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呼吸器および顔面の保護:最近の文献の批評的レビュー

Respiratory and facial protection: a critical review of recent literature

D. Bunyan*, L. Ritchie, D. Jenkins, J.E. Coia
*NHS National Services Scotland, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 165-169


感染性微生物は様々な経路で伝播し得る。伝播経路は病原体によって異なり、血液媒介感染、飛沫感染、空気感染、および接触感染などがある。一部の微生物は複数の経路で伝播する。通常の伝播経路が飛沫感染や空気感染である微生物に対しては、また「エアロゾルが発生する手技」の最中に浮遊粒子が生じた場合には、呼吸器および顔面を保護する必要がある。本稿は、Health Protection Scotland および Healthcare Infection Soceity が実施した、この分野の最近の文献の批評的レビューであり、医療従事者が呼吸器および顔面の防護具を使用する際のガイダンスを策定するための情報となるものである。

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呼吸器および顔面の防護具の使用に関するガイダンス

Guidance on the use of respiratory and facial protection equipment

J.E. Coia*, L. Ritchie, A. Adisesh, C. Makison Booth, C. Bradley, D. Bunyan, G. Carson, C. Fry, P. Hoffman, D. Jenkins, N. Phin, B. Taylor, J.S. Nguyen-Van-Tam, M. Zuckerman, The Healthcare Infection Society Working Group on Respiratory and Facial Protection
*Glasgow Royal Infirmary, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 170-182


感染性微生物は様々な経路で伝播し、一部の微生物は複数の経路で伝播し得る。飛沫感染や空気感染が通常の伝播経路である微生物に対して、また「エアロゾルが発生する手技」の最中などに浮遊粒子が人為的に生じた場合には、呼吸器および顔面を保護する必要がある。顔面および呼吸器の様々なレベルの保護機能を有する種々の個人防護具が入手可能である。最近の重症急性呼吸器症候群(SARS)およびパンデミックインフルエンザ(H1N1)2009 の経験から、医療従事者は自分が置かれた臨床的状況で、どのようなタイプの顔面および呼吸器の保護が適切であるかを選択することが困難であると考えられることが判明した。この問題に取り組むため、Healthcare Infection Society の Scientific Development Committee はガイダンス策定のための暫定作業部会を設置した。このガイダンスは、個別に発表された文献のレビューおよび専門家の合意に基づくものである。

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バンコマイシン耐性は腸球菌細菌尿の患者アウトカムに影響しない

Vancomycin resistance has no influence on outcomes of enterococcal bacteriuria

H.N. Khair*, P. VanTassell, J.P. Henderson, D.K. Warren, J. Marschall, for the CDC Prevention Epicenters Program
*Washington University School of Medicine, USA

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 183-188


背景
病院内でのバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症の問題は拡大しつつある。腸球菌尿路感染症に対するバンコマイシン耐性の影響は明らかにされていない。

目的
病院内での腸球菌細菌尿の疫学について述べるとともに、臨床像および患者アウトカムをバンコマイシン耐性の有無別に比較すること。

方法
本研究は、1,250 床の 3 次病院に入院した腸球菌細菌尿患者、または入院中に腸球菌細菌尿を発症した患者を対象とした 6 か月間の前向きコホート研究である。その臨床症状、診断検査、管理、および患者アウトカムについて調査した。

結果
腸球菌細菌尿患者 254 例を対象とし、このうち 160 例(63%)が女性であり、年齢中央値は 65 歳(範囲 17 ~ 96 歳)であった。細菌尿の合計 116 件(46%)は病院感染、145 件(57%)はカテーテル関連であった。半数以上の患者は無症候性細菌尿(119 例、47%)または腎盂腎炎(64 例、25%)のいずれかであり、51 例(20%)は分類不能の細菌尿、20 例(8%)は膀胱炎であった。二次血流感染症が 8 例(3%)に認められた。無症候性細菌尿患者 119 例中 70 例(59%)は抗菌薬投与を受けた(ほとんどがバンコマイシン)。VRE 細菌尿は 74 例(29%)であった。VRE 細菌尿およびバンコマイシン感性腸球菌(VSE)細菌尿における腎盂腎炎(19 例[25%]対 45 例[25%]、P = 0.2)、膀胱炎、および無症候性細菌尿の割合は同等であった。ICU 転室(VRE 10 例[14%]対 VSE 17 例[9%]、P = 0.3)、入院期間(6.8 日対 5.0 日、P = 0.08)、および死亡(10 例[14%]対 13 例[7%]、P = 0.1)などの患者アウトカムには、バンコマイシン感性の有無による相違はなかった。

