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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

ニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎アウトブレイクのシステマティックレビュー:P. jirovecii は伝播可能な微生物であることのエビデンスと医療における感染制御にとっての意義★★

Systematic review of outbreaks of Pneumocystis jirovecii pneumonia: evidence that P. jirovecii is a transmissible organism and the implications for healthcare infection control

E.P. Yiannakis*, T.C. Boswell
*Nottingham University Hospitals NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 1-8


背景
ニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎は、免疫不全患者における病的状態と死亡の重要な原因である。ヒト免疫不全ウイルス陰性の免疫不全患者において P. jirovecii 肺炎の院内アウトブレイクがいくつか報告されている。P. jirovecii 伝播の主要経路はこれまで特定されていないが、これらの感染症のアウトブレイクはヒト‐ヒト間伝播か共通の環境感染源のいずれかの存在を示唆する。

目的
発表されているすべての P. jirovecii 肺炎のクラスター発生およびアウトブレイクを同定し、評価すること。主要目的は、様々な伝播様式に関するエビデンスに特に焦点を当てながら、アウトブレイクの疫学を比較することであった。

方法
PubMed および EMBASE の検索を実施し、1980 年から 2015 年 3 月までの期間に P. jirovecii 肺炎のアウトブレイクまたはクラスター発生を報告した英文の全論文を特定した。アウトブレイクの状況、アウトブレイクの特徴、分子タイピングの適用、疫学的評価および環境サンプリングの結果に関するデータを抽出した。

結果
論文 29 報で報告された 30 件のアウトブレイクを同定した。これらのアウトブレイクのうち 25 件(83%)は、固形臓器移植、それも主として腎移植を受けた患者で報告されていた。すべての研究が、例えば入院区域と外来区域の両方を含めていくつかの院内施設を共用する、限定された患者コホートの報告であった。16 報(47%)で遺伝子タイピングが実施されていた。同一の遺伝子型を認める症例がこれらすべての研究で確認された。

結論
本レビューの所見から、公衆衛生に関わるいくつかの懸念事項と、P. jirovecii 肺炎を伴う感染症に対する感染制御上の意義が明らかにされる。感染症の院内獲得およびヒト‐ヒト伝播の可能性について示されたエビデンスから、公式の感染制御政策の必要性が示唆される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
P. jirovecii については臨床的に施設内アウトブレイクと思われる事例を国内でも報告が複数報告されている。本論文は世界規模でそうした事例を集めて検討したものであり、従来の隔離予防策の概念の修正が必要かもしれないエビデンスをつきつけている。さらに前視野方向的に検討を加え、近い将来には隔離予防策のガイドラインそのものの変更を行う必要があろう。

手術を受ける小児において低栄養は感染性合併症の予後因子か?システマティックレビュー

Is undernutrition prognostic of infection complications in children undergoing surgery? A systematic review

R. Hill*, S. Paulus, P. Dey, M.A. Hurley, B. Carter
*Alder Hey Children’s NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 12-21

背景
医療関連感染症は費用がかかり、ますますケアの質の指標と見なされるようになっている。感染症を低減しようとする戦略が幅広く行われるようになっているが、術後の小児での感染性合併症の発症における低栄養の役割を公式に調べた研究はほとんどない。

目的
文献のシステマティックレビューを実施して、低栄養が小児における術後の感染性合併症の予後因子であるかどうかを明らかにすること。

方法
書籍および研究の電子データベースを、1950 年から 2014 年の期間について検索した。組み入れ基準は、小児(年齢18 歳未満)を対象として、術前の栄養状態を評価し、術後の感染性合併症を報告している研究とした。2 人のレビュアーが質の評価を独立して行い、不一致があった場合は 3 人目のレビュアーが解決した。大部分の研究で、エビデンスの質は低いと判定された。

結果
10 件のコホートと 2 報の症例対照研究が組み入れ基準を満たした。5 報の研究は複数の感染性合併症を組み合わせた転帰を報告しており、残りの研究は個々の感染性合併症を報告していた。6 報の研究は、手術部位感染症(SSI)を単独で、または他の感染性合併症と組み合わせて報告していた。研究間の直接比較は、臨床的および診断上の不均一性のために困難であった。未補正(患者変数および臨床変数について)の解析では、低栄養と感染性合併症の関係が示唆された。他の変数を補正した研究においては、解析結果で SSI について有意性は維持されなかった。

結論
低栄養が小児における術後の感染性合併症の予測因子である可能性について、SSI を除いて、質の低いエビデンスが認められた。しかし、栄養状態および転帰の評価に一貫性がなかったため、結論を導き出すことは難しかった。予後予測上の関係の可能性についてさらに検討するには、より規模の大きな質の高い研究が必要とされる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
高度医療を提供している英国において、低栄養の小児と栄養状態の良い小児の両者を、大規模研究として正当に評価して検討を加えることが難しいだろう。年齢や、疾患など背景因子も加えて大規模調査をするとなると、成人の検討のようにはなかなかデータが集まらないかもしれない。

