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エンテロバクター(Enterobacter)属およびクレブシエラ(Klebsiella)属の侵襲性感染症分離株で銀耐性遺伝子が高頻度にみられる

High frequency of silver resistance genes in invasive isolates of Enterobacter and Klebsiella species

S. Sütterlin*, M. Dahlö, C. Tellgren-Roth, W. Schaal, Å. Melhus
*Uppsala University, Sweden

Journal of Hospital Infection (2017) 96, 256-261


背景
銀をベースとする製品は抗菌薬の代替品として市販され、その消費量は増加しているが、細菌が銀に対する耐性を獲得する場合がある。

目的
腸内細菌科の臨床的に重要な 3 つの属で、銀耐性をコードする遺伝子(silEsilPsilS)の存在を経時的に調査すること。

方法
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、1990 年から 2010 年の血液分離株 752 株を調査した。患者の年齢、性別、および病棟を登録し、抗菌薬および硝酸銀に対する感受性を検査した。クローン性および一塩基多型を repetitive element sequence-based PCR法、multi-locus sequence typing 法、および全ゲノムシークエンス法を用いて判定した。

結果
銀耐性をコードした遺伝子は、エンテロバクター(Enterobacter)属菌(48%)で最も高頻度に検出され、次いでクレブシエラ(Klebsiella)属菌(41%)、大腸菌(Escherichia coli)(4%)の順に高頻度に検出された。硝酸銀に対する表現型耐性は、Enterobacter 属(13%)および Klebsiella 属(3%)の分離株で認められた。sil 遺伝子の保有率は、新生児病棟の血液分離株で最も低く(24%)、がん病棟/血液内科病棟の血液分離株で最も高かった(66%)。sil 遺伝子の存在は、国際的に拡散した高リスクのクローンで認められた。sil および pco クラスターの配列から、silS 遺伝子の単一の突然変異によって表現型耐性の発現が引き起こされた可能性があることが示された。

結論
スウェーデンの医療施設では銀をベースとする製品の消費を制限したにもかかわらず、銀耐性遺伝子は Enterobacter 属および Klebsiella 属の臨床分離株で広く認められている。医療関連感染症の可能性が高い銀耐性菌のさらなる選択および蔓延を避けるため、銀ベース製品の使用は管理下に置き、銀耐性を監視する必要がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
微生物汚染に対する対策として、様々な消毒薬や紫外線、銀や銅など様々なものが研究され、臨床的にも使用されている。しかし「いたちごっこ」は抗微生物薬の世界だけにとどまらず、これらの物質に対しても耐性を獲得した微生物やその耐性機序が次々に報告されている。こういった耐性は薬剤感受性のように日常的な検査で測定できないため、水面下に拡散する危険性がある。そのような観点からもやはり「過ぎたるは及ばざるがごとし」であり、消毒薬や抗菌素材を「ルーチンに」使用するのを控えなければならない理由の一つなのかもしれない。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.