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医療従事者に手指衛生を想起させることを患者に奨励する戦略の有効性に関するシステマティックレビュー

Systematic review of the effectiveness of strategies to encourage patients to remind healthcare professionals about their hand hygiene

R. Davis*, A. Parand, A. Pinto, S. Buetow
*Imperial College London, St Mary’s Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 141-162


背景
患者が医療従事者に対して手指洗浄の実施を想起させることによって、医療従事者の手指衛生遵守の改善を支援することが可能である。

目的
医療従事者に手指衛生を想起させることについての患者の関与の増大を目的とした戦略の有効性を調査すること。

方法
1980 年から 2013 年の Medline、EMBASE、および PsycINFO を対象として、システマティックレビューを実施した。

結果
候補となった論文 1,956 報中 28 報を対象とした。これらのうち、23 報は患者を中心に据えた戦略の有効性を評価しており、5 報は仮想的な戦略に対する患者の態度について調査したものであった。16 報は単一要素の戦略(例、ビデオ)を、12 報は複合的なアプローチ(例、ビデオと小冊子の組み合わせ)を評価していた。全体的に、医療従事者に手指衛生を想起させることに対する患者の意図および/または関与の増大を支援するうえで、それらの戦略は有望であることが示されていた。医療従事者からの奨励が、最も有効な戦略のようであった。しかし、本総説が目的としたことへ言及するには、これらの論文の方法論的な質は全般的に低かった。

結論
医療従事者に手指衛生に関する問いかけを行うように患者を奨励する戦略は、多くのものが実施されている。より強固な評価項目を用いた良質な比較対照研究によって、最も成功する可能性が高い戦略は何であるか、またその理由について、理解が深まるであろう。

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監訳者コメント
医療における患者の参加は、様々な領域でもはや必須となっている。しかしその具体的な手法については、様々な試みがなされてはいるものの、どの方法が優れているのかエビデンスが確立しているわけではない。手指衛生向上において患者の参加を検討している病院は、本システマティックレビューを参考にし、その具体的な方法を検討するとよいだろう。

ノロウイルスのナーシングホームへの侵入経路および拡散のリスク因子:観察研究のシステマティックレビューおよびメタアナリシス

Norovirus introduction routes into nursing homes and risk factors for spread: a systematic review and meta-analysis of observational studies

M. Petrignani*, J. van Beek, G. Borsboom, J.H. Richardus, M. Koopmans
*Municipal Public Health Service Rotterdam-Rijnmond, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 163-178


ノロウイルスはナーシングホームに甚大な疾患および死亡をもたらしており、入居者および職員の発症率(attack rate)は高い。感染制御策の迅速な実施が重要である。本総説の目的は、ノロウイルスの感染源および侵入経路に関するエビデンス、および拡散に寄与する因子について評価することである。逆転写 PCR 法で確認されたアウトブレイクに関するピアレビューを受けた原著論文などを対象として、システマティックレビューを実施した。感染源、初発症例、伝播様式、発症率、アウトブレイク期間、およびリスク因子のデータを抽出した。発症率およびアウトブレイク期間を、侵入経路ごとに比較した。選択基準に基づいて、40 報のアウトブレイク報告および 18 報のサーベイランス研究を対象とした。ナーシングホームへのノロウイルスの侵入に関する系統的な情報はほとんど得られなかったが、アウトブレイク報告から得られたエビデンスにより、アウトブレイクは単独の初発症例から始まることが多いこと(57.5%)、入居者で発症率が高いこと(P = 0.02)が判明した。食物媒介性の侵入はアウトブレイク報告の7%に記載がみられ、その特徴は複数の初発症例が認められることであった。サーベイランス研究では、アウトブレイクのわずか 0.7%が食物媒介性と報告されており、28.5%はヒト-ヒト間伝播であり、70.8%は不明または記載がなかった。リスク因子分析から、伝播はベッドサイドケアおよび吐瀉物への曝露と関連することが示唆された。これらの知見から以下の推奨事項が導かれる。(i)アウトブレイク報告を標準化すること、(ii)早期発見および散発症例の隔離を改善すること、(iii)特に自立性が低い入居者を担当する職員の衛生状況を向上させること、および(iv)吐瀉物への曝露を回避するためのプロトコールを遵守すること。

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監訳者コメント
ノロウイルス感染症は医療施設はもちろん、集団生活を行う施設において非常にインパクトの大きな感染症である。本システマティックレビューで得られた知見に新規性はないが、各施設での今後のノロウイルス対策立案の際の文献的根拠として活用できるであろう。

