40 例(成人 26 例、小児 14 例)、保菌のみの患者は 78 例(成人 51 例、小児 27 例)であった。保菌から感染までの期間中央値は 12.5 日(25% ~ 75%CI 5 ~ 40日)であった。ESBLEC 感染症として、尿路感染症(85%)、菌血症(7.5%)、および下気道感染症(7.5%)が認められた。多変量解析により、感染前の β-ラクタム系薬/β-ラクタマーゼ阻害薬投与(オッズ比[OR]3.2、95%CI 1.073 ~ 9.864、P = 0.037)および尿道カテーテル使用(OR 5.2、95%CI 1.984 ~ 13.569、P = 0.0008)が、保菌患者の ESBLEC 感染のリスク因子であることが示された。

結論
このようなリスク因子を特定することは、院内感染発生時に ESBLEC に対する抗菌薬投与が必要となる ESBLEC 保菌患者の特定に有用であると考えられる。特定の抗菌薬の使用を制限すること、および尿路カテーテル使用期間の管理が ESBLEC 感染の予防に有用と考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
保菌が感染に転じるときのリスク因子に注目した論文である。多変量解析では、感染前の β-ラクタム系薬/β-ラクタマーゼ阻害薬投与のみ有意差を示し、セファロスポリン、カルバペネム、アミノグリコシドなどでは有意差は示さなかった。本論文中でも触れられているが、ESBLEC の治療にはカルバペネムが選択されることが多く、β-ラクタム系薬/β-ラクタマーゼ阻害薬を投与することはむしろリスクであると考えられている。投与に至った背景については、論じられていなかった。
尿路カテーテルは、感染/保菌のリスク因子として知られており、挿入期間の長期化がリスク因子であるというのは、とても理解できる。ちなみに、この論文では、挿入期間は保菌群で 0.6 日、感染群で 4 日(中央値)であった。

英国の小児病院におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の出現

Emergence of carbapenem-resistant Enterobacteriaceae in a UK paediatric hospital

R.J. Drew*, J.F. Turton, R.L.R. Hill, D.M. Livermore, N. Woodford, S. Paulus, N.A. Cunliffe
*Alder Hey Children’s NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 300-304


背景
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌は、世界的な感染症の脅威をもたらしている。しかし、小児での臨床的重要性を示したデータはほとんどない。

目的
この後向き研究では、英国の大規模 3 次紹介小児病院の臨床サンプルおよびサーベイランスサンプルから培養したカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の保菌率および耐性機序について調査した。

方法
2011 年 9 月から 2012 年 8 月にリバプールの Alder Hey Children’s NHS Foundation Trust に提出された診断およびサーベイランス用サンプルを対象として、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌の検索を行った。表現型解析または分子的方法により耐性機序を特定した。Variable number tandem repeat 法によるプロファイルを用いてカルバペネマーゼ産生株のタイピングを行った。

結果
12 か月の研究期間中に、患者 24 例からカルバペネム耐性腸内細菌科細菌を分離した。このうち 5 株は診断用の臨床サンプル由来であり、患者 421 例中の 19 例(4.5%)がサーベイランスのための直腸スワブ検査で陽性であったものである。分離株 24 株中 7 株(いずれもクレブシエラ[Klebsiella]属菌)はカルバペネマーゼ産生菌(blaKPC 3 株、blaNDM 4 株)、17 株は AmpC または基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ活性と薬剤不透過性を併せ持つ耐性であった。

結論
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌、特にカルバペネマーゼ産生菌は、英国の大規模小児病院で感染症の問題を引き起こしている。これらの菌の拡散をモニターおよび制御するためには積極的サーベイランスが必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
Variable number tandem repeat 法は、従来の PFGE 法に比べ簡便かつ迅速に結果が得られるのが特徴の遺伝子型別法である。結果の数値化が可能であるため,検査施設間での比較が可能となると期待されている。一般の病院では、遺伝子解析は、その複雑な手法だけでなく設備や費用の障害もあり、アウトブレイク以外では、まだまだ身近な検査法ではなく、積極的なモニターに使用できる方法が出てきてほしいところである。

