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抗菌薬耐性 ―国家的(および国際的)リスクの高まり

Antimicrobial resistance — a ‘rising tide’ of national (and international) risk

J. Cole*
*Royal United Services Institute for Defence and Security Studies, UK

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 3-4


No Abstract.

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監訳者コメント
グローバルな視点に立って耐性菌の課題を突きつけている提言である。テロも怖いが耐性菌も深刻な問題であると指摘している。生命予後ならびに経済的損失についても推計値をもとに解説している。

NICE のガイドライン認定の利益

Benefits of NICE accreditation for guidelines

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 5-6


No abstract.

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医療関連感染症を予防するための抗菌性表面:システマティックレビュー

Antimicrobial surfaces to prevent healthcare-associated infections: a systematic review

M.P. Muller*, C. MacDougall, M. Lim and the Ontario Agency for Health Protection and Promotion (Public Health Ontario) the Provincial Infectious Diseases Advisory Committee on Infection Prevention and Control (PIDAC-IPC)
*St Michael’s Hospital, University of Toronto, Canada

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 7-13


病原微生物による医療環境の汚染は、医療関連感染症(HCAI)の負担をもたらす。抗菌性表面は、医療環境表面の微生物汚染を低減するためにデザインされている。我々は、抗菌性表面が、HCAI、抗菌薬耐性菌の伝播、または抗菌薬汚染を防ぐかどうかを明らかにすることを目的として、病室における抗菌性表面の使用についてシステマティックレビューを実施した。転帰評価項目は、HCAI、抗菌薬耐性菌、および定量化した微生物汚染などとした。関連するデータベースを検索した。抄録のレビュー、フルテキストのレビュー、およびデータ抽出を 2 回行った。バイアスのリスクを Cochrane Effective Practice and Organization Care(EPOC)Group のバイアスリスク評価ツールを用いて評価し、またエビデンスの強さを Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)を用いて判定した。11 件の研究、銅(7 件)、銀(1 件)、合金(1 件)、または有機シラン処置(2 件)の表面が微生物汚染に及ぼす影響を評価していた。銅表面は、中央値(範囲)で微生物汚染の 1 log10(< 1 ~ 2 log10)未満の減少を示していた。2 件の研究は、HCAI/抗菌薬耐性菌の発生率を取り上げていた。ICU 1 施設における銅表面の無作為化臨床試験では、HCAI の 58%の減少(P = 0.013)、および抗菌薬耐性菌伝播の 64%の減少(P = 0.063)が示されたが、不適切な無作為化と不完全な盲検化のためにエビデンスの質は低いと見なした。長期療法病棟における銅浸漬布の非対照の前後研究では、HCAIの 24%の減少が示されたが、研究デザインに基づいてエビデンスの質は極めて低いと見なされた。臨床環境における銅表面の使用により、微生物汚染のわずかな減少が認められている。銅表面の 1 件の研究と、銅浸漬布の 1 件の研究では HCAI の減少が示されたが、いずれもバイアスのリスクが高かった。

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監訳者コメント
環境表面に“抗菌性”物質を使用した場合の医療関連感染予防効果について論文調査した報告である。結論としては、関連文献の研究の質が低く十分な評価に値しないとしている。抗菌成分が環境表面に使用されていてもバイオバーデンとして付着している場合、汚染物質の内部までその効果が浸透することは難しく、液体系消毒薬などよりは効果がはるかに低く時間がかかることが想定される。

病院内のマットレスの用手洗浄:資源の豊富な環境と乏しい環境を比較する観察研究

Manual cleaning of hospital mattresses: an observational study comparing high- and low-resource settings

J. Hopman*, B. Hakizimana, W.A.J. Meintjes, M. Nillessen, E. de Both, A. Voss, S. Mehtar
*Radboud University Medical Center, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 14-18


背景
医療関連感染症は、資源の乏しい環境では、資源の豊富な環境よりも高い頻度で認められる。資源の乏しい環境における医療関連感染症予防を強化するための、実施可能かつ持続可能なアプローチを明らかにし、実施する必要がある。

目的
定期的に清掃を行っているマットレスの生物学的汚染を、資源の豊富な環境と乏しい環境で評価すること。

方法
2 段階の本観察研究では、定期的なベッドの用手洗浄について、大学病院 2 施設でアデノシン三リン酸(ATP)を用いて評価した。清掃担当者に対する標準化した訓練を、資源の豊富な環境と乏しい環境の両方で実施した。清掃プロセスの質的分析を行って、資源の乏しい環境における清掃成績の予測因子を明らかにした。

