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対照観察研究の最新メタアナリシス:プロトンポンプ阻害薬とクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症のリスク

Updated meta-analysis of controlled observational studies: proton-pump inhibitors and risk of Clostridium difficile infection

F. Cao*, C.X. Chen, M. Wang, H.R. Liao, M.X. Wang, S.Z. Hua, B. Huang, Y. Xiong, J.Y. Zhang, Y.L. Xu
*Fuzhou Medical College of Nanchang University, China

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 4-13


クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の間に存在すると考えられる関係に対して、近年注意が向けられている。しかし、CDI と PPI の関連に関する諸研究の結果には、依然として議論がなされている。我々は、酸抑制療法と CDI の関連を検討した対照観察研究を含めて、言語について限定せずに、文献データベースを 2016年 12 月の開始時から検索した。50 報の研究の統合解析から、PPI 使用と CDI 発症リスクの間に、PPI 非使用者と比較して有意な関連が示された(オッズ比 [OR]1.26、95%信頼区間[CI]1.12 ~ 1.39)。研究の対象患者で層別化したところ、院内獲得型 CDI と市中関連 CDI の相対リスクは、それぞれ 1.29(95%CI 1.14 ~ 1.44)および 1.17(95%CI 0.74 ~ 1.59)であった。病棟により研究を限定したところ、集中治療室中および一般病棟における院内獲得型 CDI の相対リスクは、それぞれ 1.43(95%CI 0.74 ~ 2.11)および 1.29(95%CI 1.13 ~ 1.45)であった。累積メタアナリシスを実施したところ、2000 年代初めに実施された初期の CDI の試験では、不均一性の程度が高いことおよび否定的な結果の割合が大きいことが示されたことが明らかになった。2011 年以降、PPI使用と CDI 発症リスクとの間の全般的な関連は比較的一定を維持し、効果量は OR 1.20 ~ 1.26 であった。本研究の所見から、PPI 使用者における CDI 発症には、特に一般病棟の患者において有意な関連リスクが示されている。累積メタアナリシスを用いた場合、エビデンスは総体として、さらなる試験によってこの有意な結果が覆される可能性は低いことを示している。したがって、PPI 使用のガイドラインを確立することは、将来的に CDI の制御に有用となる可能性がある。

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監訳者コメント
臨床研究の解析において多くの因子が絡む場合、総じて圧倒的な有意差が生じない分析結果が生じた場合、その意義の評価が難しい。多施設間共同で同じプロトコルで圧倒的な規模での臨床治験をもって評価するのが唯一の方策である。この対照観察研究の最新メタアナリシスの結果においても同様のことがいえる。

ドイツのリハビリテーションクリニックにおけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)および基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌の保菌率とリスク因子

Prevalence and risk factors for colonization by Clostridium difficile and extended-spectrum β-lactamase-producing Enterobacteriaceae in rehabilitation clinics in Germany

M. Arvand*, C. Ruscher, G. Bettge-Weller, M. Goltz, Y. Pfeifer
*Robert Koch Institute Germany

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 14-20


背景
リハビリテーションクリニックは、提供するケアの種類、入院期間、および症例の重症度において極めて多様であり得る。ドイツのリハビリテーションクリニックにおけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)または基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌(ESBL-E)の保菌率に関するデータはほとんど得られていない。

目的
本研究では、異なる診療科のリハビリテーションクリニックの患者において、これらの病原体による腸内保菌率を検討した。

方法
点有病率研究の視点から、リハビリテーションクリニック 5 施設において便サンプルと人口統計学的および臨床的データを収集した。サンプルを培養して C. difficile および ESBL-E についてスクリーニングを行った。分離株に対して、PCR 法を用いて C. difficile 毒素 A および B、β-ラクタマーゼ遺伝子の有無を調べ、また分子タイピングとしてパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)および PCR ベースのリボタイピングなどを行った。

結果
スクリーニングを行った患者 305 例中、11.1%に毒素産生性 C. difficile および 7.5%に ESBL-E の保菌が認められた。保菌率には施設によって大きく差があり、C. difficile では1.6%から 26.3%、ESBL-E では 0%から 23.7%の範囲であった。C. difficile および ESBL-E の保菌率は、神経科リハビリテーションクリニックの方が他の診療科のクリニックよりも高かった(P < 0.001)。分子タイピングにより、神経科リハビリテーションクリニック 1 施設の患者 6 例で固有の C. difficile 株(リボタイプ 017)の保菌が認められた。CTX-M-15 は最も多く認められた ESBL 型であった。一部の施設で、識別不能の ESBL-E 分離株のペアが複数検出された。

