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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

内視鏡の乾燥処理とその落とし穴

Endoscope drying and its pitfalls

J. Kovaleva*
*Centre for Medical Analysis, Belgium

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 319-328


内視鏡チャンネルの不十分な乾燥処理は、保管中における残存病原体の複製および生存の原因となり得る。汚染可能性のある水が保管中の内視鏡チャンネル内に存在することは、細菌の増殖とバイオフィルムの形成を促進する可能性がある。不完全な乾燥処理手順または乾燥処理の不実施、および垂直の状態で保管しないことは、乾燥処理時および内視鏡保管時に最も多く認められる問題である。不十分な乾燥処理および保管手順は、不十分な洗浄および消毒とともに、内視鏡の汚染と内視鏡手技後の感染症の最も重要な原因である。軟性内視鏡は、自動内視鏡洗浄装置により手動で、または乾燥/保管キャビネット内で乾燥処理を行う場合がある。内視鏡チャンネルに対しては、70 ~ 90%エチルまたはイソプロピルアルコールによる洗浄後、通風乾燥を行うことがいくつかのガイドラインで推奨されている。現行のガイドラインでは、軟性内視鏡は、閉鎖した換気されたキャビネットで、垂直の状態で保管することが推奨されている。乾燥/保管キャビネットは乾燥システムを備えており、濾過した乾燥空気を循環させて内視鏡チャンネル内に通すようになっている。内視鏡の洗浄に関する複数のガイドラインは互いに一貫していないか、軟性内視鏡の乾燥および保管に関する正確な推奨を規定していないかのいずれかである。再消毒が必要となるまで、また汚染リスクが生じるまで安全に内視鏡を保管できる期間について、決定的なエビデンスは存在しない。疾患伝播と院内感染のリスクを最小化するために、ガイドラインが互いに一貫したものとなるよう、諸ガイドラインの修正と見直しが推奨される。

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監訳者コメント
細長い空洞の管壁に水分が付着した場合、乾燥させるのは至難の技である。安定的にチャンネル内を完全に乾燥するには専用のデバイスが必要であろう。

オートクレーブ不可能な新規の内視鏡包装処理システムの評価:最初の微生物学的サンプル 100 個の結果

Evaluation of a new packaging process for non-autoclavable endoscopes: results for the first 100 microbiological samples

C. Minebois*, P. Saviuc, J. Shum, P. Tuvignon, I. Pelloux, M.-P. Brenier-Pinchart, C. Landelle, M.-R. Mallaret
*Centre Hospitalier Universitaire Grenoble-Alpes, France

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 333-337


背景
新規の内視鏡包装処理システム(SureStore®、Medical Innovations Group)は、自動内視鏡洗浄装置(AER)による洗浄および消毒処理直後の内視鏡に対して行うものであるが、これにより内視鏡を最長 15 日間保管することが可能になる。

目的
本包装処理後の消化管内視鏡から採取したサンプルにおける微生物学的な質を記述すること。

方法
フランスの大学病院において、保管されていた消化管内視鏡 38 本の微生物学的サンプル採取を用いて、3 か月間の前向き研究を実施した。遵守率(25 コロニー形成単位以下で病原性微生物が検出されないサンプルの割合)および無菌サンプル率(微生物が検出されないサンプルの割合)を算出した。次いで多変量解析を実施し、無菌状態の維持に関連する因子を明らかにした。

結果
保管されていた内視鏡から 100 個のサンプルを採取した。保管日数は、サンプル 31 個が 3 日以内、34 個が 3 日から 7 日、35 個が 7 日から 15 日後であった。遵守率は 98%、無菌サンプル率は 60%であった。AER での処理終了から包装処理までの期間のみが無菌サンプル率と有意に関連した(P = 0.02)。無菌サンプル率は、AER による処理終了から包装処理までに 2 時間を超えて経過していた場合は、処理終了から 1 時間以内の場合と比較して、17 倍低下した(P = 0.04)。

結論
SureStore® プロセスは、最長 15 日間保管した内視鏡から採取したサンプルにおいて、満足できる遵守率(98%)を維持できるようである。包装処理の遅れが 1 時間を超えると無菌サンプル率が低下するため、それ以上遅れてはならない。

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監訳者コメント
回路内を処理後に真空保管する方法で、滅菌処理が不可能な既存の内視鏡器具には本システムは福音かもしれない。
https://www.youtube.com/watch?v=BLRlrSja-s8

狭い内腔を有する歯科用ハンドピースに対するノンバキューム方式とバキューム方式滅菌プロセスにおける温度測定法を用いた蒸気浸透の比較検討

Investigating steam penetration using thermometric methods in dental handpieces with narrow internal lumens during sterilizing processes with non-vacuum or vacuum processes

S. Winter*, A. Smith, D. Lappin, G. McDonagh, B. Kirk
*University of Glasgow, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 338-342