結論
腸球菌細菌尿の入院患者の本コホートでは、バンコマイシン耐性は臨床症状に影響せず、また患者アウトカムにも影響しなかった。本コホートのほぼ半数は、腸球菌による無症候性細菌尿であった。これらの無症候性患者の 50%以上が不要な抗菌薬投与を受けていた。抗菌薬管理の取り組みにおいては、腸球菌細菌尿に対する過剰な治療を標的とすべきである。

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動脈カテーテル関連血流感染症:発生率、発症機序、リスク因子、および予防

Arterial catheter-related bloodstream infection: incidence, pathogenesis, risk factors and prevention

N. Safdar*, J.C. O’Horo, D.G. Maki
*William S. Middleton Memorial Veterans Hospital, USA

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 189-195


背景
動脈カテーテルは、重症患者の血行動態の管理および血液ガスのモニタリングに不可欠であるが、その感染症リスクについては十分に明らかにされていない。

目的
動脈カテーテル関連血流感染症(BSI)の発生率、発症機序、およびリスク因子を明らかにすること。

方法
1998 年から 2000 年に実施された 2 件の無作為化試験に参加した患者の動脈カテーテルを前向きに評価した。一方の試験は 1%クロルヘキシジン・75%アルコール溶液による血管内カテーテルのための皮膚消毒の効果、もう一方はクロルヘキシジン浸漬スポンジによるドレッシングの有効性を検討したものであり、いずれもカテーテル関連 BSI の予防効果を評価している。カテーテル抜去時に全症例を対象として、挿入部位の皮膚、カテーテルの部品、ハブ、および注入剤の定量的培養を行った。カテーテル関連 BSI の特定は、DNA の制限酵素切断片サブタイピングによるカテーテル分離株と血液培養分離株との一致に基づいて行った。動脈カテーテル関連 BSI のリスク因子を単変量解析を用いて特定した。

結果
対象とした動脈カテーテル 834 件(3,273 カテーテル日)のうち 109 件(13%)に保菌が認められ、11 件(1.3%、1,000 カテーテル日あたり 3.4 件)の菌血症を引き起こしていた。カテーテル関連 BSI の半数以上(63%)は、挿入部の皮膚から管腔外経路で獲得されたものであった。動脈カテーテル関連 BSI のリスクは、カフなし中心静脈カテーテル(CVC)の短期留置での報告(2.7%、1,000 CVC 日あたり 5.9 件)と同等であった。

結論
集中治療中の原因不明敗血症・菌血症患者では、動脈カテーテル関連 BSI の想定と除外も行う必要がある。最も頻度が高い経路は管腔外性であり、そのためクロルヘキシジンによる皮膚消毒やクロルヘキシジン浸漬ドレッシングなどの CVC による BSI を予防することが示されている新しい方法が、動脈カテーテルの場合にも有益であると考えられる。

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腎臓病患者の血流感染症:転帰不良および死亡のリスク因子

Bloodstream infections in patients with kidney disease: risk factors for poor outcome and mortality

L. Rojas*, P. Muñoz, M. Kestler, D. Arroyo, M. Guembe, M. Rodríguez-Créixems, E. Verde, E. Bouza
*Hospital General Universitario Gregorio Marañón, Spain

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 196-205


背景
腎臓病患者の血流感染症(BSI)に関する情報はわずかであり、その多くは特定の患者群から得られたものである。

目的
腎移植レシピエントや慢性腎不全患者(透析あり、またはなし)を含む、腎臓病患者の非選択集団における BSI の特性を評価した。

方法
大規模教育病院の腎臓病科を受診した全 BSI 患者を対象とした後向きコホート研究。事前に規定したプロトコールに従ってカルテレビューを行った。標準的な定義を使用した。