結果
資源の乏しい環境のマットレスは、清掃前の汚染度が高かった。清掃により、資源の乏しい環境のマットレスの生物学的汚染が有意に減少した(P < 0.0001)。訓練後、資源の豊富な環境と乏しい環境の両方において、清掃後に認められた汚染は同等のようであった。適切な種類の清掃用具を用いた清掃により、マットレスの汚染は十分に減少した。資源の乏しい環境において汚染が残るマットレスの予測因子は、使用した用具の種類、病棟の種類、訓練、および清掃前の汚染度などであった。

結論
資源の乏しい環境では、ATP レベルで示されたようにマットレスは高度に汚染されていた。訓練されたスタッフによる定期的な用手洗浄は、資源の豊富な環境と同様に資源の乏しい環境でも効果的となり得る。我々は、院内清掃スタッフの訓練、患者間で十分な時間をおいた清潔なベッドの使用、および正確な種類の清掃用具の適用などからなる、多面的な清掃戦略を推奨する。

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監訳者コメント
オランダと南アフリカ共和国の資源が豊富かどうかという観点での病院マットレスの衛生状態の評価の比較である。実務者指導が低資源国においても感染予防に繋がる可能性を説いている。

アルジェリアの病院環境における無生物表面からの NDM-1 産生および OXA-23 産生アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)分離株の特性分析

Characterization of NDM-1- and OXA-23-producing Acinetobacter baumannii isolates from inanimate surfaces in a hospital environment in Algeria

K. Zenati*, A. Touati, S. Bakour, F. Sahli, J.M. Rolain
*Aix-Marseille-Université, France

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 19-26


背景
多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)感染症による複数のアウトブレイクの調査により、病院内の無生物環境の汚染が、これらの多剤耐性株の拡散に関与している可能性が示された。

目的
アルジェリアの病院環境における、無生物表面でのカルバペネム耐性 A. baumannii の発生、ならびに起こり得る院内環境での拡散について、ヒトでの感染源である可能性を検討すること。

方法
A. baumannii 株を病院内環境から分離し、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)により同定した。抗菌薬感受性を、ディスク拡散法および E テストを用いて評価した。カルバペネマーゼ活性を、修正 Hodge テスト、修正 Carba NP テスト、および EDTA テストなどの微生物学検査を用いて検出した。カルバペネム耐性の決定因子を、PCR 法および配列決定により検討した。クローン関連性を、multi-locus sequence typing(MLST)法を用いて判定した。

結果
計 67 株の A. baumannii 分離株を環境サンプル 868 個から回収し、MALDI-TOF MS により同定した。このうち、61 株がイミペネム耐性で最小発育阻止濃度が32 μg/mL 超であり、修正 Hodge テストおよび修正 Carba NP テストで陽性であった。さらに、カルバペネマーゼ活性は、32 株で EDTA により阻害された。PCR および配列決定により、29 株で blaOXA-23 遺伝子、32 株で blaNDM-1 遺伝子が認められた。MLST により、5 つの ST タイプ(ST19、ST2、ST85、ST98 および ST115)が認められた。

結論
本研究により、患者、医療従事者および訪問者を取り巻く病院環境内における無生物表面から回収されたカルバペネマーゼ産生 A. baumannii 株の拡散は、アルジェリアにおいて院内感染症の感染源である可能性が示された。

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監訳者コメント
OXA-51 と NDM-1 の遺伝子を有する株が多数の環境表面から検出され、それらはすべて ST85 であった。PFGE での相同性の確認があれば、同一の菌株であることがわかり、感染対策に生かすことができ、なおよかったのでは、と考えられた。

腎移植集中治療室における、環境と関係する可能性のあるメタロ-β-ラクタマーゼ産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の伝播

Transmission of metallo-β-lactamase-producing Pseudomonas aeruginosa in a nephrology-transplant intensive care unit with potential link to the environment

V. Ambrogi*, L. Cavalié, B. Mantion, M.-J. Ghiglia, O. Cointault, D. Dubois, M.-F. Prère, N. Levitzki, N. Kamar, S. Malavaud
*CHU Toulouse, France

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 27-29


緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、流し台や蛇口など、多くの様々な感染源から回収されている。緑膿菌は院内感染症の主要原因菌の 1 つであり、抗菌薬耐性の高まりによる病院内の環境リザーバは大きな懸念である。本稿で我々は、腎集中治療室における VIM カルバペネマーゼを発現する緑膿菌による感染症の 5 症例からなるクラスターについて報告する。本調査により、VIM カルバペネマーゼは汚染された蛇口に関連した手指を介して伝播することが示された。VIM カルバペネマーゼは、環境リザーバが存在する場合は、他の患者に交差感染する可能性がある。流し台と蛇口はよく考えてデザインし、完全な清掃および消毒を行うべきであり、また擦式アルコール製剤の使用を促進すべきである。