背景
歯科用ハンドピースは、患者が使用する間に滅菌を行う必要がある。内腔のある中空デバイスには、特定の医療用デバイスに対してプレポストバキューム方式または単一サイクルを用いるバキューム方式蒸気滅菌プロセスを用いて、空気除去を行う必要がある。残存空気は必要な滅菌状態の達成を妨げることになる。多くの国や専門組織は、歯科用ハンドピースに対して現在もノンバキューム方式滅菌プロセスを推奨している。

目的
歯科用ハンドピースに対するノンバキューム方式重力置換式の N 型蒸気滅菌において、ハンドピースの異なる部位について滅菌温度を達成するために要する時間を温度測定法を用いて検討すること。

方法
ハンドピースのエアタービン内の複数部位で、熱電対とデータロガーを用いて温度測定を行った。英国で広く用いられている 2 種類のベンチトップ型蒸気滅菌装置として、ノンバキューム方式ベンチトップ型滅菌装置(Little Sister 3、Eschmann、Lancing、英国)およびバキューム方式ベンチトップ型滅菌装置(Lisa、W&H、Bürmoos、オーストリア)を対象として検討した。3 つのハンドピースに対して各滅菌装置サイクルを完了し、各サイクルを 3 回繰り返した。

結果
歯科用ハンドピース内腔内で計 140 回の測定を記録した。ノンバキューム方式プロセス(時間の範囲:0 ~ 150 秒)では、国際標準で規定された時間範囲(平衡時間 15 秒)内に確実に滅菌温度を達成することができなかった。ハンドピース基部の測定点では、すべての試験ラン(N = 9)で国際標準を満たすことができなかった。プレポストバキューム方式蒸気滅菌 B 型プロセスでは、達成失敗は認められなかった。

結論
ノンバキューム方式重力置換式の N 型蒸気滅菌プロセスは、歯科用ハンドピース内において滅菌条件を確実に達成できず、ハンドピース基部は達成の失敗が最も起きやすい部位である。

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監訳者コメント
歯科用ハンドピースは国内で約半数しか個々の患者ごとに洗浄・滅菌されていないことが、2017 年度に実施された厚生労働省の研究班の報告に上がっている。その上、適切な方法で滅菌されていないとなると、今後滅菌保証の観点からもサーベイが必要になろう。

歯科用ハンドピースに対するノンバキューム方式蒸気滅菌プロセスの失敗

Failure of non-vacuum steam sterilization processes for dental handpieces

S. Winter*, A. Smith, D. Lappin, G. McDonagh, B. Kirk
*University of Glasgow, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 343-347


背景
歯科用ハンドピースは、救急および準救急手術介入で用いられる。一部の歯科医師団体は歯科用ハンドピースを患者が使用する間に滅菌するよう推奨しているが、異なる蒸気滅菌プロセスの有効性は明らかでなく、理解されていない。歯科用ハンドピースの内部構造には狭い内腔(0.8 ~ 2.3 mm)が含まれ、これが空気の除去と、滅菌条件を達成するために必要な飽和蒸気の侵入を妨げる可能性がある。

目的
歯科用ハンドピースに対してノンバキューム方式プロセスを用いた場合の滅菌失敗の程度を明らかにすること。

方法
英国で広く用いられているベンチトップ型蒸気滅菌装置と 3 種類の歯科用ハンドピースを対象に in vitro および in vivo 試験を実施した。歯科用ハンドピースの内腔内で、温度測定法、(TM、データロガー)、化学指標(CI)、生物学的指標(BI)法を用いて、滅菌プロセスのモニタリングを行った。

結果
歯科用ハンドピース内における滅菌性の達成を評価する 3 種類の方法すべてにおいて、ノンバキューム方式滅菌条件(CI:8/3,024[失敗数/検査数]、B:15/3,024、TM:56/56)への曝露では、バキューム方式滅菌条件(CI:2/1,944、BI:0/1,944、TM:0/36)への曝露よりも失敗数がかなり多かった。ノンバキューム方式プロセスで最も滅菌失敗の割合が高かった歯科用ハンドピースは、外科用ハンドピースであった。一般歯科診療所に設置されているノンバキューム方式滅菌装置では、滅菌失敗率が高かった(CI:25/1,620、BI:32/1,620、TM:56/56)のに対し、バキューム方式プロセスでは滅菌失敗はなかった。

結論
ノンバキューム方式重力置換式の N 型蒸気滅菌装置は、一般歯科診療における歯科用ハンドピースに対して確実な滅菌法ではない。滅菌失敗の割合が最も高い歯科用ハンドピースは、外科的介入で最も多く用いられる種類のハンドピースである。

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監訳者コメント
歯科用ハンドピースは国内で約半数しか個々の患者ごとに洗浄・滅菌されていないことが、2017 年度に実施された厚生労働省の研究班の報告に上がっている。その上、適切な方法で滅菌されていないとなると、今後滅菌保証の観点からもサーベイが必要になろう。