持続可能な継続的サーベイランスのためのデータソースの評価:英国における冠動脈バイパス術後の手術部位感染

Assessing data sources for sustainable and continuous surveillance: surgical site infections following coronary artery bypass grafts in England

C. King*, P. Aylin, A. Chukwuemeka, J. Anderson, A. Holmes
*Imperial College, London, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 305-310


背景
医療システムが欧州各地で収集している国や地域レベルのデータソースの中には、冠動脈バイパス術(CABG)に関する情報も含まれている。英国では現在、この患者集団の手術部位感染(SSI)のサーベイランスは義務化されていない。

目的
英国で現在利用可能な、CABG 施行患者の SSI サーベイランスのためのデータソースについて調査・比較すること。

方法
Cardiothoracic Surgery in Great Britain and Ireland(SCTC)Adult Cardiac Surgery Registry、英国健康保護局の SSI サーベイランス、および単一の大規模な英国国民保健サービス(NHS)トラストの Patient Administration System からデータを抽出した。患者識別コードを用いてこれらのデータの確定的な関連づけを行い、匿名化したうえで記述的分析を実施した。

結果
2011 年 1 月 1 日から 2011 年 6 月 30 日に、患者 306 例が CABG を受けたとして 1 つ以上のデータセットに記録されていた。これらの患者のうち 76%は調査対象とした 3 つのデータソースすべてに記録されていた。それ以外の記録状況が一貫していない患者では、5%がSCTCレジストリと Patient Administration System に、18%が英国健康保護局のサーベイランスと Patient Administration System に記録されていた。合計 28 件の SSI が記録されており、このうち 3 つのデータベースすべてに記録されていたのは 21%であった。

結論
現在、CABG 施行患者に関するデータを収集・蓄積しているデータベースには、重複や不一致が認められる。効率的で持続可能な電子サーベイランスシステムを構築するためには、不一致が認められる複数のシステムを統合することが推奨される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
この論文では、3 つのデータベースで収集されている CABG 施行患者のデータを、すべての患者が網羅されているか、データに抜けがないか、データは正しく収集されているかについて検討し、いくつかの問題点を明確にした。
日本でも、施設単位、学会、地域、国レベルで様々なサーベイランスが行われている。結果から対策や施策を導き出すためには信頼できるデータが必要であり、サーベイランス自体の評価は極めて重要である。
ちなみに、サーベイランスの評価の際、求められる因子には以下のようなものが挙げられる。簡便性、柔軟性、受容性、感度、陽性的中率、代表性、迅速性。

クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染の診断における遺伝子検査陽性の臨床的意義

Clinical relevance of a positive molecular test in the diagnosis of Clostridium difficile infection

I. Baker*, J.P. Leeming, R. Reynolds, I. Ibrahim, E. Darley
*North Bristol NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 311-315


背景
英国保健省は 2011 年、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染をより正確に診断するために、2 段階の検査法を用いるべきであることを推奨した。その際、具体的な検査プロトコールは確立されていなかった。

目的
入院患者の C. difficile 感染症例の臨床的特性を、毒素の酵素免疫測定法(EIA)で特定された症例と、PCR 陽性により特定されたが毒素 EIA 陰性であった症例で比較すること。

方法
2011 年から 2012 年の 6 か月間に North Bristol NHS Trust に提出された水様便 2,181 サンプルの毒素およびグルタミン酸脱水素酵素(GDH)を、EIA により検査した。毒素または GDH が EIA 陽性であった合計 215 サンプルを、Cepheid Xpert PCR 法で検査した。臨床的評価が可能であった入院患者 128 例を検査結果によりグループ分けし、その下痢の持続期間と 14 日死亡率を比較した。