病院の水道設備における非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアに対する二酸化塩素消毒の有効性

Efficacy of chlorine dioxide disinfection to non-fermentative Gram-negative bacilli and non-tuberculous mycobacteria in a hospital water system

M.-S. Hsu*, M.-Y. Wu, Y.-T. Huang, C.-H. Liao
*Far Eastern Memorial Hospital, Taiwan

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 22-28


背景
病院内の塩素消毒された水道水には、低濃度の非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアが含まれていることが多い。これらの水媒介病原体による院内感染症を予防する目的で、病院内での安全な水道水供給を行うための指標が必要である。

目的
病院の水道施設における二酸化塩素処理の、水道水中の非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアの濃度に対する有効性を評価すること。

方法
当施設は、1,000 床を擁する医療センターで、2棟の主要な建物(B1 および B2)から成る。B1 には 3 つの集中治療室(ICU)と移植病棟があり、ポリエチレン製の水道管を備えている。B2(対照)にはICUはなく、亜鉛めっきされた水道管を備えている。2012 年 4 月に、B1 の水道設備に二酸化塩素生成装置1個を設置し、設置前および設置後 8 回にわたり、B1 と B2 でサンプルを採取した。すべてのサンプルを培養して、非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアについて調べた。

結果
二酸化塩素濃度は温水の方が冷水よりも有意に低かった(P < 0.001)。二酸化塩素使用開始の 40 週間後、全体的な非発酵グラム陰性桿菌のコロニー数が有意に減少した(温水:160 ± 143 対 2 ± 4 cfu/mL、P < 0.001、冷水:108 ± 138 対 3 ± 7 cfu/mL、P < 0.001)。院内での検出頻度の高い非発酵グラム陰性桿菌、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属菌およびステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属菌などは、二酸化塩素消毒後 3 か月にわたり検出されなかった。スフィンゴモナス(Sphingomonas)属菌は持続的に検出されたが、コロニー数は低かった。非結核マイコバクテリアは、最初にサンプリングを行った箇所の 25%(12 カ所中 3 カ所)で検出されたが、二酸化塩素消毒の 2 週間後には検出されなかった。ICUでは、介入後の非発酵グラム陰性桿菌による院内感染の件数に全体的に変化はなかった。

結論
当院の水道設備に二酸化塩素消毒装置を追加したところ、冷水および温水設備における非結核性マイコバクテリアおよび非発酵グラム陰性桿菌の数が減少した。

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監訳者コメント
病院の水道設備二酸化塩素消毒での消毒の効果については理解できたが、二酸化塩素を施設内水道配管系の水に使用することの安全性についての知見が乏しい。

超多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)による院内アウトブレイクの、毎日のクロルヘキシジン浴を含む多面的介入を用いた管理

Management of a hospital outbreak of extensively drug-resistant Acinetobacter baumannii using a multimodal intervention including daily chlorhexidine baths

A.P. Gray*, R. Allard, R. Par é, T. Tannenbaum, B. Lefebvre, S. L évesque, M. Mulvey, L. Maalouf, S. Perna, Y. Longtin
*McGill University, Canada

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 29-34


背景
超多剤耐性アシネトバクター・バウマニー(Extensively drug-resistant Acinetobacter baumannii;XDR-Ab)は、医療関連感染のますます重要な原因となっている。医療関連アウトブレイクの最適な制御策は、依然として明らかにされていない。

目的
2012 年 3 月から 2014 年 1 月にかけて大規模病院の複数の病棟で発生した XDR-Ab アウトブレイクの疫学と制御について記述すること。

方法
症例発見は、直腸、鼠径部、咽喉、鼻、創傷、医原性侵入路、およびカテーテル留置部位などのスクリーニングにより行った。抗菌薬感受性は、ディスク拡散法および E テストにより評価した。耐性遺伝子を PCR 法により検出した。クローン状態をパルスフィールド・ゲル電気泳動により評価した。症例のカルテをレビューし、侵襲性感染症のリスクを同定した。制御策には、症例の隔離およびコホーティング、手指衛生の強化、環境汚染除去、およびあらかじめグルコン酸クロルヘキシジンに浸漬したワイプを用いた毎日の入浴による感染源管理などを行った。

結果
患者 29 例で XDR-Ab の単一のクローン株による保菌または感染が認められた。5 例が XDR-Ab 菌血症で死亡した。伝播は主として 2 病棟で発生した。スクリーニングを行ったすべての解剖学的部位で保菌が検出され、57%(28 例中 16 例)のみが直腸の保菌者であった。進行悪性疾患は菌血症のリスク因子であった(相対リスク 5.8、95%信頼区間 1.2 ~ 27.0)。多面的制御策の実施後に伝播は終結した。続く 20 か月間に新たな院内感染症例は発生しなかった。