不凝縮ガスの定量化モニタリングにより蒸気滅菌装置の性能における傾向を追跡する

Following trends in steam sterilizer performance by quantitative monitoring of non-condensable gases

R.A.C. van Wezel*, A. van Gastel, A. de Ranitz, J.P.C.M. van Doornmalen Gomez Hoyos
*Catharina Hospital, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 357-362


国際標準では、蒸気滅菌装置には使用前に毎日、蒸気浸透試験を行うことを求めている。多くの場合、蒸気浸透試験の結果は、滅菌プロセスの改善または最適化のために用いられていない。本研究は、客観的な定量化蒸気浸透試験による傾向分析が、最終利用者に付加価値をもたらすか否かを明らかにすることを目的とした。病院および製造者による客観的な定量化蒸気浸透試験のデータベースを組み合わせて解析した。本研究で用いたデータベースには 5 種類の蒸気滅菌装置が含まれ、約 4 年間の期間を対象とした。本解析に基づき、滅菌装置のプロセスを最適化した。蒸気浸透試験の結果は、期間が長いほど安定したものとなった。これにより、メンテナンスとバリデーションの間の期間が延長する可能性がある。本解析から、客観的な定量化蒸気浸透試験により、蒸気滅菌プロセスの機能性に関するさらなる洞察と知識が得られることが示される。この知識は、プロセスを最適化し、最終利用者が費用を節減するために活用できるであろう。

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監訳者コメント
国際基準(ISO11140)では蒸気滅菌装置の使用前に毎日蒸気浸透試験を行うことが求められているが、定性試験で行われている。この論文は定量化蒸気浸透試験を行い、その結果を評価したものである。このようなエビデンスの積み重ねがより有効でコスト削減できる方法の検討につながっていくと考えられる。

手指衛生および手袋の着用が再使用手術器具の清浄度に及ぼす影響

Effect of hand hygiene and glove use on cleanliness of reusable surgical instruments

D.M. Costa*, L.K.O. Lopes, A.F.V. Tipple, R.B. Castillo, H. Hu, A.K. Deva, K. Vickery
*Macquarie University, Australia

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 348-352


背景
再使用手術器具の滅菌のための機能性検査および包装を行う間は、器具への接触頻度が高い。滅菌サービスユニットの包装エリアでの手指衛生の頻度および手袋の着用に関する基準はない。

目的
再使用手術器具の清浄度の維持に手指衛生および手袋の着用が及ぼす影響を明らかにすること。

方法
ハルステッドモスキート鉗子を手作業および自動化作業により洗浄後、手袋を着用して、および手袋を着用しないが手洗いを行った手で鉗子を取り扱った後の、アデノシン三リン酸(ATP)、蛋白質、および微生物による汚染を、それぞれ、表面スワブの ATP 検査、ビシンコニン酸アッセイ、および標準的な培養プレート/ブロスにより評価した。グラム染色により分離菌を分類した。再使用手術器具の汚染状況は、手洗い直後、ならびに 1、2、および 4 時間後に評価した。

結果
手洗い後 2 または 4 時間経過した手で器具を包装した群では、他のすべての群と比較して ATP 値が有意に高かった(P < 0.05)。手洗いからの経過時間と、鉗子の汚染 ATP 量(r = 0.93、P ≦ 0.001)および微生物量(r = 0.83、P ≦ 0.001)との間には有意な相関が認められ、手洗いから時間が経過するほど汚染量は大きかった。手袋を着用せず洗浄後 2 または 4 時間経過した手で扱った鉗子上には、有意に多くの汚染蛋白質が認められた(P < 0.001)。

結論
クリティカルな再使用手術器具の目視、組み立て、潤滑剤の塗布、および包装は、手袋を着用するか、手洗い後 1 時間以内に行うべきである。

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監訳者コメント
この論文では再使用手術器具の滅菌のための作業を行うときに、手洗いを行った後、1 時間後と 2 時間後では器具に付着する菌量が大きく異なっていたことから、手袋をつけるか、あるいは、1 時間ごとの手洗いを推奨している。付着するのは細菌だけではなく蛋白質もであれば、手袋が推奨されると思われた。

アデノシン三リン酸の生物発光を用いた内視鏡におけるコンタミネーション除去の妥当性確認

Adenosine triphosphate bioluminescence to validate decontamination of endoscopes

E. Gillespie*, W. Sievert, M. Swan, C. Kaye, I. Edridge, R.L. Stuart
*Monash Health, Australia

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 353-356


消化管内視鏡が関連したカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)によるアウトブレイクの報告を受けて、内視鏡洗浄の新しい評価法についてレビューおよび研究を行った。本研究では、内視鏡手技実施前の内視鏡の衛生状態を確認するためのアデノシン三リン酸(ATP)の生物発光について評価を行った。内視鏡 127 本を対象に、ATP 検査を微生物学的モニタリングと比較した。洗浄、再処理および保管後、ならびに内視鏡手技実施直前にサンプルを採取した。我々は、内視鏡手技の実施前に、微生物学的検査の代替として定期的に ATP 検査を実施することを推奨する。ATP 検査により、内視鏡の衛生状態について簡便な評価を行うことができ、安全性と質の保証が可能になる。