結論
C. difficile および ESBL-E の保菌率には、リハビリテーションクリニック間で有意な差が認められた。重症患者に対して専門の医学的ケアを提供する施設では、保菌率がより高かった。これらの結果は、リハビリテーションクリニックにおける感染予防制御のための要件を明らかにする上で有用となる可能性がある。

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監訳者コメント
リハビリテーション施設や介護施設などの長期療養型医療施設における MRSA や CRE をはじめとする医療関連感染原因菌の台頭は、各国において現在クローズアップされている。急性期病院での制圧をもってしても、こうした医療関連感染原因菌を制御しきれていない一因として、こうした長期療養型医療施設がリザーバーとなり保菌した患者が急性期医療機関に入院した場合などに持ち込まれる機会が増えている。

2007 年から 2014 年までのクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症患者の死亡率の上昇:フランスの健康保険データベース分析

Excess mortality between 2007 and 2014 among patients with Clostridium difficile infection: a French health insurance database analysis

F. Barbut*, S. Bouée, L. Longepierre, M. Goldberg, C. Bensoussan, L. Levy-Bachelot
*National Reference Laboratory for Clostridium difficile, France

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 21-28


背景
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)が死亡率に及ぼす影響については議論がある。

目的
フランスにおける CDI による死亡率の上昇を評価すること。

方法
CDI 患者の 2 コホートおよびマッチさせた対照者の 1 コホートを、フランスの一般健康保険システム(Echantillon Généraliste de Bénéficiaires データベース、患者660,000 例)の加入者の 1%代表サンプルから抽出した。CDI 患者は、2007 年から 2014 年(2006 年診断分は除く)に CDI を主診断または関連診断として入院していた患者とした。対照者は、2007 年から 2014 年に入院していた患者で、2006 年から 2014 年に CDI で入院した患者を除いた。2007 年から 2014 年の間について 1 年死亡率を推定し、傾向スコアでマッチさせた CDI のない対照群(症例 1 例当たり対照 2 例)と比較した。傾向スコアの算出は以下の変数について行った:年齢、性別、Charlson 併存疾患指数スコア、入院期間、初回入院の年、および主要な併存疾患。Cox モデルおよび Poisson モデルを用い、傾向スコアを補正して、死亡リスクの上昇を推定した。感度分析(期間、下痢、CDI による再入院)を実施して、結果の頑健性を確認した。

結果
合計で、C. difficile の感染患者 482 例を対照者 964 例とマッチさせた。CDI 患者において有意に高い死亡リスクが認められ、ハザード比は補正前で 1.65(95%信頼区間[CI]1.33 ~ 2.04)、補正後で 1.58(95%CI 1.27 ~ 1.97)であった。補正後の死亡の相対リスクは、28 日時点で1.78(95%CI 1.18 ~ 2.70)、3 か月時点で 1.52(95%CI 1.17 ~ 1.98)、6 か月時点で 1.52(95%CI 1.20 ~ 1.93)、および 12 か月時点で 1.64(95%CI 1.32 ~ 2.03)であった。感度分析では同様の結果が得られ、ハザード比は 1.53 ~ 1.86 の範囲で、いずれも統計学的に有意であった。

結論
年齢、性別、併存疾患および入院期間で補正後、CDI は死亡リスクの上昇の原因であった。

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監訳者コメント
重症な患者が CDI に罹患するのか、CDI に罹患した結果重症化し死亡リスクが上昇したのかについての評価が難しい。往々にして重症な患者には抗菌薬投与が行われ結果として菌交代症が発生し、CDI に至ると考えられるだろう。しかしこの研究ではそうしたデザインがなされていなのが残念である。

病院におけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の負担を評価する

Assessing the burden of Clostridium difficile infections for hospitals

E. Hebbinckuys*, J.-P. Marissal, C. Preda, V. Leclercq
*Centre hospitalier de St Philibert, France

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 29-35


背景
院内感染症は、医療システムにとって重い負担をもたらす。しかし、この負担の定量化は、延長した入院期間を正確に推定する方法から、様々な医療提供者における予防法を明らかにしコストを算出することに至るまで、多くの問題を提起する。

目的
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)による院内感染症のコストを推定し、病院管理者に情報を提供すること。

方法
マルコフ過程に基づくマルチステート・モデリングおよびブートストラッピングを用いて、クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)感染症(CDI)に関連する入院の延長期間を個別に推定した。次いで、診断関連群に基づく支払システムから導出した生産性喪失の推定を含め、病院コストの指標について計算した。患者は 55 歳以上で、2013 年 1 月 1 日から 2014 年 9 月 15 日にリールの病院 2 施設に入院し、CDI のエピソードを有した者と有さなかった者であった。