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監訳者コメント
典型的な緑膿菌の伝播経路の 1 つについて調査した報告である。バイオフィルムを産生する緑膿菌の場合、ことに除染はやっかいである。時として蛇口や配管の交換が必要な場合もある。蛇口や排水溝の存在そのものがこうした施設内伝播する汚染菌発生源となるためエンジニアリングによる改善が求められる。

重症の外傷患者におけるエリザベトキンギア・メニンゴセプティカ(Elizabethkingia meningoseptica)感染:7 年間の研究

Infections due to Elizabethkingia meningoseptica in critically injured trauma patients: a seven-year study

N. Rastogi*, P. Mathur, A. Bindra, K. Goyal, N. Sokhal, S. Kumar, S. Sagar, R. Aggarwal, K.D. Soni, V. Tandon
*JPNA Trauma Centre, All India Institute of Medical Sciences, India

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 30-32


エリザベトキンギア・メニンゴセプティカ(Elizabethkingia meningoseptica)は、病院感染のまれな原因である。本研究ではレベル I の外傷センターの 7 年にわたる E. meningoseptica 感染の臨床的および微生物学的特性を報告する。臨床検体から E. meningoseptica が 2 回以上分離された患者の医療記録を検討した。研究期間中に計 21 例が確認され、そのうち 16 例(76.2%)で多剤耐性が認められた。確認された院内死亡率は 47.6%であった。感染を疑うための高度な指標と、臨床検体中の E. meningoseptica の効果的な検出が臨床的転帰改善の必要条件である。

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監訳者コメント
E. meningoseptica は一般に使用される抗菌薬に広く自然耐性を有するため、起炎菌を想定にいれた検査診断と感受性試験が求められるとしている。検出された患者での死亡率は 48%となっていた。外傷センターの報告であり、全体像や患者背景は説明されておらず、気になるところである。

基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ産生大腸菌(Escherichia coli)またはクレブシエラ(Klebsiella)属菌の感染が転帰および入院費用に及ぼす影響

Impact of infection with extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli or Klebsiella species on outcome and hospitalization costs

J.A. Maslikowska*, S.A.N. Walker, M. Elligsen, N. Mittmann, L. Palmay, N. Daneman, A. Simor
*Sunnybrook Health Sciences Centre, Canada

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 33-41


背景
基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌は重要な感染源であるが、カナダ人を対象とした ESBL に関連した感染の影響を評価したデータは不足している。

目的
ESBL 産生大腸菌(Escherichia coli)またはクレブシエラ(Klebsiella)属菌(ESBL-EcKs)に感染した患者が、非 ESBL 産生株に感染した患者と比較して異なる臨床転帰、微生物学的転帰、死亡率および/または医療資源の使用を示すか否かを検討すること。

方法
2010 年 6 月から 2013 年 4 月に入院した ESBL-EcKs 患者 75 例を非 ESBL-EcKs 感染対照とマッチさせた後向き症例対照研究を実施した。患者レベルの費用データは、当施設の事務管理部門から入手した。臨床的データは、電子データベースおよび紙のカルテを用いて収集した。

結果
患者あたりの感染による入院費用中央値は、症例が対照より高かった(10,507 カナダドル 対 7,882 カナダドル、差の中央値 3,416 カナダドル、P = 0.04)。費用増加の主要な要因は、感染による入院期間の延長(8 日 対 6 日、P = 0.02)であり、主要な費用区分は患者の位置(病棟、ICU)および間接的医療費(感染予防および管理に関連した費用を含む)であった。症例は臨床的不成功となる率が高く(25%対 11%、P = 0.03)、全死因死亡率も高かった(17%対 5%、P = 0.04)。経験に基づく適切な抗菌療法を処方されていたのは、患者症例の半数未満であり、対照はほとんどすべての状況で適切な初期治療を受けていた(48%対 96%、P < 0.01)。

結論
ESBL-EcKs による感染患者は、臨床的不成功および死亡のリスクが増加しており、また、カナダ医療制度に対して患者あたり 3,416 カナダドルの追加費用を伴う。

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監訳者コメント
ESBL 産生菌と非産生菌のそれぞれによる感染症の治療について評価した論文である。予測されていたことがきちんと数字になってできていた印象であった。入院期間が 2 日延長し、費用は 30 万円弱余分に発生し、その上、ESBL 産生菌群では、治療不成功、全死因死亡率が有意に高かったことが明らかになった。この研究を行う上での難しさは、症例にマッチした対象を選ぶ際の定義であると思われる。

新生児集中治療室において母乳の共有を介して伝播した基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ産生大腸菌(Escherichia coli)のアウトブレイク