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監訳者コメント
使用前の内視鏡の清浄度を確認するため微生物学的検査と ATP 検査を行い、比較した論文である。結果として培養陽性の内視鏡は全くなかったが、ATP 検査では、設定した基準値以下ではあるが、値はばらついていた。培養陽性であった場合は ATP 検査でどのような数値が示されるのかが気になった。

カンジダ・オーリス(Candida auris)感染の潜在的なアウトブレイクを制御する:複数の介入からの教訓

Controlling a possible outbreak of Candida auris infection: lessons learnt from multiple interventions

M. Biswal*, S.M. Rudramurthy, N. Jain, A.S. Shamanth, D. Sharma, K. Jain, L.N. Yaddanapudi, A. Chakrabarti
*Postgraduate Institute of Medical Education and Research, India

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 363-370


背景
多剤耐性カンジダ・オーリス(Candida auris)感染は近年、5 大陸で報告されている。インドにおける侵襲性 C. auris 感染の有病率は、集中治療室で獲得されたカンジダ血症の 5.3%と推定されている。患者間、および環境から患者への C. auris の伝播は急速である。

目的
病院内での C. auris の伝播動態を理解すること、および蔓延防止のためにとりうる介入策を明らかにすること。

方法
集中治療室のサーベイランスを実施し、患者の保菌、環境汚染、および医療従事者の手指の C. auris 保菌を評価した。クロルヘキシジンによる患者の洗浄、および安定化過酸化水素消毒薬(Ecoshield)を用いた環境表面の汚染除去を含む介入を行った。さらに、院内で頻用される消毒薬の、様々な無生物表面の C. auris に対する有効性、および院内の布地上の C. auris の残存を評価した。

結果
3 例の C. auris 血流感染症が 3 か月間に見つかった。同時期に同エリアに入院していた多くの患者に C. auris の定着が認められた。サーベイランスにより、環境表面および医療従事者の手指の C. auris 汚染が認められた。クロルヘキシジンによる洗浄および消毒薬の適切な使用などの介入により、C. auris を患者および病院環境から根絶できた。

結論
当院で頻用される消毒薬、および現行の手指衛生行動は、適正な消毒薬の接触時間および手指衛生手順が遵守された場合には、C. auris に対して有効であった。乾燥状態の布地上での C. auris の残存の評価では、C. auris が最長で 7 日間残存しうることが示された。

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監訳者コメント
C. aurisは、米国でも問題となっており、米国疾病対策センター(CDC)はアラートを出している。本論文と同様に、患者間での感染伝播、環境の汚染により、医療施設内での拡散が懸念され、早期介入が必要とされている。
Candida auris, CDC, US
https://www.cdc.gov/fungal/diseases/candidiasis/candida-auris.html

カンジダ・オーリス(Candida auris)に対する非生体および生体化学消毒薬の殺酵母活性

Yeasticidal activity of chemical disinfectants and antiseptics against Candida auris

G. Moore*, S. Schelenz, A.M. Borman, E.M. Johnson, C.S. Brown
*Public Health England, National Infection Service, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 371-375


カンジダ・オーリス(Candida auris)は患者間で急速に伝播するようであるが、環境消毒および皮膚除菌の有効性に関する情報は不足している。定量的懸濁試験(EN 13624:2013)により、様々な非生体および生体化学消毒薬のC. auris およびカンジダ・アルビカンス(Candida auris)に対する殺酵母活性を評価した。懸濁試験では、塩素系消毒薬およびヨード系皮膚消毒薬はどちらも C. auris に対して有効であったことから、これらを適切に使用すれば、それぞれ環境汚染、および皮膚保菌を低減できる可能性が示唆された。クロルヘキシジン製剤も有効である可能性があるが、本研究では、活性は製剤、特にイソプロピルアルコールの存在に依存した。

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監訳者コメント
多剤耐性かつ侵襲性が高く、海外で散発的なアウトブレイクを起こしている今話題のCandida auris に対する消毒に関する基礎的検討である。通常のカンジダ属と同様に、ヨード系消毒薬や塩素系消毒薬など一般的な消毒薬が活性を有するようである。

看護師の情報への曝露パターンと季節性インフルエンザワクチン接種への影響

Pattern of exposure to information and its impact on seasonal influenza vaccination uptake in nurses