結果
PCR 陽性かつ毒素 EIA 陰性の入院患者では、PCR 陽性かつ毒素 EIA 陽性の患者と比較して 14 日全原因死亡率が有意に低く(11%[95%信頼区間(CI)4% ~ 23%]対37%[95%CI 19% ~ 59%]、P = 0.01)、また長期間の下痢(> 5 日または死亡時まで持続)を認める患者の割合が少なかった(19%[95%CI 9% ~ 32%]対67%[95%CI 45% ~ 84%]、P < 0.001)。毒素 EIA 陽性は、死亡(オッズ比[OR]4.7、95%CI 1.4 ~ 15.4、P = 0.01)および長期間の下痢(OR 8.6、95%CI 2.9 ~ 25.6、P < 0.001)の有意な独立予測因子であったが、PCR 陽性(GDH の EIA 陽性の条件下)は予測因子ではなかった。

結論
PCR 陽性であるが毒素 EIA 陽性ではないことの臨床的意義は疑わしく、このような患者は毒素 EIA 陽性の患者と比較して、有意な死亡率の低下と症状持続期間の短縮がみられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
現在、国内で臨床検査として最も汎用されている C. difficile の検査法は、トキシン A/トキシン B、グルタミン酸脱水素酵素(GDH)を免疫クロマトグラフ法により同時に検出できる検査法と、古典的な培養法検査である。欧米では PCR 法が普及しているが国内では現在、臨床治験が行われている状況で、まだ体外診断薬としては国内導入されていない。
この論文では、PCR 陽性、毒素 EIA 陰性の患者では症状が出ていない保菌状態であることが多かったと記載されていたが、そもそも水様便を呈した患者の検体を用いた研究のため、この点に矛盾を感じた。

耐性か、適応か? 選択圧がない状態での「グルタルアルデヒド耐性」緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)分離株の感受性はどの程度か?

Resistance or adaptation? How susceptible is a ‘glutaraldehyde-resistant’ Pseudomonas aeruginosa isolate in the absence of selection pressure?

G. Kampf*, C. Ostermeyer, S. Tschudin-Sutter, A.F. Widmer
*Bode Chemie GmbH, Germany

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 316-318


グルタルアルデヒド感受性が低下した 1 回目および 5 回目の継代後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)分離株に対するグルタルアルデヒド溶液およびグルタルアルデヒドを主成分とする器具消毒薬の活性を、3 種類の濃度と 3 種類の温度下で調べた。1 回目と 5 回目の継代株の間に有意差は認められず、表現型適応が生じた可能性は低い。

サマリー原文(英語)はこちら

英国の小児熱傷センターにおける市中獲得型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)USA300 クローンの院内伝播の制御の成功

Successful control of nosocomial transmission of the USA300 clone of community-acquired meticillin-resistant Staphylococcus aureus in a UK paediatric burns centre

M. Patel*, H.C. Thomas, J. Room, Y. Wilson, A. Kearns, J. Gray
*Birmingham Children’s Hospital NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 319-322


英国の小児熱傷センターで 2010 年 1 月から 2 月に、市中獲得型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(community-acquired meticillin-resistant Staphylococcus aureus;CA-MRSA)の Pantone–Valentine 型ロイコシジン(PVL)陽性 USA300 クローンのアウトブレイクが発生した。患者 4 例、職員 2 例、患者の家族 1 例に保菌・感染が認められた。アウトブレイク株は当院の環境サンプルに認められた他の MRSA 分離株と同様の抗菌薬感受性を示したが、この環境分離株は患者 1 例と職員 1 例に同時に皮膚感染を認めた際に同定されたものであり、これ以外に環境分離株は検出されなかった。感染制御対策として、職員と患者のスクリーニングおよび除菌、環境サンプリング、清掃の強化などを実施した。無症状の職員および環境からアウトブレイク株が分離されたことから、英国の病院内では CA-MRSA が生存しており、流行をもたらす可能性が示唆される。