結論
本研究は、保菌を診断し、XDR-Ab 菌血症のリスク因子を同定するために、複数の解剖学的部位をスクリーニングする必要性を強調している。症例に対する毎日のクロルヘキシジン浴を含めた多面的介入後、速やかにアウトブレイクが終結した。病院は、将来 XDR-Ab アウトブレイクの管理時には同様の介入を検討すべきである。

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監訳者コメント
アウトブレイクの際、監視培養のサンプルをどこからとるかに迷うが、この論文では、鼠径部と鼻は、感度が良くないと言うことで途中で対象からはずれていた。MRSA 対応で評価されることの多いクロルヘキシジン浴であるが、本論文では、アシネトバクターアウトブレイクでの対応においても意義があったのでは、と考えられていた。医療施設でのアウトブレイク発生時は、対応に追われながらのデータ収集となり、定義や対策もその都度修正されていくことも多く、終息後に論文にまとめることは難しいが、それでも、記録に残し公表していくことの重要性を感じた。

日本の長期ケア施設における GES-5 基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)によるアウトブレイクの制御の成功

Successful control of an outbreak of GES-5 extended-spectrum β-lactamase-producing Pseudomonas aeruginosa in a long-term care facility in Japan

A. Kanayama*, R. Kawahara, T. Yamagishi, K. Goto, Y. Kobaru, M. Takano, K. Morisada, A. Ukimura, F. Kawanishi, A. Tabuchi, T. Matsui, K. Oishi
*National Institute of Infectious Diseases, Japan

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 35-41


背景
長期ケア施設(LTCF)における多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa;MDRP)によるアウトブレイクについてはほとんど知られていない。

目的
LTCF における MDRP アウトブレイクについて記述すること、ならびに MDRP 獲得のリスク因子を明らかにすること。

方法
2013 年 1 月から 2014 年 1 月にわたり、LTCF における MDRP 陽性患者を分析した。記述的分析、症例対照研究、および微生物学的分析を実施した。

結果
MDRP 症例計 23 例を特定し、うち 16 例は喀痰サンプルで確認された。医療従事者において、口腔ケア、創傷ケアおよび性器ケアを行う際に手指衛生の非遵守が観察された。経鼻胃管および酸素マスクの使用は、気道における MDRP 獲得と関連し、これには手指衛生の遵守不良が関わっていた可能性があった。ポータブル口腔吸引デバイスなどの未消毒デバイスの共有、創傷および性器ケアのための消毒不十分な洗浄用ボトルや軟膏の共有は、一部の症例における MDRP 伝播を説明できると考えられた。11 例から分離された分離株は、パルスフィールド・ゲル電気泳動により識別不能または極めて近縁であり、遺伝子 blaGES-5 を保有していることが明らかになった。その後に強化された感染制御策は、近隣の病院および現地の公衆衛生機関による支援を受けた。2014 年 1 月に発生した症例を最後として、その後 1 年間に新たな症例は同定されなかった。

結論
抗菌薬耐性遺伝子 blaGES-5 を保有する MDRP によるアウトブレイクが、日本の LTCF で発生した。このアウトブレイクは、感染制御策の強化により制御され、この制御策は近隣の病院と現地の公衆衛生機関による支援を受けた。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
日本からの投稿である。実地疫学専門家養成コース(FETP-J、国立感染症研究所)が地方自治体とともに疫学調査を行った論文であり、記述疫学、解析疫学の基本が丁寧に示されている。参考にしたい。

肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)臨床分離株および適応株に対するクロルヘキシジン添加消毒剤の活性のばらつき

Varying activity of chlorhexidine-based disinfectants against Klebsiella pneumoniae clinical isolates and adapted strains

L.J. Bock*, M.E. Wand, J.M. Sutton
*Public Health England, Porton Down, UK

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 42-48


背景
多剤耐性菌の制御は、感染症リスクを低減するためのクロルヘキシジンなどの殺生物剤の使用に頼る度合いがますます大きくなっている。製品間におけるクロルヘキシジンの濃度および製剤のばらつきは極めて大きい可能性がある。

目的
クロルヘキシジンがルーチンに使用される前と後に分離された肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)臨床分離株 14 株、ならびに致死濃度未満のクロルヘキシジンに曝露された適応株を対象に、クロルヘキシジンおよび使用されているクロルヘキシジン製剤の活性を確立すること。

方法
5 種類のクロルヘキシジン添加製剤の最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)を、肺炎桿菌株のパネルを用いて5 分後、15 分後、30 分後および 24 時間後に測定した。