結果
全体で 155 件の BSI エピソードが 108 例に認められ、発生率は 1,000 入院あたり 77.3 件、100 患者年あたり 4.5 件であった。BSI 発生率が最も高かったのは血液透析患者であった。微生物の内訳は、グラム陰性菌 52.3%、グラム陽性菌 46.5%、および真菌 1.2%であった。最も高頻度に分離された微生物は大腸菌(Escherichia coli)(27%)であった。BSI の分類は、原因不明の菌血症(29.7%)、尿路感染症(23.2%)、血管アクセス感染症(17.4%)、およびその他(29.7%)であった。敗血症性ショックまたは多臓器不全が 18 例(11.6%)に発生し、持続性菌血症も同等の割合で発生した。粗死亡率は 14.6%であった。死亡のリスク因子は、Charlson 併存疾患指数高値、持続性菌血症、および発熱がないことであった。

結論
腎臓病患者、特に血液透析患者の BSI 発生率は高い。BSI エピソードの原因微生物として優勢なものはグラム陰性桿菌であった。腎臓病患者には BSI 関連の疾患および死亡が多くみられた。死亡のリスク因子は、Charlson 併存疾患指数高値および持続性 BSI であった。BSI エピソード中の発熱は保護的な因子であることが示された。

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胸骨の手術部位感染症の発生率、病因、および制御

Incidence, aetiology, and control of sternal surgical site infections

S.Ş. Yavuz*, Ö. Tarçın, S. Ada, F. Dinçer, S. Toraman, S. Birbudak, E. Eren, İ Yekeler
*Siyami Ersek Thoracic and Cardiovascular Surgery Hospital, Turkey

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 206-212


背景
胸骨の手術部位感染症(SSI)は生命を脅かす恐れがあり、その発生率を低下させるためにあらゆる方策を講じるべきである。

目的
開心術後の胸骨 SSI 発生率について調査すること、および感染制御介入による発生率低下効果を明らかにすること。

方法
2005 年から 2012 年に胸骨切開術を受けた成人患者を対象として、胸骨 SSI の前向きサーベイランスを実施した。研究期間中の感染制御介入として、セファゾリンまたはバンコマイシン予防投与、胸骨 SSI のサーベイランスとフィードバック、手術前の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の鼻腔内スクリーニングとムピロシンによる除菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染・保菌患者の隔離、手術前の血糖値の適切な管理、およびクロルヘキシジン/アルコールによる皮膚消毒などを、種々の時間間隔を置いて実施した。

結果
研究期間中の胸骨 SSI 発生率は 18,460 例中 479 件(2.59%)であった。胸骨 SSI の原因で最も多かったものは、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)(36%)および黄色ブドウ球菌(31%)であった。感染制御介入により、胸骨 SSI 発生率は 2005 年の 3.63%から 2012 年には 1.65%に低下した(P < 0.0001)。

結論
本研究から、適切な感染制御介入によって胸骨 SSI 発生率の低下が可能であることが示された。しかし、実施した介入は黄色ブドウ球菌による胸骨 SSI 発生率の低下にのみ有効であった。黄色ブドウ球菌による SSI の制御に成功した病院では CoNS が大半の胸骨 SSI の病原体となっており、CoNS による胸骨 SSI を制御するための介入方法を早急に明らかにする必要がある。

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人工関節感染症の治療コストに影響を及ぼす因子

Factors influencing the cost of prosthetic joint infection treatment

T.N. Peel*, A.C. Cheng, Y.P. Lorenzo, D.C.M. Kong, K.L. Buising, P.F.M. Choong
*University of Melbourne, Australia

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 213-219


背景
人工関節感染症は医療施設に甚大なコストをもたらす。既報では、人工関節感染症に対する特定の治療法のコストの評価は実施しているが、他のコスト推進要因の評価は行っていない。

目的
人工関節感染症の全治療コストを評価すること、および管理コストに関連する因子を特定すること。

方法
10 病院の患者 139 例を対象として、人工関節感染症の治療コストを 3 年間(2006 年 1 月から 2008 年 12 月)にわたって評価した。コスト計算の対象は、入院コスト、手術コスト、hospital-in-the-homeのコスト、および抗菌薬療法のコストとした。負の二項回帰分析を用いて、総コストに関連する因子をモデル化した。