E.K.H. Cheung*, S. Lee, S.S. Lee
*Prince of Wales Hospital, Hong Kong

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 376-383


背景
医療従事者の年 1 回のインフルエンザワクチンの接種率は様々であり、多くの国で最適以下のレベルにとどまっている。医療従事者はワクチン接種について多様な情報に曝露される場合が多いため、その曝露パターンが医療従事者の判断に影響を及ぼす可能性がある。これはさらなる検討に値する。

方法
冬の流行のピークを越えた 2016 年 2 月に、香港の准看護師に、匿名のオンライン調査への参加を依頼した。質問票には、人口統計学的データ、勤務の特性および経験、ワクチン接種歴、ならびにワクチン接種の判断の理由を含めた。情報の入手について、入手した情報の供給源、タイプおよび性質によって、受動的な情報曝露と能動的な情報探索の 2 つの行動カテゴリーを定義した。カイ二乗検定、Mann-Whitney の U 検定、およびロジスティック回帰により、ワクチン接種をした看護師としなかった看護師を比較した。

結果
全体で 1,177 件の有効回答を看護師から得た。回答者の年齢の中央値は 32 歳で、86%が女性であった。全体のワクチン接種率は 33%であった。職場、専門機関、およびソーシャルネットワークからの情報への受動的な曝露は、ワクチン接種の判断を予測しなかったが、マスメディアからの情報への受動的な曝露は接種の判断を予測した(オッズ比[OR] 1.78)。先輩に相談する(OR 2.46)、促進活動を組織する(OR 2.85)、および情報探索を行う(OR 2.43)といった能動的な情報探索は、ワクチン接種率が高いことと有意に関連した。能動的な情報探索では累積効果が認められた(OR 1.86)が、受動的な情報曝露では認められなかった。

結論
医療従事者に対する季節性インフルエンザワクチン接種の促進活動およびキャンペーンの現在のストラテジーは、ワクチン接種率の上昇に有効ではない可能性がある。情報探索行動に的を当てた対策が、代替的アプローチとなるかもしれない。

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監訳者コメント
医療従事者のインフルエンザワクチン接種率を向上させる要素に関する研究である。本結果から、行動変容のきっかけとなるのはマスメディアの情報などの受動的な要素である一方で、それが持続するためには自らの情報収集などの能動的な要素が必要であることが分かる。ワクチンに限らず行動変容を得るための戦略を考える上でも興味深い研究である。

医療従事者における HIV 症状としての初のワクチン株水痘感染症例:症例報告および文献レビュー

First case of vaccine-strain varicella infection as manifestation of HIV in healthcare worker: a case report and review of the literature

B.D. Navalkele*, O. Henig, M. Fairfax, E. Flanagan, M. Upfal, J. Russell, S. Dhar, K. Kaye, T. Chopra
*Detroit Medical Center and Wayne State University, USA

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 384-388


弱毒生水痘ワクチン接種は、非免疫不全集団において安全であり、重篤でない有害事象をまれに伴う。医療従事者 1 名が水痘に感染し、曝露調査が実施された。その結果、曝露した医療従事者のうち 1 名が水痘に対する免疫がなく、曝露後に水痘ワクチンを接種していたことが判明した。その後、曝露した当該医療従事者においてワクチン株による播種性水痘および進行性網膜外層壊死が認められ、診断未確定であったヒト免疫不全ウイルス感染が特定された。本稿では、水痘ワクチン接種の重篤な有害事象を精査する。医療従事者の生ワクチン接種は事前に慎重に検討する必要がある。

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監訳者コメント
水痘ワクチン接種後のワクチン株による感染が HIV 感染診断のきっかけになったとする症例報告である。本報告は本症例以外の水痘ワクチン接種後の有害事象事例がまとめられており、ワクチン接種担当者には一読をお勧めする。

開頭術後のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)感染症と脳硬膜インプラントの関連:症例対照研究

Association between post-craniotomy Propionibacterium acnes infection and dural implants: a case-control study

C. McKerr*, N. Coetzee, O. Edeghere, S. Suleman, N.Q. Verlander, K. Banavathi
*Public Health England, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 389-396


背景
2011 年に英国の病院 1 施設で開頭術を受けた患者において、根深いプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)感染症例15例が同定された。

目的
本アウトブレイクについて説明するとともに、感染源およびリスク因子の特定ならびに制御策に関する情報提供のため実施した調査で得られた所見を報告すること。

方法
患者および手術に関する変数を含むデータを診療記録から得た。症例は、2011 年に受けた開頭術後に P. acnes による切開部深層または臓器/腔の手術部位感染症(SSI)が微生物学的に確定された患者と定義した。2011 年に開頭術を受けたが SSI を発症しなかった患者の中から、1 症例につき 4 例を無作為に選出し、対照として組み入れた。感染と推定上の曝露との関連性を多変量回帰分析を用いて検討した。感染予防手順と手術室環境を精査し、現行の規定の遵守状況を評価した。