結果
5 分後では、5 製剤のMBC に 0.006 ~ > 50% 使用濃度(WC)、またはクロルヘキシジン濃度に 78 ~ 2,500 μg/mL とばらつきがあった。1 製剤では14 株中 5 株に対するMBCは > 50% WC であり、もう 1 つの製剤では 14 株中 4 株に対して 25% WC であった。NCTC 13368 はクロルヘキシジンに対して一貫して最も強い耐性を示した一方、クロルヘキシジンがルーチンに使用される前に分離された株は感受性がより高かった。クロルヘキシジンのルーチン使用以前の 1 株および現在の 5 株では、致死濃度未満のクロルヘキシジンへの曝露後に MIC が最大 16 倍まで上昇した。6 つすべての野生型株に対する MBC が 0.39% WC の手指消毒剤 1 製剤では、クロルヘキシジン適応株に対する MBC が 50% WC であった。

結論
すべてのクロルヘキシジン製剤が、推奨曝露時間後に多剤耐性肺炎桿菌を殺滅したわけではなかった。活性、特にクロルヘキシジン適応株に対する活性は、クロルヘキシジン以外の成分に依存する。したがって、クロルヘキシジン製品の注意深い製剤開発が、クロルヘキシジン製剤の活性の維持および増強において、また感染制御失敗の可能性の回避において重要である。

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入院患者の基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌(Escherichia coli)感染症を予測するための臨床リスクスコア判定法

Clinical risk scoring system for predicting extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli infection in hospitalized patients

K. Kengkla*, N. Charoensuk, M. Chaichana, S. Puangjan, T. Rattanapornsompong, J. Choorassamee, P. Wilairat, S. Saokaew
*University of Phayao, Thailand

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 49-56


背景
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌(extended spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli;ESBL-EC)は、感染制御および経験的抗菌薬処方において重要な意義を有する。本研究はの目的は、地域の疫学に基づいてESBL-EC感染症を予測するためのリスクスコア判定法を開発することであった。

方法
本研究では、2011年 から 2014 年の期間にわたり大腸菌培養陽性の適格患者を後向きに特定した。ロジスティック回帰に基づく予測により、ESBL-EC 感染症と独立して関連する変数を用いてリスクスコア判定法を開発した。受信者動作特性曲線下面積(AuROC)を算出して、このモデルの予測能を確認した。

結果
ESBL-EC 感染症の予測因子は、男性(オッズ比[OR]1.53)、年齢 ≧ 55 歳(OR 1.50)、医療関連感染症(OR 3.21)、院内獲得感染症(OR 2.28)、敗血症(OR 1.79)、長期の入院(OR 1.88)、1 年以内の ESBL 産生菌感染症の既往(OR 7.88)、3 か月以内の広域スペクトルセファロスポリン使用歴(OR 12.92)、および 3 か月以内の他の抗菌薬の使用歴(OR 2.14)であった。スコア判定による点数は 0 ~ 47 の範囲で、診断能に関する変数に基づいて以下の 3 グループに分類した:低リスク(スコア 0 ~ 8、44.57%)、中間リスク(スコア 9 ~ 11、21.85%)および高リスク(スコア ≧ 12、33.58%)。本モデルは中等度の予測能(AuROC 0.773、95%信頼区間 0.742 ~ 0.805)および良好なキャリブレーション(Hosmer-Lemeshow χ2 = 13.29、P = 0.065)を示した。

結論
本ツールは、経験的抗菌薬療法の処方を最適化し、患者を同定する時間を最小化し、ESBL-EC の拡散を予防する可能性がある。ルーチンの臨床診療で採用する前に、本ツールのさらなるバリデーション研究が必要である。

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監訳者コメント
近年、わが国における大腸菌の ESBL 産生率は 15 ~ 20%と高率であり、経験的治療薬としてカルバペネム系薬を使用せざるをえないことが多い。従って、どのような患者で ESBL 産生菌が検出されるか(あるいは検出されないか)を予想することは非常に重要である。本研究はそのような ESBL 産生菌の予測因子に関する研究である。このような研究は、地域により結果が異なることが予想されるが、1 年以内の ESBL 産生菌感染症の既往や 3 か月以内の広域スペクトルセファロスポリン使用歴など、OR の高い項目は概ね予想されるものであろう。

内視鏡関連アウトブレイクにおける耐熱性基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae

Heat-resistant, extended-spectrum β-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae in endoscope-mediated outbreak

S.B. Jørgensen*, M.S. Bojer, E.J. Boll, Y. Martin, K. Helmersen, M. Skogstad, C. Struve
*Akershus University Hospital, Norway

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 57-62


背景
ノルウェーの 2 次医療病院の集中治療室における、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)株によるアウトブレイクを報告する。アウトブレイクの発生源は気管内挿管用光ファイバー内視鏡で、アウトブレイク株が専用のコンタミネーション除去装置を用いた化学熱消毒にもかかわらず内視鏡内に生存していた。肺炎桿菌アウトブレイク株において、微生物の耐熱性を高める clpK が遺伝子マーカーとして以前に報告されている。