結果
研究期間中の計 52 件のエピソードをスクリーニングした。CDI による入院期間延長(27 件)の推定コストは平均で約 23,909 ユーロ(SD 17,458)であった。入院期間短縮の場合(25 件)では、コストの平均は約-14,697 ユーロ(SD 16,936)であり、これが病院にとっての純節減額であった。コスト/節減の主要な誘因は、院内感染症に起因する生産性の喪失/向上であった。感度分析により、院内感染症によるコストまたは節減の額を説明する主要な因子は入院期間であった。


結論
死亡の場合における生産性の増分を、支払システムの不完全性を示す因子とする考え方について論じ、次いで時間的バイアスを補正するための統計学的方法に関連する方法論上の問題について論じた。

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クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の転帰に関するスクリーニング指標としての喫煙

Tobacco use as a screener for Clostridium difficile infection outcomes

A.K. Barker*, A. Van Galen, A.K. Sethi, D. Shirley, N. Safdar
*University of Wisconsin e Madison School of Medicine and Public Health, USA

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 36-39


後向きコホート研究を実施して、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)の不良転帰に関する臨床的予測ルールの作成における、自己報告による喫煙の有用性について評価を行った。何らかの喫煙歴を有する患者は、喫煙未経験者と比較して、2 週間以内に感染症が治癒する割合が有意に小さかった。疾患再発、30 日以内の再入院、治療完了前の死亡、および CDI の重症度は、喫煙状態とは関連しなかった。

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監訳者コメント
過去の論文から、喫煙歴が CDI 発症に関連すること、喫煙が肺炎を始めとする複数の感染症のリスク因子として知られていることから、本調査が行われた。喫煙歴を有する患者では、CDI 罹患期間の延長傾向が見られることがわかった。筆者も言及しているが、喫煙歴は入院時の確認事項に含まれているため、情報として入手することはたやすく、CDI 発症時の有益な情報になると思われた。

米国の急性期病院におけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症について、2005 から 2014 年までの 10 年間のレビュー

Ten-year review of Clostridium difficile infection in acute care hospitals in the USA, 2005-2014

R. Luo*, T.F. Barlam
*Boston University School of Medicine, USA

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 40-43


クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)は、その症例数の増加および重症度の上昇から、急性期病院における重大な健康上の懸念である。Nationwide Inpatient Sample データベースを用いて、2005 年から 2014 年の急性期病院における CDI 患者の発生件数、死亡件数および入院費の傾向に関する 10 年間のレビューを実施した。本レビューにより、10 年間の研究期間中に CDI の発生および入院費の増加が認められたが、死亡は減少したことが示された。

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監訳者コメント
米国の急性期病院における過去 10 年間の CDI 患者についてまとめた論文である。死亡の減少には、診断技術の進歩による早期診断が大きく寄与しているとされていた。診断や治療薬の開発とその臨床での価値は長期に観察することで数字として見えてくることがよくわかった。

病院の給水ネットワークのモノクロラミン消毒後における生きているが培養できないレジオネラ菌の検出

Detection of viable but non-culturable legionella in hospital water network following monochloramine disinfection

B. Casini*, A. Baggiani, M. Totaro, A. Mansi, A.L. Costa, F. Aquino, M. Miccoli, P. Valentini, F. Bruschi, P.L. Lopalco, G. Privitera
*University of Pisa, Italy

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 46-52


背景
レジオネラ症の予防は、レジオネラ(Legionella)属菌による病院給水ネットワークの汚染を制御するためにモノクロラミン消毒が二酸化塩素の代替法として最近導入された医療環境においては、依然として重大な問題である。低用量モノクロラミンによる継続的処理は、場合によっては、レジオネラ属菌の生きているが培養できない状態を誘導したことがある。

目的
長期間にわたる継続的なモノクロラミン処理の間における、そのような休眠細胞の復活について検討すること。

方法
2010 年 11 月から 2015 年 4 月 の間に、水およびバイオフィルムのサンプル 162 個を採取し、標準的手法によってレジオネラ属菌を分離した。モノクロラミン濃度が 1.5 mg/L 未満であったサンプル採取箇所では、生きているが培養できない状態の細胞について臭化エチジウムモノアジド・リアルタイム PCR(qPCR)により検査を行い、Acanthamoeba polyphaga CCAP 1501/18 において「復活」試験を実施した。健康保護庁のプロトコールに従って、5 L の水サンプル 60 個について自由生活性アメーバ原虫を探索した。

