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冷却スプレーによる静脈内カニューレ挿入前の皮膚の無菌性への効果

Effects of vapocoolant spray on skin sterility prior to intravenous cannulation

J.G. Evans*, D. McD. Taylor, F. Hurren, P. Ward, M. Yeoh, B.P. Howden
*Austin Hospital, Australia

Journal of Hospital Infection (2015) 90, 333-337


背景
冷却用アルカンスプレーは迅速に蒸発して皮膚温度を下げ、疼痛感覚の一時的な緩和をもたらす。このスプレーは、静脈内カニューレ挿入による疼痛を抑制する。しかしこのスプレーによって、滅菌したカニューレ挿入部位が再汚染する可能性が懸念される。

目的
冷却スプレーによるカニューレ挿入前の皮膚の無菌性への効果を明らかにすること。

方法
都市部の大規模 3 次病院の救急部門の患者 50 例を本研究に登録した。各患者の両手背から細菌培養のための皮膚スワブを採取した。一方の手から標準的なクロルヘキシジン消毒後にスワブ採取し、冷却スプレー噴霧後に第 2 スワブを採取した。もう一方の手からは前処置をせずに(消毒なし)皮膚スワブを採取し、冷却スプレー噴霧後に第 2 スワブを採取した。皮膚スワブを微生物学的培養および定量的比較のために送致した。

結果
皮膚消毒後の冷却スプレー噴霧による細菌コロニー数の有意な増加はみられず、中央値は 0.0(四分位範囲[IQR]0.0)対 0.0(IQR 0.0)であった(P = 0.71)。前処置なしの皮膚に対する冷却スプレー噴霧により細菌コロニー数は有意に減少し、中央値は 33.5(IQR 68)対 3.0(IQR 11)であった(P < 0.001)。

結論
冷却用アルカンスプレーにより消毒後の皮膚の再汚染は生じず、消毒後の静脈内カニューレ挿入前に鎮痛剤として使用した場合のリスク上昇はないと考えられる。このスプレーは殺細菌活性を有しているが、単独で消毒剤として使用するには不十分である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
救急現場での末梢血管カテーテル挿入時の疼痛軽減に冷却スプレーを使用することが有効であるとの報告(Hijazi R, et al. BMJ 2009;338:b215)はすでにあるが、スプレー時の皮膚への細菌汚染が懸念されている。本論文は冷却スプレー時の皮膚への細菌汚染の影響を検証したものであるが、冷却スプレー使用による皮膚汚染の影響はないとする結果であった。冷却スプレーは、生検前の皮膚の局所麻酔の前処置として(Collado-Mesa F, et al. Clin Radiol 2015;70:938)も使用されており、医療処置時の疼痛軽減に有効とされている。本研究で使用された冷却スプレーはスポーツ等での筋肉痛や外傷時の応急処置に使用されているものである。日本でも同様の目的で頻用されているが、医療現場での穿刺時の疼痛軽減に関しては局所麻酔薬を含む皮膚貼付フィルム剤の使用が一般的である。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.