Outbreak of extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli transmitted through breast milk sharing in a neonatal intensive care unit

K. Nakamura*, M. Kaneko, Y. Abe, N. Yamamoto, H. Mori, A. Yoshida, K. Ohashi, S. Miura, T.T. Yang, N. Momoi, K. Kanemitsu
*Fukushima Medical University, Japan

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 42-46


背景
新生児集中治療室(NICU)のルーチンのサーベイランスは、2012 年 8 月に基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌(Escherichia coli)(ESBL-大腸菌)の検出増加を示したが、それ以前の約 1 年間は検出されていなかった。

目的
NICU における ESBL-大腸菌アウトブレイクに関する院内の感染管理チームによる検討および介入を報告すること。

方法
研究対象は、ESBL-大腸菌培養陽性の新生児 6 例(呼吸器系の保菌 5 例、尿路感染 1 例)、研究期間中に ESBL-大腸菌陰性の対照乳児、および母乳を提供した母親とした。ESBL-大腸菌培養陽性およびパルスフィールド・ゲル電気泳動による分離株の分子タイピング陽性のリスク因子候補を同定するために症例対照研究を実施した。

結果
研究期間中に、低温殺菌されていない母乳の共有を受けた後の ESBL-大腸菌感染のオッズ比は、49.17 であった(95%信頼区間 6.02 ~ 354.68、P < 0.05)。パルスフィールド・ゲル電気泳動パターンはすべての株が同一であることを示し、同一の病原菌が特定の提供者の絞りたての母乳中に検出された。母乳の共有を中止後に、アウトブレイクの終結は成功した。

結論
今回のアウトブレイクは、母乳パックの汚染が新生児に薬物耐性病原菌を伝播しうることを示す。人乳の提供者は低温殺菌と細菌培養の必要性を認識する必要がある。なお、細菌培養は、凍結の前後と乳児に与える前に実施すべきである。

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監訳者コメント
日本では肝炎や HIV、HTLV-1 などの感染症の有無を調べ、同意書を取得した上で母乳を共有することがある(そうだ)。本事例では共有された母乳のドナーであった母親の乳頭、母乳、そして母乳を共有した患児から同一の ESBL 産生大腸菌が検出された。母乳の扱いについては、いま一度、各自の施設の状況を確認しておくと良いかもしれない。

レバノンの集中治療室における超多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii):獲得のリスク因子と colonization スコアの検討

Extensively drug-resistant Acinetobacter baumannii in a Lebanese intensive care unit: risk factors for acquisition and determination of a colonization score

R. Moghnieh*, L. Siblani, D. Ghadban, H. El Mchad, R. Zeineddine, D. Abdallah, F. Ziade, L. Sinno, O. Kiwan, F. Kerbaj, Z. El Imad
*Ain WaZein Hospital, Lebanon

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 47-53


背景
アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)(AB)は、世界的な病院アウトブレイクを引き起こす重大な院内感染起因病原体として現れ、超多剤耐性(XDR)菌の原型となっている。

目的
レバノンの 3 次医療施設にある集中治療室(ICU)において、間欠的アウトブレイクを引き起こしたXDR-AB の患者を対象として、XDR-AB 獲得のリスク因子を同定すること、また保菌リスクのスコアを作成すること。

方法
この後向き研究は、2012 年 7 月から 2013 年 7 月に 7 床の ICU に入院したベースラインの XDR-AB スクリーニング培養陰性の患者 257 例を対象とした。当院の電子的医療記録から、患者の人口統計学的データおよび臨床的特徴を収集した。潜在的リスク因子の単変量解析、次いで多変量解析を実施し、保菌リスクスコアに含められるべき項目を検討した。

結果
XDR-AB 獲得率は 15.6%であった。多変量解析により特定された colonization スコアに含めるべき因子は、尿路カテーテル留置 > 6 日(オッズ比[OR]16.98、95%信頼区間[CI]3.96 ~ 49.56、P < 0.0001)、ICU contact pressure(保菌患者との接触があった患者数と接触日数の積) > 4日(OR 2.38、CI 1.48 ~ 3.57、P = 0.001)、胃瘻チューブの留置(OR 5.44、CI 1.43 ~ 20.68、P = 0.013)、カルバペネムまたはピペラシリン・タゾバクタムを使用歴(OR 4.20、CI 1.65 ~ 11.81、P = 0.002)であった。XDR-AB 獲得リスクは、スコア 0、1、2、3、4 でそれぞれ 0%、5.6%、17.2%、56.8%、80%であった。スコア 4 は、XDR-AB 獲得の可能性が高いことを示しており、患者の隔離が必要であることを示唆し、スコア 0 は XDR-AB 獲得の可能性が低いことを示す。