目的
アウトブレイク株のバイオフィルム形成および熱ショック安定性における clpK の役割を調べること。

方法
臨床記録のレビュー、患者のスクリーニング、ならびに気管内挿管用内視鏡および気管支鏡の培養により、アウトブレイク調査を行った。増幅断片長多型を用いてアウトブレイク株を同定した。PCR 法、次いで変異体構造アッセイおよび熱ショックアッセイを用いて clpK を検出した。

結果
患者 5 例と内視鏡 1 本から、同一の増幅断片長多型パターンを有する肺炎桿菌が検出された。アウトブレイク株では遺伝子マーカーclpK が検出され、これによりアウトブレイク株の耐熱性が上昇していた。熱処理後にバイオフィルムとして増殖したアウトブレイク株の生存率も clpK に強く依存していた。

結論
clpK は以前のアウトブレイクにおいて肺炎桿菌の臨床分離株と関連付けられていたが、アウトブレイクの環境発生源から ClpK 産生株が分離されたのは今回が初めてである。ある種の肺炎桿菌株の耐熱性は、医療機器上のバイオフィルムにおける生存を容易にし、これによりこれらの株の病院環境内で持続・拡散する能力を高める可能性がある。

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監訳者コメント
細菌の特徴には、毒性因子や抗菌薬耐性だけでなく、消毒薬耐性、さらには本事例のように耐熱性なども含まれる。本研究では実際に耐熱性遺伝子である clpK 遺伝子保有株が 53ºC 環境下で生存時間が延長することを示している。「加熱したから大丈夫」「消毒薬に浸漬したから大丈夫」と十把一絡げにはいえないことを再認識させられる報告である。細菌は実に様々な手段で生き延びようとしている。

3 次病院における石けんの緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)汚染:患者への影響のエビデンスなし

Hand soap contamination by Pseudomonas aeruginosa in a tertiary care hospital:no evidence of impact on patients

D.S. Blanc*, B. Gomes Magalhaes, M. Abdelbary, G. Prod’hom, G. Greub, J.B. Wasserfallen, P. Genoud, G. Zanetti, L. Senn
*Lausanne University Hospital, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 63-67


背景
集中治療室における緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の環境調査の際に、液体石けんが本病原菌に高度に汚染されていることが明らかになった(最大 8 × 105 cfu/g)。過去 5 か月間にわたり用いられており、おそらく製造時に汚染されたものであった。

目的
全ゲノムシークエンシングと組み合わせた分子タイピングによる疫学調査を実施し、この汚染の患者への負担を検討すること。

方法
臨床検体から分離された緑膿菌株を double locus sequence typing(DLST 法)により分析し、石けんから回収された分離株と比較した。石けんに認められた菌と同じ遺伝子型の菌に感染していた患者のカルテを調査した。遺伝子型が同一の石けんと患者の分離株について全ゲノムシークエンシングを実施した。

結果
緑膿菌分離株(776 株)が患者 382 例中 358 例(93.7%)から得られた。石けんで認められた遺伝子型に感染していた患者は 3 例(0.8%)のみであった。疫学調査から、最初の患者は石けんに曝露されておらず、2 番目の患者は曝露された可能性があり、3 番目の患者は確かに曝露されていた。全ゲノムシークエンシングから、患者と石けんの分離株の間に主要部分の一塩基多型の違いが多数認められた。石けんと患者の分離株に密接な遺伝的関連性は認められず、伝播の仮説は除外された。

結論
石けんが高度に汚染されていたにもかかわらず、DLST と全ゲノムシークエンシングの組み合わせ調査では患者への影響は認められなかった。15 年を超えて手指衛生にアルコール製の液剤が用いられてきたことがおそらく主な理由である。とはいえ、このような汚染は、排除されるべき病原菌の推定上のリザーバが病院環境に存在することを示す。

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監訳者コメント
病院環境における石けんの緑膿菌などによる汚染は長らく指摘されてきた。本研究は石けんから検出された緑膿菌と患者および患者環境から検出された緑膿菌が類似していないことから、石けんの緑膿菌汚染による患者および患者環境への影響は限定的であると報告したものである(ただし、だから汚染しても良いのだとは結論づけていない)。

個室隔離室におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)の消毒強化のための蒸気化過酸化水素による2 種類の空気汚染除去装置の効果

Efficacy of two hydrogen peroxide vapour aerial decontamination systems for enhanced disinfection of meticillin-resistant Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae and Clostridium difficile in single isolation rooms

S. Ali*, M. Muzslay, M. Bruce, A. Jeanes, G. Moore, A.P.R. Wilson
*Clinical Microbiology and Virology, University College London Hospitals NHS Foundation Trust, London, UK

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 70-77


背景
患者の病院内環境病原菌への曝露を減らすために、蒸気化過酸化水素(HPV)消毒装置が使用されている。HPV による部屋全体の空気消毒装置は、運転時の濃度および薬剤分布状況が異なることがある。