結果
合計で、以前にレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)ST269 陽性が認められた箇所から採取したサンプル 156 個中 136 個(87.2%)は培養陰性であったが、qPCR では 47 個(34.5%)のみが陰性であった。臭化エチジウムモノアジド・リアルタイム qPCR では陽性結果は得られなかったが、モノクロラミン濃度が 1.3 ± 0.5 mg/L の箇所のサンプル 22 個中 4 個で、生きているが培養できない状態のレジオネラの再発生が示された。病院の給水ネットワークにおいて、A. polyphaga アメーバの存在が確認された。

結論
本研究は、病院の給水ネットワークにおける長期間にわたる継続的なモノクロラミン処理の間に、生きているが培養できない状態のレジオネラが復活した証拠を示した初の報告であり、病院の給水系におけるレジオネラ定着の制御を確実に行うために、適切かつ間断ないモノクロラミン処理を維持することの重要性を強調している。

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監訳者コメント
温浴施設の衛生管理として使用される次亜塩素酸はアルカリ泉で効力が低下するなどの問題があったことから、わが国でもモノクロラミンは平成 27 年 3 月 31 日付けの厚労省通知「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」でも取り上げられている。本論文はモノクロラミン処理した後に培養陰性となっても、条件によってはレジオネラの再発生が起こりうることを示したものである。臨床的にはそのような報告はないが、今後注意が必要かもしれない。

水使用場所が抗菌フィルタで保護されている血液内科病棟における施設内水道配管日和見病原体の拡散経路を追跡する

Tracking the spread routes of opportunistic premise plumbing pathogens in a haematology unit with water points-of-use protected by antimicrobial filters

S. Baranovsky*, E. Jumas-Bilak, A. Lotthé, H. Marchandin, S. Parer, Y. Hicheri, S. Romano-Bertrand
*CHU Montpellier, France

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 53-59


背景
病院内の水道設備は、施設内水道配管日和見病原体(opportunistic premise plumbing pathogens;OPPP)によって高頻度に汚染されていることから、患者の曝露を抑えるため、水使用場所に抗菌フィルタが導入されている。

目的
水使用場所 73 カ所中 52 カ所が患者へのリスクが高く、抗菌フィルタによって保護されている血液内科成人病棟において、2 次的(給水システム以外の)給水経路による OPPP 拡散を評価すること。

方法
観察的監査により、6 カ所の 2次的給水経路を同定し、表面から 315 の試料を採取して細菌の追跡調査および型別検査を実施した。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法により分離株を同定し、マルチプレックス repetitive element sequence-based ポリメラーゼ連鎖反応および/またはパルスフィールド・ゲル電気泳動の制限断片長多型解析によって下位の種と比較した。

結果
抗菌フィルタの上流で採取した水で、緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)およびステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、ならびに非病原性 OPPP インジケータが検出された。緑濃菌は、検査対象の表面から検出された唯一の OPPP であった(5.1%)。緑濃菌の同一クローンが水源から水源と同室の乾燥した表面に伝播し、それぞれ別の部屋にある 2 カ所のシンク間で交差汚染が認められた。非病原性OPPPインジケータの 3 つのクローンが部屋をまたいでより広範に伝播していた。

結論
血液内科病棟の水使用場所の大半(すべてではない)で実施されているフィルタを使用した戦略は、「高リスク」の水使用場所の機能的マッピングを実施すれば、OPPP の環境への拡散制御に十分であると考えられる。フィルタが使用されていない水使用場所では、OPPP および OPPP インジケータの拡散が残存することから、フィルタを使用しない水使用については厳重なモニタリングが必要である。

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監訳者コメント
本論文は水道に取り付けられる抗菌フィルタの有用性と、取り付けない場合の「水道配管日和見病原体」の拡散リスクについて報告したものである。研究対象となった病院の水道水は通常緑膿菌で汚染されていると記載があるなど、日本の病院に直接当てはめることは難しいかもしれないが、医療関連感染における水道水のリスクやその対応を考える上では参考になる論文である。

院内給湯設備における自動流水水栓導入後のレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)の定着率

Rate of Legionella pneumophila colonization in hospital hot water network after time flow taps installation