結論
XDR-AB の拡散を制限するために隔離が必要な患者を判断するためのスコアの開発のためにリスク因子が使用できると考えられる。

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監訳者コメント
研究の舞台はレバノンのある病院の 7 床のベッドで約 13 か月の間に入室した 257 例のうち約 6 分の 1 にあたる 40 例が ICU で XDR-AB を獲得したことについての危険因子の検討である。胃瘻チューブや尿路カテーテル、広域抗菌薬の使用がリスク因子だという結果であった。研究デザインとしては問題ないのかもしれないが、標準予防策や接触予防策はきちんと守られていたのだろうか。この ICU に入室すること自体がリスク因子のように思われる。

嚢胞性線維症専門医療施設で緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染を長期的にモニタリングする方法とその理由

How and why to monitor Pseudomonas aeruginosa infections in the long term at a cystic fibrosis centre

L. Kalferstova*, K. Vilimovska Dedeckova, M. Antuskova, O. Melter, P. Drevinek
*Charles University and Motol University Hospital, Czech Republic

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 54-60


背景
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、嚢胞性線維症(CF)患者において慢性の呼吸器感染症を引き起こす主な原因菌であり、CF 患者間の交差感染リスクをもたらす。

目的
緑膿菌の長期サーベイランスのアルゴリズムを提案し、患者数が約 300 例の CF 専門医療施設で疫学的状況のモニタリングの適切性を評価すること。

方法
9 年間にわたり、感染患者 131 例から得た 300 株以上の緑膿菌分離株を multi-locus sequence typing(MLST)および/または random amplified polymorphic DNA(RAPD)法により解析した。

結果
MLST法による解析により、97 のシークエンス型が同定された。これらのシークエンス型は、RAPD 法では 17 のクラスターにしか分散しておらず、偽クラスターを形成した。これは、操作が簡単な RAPD 法が、個体間ではなく個体内での菌株解析に唯一適していることを示している。流行性株は認められなかった。縦断的解析により、この観察期間中に 131 例中 110 例が同一菌株に感染していたことが判明した。その一方で、残りの 21 例では菌株の置換または新規感染が認められた。131 例中99 例に慢性感染が認められ、残りの 32 例は、Leeds の基準によれば、間欠的感染(一過性感染の繰り返し)の基準に一致した。間欠的感染患者 32 例中 18例 (56%)は、最長 9 年間にわたり同一菌株に感染していた。

結論
菌株種は、慢性感染患者および間欠的感染患者 131 例中 16%でのみ変化していた。間欠的感染とみなされた患者の56%が、実際、長年にわたり同一菌株に慢性的に感染していた。

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監訳者コメント
嚢胞線維症は、細胞膜の塩素イオンチャンネルをコードする遺伝子の変異によって発生する白人の遺伝性疾患である。繊毛運動機能低下と粘稠な粘液産生による気道閉塞を引き起こす気道疾患であり、経過中に緑膿菌による慢性感染症を繰り返し、肺機能が徐々に低下する。緑膿菌の感染は、現在は環境のみならず、患者間の交差感染が証明され、感染予防対策の重要性が示唆されている。本論文は、9 年間にわたり CF 患者の緑膿菌の菌株の変化を観察し、16%においては別の菌株に置き換わったり、別の株による再感染が発生していることが、MLST 解析により判明した。従来の RAPD 法では株の分離能が十分ではないため、長期にわたる緑膿菌の株の変化を見るには、MLST による方法が CF 患者において有効であると結論している。

2012 年から 2013 年にイタリアで実施されたマッチングによる前向きコホート研究におけるカルバペネム耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染に関連する死亡率

Attributable mortality of carbapenem-resistant Klebsiella pneumoniae infections in a prospective matched cohort study in Italy, 2012–2013

A. Hoxha*, T. Kärki, C. Giambi, C. Montano, A. Sisto, A. Bella, F. D’Ancona, the Study Working Group
*Università Cattolica del Sacro Cuore, Italy

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 61-66


背景
イタリアでは、2009 年以降、カルバペネム耐性肺炎桿菌(carbapenem-resistant Klebsiella pneumoniae;CRKP)感染が顕著に増加して未曾有の医療問題に発展し、感染患者の治療選択肢が制限されている。

目的
イタリアの病院 10 施設でCRKPに関連する死亡率を評価し、侵襲性 CRKP 感染患者およびカルバペネム感性肺炎桿菌(carbapenem-susceptible K. pneumoniae;CSKP)感染患者の臨床像を明らかにすること。