大規模病院における KPC-2 産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)アウトブレイク:死亡率および PCR 法による KPC-2 のスクリーニングの影響の調査

Large hospital outbreak of KPC-2-producing Klebsiella pneumoniae: investigating mortality and the impact of screening for KPC-2 with polymerase chain reaction

T. Ducomble*, S. Faucheux, U. Helbig, U.X. Kaisers, B. König, A. Knaust, C. Lübbert, I. Möller, A.C. Rodloff, B. Schweickert, T. Eckmanns
*Robert Koch Institute, Germany

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 179-185


背景
多剤耐性 Klebsiella pneumoniae カルバペネマーゼ(KPC)-2 産生肺炎桿菌(K. pneumoniae)は、医療関連感染症の原因として世界的に増加しつつある。

目的
臨床的感染が死亡に及ぼす影響を調査すること、および KPC-2 特異的 PCR 法を使用することがアウトブレイク時の接触隔離実施までの期間に及ぼす効果を調べること。

方法
症例の定義は、2010 年 6 月から 2012 年 7 月に KPC-2 産生 K. pneumoniae の臨床的感染・保菌が認められた患者とした。症例の人口統計学的特性および医学的特性を記述し、感染と死亡との関連を、併存疾患および人口統計学的特性で補正して、頑健性のある標準誤差を用いた Poisson 回帰により評価した。培養に基づく方法と PCR 法を使用する方法による接触隔離実施までの期間を、Wilcoxon の順位和検定により比較した。

結果
検出された症例 72 例のうち、17 例(24%)は移植を実施しており、21 例(29%)は悪性腫瘍患者であった。全体で 35 例(49%)に臨床的感染がみられ、頻度の高い感染症は肺炎および敗血症であった。感染は死亡の独立リスク因子であった(リスク比 1.67、95%信頼区間 0.99 ~ 2.82)。接触隔離実施までの期間の中央値は、PCR 法 1.5 日(範囲 0 ~ 21 日)、培養に基づく方法 5.0 日(範囲 0 ~ 39 日)であった(P = 0.003)。培養に基づく方法を使用した症例の 48%(29 例中 14 例)では、間欠的に陰性所見が認められた。

結論
KPC-2 産生 K. pneumoniae は、主として重症患者に感染がみられた。症例の半数は臨床的感染症を発症しており、死亡リスクが高かった。PCR 法により隔離が迅速化し、保菌患者の予防策を実施する機会が得られることから、アウトブレイク時には早期に PCR 法を使用すべきである。KPC 検出パターンに関する知識を強化し、スクリーニング指針を修正するためには、さらなる研究が必要である。

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監訳者コメント
カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌は、広域抗菌薬であるカルバペネム系薬剤を分解する酵素を産生する耐性菌である。まだ日本ではまれであるが海外では増加しており、集中治療の必要な重症患者では、もともと病原性の強い菌であるうえに抗菌薬耐性となるため、1 度発症すると極めて重篤となる。本論文では、保菌症例の約半数が発症し、その 6 割が死亡するというデータである。耐性菌伝播は手指や環境を介して広がるため、早期発見と早期の隔離予防策が重要となる。遺伝子増幅検査(PCR)による早期スクリーニングは、感染拡大を防止するという点で、積極的サーベイランスの有効性を主張している。しかしながら、アウトブレイク時には対象が明確であるが、日常的な積極的監視スクリーニングは費用対効果を含め検討が必要である。

イランにおける救急部門の患者のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)株の分子解析および感受性パターンと、関連するリスク因子

Molecular analysis and susceptibility pattern of meticillin-resistant Staphylococcus aureus strains in emergency department patients and related risk factors in Iran

M. Rezaei*, R. Moniri, S.G.A. Mousavi
*Kashan University of Medical Sciences, Iran

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 186-191


背景
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は、病院内および市中の両方で拡大がみられる。MRSA の鼻腔内保菌が MRSA 感染のリスク因子であることが明らかにされている。

目的
MRSA 保菌のリスク因子および抗菌薬感受性パターンを評価し、救急部門の成人患者における MRSA の鼻腔内保菌率を明らかにすること。

方法
イラン・カーシャーン(Kashan)の病院の救急部門の患者 810 例を対象として、横断研究を実施した。MRSA 保菌のリスク因子に関する質問票に各患者が記入した。前鼻腔からサンプルを採取した。Multiplex PCR 法を用いた SCCmec タイピング、および PCR 法を用いた Panton-Valentine ロイコシジン(PVL)遺伝子検出を行った。アミカシン、クリンダマイシン、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、ペニシリン、トリメトプリム・スルファメトキサゾール、エリスロマイシン、テトラサイクリン、バンコマイシン、および cefoxitin に対する MRSA の感受性をディスク拡散法で判定した。