結果
患者 1 例あたりの人工関節感染症の治療コスト中央値は 34,800 オーストラリアドル(四分位範囲 20,305 ~ 56,929)であった。治療コスト上昇の独立関連因子は、感染性再置換術(治療コストの 67%上昇、P = 0.02)、発症時の低血圧(70%上昇、P = 0.03)、複数菌感染(41%上昇、P = 0.009)、一期的関節置換術(100%上昇、P = 0.002)、および切除関節形成術(48%上昇、P = 0.001)であった。培養陰性の人工関節感染症は治療コスト低下(29%低下、P = 0.047)に関連していた。治療不成功は治療コストの上昇(156%)に関連していた。

結論
本研究により、治療コストに影響を及ぼす臨床的に重要な因子が特定された。これらの因子は政策立案者にとって、特に医療費償還の問題や、費用対効果に優れた予防戦略に関する今後の研究の運営との関連において重要であると考えられる。

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監訳者コメント
人工関節感染症は患者本人にとっても病院にとってもありがたくない合併症である。経済的なエビデンスを明らかにすることにより、より積極的な感染予防の取り組みが進むことを期待したい。

監訳者注:
Hospital-in-the-home(HiTH):入院が必要と考えられる患者の急性期ケア(抗菌薬静脈投与など)を在宅で行う、オーストラリアの医療サービス制度の 1 つ。
詳細は HiTH に関する団体のホームページを参照されたい(http://health.vic.gov.au/hith/)。

小児の手指衛生遵守に対する教育的介入の効果

Impact of an educational intervention upon the hand hygiene compliance of children

J. Randle*, J. Metcalfe, H. Webb, J.C.A. Luckett, B. Nerlich, N. Vaughan, J.I. Segal, K.R. Hardie
*University of Nottingham, Queen’s Medical Centre, UK

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 220-225


背景
手指衛生遵守は、医療関連感染の減少を図るための単一の方法として最も効果的なものである。小児は感染症に罹患しやすく、また伝播の仲介役を担っている。著者らはこのような観察結果に基づいて、小児の手指衛生遵守の改善のための行動変化により、感染性疾患の伝播が減少するという仮説を立てた。

目的
小児の手指衛生遵守の強化とそれに伴う感染率の低下を目的とした長期的な行動変化がもたらされる教育的介入法を開発すること。

方法
双方向の教育セッション中に実施したフォーカスグループにより、小児の感性(what children felt)は、彼らの手指衛生遵守の強化に重要であることが確認された。このことを教育用器材の設計に反映し、次いでこの器材の手指衛生遵守改善効果の評価を行った。開発の第一段階は、5 ~ 8 歳の小児を研究参加者としてイーストミッドランズの 2 か所の学校で実施した。さらにこの器材を医療環境で使用し、設置場所に関する柔軟性の評価を行った。

結果
フォーカスグループから、小児は双方向の学習に興味を示し、感染症の交差伝播に関する知識が身につき、手指衛生遵守の改善を他者に促すようになることが示された。微生物のスワブ検査では、感染のリザーバとなり得る小児の手指および環境表面には病原体が存在することが確認され、質問票の調査では、介入後に手洗いが強化されたことが示された。

結論
教育的介入は、手指衛生を強化し、感染症の伝播を減少させる可能性がある。

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監訳者コメント
小児の場合、学年は同じでも情動行動や知的水準のばらつきが多く、それらを数値データとして反映するには無理があるかもしれない。より高学年の生徒や学生のほうが、評価対象に向いてる可能性が高い。

呼吸器外科部門におけるセラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)による術後膿胸のアウトブレイク

Outbreak of postoperative empyema caused by Serratia marcescens in a thoracic surgery unit

A. Ulu-Kilic*, O. Parkan, S. Ersoy, D. Koc, D. Percin, O. Onal, G. Metan, E. Alp
*Erciyes University, Turkey

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 226-229


当院の呼吸器外科部門の集中治療室(ICU)で、2013 年 3 月 3 日から 19 日にセラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)による術後膿胸の症例数の増加が認められた。患者から胸水サンプルを採取し、手術室および ICU から環境サンプルを採取した。合計 8 株の分離株(胸水から 6 株、ICU の可動式吸引装置から 2 株)が S. marcescens として同定された。rep-PCR 法により、すべての分離株が同一であることが判明した。本稿は、汚染された可動式吸引装置が関連する S. marcescens アウトブレイクの最初の報告である。