結果
症例 15 例および対照 65 例が組み入れられた。感染のオッズ比は、術中に硬膜インプラントの挿入を受けた患者(補正オッズ比[aOR]14.6、95%信頼区間[CI]0.95 ~ ∞)および、消毒薬としてアルコール/Betadine®/クロルヘキシジン混合液を使用した患者(aOR 7.9、95% CI 0.8 ~ ∞)で比較的高かった。環境調査では、手術室の換気システムの換気率は推奨基準を下回っていることが示唆された。

結論
硬膜インプラントと P. acnes 感染症との間に正の関連が認められた。感染症は、皮膚消毒薬の効果的でない使用および環境因子によって促進されたと考えられる。サーベイラインスの継続、皮膚消毒薬としてのクロルヘキシジンの使用、手術室の換気を十分に行うこと、および手術室の扉の適切な使用により乱気流を最小限に抑えることが推奨された。

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監訳者コメント
開頭術後の P. acnes によるアウトブレイクに関する後向き症例対照研究の論文であるが、明らかな原因を同定できなかった。硬膜インプラントにおける感染では、P. acnes がバイオフィルム形成をするため治療が極めて困難となるため、周術期の感染予防対策は重要である。本菌が皮膚の常在菌であることを考慮すると、①手術前日または当日の石けんを使用した入浴、②手術部位の消毒剤の皮膚への塗布後の十分な乾燥、③周術期の適切な抗菌薬予防投与、④手術室の術中の扉の最小限の開閉などの基本的な部分が不十分であった可能性がある。

英国の腎臓病科に発生した英国初の cfr 遺伝子を有するリネゾリドおよびグリコペプチド系耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)保菌のアウトブレイク★★

First outbreak of colonization by linezolid- and glycopeptide-resistant Enterococcus faecium harbouring the cfr gene in a UK nephrology unit

T. Inkster*, J. Coia, D. Meunier, M. Doumith, K. Martin, R. Pike, L. Imrie, H. Kane, M. Hay, C. Wiuff, J. Wilson, C. Deighan, K.L. Hopkins, N. Woodford, R. Hill
*Queen Elizabeth University Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 397-402


目的
英国の腎臓病科に発生した cfr 遺伝子を保有するリネゾリドおよびグリコペプチド系耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)保菌のアウトブレイクについて報告すること。

方法
リネゾリド耐性 E. faecium の分離株をパルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE)を用いて分類し、リネゾリド耐性を付与する伝播性 cfr 遺伝子の有無をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および遺伝子配列解析(シーケンス解析)を用いて調べた。徹底した環境清掃、全患者のスクリーニング(初回および以降は週 1 回)、および感染制御に関する標準的な注意事項の遵守状況のモニタリングを実施した。

結果
本研究の開始前から腎疾患を有する患者 5 例で、直腸にリネゾリド耐性 E. faecium の2週間以上の保菌が認められた。初発症例はインドから英国に旅行中の 57 歳男性であった。また、別の 1 例では、PFGE プロファイルの異なるリネゾリド耐性 E. faecium が踵部の創傷から分離された。全分離株が cfr 遺伝子を保有していることが PCR 法および Sanger 法による遺伝子配列解析によって確認され、いずれの分離株もグリコペプチドに対する耐性を獲得していた(VanA 表現型)。

結論
本稿は、腎臓病科の患者 5 例に影響を及ぼした、cfr 遺伝子を有するリネゾリドおよびグリコペプチド系耐性 E. faecium 単一株の英国初となるアウトブレイクについて報告するものである。積極的な感染制御策の実施後 2 週間以上にわたって、さらなる症例は検出されていない。

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監訳者コメント
リネゾリド耐性(LZD:R)を示す cfr 遺伝子を保有するGRE(グリコペプチド系抗菌薬耐性腸球菌)によるアウトブレイクであったが、徹底した感染制御(個室化、塩素系消毒剤による環境整備ならびに器具清拭の強化、血圧計マンシェットなどの患者専用器具の導入、手指衛生の強化、毎日のクロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)による皮膚清拭、患者専用担当看護師によるケアなど)により、5 例のみで終息させることができた。LZD:R は、cfr 遺伝子以外に、optrA 遺伝子があるが、本菌は前者が陽性、後者は陰性であった。本態性遺伝子はプラスミド経由でブドウ球菌などにも種を越えて伝達されることが報告されており、感染対策上厄介である。一方、海外で医療を受けたことのある患者による各種耐性菌の輸入は、一種類ではなく多種類の耐性菌を保菌し、持ち込んでいる可能性があるため、入院時の耐性菌スクリーニングは重要である。本例でもインドからの帰国者であり、リネゾリド耐性・グリコペプチド耐性腸球菌以外に、カルバペネム耐性のグラム陰性菌も同時に検出されていた。

