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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の迅速診断検査法による全症例スクリーニング:クラスター無作為化クロスオーバー試験

Point-of-care universal screening for meticillin-resistant Staphylococcus aureus: a cluster-randomized cross-over trial

P.J. Wu*, D. Jeyaratnam, O. Tosas, B.S. Cooper, G.L. French
*Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 95, 245-252


背景
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は医療施設で頻繁に流行し、ヒト-ヒト感染で伝播する可能性がある。無症候性の MRSA 保菌者は、潜在的かつ予期せぬ伝播の源であり、その一部は入院時スクリーニングによって特定できる可能性がある。

目的
入院時の MRSA の迅速診断検査によるスクリーニングは、時間のかかる微生物検査室での方法と比較して MRSA 感染率の低下に関連するかどうかを評価すること。

方法
ロンドンの急性期 3 次病院の 4 つの入院病棟でクラスター無作為化クロスオーバー試験を実施した。PCR 法による迅速診断検査法によるスクリーニングを従来の培養法によるスクリーニングと比較した。病棟への入院および退院時に患者をスクリーニングし、主要評価項目として入院病棟での MRSA 感染率を算出した。

結果
全体で、患者 10,017 例を対象とし、対照群は 4,978 例、迅速診断検査法によるスクリーニング群は 5,039 例であった。入院時の MRSA 保菌率は 1.7%であった。迅速診断検査法によるスクリーニングによる報告までの所要時間の中央値は 40.4 時間から 3.7 時間に短縮した(P < 0.001)。入院病棟での MRSA 感染は、対照群の 23 例(0.46%)、介入群の 24 例(0.48%)にみられ、感染率はそれぞれ 1,000 日あたり 5.39 および 4.60 であった。事前に規定した交絡因子で補正すると、MRSA 感染のトレンドでの変化の補正後発生率比(IRR)は 0.961(95%信頼区間 0.766 ~ 1.206)であった。MRSA 感染のステップ変化の補正後 IRR は、0.98(0.304 ~ 3.162)であった。

結論
迅速診断検査法によるスクリーニングは、培養法によるスクリーニングと比較して有意に早い結果が得られるが、入院病棟での MRSA 感染に対しては効果が認められない。感染予防と管理の遵守率が高く MRSA 保菌率が低い場合、迅速診断検査法によるスクリーニングは、従来の培養法によるスクリーニングと比較して入院後 1 日目から 4 日目の MRSA 感染率に及ぼす付加的な影響はない。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
手指衛生遵守率が高く、日常的に標準予防策が徹底している病院とそうでない病院では、同じトライアルを行っても差がでるかもしれない。施設間の感染対策の実施状況を考慮するにはこうした研究には多施設間共同の検討が必要かも知れない。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.