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表面上でのインフルエンザの残存

Persistence of influenza on surfaces

K.-A. Thompson*, A.M. Bennett
*Public Health England, Porton Down, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 95, 194-199


背景
密接な接触による伝播(直接接触または大きな飛沫/飛沫核)はインフルエンザのアウトブレイクの主要因と考えられているが、伝播における媒介物の役割については情報が限られている。

目的
表面上でのインフルエンザウイルス株の安定性を調べ、伝播における媒介物の役割を検討すること。

方法
3 種の表面(綿、マイクロファイバー、ステンレス鋼)上に播種した 5 つのインフルエンザウイルス株(A/PR/8/34/H1N1、A/Cal/7/09/H1N1、A/Cal/4/09/H1N1、A/Sol/54/06/H1N1、A/Bris/59/07/H1N1)の生存および定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT–PCR)シグナルを、経時的に評価した。細胞培養により作製したウイルス保存液に 0.3%ウシ血清アルブミンを添加した懸濁液(106 ~ 108 pfu/mL)10 μLを、各材質の試験片に播種した。試験片は、ボルテックスミキサーを使用する溶離法を用いて、プラークアッセイおよび定量的 RT–PCR により、1 時間後、24 時間後、および週ごとに 7 週間分析した。

結果
生存ウイルスは、最長で 2 週間(ステンレス鋼)および 1 週間(綿およびマイクロファイバー)試験片から検出されたが、PCR 法では 7 週間の研究期間を通して検出された。株差は認められなかった。
生存ウイルスが 99%減少するまでの時間(播種した保存液に応じた値)は、綿 17.7 時間(R2 = 0.86)、マイクロファイバー 34.3時間(R2 = 0.80)、ステンレス鋼 174.9 時間(R2 = 0.98)であった。

結果
生存インフルエンザウイルスは最長で 2 週間、表面から回収された。対照的に、PCR 法ではインフルエンザは 7 週間を超えて検出された。これらの結果は、医療現場において、感染制御業務手順、清掃スケジュールおよびサンプル採取法を決定するうえで、重要な意味を持つ。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
RT-PCR 法は遺伝子を検出するため、感染性とは関係なく、遺伝子の存在のみで検出される。インフルエンザの感染経路は飛沫感染と接触感染があり、本論文の結果から、環境表面に放置されたインフルエンザウイルスの感染性は 2 週間程度であることが推測される。インフルエンザは、直接飛沫を浴びるなどの濃厚接触による飛沫感染が主体であり、環境表面からの間接的接触による感染のデータは限られている。本論文の結果からは、飛沫感染経路以外に環境を介した間接的な接触感染の可能性を示唆している。環境にウイルスが残存すれば感染性があることを考慮し、環境整備の方法や頻度において再検討が必要である。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.