目的
2 種類の HPV 装置(HPS1 および HPS2)について個室隔離室の部屋全体の空気消毒効果を評価すること。

方法
患者退院後の手作業による最終消毒のために個室隔離室 10 室を選択した。バイオロジカルインジケータとなる細菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌[meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA]および肺炎桿菌[Klebsiella pneumoniae]は約 106 コロニー形成単位[cfu]、クロストリジウム・ディフィシル[Clostridium difficile]027 芽胞約 105 cfu)を塗布し、模擬汚染菌として準備した試験片 を 1 室当たり 5 カ所に設置した。各サイクルで、HPV による汚染除去の前後に、個室隔離室で頻繁に接触する表面 22 カ所から接触培地法(約 25 cm2)によりサンプルを採取し、病原菌の残存性についてバイオロジカルインジケータを分析した。

結果
手作業による最終消毒後、214 カ所のうち約 95%は細菌に汚染しており、多数のコロニーが認められた場所は個室隔離室の床(238.0 ~ 352.5 cfu)、ベッド制御パネル(24.0 ~ 33.5 cfu)、看護師呼び出しボタン(21.5 ~ 7.0 cfu)であった。HPV を用いた消毒強化により、表面の汚染は低レベルまで減少した:HPS1(0.25 cfu、四分位範囲[IQR]0 ~ 1.13)、HPS2(0.5 cfu、IQR 0 ~ 2.0)。両装置は、同程度の所要時間を示し(約2 ~ 2.5時間)、バイオロジカルインジケータに対して両装置の効果の差は認められなかった(C. difficile 約 5.1 log10 の低下、MRSA / K. pneumoniae 約 6.3 log10の低下)。過酸化水素の操作濃度が異なるにもかかわらず、MRSA は、HPV による汚染除去後の試験片の 27%に残存した。

結論
HPV による消毒強化は、手作業による最終清掃で残された表面汚染を低減し、交差汚染リスクを最小限にする。過酸化水素の運転時の濃度と薬剤分布状況は、実際には汚染除去の効果を改善しない可能性があるため、HPV 装置は、費用、利便性、物流など他の考慮事項に基づいて選択されるかもしれない。

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監訳者コメント
英国のみならず EU 諸国や北米において、多剤耐性菌以外に C.difficileの 027 株の流行は、様々な病室内の消毒装置開発を後押ししている。医療施設内感染において医療スタッフの手指は患者への直接伝播につながるため、手指衛生の改善は感染対策における第一優先事項であるが、施設環境は間接的に患者への伝播を媒介するために、環境整備も同様に重要である。HPV 消毒装置は、高価であること、毒性のため操作時には室内には入れず、また消毒に 3 ~ 4 時間が必要であることを考慮する必要がある。患者退室後に実施される「最終清掃」は、新たに入室した患者への二次感染を防ぎ、特に高頻度接触面の汚染除去は重要である。これらの消毒装置はシンプルな環境整備(手作業による環境の有機物汚染や病原体の除去と消毒)を補完するが、決してそれらに置き換わるものではない。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)に汚染された環境表面のナノサイズ二酸化チタンによる光触媒殺菌消毒

Nano-TiO2-based photocatalytic disinfection of environmental surfaces contaminated by meticillin-resistant Staphylococcus aureus

S. Petti*, G.A. Messano
*Sapienza University, Italy

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 78-82


背景
従来の清掃消毒法は、病院表面のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)汚染を完全に除去するには不十分である。ナノサイズ二酸化チタンによる光触媒殺菌など、他の方法が役立つ可能性がある。

目的
自然に近い状態のポリ塩化ビニル表面に対する光触媒殺菌の抗 MRSA 活性を評価すること。

方法
2つの同一のポリ塩化ビニル表面を用い、その一方にナノサイズ二酸化チタンを取り入れた。ミスト噴霧装置を用いて、各表面を入院患者から分離された MRSA で汚染し、保菌者が原因となる環境汚染の状態をシミュレーションした。MRSA 細胞密度は、Rodac プレートを用いて汚染前から汚染後180分まで評価した。MRSA 密度と MRSA 密度低下の対数について、試験表面と対照表面の差をパラメトリックおよびノンパラメトリック統計検定により評価した。5 株の試験を各 5 回実施した。

結果
汚染後 45 分に、最大の MRSA 密度中央値が認められた(対照表面および試験表面についてそれぞれ 46.3 および 43.1 コロニー形成単位[CFU]/cm2)。汚染後 180 分の MRSA 密度中央値は、対照表面および試験表面でそれぞれ 10.1 および 0.7 cfu/cm2 であった(P < 0.01)。光触媒殺菌によるMRSA密度低下の対数は、1.16 log cfu/cm2であり、ベースラインの MRSA 汚染の 93%低下に相当した。

結論
試験間に清掃消毒があるにもかかわらず、消毒作用は 25 回の試験機会全体にわたり一定であった。光触媒殺菌の抗 MRSA 活性は、病院の表面衛生基準(<1 cfu/cm2)を満たしたが、光触媒への曝露に 3 時間を必要とした。そのため、臨床以外の表面の光触媒殺菌を検討することもできるであろう。しかしながら、臨床表面の光触媒殺菌については、代替手段というよりも従来の汚染除去手順の補助とみなすべきである。