方法
マッチングによるコホート研究を実施し、CRKP による粗死亡率および関連する死亡率を算出した。関連する死亡率は、CRKP 患者の粗死亡率から CSKP 患者の粗死亡率を減算することによって算出した。CRKP 患者および CSKP 患者の臨床像も明らかにし、条件付き Poisson 回帰を用いて死亡の決定因子を分析した。

結果
本研究には、CRKP 患者 49 例、CSKP 患者 49 例の計 98 例を含めた。CRKP 患者は CSKP 患者よりも侵襲的な手技を受けており、疾患重症度(Simplified Acute Physiology Score II により測定)が高い傾向にあった。CRKP による 30 日時点の関連する死亡率は 41%であった。CRKP 患者は、CSKP 患者と比較して 30 日以内に死亡した割合が 3 倍高かった(マッチング罹患率比[matched incidence rate ratio;mIRR]3.0、95%信頼区間[CI]1.5 ~ 6.1)。潜在的な交絡因子の補正後もリスクは同じであった(補正 mIRR 3.0、95%CI 1.3 ~ 7.1)。

結論
CRKP 感染は、他の患者特性を補正した後でも、患者の死亡率に顕著に影響した。CRKP の拡大制御のため、CRKP が検出された病院では、制御策を優先して行うことが望ましい。

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監訳者コメント
カルバペネム耐性肺炎桿菌(CRKP)は、カルバペネム系抗菌薬をはじめとした、すべての βラクタム薬を分解する酵素(カルバペネマーゼ)を産生する耐性菌であり、プラスミドを介して耐性が伝達される。CRKP は、EU諸国全体においてこの数年で発生率は2倍になり、カルバペネム耐性率は、1 位ギリシャで約 60%、2 位イタリアで 34%と飛躍的に増加している。本論文は耐性率の高いイタリアでのカルバペネム耐性と非耐性の肺炎桿菌での死亡率を比較し、死亡率が 3 倍高いとの結論である。適切な治療薬がない現状では、一旦増えてしまった耐性菌の制御は極めて困難である。
なお、EU でのカルバペネマーゼ産生菌の状況は、下記の URL で知ることができる。

ECDC Technical Report, Carbapenemase-producing bacteria in Europe, Interim results from the European survey on carbapenemase-producing Enterobacteriaceae (EuSCAPE) project 2013
http://ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/antimicrobial-resistance-carbapenemase-producing-bacteria-europe.pdf

小児におけるカルバペネム耐性グラム陰性桿菌の分子生物学特徴と保菌のリスク因子:トルコの新生児集中治療室におけるニューデリー・メタロ-β-ラクタマーゼ(NDM)産生アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)の出現

Molecular characterization and risk factors for carbapenem-resistant Gram-negative bacilli colonization in children: emergence of NDM-producing Acinetobacter baumannii in a newborn intensive care unit in Turkey

A. Karaaslan*, A. Soysal, G. Altinkanat Gelmez, E. Kepenekli Kadayifci, G. Söyletir, M. Bakir
*Marmara University School of Medicine, Turkey

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 67-72


背景
多剤耐性グラム陰性桿菌は、医療関連感染の原因として 50%以上を占める。カルバペネム耐性グラム陰性桿菌の保菌動態、特性、リスク因子のデータは小児において乏しい。

目的
トルコの大学附属 3 次病院の小児科病棟に入院した患児から分離されたカルバペネム耐性グラム陰性桿菌の分子生物学的特徴および保菌のリスク因子を解析すること。

方法
前向き症例対照研究をトルコ・イスタンブールの大学病院において実施した。

結果
2013 年 3 月から 10 月までに入院した患児 762 例すべてから計 1,840 個の直腸スワブ検体を採取した。そのうち176 例(23%)がカルバペネム耐性グラム陰性桿菌を保菌していた。これらの患児のうち、72 例(9%)がカルバペネム耐性腸内細菌科細菌を、138 例(18%)がカルバペネム耐性非発酵性グラム陰性桿菌を、34 例(4%)が両方を保菌していた。入院後、カルバペネム耐性グラム陰性桿菌の保菌までの日数の中央値は 10 日(1 から 116 日)であった。一方、直腸保菌の持続期間の中央値は 8 日(1 から 160日)であった。A. baumannii 分離株で同定されたカルバペネマーゼのうち、2 番目に多かったのはNDM(31%)であり、これはこれまでトルコでは検出されていなかった。NDM産生 A. baumannii を保菌していた 17 例はすべて新生児集中治療室に入室中の児であった。カルバペネム耐性グラム陰性桿菌保菌の独立したリスク因子は、年齢 1 歳未満、経鼻胃管留置、慢性基礎疾患の存在、アンピシリン使用、外科的な処置、カルバペネム使用歴であった。