結果
黄色ブドウ球菌および MRSA の鼻腔内保菌者は、患者 810 例中 296 例(36.5%)および 26 例(3.2%)であった。そのうち、9 株(34.6%)、7 株(26.9%)、2 株(7.7%)、2 株(7.7%)、2 株(7.7%)、1 株(3.8%)、および 1 株(3.8%)の MRSA 分離株が、それぞれ V 型、III 型、I 型、IVb 型、IVh 型、II 型、および IVa 型に分類され、7 株(26.9%)は分類不能であった。PVL 遺伝子は検出されなかった。すべての MRSA 分離株が多剤耐性であった。

結論
入院歴、尿道および/または静脈カテーテルの使用と、MRSA 保菌との間に有意な関連が認められた。MRSA 鼻腔内保菌の疫学およびリスク因子に関するさらなる研究が、MRSA 感染の治療および予防の指針として有用となると考えられる。

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監訳者コメント
一般的に世界各国からの報告によれば、健常人での黄色ブドウ球菌の保菌率は 17% ~ 36%、MRSA の保菌率は 0.7% ~ 3.9%と、国あるいは母集団の違いにより異なる。本論文でのイランの保菌率は、黄色ブドウ球菌および MRSA ともに高く、MRSA 保菌者の半数が CA-MRSA で、ST 合剤やゲンタマイシンの耐性があるなどの特徴がある。日本でも入院患者の MRSA は SCCmec 型は Ⅱ 型から Ⅳ 型、すなわち HA-MRSA から CA-MRSA へと変化していることを考慮すると、今後、外来患者での黄色ブドウ球菌感染症では、CA-MRSA による感染症も考慮する必要がある。

南アフリカの公立医療機関の外来診療所における空中浮遊結核菌(Mycobacterium tuberculosis)曝露を検出するためのパイロット研究

Pilot study to detect airborne Mycobacterium tuberculosis exposure in a South African public healthcare facility outpatient clinic

O. Matuka*, T.S. Singh, E. Bryce, A. Yassi, O. Kgasha, M. Zungu, K. Kyaw, M. Malotle, K. Renton, L. O’Hara
*National Institute for Occupational Health, South Africa

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 192-196


背景
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の空気感染は依然として労働衛生上の危険であり、人が多く医療資源が乏しい医療環境では特に問題となっている。

目的
南アフリカ・ハウテン州(Gauteng)の多忙な外来診療所で、空中浮遊結核菌の定量的測定を行うこと。

方法
総合診療部門および管理事務室の静止空気サンプルおよび医療従事者からのサンプルを採取した。定量的リアルタイム PCR 法を用いて空中浮遊結核菌を検出した。現場視察の結果および医療従事者の業務実践についての記録も行った。

結果
全体で、結核菌は 49 サンプル中 11 サンプル(22.4%)で検出され、内訳は医療従事者から 25 サンプル中 9 サンプル(36%)、静止空気 24 サンプル中 2 サンプル(8.3%)であった。医師 10 名中 5 名(50%)、看護師 13 名中 3 名(23%)のサンプルが陽性であった。別の日に実施した再検査の結果にはばらつきがみられた。陽性結果を示した医療従事者の大半(87.5%)は咳のある患者と接触しており、いずれも研修を実施したにもかかわらずマスクを装着していなかった。

結論
定量的リアルタイム PCR 法とエアサンプリングの併用は、結核菌への曝露リスク評価のための簡便かつ有効なツールである。本知見は、結核の感染予防・制御対策を強化する病院の取り組みを推進するものである。

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監訳者コメント
南アフリカは結核の高蔓延国であり、10 万人当たりの罹患率は 2013 年でおよそ 850 人と推定され、耐性結核のリスクも高い(WHO、2014)。外来での結核患者の診療機会も、医療従事者への曝露事例も、また医療従事者自身がすでに結核罹患患者であることも多いわけであるが、そのような環境の中、本研究のように診療環境や医療従事者の呼気中から結核菌がしばしば検出されたことは、空気感染のリスクに関する具体的な定量的評価の 1 つといえ、非常に興味深い。結核が普遍的に存在する環境での、マスク装着による防護効果を評価したデータとしても価値あるものといえる。