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監訳者コメント
光触媒による酸化チタンの殺菌効果の検証であるが、対照との比較で減少率は 20 分の 1 ~ 30 分の 1 程度であり、作用時間も 3 時間と長時間であり、高頻度接触面での使用よりも、病室やトイレの壁などの通常手が触れない「感染の最小リスク」の部分への応用はありうるかもしれない。しかしながらその場合には MRSA、バンコマイシン耐性腸球菌や Clostridium difficile などの細菌に加え、真菌類への殺菌効果の検討も必要である。

軟性内視鏡洗浄の検証に用いる試験用汚染物質と比較した臨床分泌物の物理的特性および組成特性

Physical and composition characteristics of clinical secretions compared with test soils used for validation of flexible endoscope cleaning

M.J. Alfa*, N. Olson
*St. Boniface Research Centre, Canada

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 83-88


目的
シミュレーション使用においていずれの試験用汚染物質が、最悪の場合の有機物レベルおよび臨床分泌物の粘度に一致し粘着特性が最も高いのかを明らかにすること。

方法
蛋白質、炭水化物、ヘモグロビンの各レベル、内視鏡に付着する臨床分泌物の振動式測定による粘度を ATS、ATS2015、Edinburgh、Edinburgh-M(修正)、Miles、10%血清、凝固全血などの試験用汚染物質と比較した。粘着性試験には ASTM D3359 規格を用いた。1 チャンネル挿管用軟性内視鏡をシミュレーション使用した後、その洗浄を試験した。

結果
蛋白質、炭水化物、ヘモグロビンの最悪レベルはそれぞれ 219,828 μg/mL、9,296 μg/mL、9,562 μg/mL、臨床試料の粘度は6 cPであった。全血、ATS2015、Edinburgh-M はピペットで採取可能で、粘度はそれぞれ 3.4 cP、9.0 cP、11.9 cPであった。ATS2015 および Edinburgh-M が最悪の場合の臨床パラメータと最もよく一致したが、ATS が除去率 7%で粘着性がもっとも高かった(Edinburgh-M は36.7%)。Edinburgh-M および ATS2015 は、汚染状態および挿管用軟性内視鏡の表面および内腔からの除去特性が同様であることが示された。

結論
評価した試験用汚染物質のうち、ATS2015 および Edinburgh-M は、組成と粘度が最悪の場合の臨床試料に最もよく一致していたため、内視鏡のシミュレーション使用に適した選択であることが明らかになった。

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監訳者コメント
再使用する医療器具の再生には、適切な滅菌消毒工程の前に効果的な洗浄後が必須であることは周知の事実であるが、洗浄の保証の重要性が近年認識されるようになった。米国食品薬品局(FDA)は 2015 年に医療器具の再生に関するガイドラインを作成し、その中でメーカーに対して模擬汚染物質を使用しての洗浄効果の検討を要求している。本ガイドラインでは、各医療器具毎に医療現場で使用される際の最悪の汚染状態を想定した模擬汚染物を選択するよう推奨している。しかしながら適切な試験用模擬汚染物質の選択に関する検討は十分ではない。本論文では、いくつかの市販されている模擬汚染物質を評価し、内腔を有する軟性内視鏡においては、AST2015 と Edinburh-M の 2 種類が洗浄評価のための模擬汚染物質として適切であろうと結論づけている。参考までにわが国では、日本医療機器学会が 2012 年に「洗浄評価判定ガイドライン」を出しているが、模擬汚染物質の記載はない。

医療関連尿路感染症に関連する入院期間および死亡率:多状態モデル

Length of stay and mortality associated with healthcare-associated urinary tract infections: a multi-state model

B.G. Mitchell*, J.K. Ferguson, M. Anderson, J. Sear, A. Barnett
*Avondale College of Higher Education,Australia

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 92-99


背景
抗菌薬耐性の出現は、原因微生物の大部分がグラム陰性菌であるため、尿路感染症(UTI)に関して特に懸念されている。医療関連 UTI は尿路における器具の使用、特に留置カテーテルに関連していることが多い。

目的
現在の医療関連 UTI の発生率、死亡率および入院期間を評価すること。

方法
非同時性コホート研究デザインを用い、2010 年 1 月 1日から 2014 年 6 月 30 日に実施した。オーストラリアの研究参加 8 病院のうち、いずれか1 つの病院に2 日を超えて入院した患者すべてを対象とした。発生率、死亡率、医療関連 UTI による入院延長期間を主要な評価項目とした。