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監訳者コメント
トルコからの報告である。感染源・感染ルートを併せて特定したクリアカットな事例である。基本的な感染予防や衛生管理の知識の徹底の重要性が理解できる。

入院時の基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌保菌:保菌率およびリスク因子

Extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae carriage upon hospital admission: prevalence and risk factors

P. Shitrit*, S. Reisfeld, Y. Paitan, B-S. Gottesman, M. Katzir, M. Paul, M. Chowers
*Meir Medical Centre, Israel

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 230-232


本研究の目的は、入院時の基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌科細菌保菌者の特定における監視培養の意義について評価すること、および保菌のリスク因子を特定することである。1 週間にわたる全入院を、この前向き横断研究の対象とした。
 スクリーニングを実施した患者 525 例中 56 例が ESBL 産生腸内細菌科細菌陽性であり、その半数はスクリーニングのみによって特定された。独立リスク因子として特定されたのは、ナーシングホーム入居、前年の入院、抗菌薬治療歴、および ESBL 産生腸内細菌科細菌保菌歴の 4 つであった。スクリーニングを実施した患者の 50%以上が 1 つ以上のリスク因子を有していた。1 つ以上のリスク因子を有する標的集団をスクリーニングすることにより、全陽性患者の中の 87.5%が特定された。

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監訳者コメント
介護施設と医療機関のいずれにおいても ESBL が拡散しており、先進国では問題となっている。どちらか一方の感染予防では、すでにままならない状況にまで至っている。医療機関は介護施設や老人保健施設等の感染予防の指導を行うことが必要である。

イタリアの新生児集中治療室における KPC 型カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)配列型 258 による保菌アウトブレイクの制御の成功

Successful control of an outbreak of colonization by Klebsiella pneumoniae carbapenemase-producing K. pneumoniae sequence type 258 in a neonatal intensive care unit, Italy

M. Giuffrè*, C. Bonura, D.M. Geraci, L. Saporito, R. Catalano, S. Di Noto, F. Nociforo, G. Corsello, C. Mammina
*University of Palermo, Italy

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 233-236


本稿では、イタリア・パレルモの新生児集中治療室(NICU)で発生した KPC 型カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)(KPC-Kp)の配列型(ST)258 による保菌アウトブレイクについて報告する。KPC-Kp ST258 は積極的監視培養プログラムにより検出された。アウトブレイク期間中の 2012 年 9 月 18 日から 11 月 14 日に入院した新生児 54 例中 10 例から KPC-Kp が分離された。感染症例は認められなかった。男児であることは保菌と関連していたが、スルバクタム・アンピシリン+ゲンタマイシン投与は保護的に作用した。新規入院に対するNICU 閉鎖の必要なしに、感染制御介入によって KPC-Kp の伝播は遮断された。

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監訳者コメント
MLST 258 型のアウトブレイク事例である。日本国内での KPC 型カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌の検出事例はこれまで少ないが、欧米諸国の広がり具合からすると注意が必要である。

デンマークにおけるブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)検査室曝露:前向き研究

Laboratory exposure to Brucella melitensis in Denmark: a prospective study

A. Knudsen*, G. Kronborg, J. Dahl Knudsen, A.-M. Lebech
*Hvidovre University Hospital, Denmark

Journal of Hospital Infection (2013) 85, 237-239


ブルセラ属菌(Brucella species)は、しばしば検査室感染の原因菌となる。本報告では、ブルセラ症非流行地域の大規模微生物検査施設で17名の検査室職員に発生したブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)検査室曝露に対する処置について述べる。著者らは米国疾病対策センター(CDC)のガイドラインに従っていたが、高リスク曝露に分類された 14 名の職員の中には曝露後予防薬投与を受けていた者はなかった。しかし、曝露を受けた検査室職員には、6 か月の追跡調査期間中にブルセラ症を発症した者はなく、採取した血清はすべて抗ブルセラ抗体陰性であった。したがって、通常の血清検査による追跡調査の意義は疑問視される。

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監訳者コメント
14 名の曝露事例をもとに抗体によるフォローアップ検査の実施を否定することは難しいと思われる。

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Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.