血液内科病棟でのパラインフルエンザウイルス 3 型のアウトブレイク時における分子疫学および環境汚染★★

Molecular epidemiology and environmental contamination during an outbreak of parainfluenza virus 3 in a haematology ward

T. Kim*, C.E. Jin, H. Sung, B. Koo, J. Park, S.-M. Kim, J.Y. Kim, Y.P. Chong, S.-O. Lee, S.-H. Choi, Y.S. Kim, J.H. Woo, J.-H. Lee, J.-H. Lee, K.-H. Lee, Y. Shin, S.-H. Kim
*University of Ulsan College of Medicine, Republic of Korea

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 403-413


背景
媒介物または汚染表面は伝播経路としてみなされているが、医療現場でのヒトパラインフルエンザウイルス 3 型による環境汚染の役割は確立されていない。

目的
ヒトパラインフルエンザウイルス 3 型の院内アウトブレイクおよび環境微生物調査の結果を報告し、院内伝播源および環境汚染の役割を明確にすること。

方法
2016 年 5 月から 6 月に発生したヒトパラインフルエンザウイルス 3 型のアウトブレイク時に、集団感染した患者が接触した環境表面からスワブを用いてサンプルを採取し、感染患者および疫学的に関連のない対照から採取した呼吸器系検体を用いた。赤血球凝集素/ノイラミニダーゼ遺伝子および融合蛋白質遺伝子のシークエンシングによって、ヒトパラインフルエンザウイルス 3 型株の疫学的関連性を検討した。

結果
ヒトパラインフルエンザウイルス 3 型に感染した患者 19 例のうち、8 例が造血幹細胞移植レシピエントであり、1 例が医療従事者であった。また、4 例が上気道感染、12 例が下気道感染を呈していた。19 例のうち、6 例(32%)が市中発症型感染(入院から 7 日未満に発症)、13 例(68%)が院内発症型感染(入院から 7 日以降に発症)であった。系統発生解析で主に 2 つのクラスター(感染集団)(患者 5 例および患者 3 例+医療従事者 1 名)が同定された。したがって、7 例(37%)が院内伝播として分類された。呼吸器のポリメラーゼ連鎖反応検査結果が陰性に転じてから12 日目までに、ヒトパラインフルエンザウイルス 3 型は環境スワブ 49 個中 21 個(43%)で検出された。

結論
ピークシーズン時のヒトパラインフルエンザウイルス 3 型院内アウトブレイクは、その 3 分の 1 以上が院内伝播に起因し、市中からのヒトパラインフルエンザウイルス 3 型の複数にわたる移入によるものであることから、ヒトパラインフルエンザウイルス 3 型の広範な環境汚染を示す実験的エビデンスが得られた。汚染された表面および媒介物との直接的接触または感染した医療従事者からの間接的伝播が、院内伝播の原因と考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
ヒトのパラインフルエンザは、ヒト RS ウイルスと同様に、乳児・小児のよく知られた呼吸器感染症であり、免疫能が正常であると軽度の上気道炎症状で自然寛解するが、造血幹細胞移植後の患者では時に重篤となるうえに、長期にウイルスを排泄するするため、このような状況下ではアウトブレイクが発生しやすい環境ができあがる。感染経路はしばしば飛沫感染と言われるが、飛沫感染は接触感染の特殊な形態であることを考慮すると、飛沫感染する感染症はすべて接触感染する。したがって、今回のパラインフルエンザのアウトブレイクはまさにこのことを証明したものであり、高度に免疫能低下状態にある患者がいる病棟での「ウイルス性上気道感染症」は時に重大なアウトブレイクを引き起こす危険性があるため、医療従事者や訪問者の日常的な感染予防対策は極めて重要である。

2016年、フランスにおける超多剤耐性に近い北京型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の医療従事者への伝播についての研究

Investigation of pre-XDR Beijing Mycobacterium tuberculosis transmission to a healthcare worker in France, 2016

A. Appelgren*, D. Morquin, S. Dufour, V. Le Moing, J. Reynes, A. Lotthé, S. Parer, C. Corbeau, A. Aubry, W. Sougakoff, J. Solassol, L. Bonzon, Y. Dumont, S. Godreuil
*Centre Hospitalier Universitaire de Montpellier, France