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2 種類のインターフェロンγ放出測定法により検出した中国の医療従事者の潜在性結核感染症有病率

Prevalence of latent tuberculosis infection among healthcare workers in China as detected by two interferon-gamma release assays

Z. Wei*, M. Yang, B. Quan, Y. Wang, Y. Wu, B. Ji
*Nankai University, China

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 323-325


中国の医療従事者は結核感染症のリスクが高い。本研究では、2 種類のインターフェロンγ放出測定法(IGRA)(QuantiFERON®-TB Gold In-Tube[QFT-GIT]と A.TB)およびツベルクリン皮内反応検査を用いて、ハルビンにある胸部疾患病院の医療従事者 210 名の潜在性結核感染症有病率を測定した。2 種類の IGRA による結果は、陽性率が 76.5%(QFT-GIT)と 65.7%(A.TB)であり、一致度は中等度であった。ツベルクリン皮内反応検査の判定に訪れた被験者は 50%未満であった。感染リスクは、患者への曝露に伴って上昇した。高リスク環境での結核感染症のモニタリングには、IGRA のほうがツベルクリン皮内反応検査よりも有用であると考えられる。

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セフロキシム前房内投与による術後眼内炎発生率の低下

Reduction in postoperative endophthalmitis with intracameral cefuroxime

J. Myneni*, S.P. Desai, D.G.R. Jayamanne
*Doncaster Royal Infirmary, UK

Journal of Hospital Hospital Infection (2013) 84, 326-328


術後眼内炎は白内障手術の合併症として、発生頻度は低いが深刻な転帰をもたらす。本報告では、イングランドの地域総合病院での 8 年間にわたる眼内炎発生率の動向と、この動向を改善するための試みについて述べる。2007 年に眼内炎アウトブレイクが発生したため詳細な調査を実施し、それに続いて治療方針の変更を行った。これまでのセフロキシム結膜下投与に代わって、セフロキシム前房内投与を導入した。「ペニシリンアレルギー」を有する患者へのセフロキシム前房内投与に関する調査を行い、安全であることが確認されたため、治療指針を変更した。その結果、眼内炎の発生率は 4 分の 1 に低下した。

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酢酸の抗菌活性と安定性

The antibacterial activity and stability of acetic acid

A.P. Fraise*, M.A.C. Wilkinson, C.R. Bradley, B. Oppenheim, N. Moiemen
*University Hospitals Birmingham NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 329-331


酢酸は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)などの微生物に対する良好な抗菌活性を有することが示されている。本研究では種々の病原性微生物に対する活性を調べるとともに、蒸発や、ドレッシング中の有機物による不活化に起因する抗菌活性の低下について評価した。酢酸は 0.166%という低濃度の希釈液でも活性を有し、また、蒸発や綿スワブによる不活化によって活性の低下はみられなかった。熱傷は医療資源の乏しい国々では頻発する問題であるが、酢酸は、そのような地域で治療を受ける患者に対して使用するには理想的な候補である。

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短波長紫外線自動室内消毒装置(Tru-D)の英国初の評価

First UK evaluation of an automated ultraviolet-C room decontamination device (Tru-D)

N. Mahida*, N. Vaughan, T. Boswell
*Nottingham University Hospitals NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 84, 332-335


Tru-D は短波長紫外線照射により微生物を殺滅させる自動室内消毒装置である。本装置を個室 6 室と手術室 1 室に配置した。通常の清掃後の空室の手術室では、Tru-Dは環境中のすべての微生物を根絶した。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)、多剤耐性アシネトバクター(Acinetobacter)属菌、またはバンコマイシン耐性腸球菌を人工的に播種したペトリ皿を用いて評価した場合のコロニー形成単位の平均 log10 減少値は、照射量 22,000 μWs/cm2 で 3 ~ 4 であった。本装置は移動と使用が容易で、室内の迅速な消毒が可能であった。これは、他の「非接触式」自動室内消毒装置に代わる実用的な技術であると考えられる。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.