中央アジアにおけるユニバーサルプリコーション:この機会をとらえた複合的戦略の必要性

Universal precautions in Central Asia: the need for multiple strategies in this window of opportunity

Z. Nugmanova*, N. Patel, A. Nurbakhyt, G.M. Akhmetova, N. Kov-tunenko, Z. Trumova, L-A. McNutt
*Kazakh National Medical University, Kazakhstan

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 197-201


背景
普遍的予防策(ユニバーサルプリコーション)の導入は依然として世界的な関心事である。低・中所得国では、防護具の不足、臨床医の研修の欠如、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の流行の拡大などによって問題が悪化している。

目的
HIV のリスクとユニバーサルプリコーションの使用に関する医学生の認識について述べるとともに、血液・体液への近年の曝露状況を明らかにすること。

方法
2013 年に新たに導入された感染制御課程を受講したカザフスタンの医学生を対象として、横断研究を実施した。参加者は、血液・体液に対する予防策の使用と曝露状況に関する調査票に記入するとともに、HIV に対する姿勢について調査を受けた。二変量解析により、ユニバーサルプリコーションに対する姿勢および自己申告による行動・曝露に関連する因子を特定した。

結果
参加者 785 名のうち、半数(49.6%)は患者の診療時の HIV 感染に「多大な懸念」を表明し、40.5%の学生は、臨床医は HIV 感染を恐れて HIV 陽性患者の治療を拒否することがあると考えていた。予防策については、常に手袋を着用すると回答した学生は半数のみ(51.5%)であり、常にマスクや目の防護具を使用すると回答した生徒はさらに少なかった。10.1%の学生は、汚染した血液・体液に曝露されたことがあると回答した。

結論
本知見は、ユニバーサルプリコーションを改善し、感染症への恐れを少なくするための介入が緊要であることを強調するものである。透明性に関する文化的な障壁というものを考慮すると、さらに懸念されるのは、これらのデータは問題の真の大きさを過小評価している可能性があることである。

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監訳者コメント
すべての患者の体液・排泄物は感染源と考えるユニバーサルプリコーションは現在、より広い概念であるスタンダードプリコーション(標準予防策)として扱われている。しかし本論文では、中央アジアにおいては、このような普遍的予防策の実施に関する環境は非常に厳しいものであることを指摘している。物質的な側面ばかりでなく、文化的、意識的な課題も大きいことがうかがえる。

ベルギー、オランダ、およびドイツの病院環境における医療従事者のインフルエンザワクチン接種意思の社会認知的予測因子

Sociocognitive predictors of the intention of healthcare workers to receive the influenza vaccine in Belgian, Dutch and German hospital settings

B.A. Lehmann*, R.A.C. Ruiter, D. van Dam, S. Wicker, G. Kok
*Maastricht University, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 202-209


背景
医療従事者のインフルエンザワクチン接種は、脆弱な患者へのインフルエンザ伝播を予防するために推奨されている。それにもかかわらず、欧州諸国の医療従事者のワクチン接種率は依然として低い。

目的
医療従事者がインフルエンザワクチンを受ける動機を説明するための社会認知的因子の相対的および複合的強度を、これまでの研究、理論、および定性的研究から調査すること。

方法
無記名式のオンライン質問票を、2013 年 2 月から 4 月にベルギー、ドイツ、およびオランダの病院の医療従事者に送付した。

結果
姿勢およびワクチン接種歴によって、医療従事者のインフルエンザワクチン接種意思の分散のかなりの程度が説明された。また、低い社会規範認識、不作為バイアス(omission bias)、低い道徳規範、高齢、患者との接触なし、およびベルギー人またはオランダ人(ドイツ人との比較)の場合は、インフルエンザワクチン接種意思がない割合が、ワクチン接種意思が未定である割合と比較して増加した。医療従事者がインフルエンザに罹患しやすいことを強く認識している場合、自然主義的な考え方が小さい場合、および自衛のためだけにワクチンを接種するという動機が小さい場合には、インフルエンザワクチン接種意思がある割合が、ワクチン接種意思が未定である割合よりも高いことが示された。

結論
国を単位とした介入、および医療従事者のインフルエンザワクチン接種意思の有無に応じた種々の社会認知的因子を注視することが、ワクチン接種の推進に有益であると考えられる。

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監訳者コメント
日本の医療従事者と比較して、欧米では医療従事者のインフルエンザワクチン接種率が低く問題視されている。なぜこのギャップが生じているのかは不確かではあるが、学童期の集団接種世代を経ているためかもしれない。