結論
本論文は、トルコの新生児病棟でのNDM産生A. baumannii 発生に関する初の報告である。カルバペネム使用は、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌と同非発酵性グラム陰性桿菌両方の保菌の独立したリスク因子であり、この結果は抗菌薬適正使用推進プログラム Antibiotic stewardship program の重要性を強く示している。

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監訳者コメント
NICU や新生児病棟でのカルバペネム耐性グラム陰性桿菌の制御は非常に難しい。本例では耐性 Acinetobacter の菌血症例発生を機にスクリーニングが開始されたが、最終的に Acinetobacter のみならず、多数のカルバぺネム耐性腸内細菌科細菌の保菌も判明したという驚くべき結果であった。さらにその耐性機序も OXA-48、IMP-1、NDM、GES など様々であった。医療従事者の中に保菌者がいる可能性も指摘されており、非常に厳しい事例といえる。

カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE):アウトブレイクのマネジメントを目的とした検出患者および接触者の積極的な登録制度の採用

Carbapenemase-producing Enterobacteriaceae: use of a dynamic registry of cases and contacts for outbreak management

B. Clarivet*, A. Pantel, M. Morvan, H. Jean Pierre, S. Parer, E. Jumas-Bilak, A. Lotthé
*University Hospital of Montpellier, France

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 73-77


背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の出現および拡散が公衆衛生上非常に大きな問題となっている。CPE 感染の制御・予防は、保菌者の隔離と接触者の積極的スクリーニング、フォローアップにかかっている。

目的
アウトブレイクのマネジメント、長期的なデータ収集、疫学調査を目的とし、検出患者および接触者のオープン登録を実施すること。

方法
入院中に CPE 培養で陽性を示し、感染または保菌と判断した検出患者すべてと、接触者(すなわち CPE 検出患者と同一の医療チームによりケアを受けた者)を順次、データベースに登録した。新規に入院した場合は病院間で情報が相互に参照され、さらに疫学的な関連(すなわち共通の接触者)の有無も調査が行われた。3 回のスクリーニングにより陰性が確認されていない検出患者と接触者は、アクティブリスト(active list)に登録した。

結果
2012 年 10 月から 2014 年 11 月までに、30 例の検出患者と 1,268 例の接触者を登録した。うち 24 例の接触者は 2 例または 3 例の検出患者と関連があった。接触者のうち直腸スワブで 3 回陰性が確認できたのは 6.5%のみであり、依然として 1,145 例がアクティブリストに残ったままであった。CPE のアウトブレイクが9 か月の間隔をおいて 2 回発生した(それぞれ 12 症例および 9 症例)。本登録を用いた入院の相互参照により、一見したところ関係のない CPE 陽性患者間の疫学的関連が明らかになり、伝播の環境要因が示唆され、この要因はその後立証された。

結論
我々は CPE エピソードを管理するためのシンプルかつ多目的なツールを採用し、疫学的関連を調査した。隠れた感染源の可能性がある接触患者のスクリーニングを改善する努力が必要である。地域的登録が有用であるかもしれない。

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監訳者コメント
CPE は腸内に常在菌叢の一部として存在しうるため、気づかない間の保菌がさらなる伝播を生じてしまう。しばしば疫学的関連を証明することは難しく、これはますます感染対策を難しくする。本検討のように、病院をまたいだ情報の共有は、伝播経路の特定と遮断に有効であろう。地域での感染対策とどのように組み合わせていくかも重要であり、我が国も同様の課題を抱えているといえる。

イタリアのリハビリテーション病院に入院時のカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の無症候性保菌のリスク因子

Risk factors for carbapenemase-producing Enterobacteriaceae colonization of asymptomatic carriers on admission to an Italian rehabilitation hospital

A. Rossini*, S.G.Di Santo, M.F.Libori, V. Tiracchia, M.P. Balice, A. Salvia
*Fondazione Santa Lucia I.R.C.C.S, Italy

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 78-81


カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の拡大が世界中で問題となっている。無症候性保菌者の早期の同定および隔離が感染予防・制御策にとって重要である。2014 年に「Fondazione Santa Lucia」リハビリテーション病院に入院した患者(1,427 例)に対し、直腸スワブによるスクリーニングを実施した。患者の 10.2%で CPE が検出された。既往歴に関するデータの多変量解析により、集中治療室への入室歴(オッズ比[OR]4.04、95%信頼区間[CI]2.20 ~ 7.44、P < 0.001)または急性期病院後方支援病院(post-acute care hospitals)への入院歴(OR 2.88、95%CI 1.74 ~ 4.77、P < 0.001)、および中心静脈カテーテルの留置(OR 2.19、95%CI 1.34 ~ 3.59、P < 0.001)が有意なリスク因子であった。

