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入院患者の基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌(Escherichia coli)感染症を予測するための臨床リスクスコア判定法

Clinical risk scoring system for predicting extended-spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli infection in hospitalized patients

K. Kengkla*, N. Charoensuk, M. Chaichana, S. Puangjan, T. Rattanapornsompong, J. Choorassamee, P. Wilairat, S. Saokaew
*University of Phayao, Thailand

Journal of Hospital Infection (2016) 93, 49-56


背景
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生大腸菌(extended spectrum β-lactamase-producing Escherichia coli;ESBL-EC)は、感染制御および経験的抗菌薬処方において重要な意義を有する。本研究はの目的は、地域の疫学に基づいてESBL-EC感染症を予測するためのリスクスコア判定法を開発することであった。

方法
本研究では、2011年 から 2014 年の期間にわたり大腸菌培養陽性の適格患者を後向きに特定した。ロジスティック回帰に基づく予測により、ESBL-EC 感染症と独立して関連する変数を用いてリスクスコア判定法を開発した。受信者動作特性曲線下面積(AuROC)を算出して、このモデルの予測能を確認した。

結果
ESBL-EC 感染症の予測因子は、男性(オッズ比[OR]1.53)、年齢 ≧ 55 歳(OR 1.50)、医療関連感染症(OR 3.21)、院内獲得感染症(OR 2.28)、敗血症(OR 1.79)、長期の入院(OR 1.88)、1 年以内の ESBL 産生菌感染症の既往(OR 7.88)、3 か月以内の広域スペクトルセファロスポリン使用歴(OR 12.92)、および 3 か月以内の他の抗菌薬の使用歴(OR 2.14)であった。スコア判定による点数は 0 ~ 47 の範囲で、診断能に関する変数に基づいて以下の 3 グループに分類した:低リスク(スコア 0 ~ 8、44.57%)、中間リスク(スコア 9 ~ 11、21.85%)および高リスク(スコア ≧ 12、33.58%)。本モデルは中等度の予測能(AuROC 0.773、95%信頼区間 0.742 ~ 0.805)および良好なキャリブレーション(Hosmer-Lemeshow χ2 = 13.29、P = 0.065)を示した。

結論
本ツールは、経験的抗菌薬療法の処方を最適化し、患者を同定する時間を最小化し、ESBL-EC の拡散を予防する可能性がある。ルーチンの臨床診療で採用する前に、本ツールのさらなるバリデーション研究が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
近年、わが国における大腸菌の ESBL 産生率は 15 ~ 20%と高率であり、経験的治療薬としてカルバペネム系薬を使用せざるをえないことが多い。従って、どのような患者で ESBL 産生菌が検出されるか(あるいは検出されないか)を予想することは非常に重要である。本研究はそのような ESBL 産生菌の予測因子に関する研究である。このような研究は、地域により結果が異なることが予想されるが、1 年以内の ESBL 産生菌感染症の既往や 3 か月以内の広域スペクトルセファロスポリン使用歴など、OR の高い項目は概ね予想されるものであろう。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.