客観的臨床能力試験時の学生の性格特性と手指衛生遵守との関連

Association between students’ personality traits and hand hygiene compliance during objective standardized clinical examinations

K. Schüttpelz-Brauns*, U. Obertacke, J. Kaden, C.I. Hagl
*University Medicine Mannheim, Medical Faculty Mannheim at Heidelberg University, Germany

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 210-214


背景
手指衛生の必要性は広く受け入れられているが、不適切な遵守を報告する研究が続いている。医学生は院内感染予防のための手指衛生の重要性について教えられており、正しい手指衛生手順の研修を受けている。しかし、性格特性(社会的志向および達成志向)が手指衛生遵守に影響を及ぼす可能性がある。社会的志向の高い人は、社会的な責任を感じ協力的に行動し、達成志向の高い人は野心的かつ競争心が強い。

目的
医学生の手指衛生遵守と性格特性との関連を評価すること。

方法
学生 155 名の手指衛生遵守状況を客観的臨床能力試験(OSCE)時に観察した。社会的志向および達成志向を、フライブルク性格検査改訂版(Freiburg Personality Inventory - Revised)の対応する尺度を用いて測定した。

結果
社会的志向は、手指衛生遵守率の高い学生と手指衛生遵守率の低い学生で相違がみられなかった(F(1) = 3.87、P = 0.052、η2 = 0.045)。達成志向には手指衛生遵守率の低い学生と高い学生との間に中等度の影響が認められ(F(1) = 11.242、P = 0.001、η2 = 0.119)、手指衛生遵守率の高い学生は、手指衛生遵守率の低い学生よりも達成志向が強いことが認められた。

結論
達成志向が OSCE 時に大きな役割を果たすのに対して、社会的志向は影響がそれほどみられない。著者の知る限り、これは学業達成場面において手指衛生遵守が達成志向と関連していることを示した初めての研究である。

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監訳者コメント
人間行動学は、いかにも難しい。

種々の手指乾燥法の比較:空気媒介微生物の拡散およびそれによる汚染の可能性

Comparison of different hand-drying methods: the potential for airborne microbe dispersal and contamination

E.L. Best*, K. Redway
*Leeds Teaching Hospitals NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 215-217


手指の効果的な洗浄・乾燥法は、微生物伝播を予防するうえで重要である。しかし、手指乾燥法ごとの微生物汚染の可能性に関する知見は少ない。本研究では、4 種類の方法(ペーパータオル、ローラータオル、温風乾燥機、およびジェット空気乾燥機)による手指乾燥時の空気媒介微生物の拡散の可能性を、3 つのモデルで評価した。ジェット空気乾燥機(最大 1.5 m)によって、他の乾燥方法(最大 0.75 m)よりも、使用者の手指から液体がより遠く広い範囲に拡散した。このことは、特に手指洗浄が不十分な場合に、空気媒介微生物の拡散のリスクは異なっている可能性を示している。

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監訳者コメント
科学的根拠と臨床実務の合間で、何が適切な運用なのかを過敏にならずに見極める必要がある。ジェット空気乾燥機は一般社会の公共施設などには向いているかもしれないが、医療機関には不向きであることを示している。

市販のニードルフィルタ使用による不十分な微生物回収

Limited retention of micro-organisms using commercialized needle filters

W. Elbaz*, G. McCarthy, T. Mawhinney, C.E. Goldsmith, J.E. Moore
*Belfast City Hospital, Belfast Health and Social Services Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2015) 89, 218-220


市販の 0.2 µm フィルタ付硬膜外セットのニードルフィルタと、フィルタなしの標準的なニードルを比較する研究を実施した。0.2 µm フィルタによるろ過後の培養では、細菌は検出されなかった。フィルタ付ニードル(細孔サイズ 5 µm)とフィルタなしニードルでは細菌のブレイクスルーが観察された。細菌の完全な回収を達成するためには、フィルタ付システム(0.2 µm)を採用すべきである。この結果は、細孔サイズの異なるフィルタシステムは細菌の回収性能が異なることを示している。医療従事者は、製造者が使用する説明書からはフィルタの種類や性能についてどのようなことが読み取れるかを認識し、ニードルを介する細菌伝播を予防するうえで望ましい機能性が仕様書に記載されているかどうかを評価する必要がある。

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監訳者コメント
フィルタ径とその加工精度の問題である。
ろ過性能はあくまでも平均的なものであり、より高いろ過性能を求めるのであればレベルの高いものを複数枚使用する必要がある。5 µmは細菌ろ過ではなく、ガラスやゴムの切り屑などのトラップには有用である。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.