結果
162,503 件の入院があり、入院患者の 1.73%(95%信頼区間[CI]1.67 ~ 1.80)が医療関連 UTI を発症した。多状態モデルを用いると、医療関連 UTI による入院期間の延長は 4 日(95%CI 3.1 ~ 5.0 日)であった。Cox 回帰モデルを用いると、感染は退院率を有意に低下させた(ハザード比[HR]0.78、95%CI 0.73 ~ 0.83)。女性は死亡する確率が低かった(HR 0.71、95%CI 0.66 ~ 0.75)が、高齢患者は死亡する確率が高かった(HR 1.40、95%CI 1.38 ~ 1.43)。年齢および性別で補正すると、死亡は、3 次紹介病院において他の病院より少なかった(HR 0.74、95%CI 0.69 ~ 0.78)。

結論
本研究は、先進国において適切な統計学的方法を用いて医療関連 UTI の負荷を調べた最初の研究である。我々の研究は、医療関連 UTI の発生はそれに関連した入院期間の延長を生ずるのみならず、病院システムへの負荷にもなることを示している。薬剤耐性菌による UTI 発生率の上昇に伴い、サーベイランスおよび医療関連 UTI の発生率を低下させる介入が求められている。

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監訳者コメント
医療関連 UTI の発生による入院期間延長・超過死亡、コスト、医療機関への影響については、これまで多数の報告が存在し、議論が重ねられてきた課題であるが、広域(13 万平方キロ)かつ多くの人口(85 万人)をカバーする複数の病院を対象としている本検討は、大規模な医療システムに対して医療関連 UTI がもたらすインパクトの一端を明らかにしているといえる。

病棟における空中浮遊結核菌(Mycobacterium tuberculosis)DNA 採取を目的とした水溶性ナノフィルタの応用

Application of water-soluble nanofilters for collection of airborne Mycobacterium tuberculosis DNA in hospital wards

M.A. Vladimirsky*, L.K. Shipina, E.S. Makeeva, Y.S. Alyapkina, A.Y. Mikheev, V.N. Morozov
*Phthisiopulmonology Research Institute of the Sechenov First State Medical University, Russian Federation

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 100-104


院内感染症における、空中浮遊バイオマーカーの簡単かつ安価な採取法を報告する。家庭用電気掃除機に取り付けた水溶性電解紡糸ナノフィルタを用いて、結核病院の複数病棟において 6 ~ 10m3 の空気から10 ~ 15 分間にわたりバイオマーカーを採取した。次いでフィルタを水中に溶解し、リアルタイム PCR 法を用いて結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のIS6110 および regX3 遺伝子の有無を検査した。その結果、微量の空中浮遊結核菌 DNA(遺伝子コピー数 > 3 個/m3)が、喀痰塗抹陽性の結核患者を収容している病棟内の空気中および表面上に常に存在することが示された。

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監訳者コメント
エアロゾルを採取するサンプラーの能力は、吸入容量や捉えられる粒子径、フィルターなどに大きく左右される。また消費電力も問題である。空中浮遊結核菌を効率よく集菌し、フィルターから回収する方法が模索されてきたが、今回の方法もその有力な一法といえよう。今後のさらなる改良により、空気感染の実態の理解と対策の向上への貢献に期待したい。

新生児集中治療室における持続的で高い血液培養汚染率に対する教育および皮膚消毒の併用介入

Combined education and skin antisepsis intervention for persistently high blood-culture contamination rates in neonatal intensive care

C. O’Connor*, R.K. Philip, J. Powell, B. Slevin, C. Quinn, L. Power, N.H. O’Connell, C.P. Dunne
*University Hospital Limerick, Ireland

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 105-107


血液培養の汚染(コンタミネーション)は、診断、入院期間、抗菌薬使用、薬剤および検査費用に関わってくる難しい課題である。新生児の血液培養において高率(3.8%)にコンタミネーションが生じたため、我々はこれまでの 70%イソプロパノールに代えて、2%グルコン酸クロルヘキシジン + 70%イソプロパノールの無菌アプリケータを用いて採血前の皮膚消毒を行うとともに、スタッフ教育を併用した介入を推進し、成功した。介入前の 6 か月間に採取された新生児の血液培養では、364 検体中 14 検体(3.8%)が汚染されていたが、介入後の 6 か月間では 314 検体中 3 検体(0.96%)であり、有意な改善が認められた(Fisherの正確検定 P = 0.0259)。皮膚関連の副作用は認められず、持続的な改善が得られた。

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監訳者コメント
新生児の血液培養は、皮膚の状態、採取場所、消毒の徹底、採取時の手技、アレルギーといった問題を抱え、汚染率も高くなりやすい。本検討ではグルコン酸クロルヘキシジンの濃度を 2%とし、採取に関するスタッフ教育も併せて行ったうえで、汚染率を有意に低下させることができた。これまで小児、特に新生児では血液培養時の消毒薬に関する検討が少なかったことに加え、クロルヘキシジンの濃度による効果の違いと安全性についても結論がついていなかったことから、今回の結果は貴重な情報といえる。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.