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 414-417


フランスの University Hospital of Montpellier において、超多剤耐性に近い北京型結核菌による医療従事者の職業感染例が発生した。初発例は、分離株の遺伝子フィンガープリント法を用いて同定された。本報告は、結核発生率の低い国における超多剤耐性結核菌による医療関連感染のリスク、ならびに結核の管理における分子疫学・遺伝子解析の重要性を強調するものであるが、加えて、多剤耐性/超多剤耐性結核菌感染患者のマネジメントにおいて警戒を強めることを求めている。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
イソニアジド、リファンピシンに加え、フルオロキノロンないしアミノグリコシドに耐性を来したものを pre-XDR と定義する。本検討では発症した医療従事者が雇用されていた期間全体について、pre-XDR/XDR 結核患者を抽出し、さらに保存株の分子疫学検査・薬剤耐性遺伝子検査を行って、特定の患者とのリンクを明らかにするとともに、5 薬剤による治療開始までの時間を 38 日まで短くすることができた。感染対策・疫学・検査・治療の全体にわたり合理的かつ迅速にマネジメントを進めることができた成功例である。

アルコール放出ドアプレートが手指接触時の表面汚染を軽減する可能性

The potential of alcohol release doorplates to reduce surface contamination during hand contact

E.L. Best*, P. Parnell, M.H. Wilcox
*Leeds Teaching Hospitals NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 424-429


背景
至適な手指衛生は、汚染された環境表面との接触によって損なわれると考えられる。

目的
手指接触時の表面汚染を軽減する新開発のアルコール放出ドアプレートの in vitro での有効性を検討すること。

方法
アルコールジェルが注入されたドアプレート「Surfaceskins」の試作品と対照(アルミニウム製)ドアプレートを水平に固定し、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)またはクロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)で汚染した指に曝露(接着)させた(各微生物につき N = 72)。次いで検討法を変え、ドアプレートを垂直に固定し、黄色ブドウ球菌またはE. faecalis のついた手指で、0、3、4、6、7 日目に曝露(接着)を行った(各微生物につきN = 90)。曝露前および曝露直後のプレート表面の汚染を、寒天接触培地を用いて測定した。

結果
水平に固定した Surfaceskins のドアプレートは、黄色ブドウ球菌、E. faecalis および大腸菌に対して殺菌作用を示したが、C. difficile に対しては殺菌作用を示さなかったため、黄色ブドウ球菌と E. faecalis の試験のみを継続した。垂直に固定した Surfaceskins のドアプレートは、7 日間にわたり黄色ブドウ球菌に対して迅速な殺菌作用を示した。いずれの場合も対照ドアプレートは殺菌作用を示さなかった。対照と比較して曝露直後の表面における細菌のコロニー数に有意な減少が認められた(6 日目まで 90%超、P ≦ 0.01)。また、Surfaceskins のドアプレートでは、いずれの試験日でも対照と比較して腸球菌のコロニー数が有意に減少した(P ≦ 0.004)。Surfaceskins のドアプレートにおいて、(注入物の貯留が原因で)上部の方が細菌検出率が高いことを示す所見はなかった。

結論
Surfaceskins のドアプレートは、黄色ブドウ球菌、E. faecalis、大腸菌による表面汚染の軽減に有効であった。接触頻度の高いドア表面の微生物汚染および手指を介した微生物の伝播を軽減することによって、医療関連感染症などの感染症のリスクをうまく軽減できる可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
表面のプレートを押して開閉するドアの場合、プレート板は接着機会が多く、汚染の温床になっていることは容易に想像できる。Surfaceskins は簡便に装着でき、1 週間に一度の交換でよいなどの利点を有するという。本邦は海外よりもプレート板タイプのドアは少なく、本法が実用的であるかもまだ不明であるが、今回の研究の発想の自由さは理解でき、手指衛生の向上には斬新なアイディアが求められるともいえる。

再使用可能な機械読み取り駐車券により病原体の口‐口伝播リスクを低減する:観察コホート研究

Reducing the risk of mouth-to-mouth transmission of pathogens via re-usable, machine-read parking tickets: an observational cohort study

J. Groves*, H. Church, D. Holland, N. Thompson
*Chesterfield Royal Hospital NHS Foundation Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2017) 97, 430-432


研究対象病院の駐車場は、再使用可能な機械読み取り駐車券での利用ができる。本研究の初期段階では、駐車場に入場するスタッフ職員 598 名を観察し、このうち 21.6%が手にした駐車券を口にくわえた。紫外色素を用いて、カード間の交差汚染を確認した。駐車券読み取り機のスワブサンプルから、共生細菌(常在菌)であるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌および Bacillus 属菌が回収された。
感染リスクの可能性がある旨のポスターを駐車券読み取り機に貼付した後、さらなる 1,366 回の観察において、駐車券を口にくわえるスタッフの割合が有意かつ持続的に減少した(P < 0.001)。

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監訳者コメント
駐車券を口にくわえる動作による交差感染を観察したユニークな研究である。読み取り機使用の前・後のどちらで、駐車券を口にくわえるか観察するとともに、色素をつけたカード、色素がついていないカードを順次読み取り機にかけ、後のカードの汚染具合を調査している。さらにチケット差込口の細菌・ウイルス培養を行っている。意識下であれ、無意識下であれ、普段の何気ない行動が微生物伝播に影響を及ぼしている好例である。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.