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監訳者コメント
ESBL 産生菌や CPE などの薬剤耐性腸内細菌科細菌の増加は世界的な問題である。日本でも健常人の約 5~10%がESBL産生菌を持つ可能性が報告されている。本研究で示された、リハビリ病院入所者の10.2%が入院時にCPEを保菌しているという結果は大きな驚きであり、耐性菌対策はもはや病院だけで完結する問題ではないことを強く示唆する結果といえよう。

ポルトガルにおいて進展しつつあるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の疫学:2012 年のリスボンの 3 次病院における後向きコホート

Evolving epidemiology of carbapenemase-producing Enterobacteriaceae in Portugal: 2012 retrospective cohort at a tertiary hospital in Lisbon

D. Pires*, A. Zagalo, C. Santos, F. Cota de Medeiros, A. Duarte, L. Lito d, J. Melo Cristino, L. Caldeira
*Centro Hospitalar de Lisboa Norte, Portugal

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 82-85


カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae;CPE)に関する欧州の疫学的サーベイランスを強化する多大な努力にもかかわらず、いくつかの国からの情報は依然として乏しい。ポルトガルにおける CPE の疫学に取り組むために、我々は、2012 年に、3 次病院の微生物検査室で同定される CPE 培養を行った成人の後向きコホート研究を実施している。25 の病棟または集中治療室から 60 例の患者を特定した。我々の知る限りでは、これがポルトガルにおける CPE 臨床データの初の報告である。報告によると、病院全体での CPE の拡散が示され、これまでに記述されていない進展しつつある疫学的状況について我々に注意喚起している。

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監訳者コメント
これまで、ポルトガルでのCPEの検出状況は不明であり、本論文が初めての後ろ向き調査によるCPEに関する疫学的報告である。ECDCのレポート1)においては、イタリアがendemic状況であるのに対して、ポルトガルでのCPEの発生状況は散発的ではあるが、疫学的状況は不明となっていた。日本においてもCPEはすでにいくつかの病院でアウトブレイク事例が報告されており、適切な抗菌薬治療ができないこと、腸管内に保菌すること、菌種を越えて耐性遺伝子がプラスミドを介して伝播することなどにより、拡大してしまうとその感染制御は困難であり、さらに感染症発症した場合の予後も良くないことが報告されている。CPE耐性菌の迅速な検出ができる体制と発生状況を監視できるサーベイランス体制を日本でも確立する必要がある。今年日本で開かれる伊勢志摩サミットにおいても「薬剤耐性菌」対策は大きな議題のひとつとなることを付け加えておく2)

1) ECDC Technical Report, Carbapenemase-producing bacteria in Europe, Interim results from the European survey on carbapenemase-producing Enterobacteriaceae (EuSCAPE) project 2013
http://ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/antimicrobial-resistance-carbapenemase-producing-bacteria-europe.pdf
2) 厚生労働省健康局 薬剤耐性(AMR)に関する背景、国際社会の動向及び我が国における対応の現状について 2015年12月24日
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/yakuzaitaisei/dai1/siryou2-1.pdf

患者携帯型のカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)警告カードの評価

Evaluation of patient-held carbapenemase-producing Enterobacteriaceae (CPE) alert card

K. Poole*, R. George, T. Shryane, K. Shankar, J. Cawthorne, M. Worsley, N. Savage, J. Scott, W. Welfare
*Public Health England, UK

Journal of Hospital Infection (2016) 92, 102-105


英国公衆衛生庁は、カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)保菌者にカードの携帯を推奨している。この警告カードをCPE 陽性入院患者104 例に渡し、6 か月目に追跡調査を行った。死亡例を除き、回答率は 39%であった。16 例(46%)の患者はカードを受け取ったことを覚えており、うち 13 例(81%)は今なおカードを保持していて、7 例(64%)がカードを実際に使用したことがあると回答した。これは患者携帯型薬剤耐性菌警告カードについて英国で評価した初めての報告である。本研究で、CPE 警告カードは携帯されれば有用なコミュニケーションツールになり得ることが判明した。有効性の評価と保持率の改善にはさらなる研究が求められる。

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監訳者コメント
これまで心不全や酸素投与を受けている患者に携帯型のカードを持ってもらい、受診時などに提示することによって適切な管理をすみやかに行う試みがなされてきた。薬剤耐性菌での試みはあまり例がないが、前 2 者とは異なる意味があることも承知しておきたい。すなわち治療のみならず感染対策上の目的である。有用性と重要性は理解できるが、倫理上の配慮と、患者不利益にならないような運用をよく検討する必要がある。

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Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.