M. Totaro*, P. Valentini, A.L. Costa, S. Giorgi, B. Casini, A. Baggiani
*University of Pisa, Italy

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 60-63


院内給水システムのレジオネラ(Legionella)属菌は、配管網の消毒薬に対して耐性を獲得している場合があり、水流の弱い場所や水が停滞している場所でとりわけ問題となる。本研究では、イタリアの病院 1 施設の水道設備において、配管デッドレグの近接に自動流水水栓を導入した後のレジオネラ属菌の定着状況を評価した。流水量は、2016 年 5 月以降で 64 L/日、2016 年 12 月以降で 192 L/日であった。自動流水水栓導入前は、すべての採取ポイントにおいてレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)sg2 ~ 14 が検出された(4 × 104 ± 3.1 × 104 cfu/L)。2016 年 11 月まで、すべての採取ポイントが陽性のままであった(2.9 × 104 ± 1.9 × 104 cfu/L)。2016 年 12 月以降、レジオネラ属菌が存続したのは 1 カ所のみであった(2 × 102 ~ 6.8 × 103 cfu/L)。自動流水水栓と化学的消毒によって、配管デッドレグに関連するレジオネラ属菌の定着率は低下すると考えられる。

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監訳者コメント
水道配管内で水が滞留し、微生物などのたまり場になる部位をデッドレグと呼ぶ。本報告はデッドレグの水流を改善することによりレジオネラ属菌の定着を低下させたという論文である。水質改善の方策には様々なものがあるが、本事例のように専門性の高い方策は、専門家と感染管理担当者の間の協力が必要である。

患者が入室している入院病室における 405 nm 光源の継続的使用による病院表面の普遍的除染

Universal decontamination of hospital surfaces in an occupied inpatient room with a continuous 405 nm light source

S.E. Bache*, M. Maclean, G. Gettinby, J.G. Anderson, S.J. MacGregor, I. Taggart
*Glasgow Royal Infirmary, UK

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 67-73


背景
天井に設置した 405 nm光による高輝度狭帯域光環境消毒システム(HINS-light EDS)は、熱傷病棟の環境表面の細菌汚染を27%~75%減少させることがこれまでの研究で示されている。曝露時間を延長したときの有効性およびその想定される作用機序を検討した。

目的
熱傷病棟内の試料を採取した表面で得られた細菌効果と405 nm 光の照度および曝露時間との相関を確認すること。

方法
HINS-light EDS の 7 日間の使用前、使用中、および使用後に、熱傷病棟の患者が入室している隔離病室内の環境表面から寒天培地を接触スタンプ法を用いて 70 の試料を採取した。独立した3つの試験でこの採取を繰り返した。統計解析により、HINS-light EDS 使用期間延長における環境汚染の有意な減少の有無、および輝度と殺菌効果との関連の有無を明らかにした。

結果
HINS-light EDS 使用中における表面細菌数の平均値の減少は22 ~ 86%であった。HINS-light EDS の使用を停止すると、78 ~ 309%の増加を認めた。各試料採取場所において殺菌効果と輝度との間に相関は認められなかったが、殺菌効果と曝露時間との間には強い相関が認められた。

結論
HINS-light EDS への曝露時間を延長することによって、熱傷病棟内の表面の累積的除染が認められた。曝露時間の重要性および照度によらない空気消毒効果の可能性を強調するものである。

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監訳者コメント
耐性菌の増加が世界中で懸念されているなかで、院内で発生する耐性菌による交差感染は、医療従事者の手指や器具を介するのみならず、汚染された環境も大きく影響する可能性があるため、環境整備の方法が論議されている。特に熱傷患者における植皮後の創部は感染の危険性が極めて高く、ヘパフィルターによる空気清浄化、紫外線照蒸気化過酸化水素などの試みがされているが、コストと時間の問題が残されており、さらに患者在室中に実施することはできない。一方、波長 405 nmの青紫色可視光は殺菌性があり、かつ安全で人体への影響がないとされており、その臨床応用が期待されている。本論文ではこの可視光を使用して環境表面の殺菌効果を主にブドウ球菌を指標に評価した。長期間の曝露により、より対象表面の細菌数を減少させることが認めらたが、減少率が5 分の 1 ~ 10 分の1 程度であり、患者の感染症発症予防に十分な量であるのか、今後の実地検証が必要である。

無生物表面における長期乾燥後のアシネトバクター・ピティー(Acinetobacter pittii)のバイオフィルム形成★★

Acinetobacter pittii biofilm formation on inanimate surfaces after long-term desiccation

Z. Bravo*, I. Chapartegui-González, M. Lázaro-Díez, J. Ramos-Vivas
*Instituto de Investigación Valdecilla IDIVAL, Spain

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 74-82


背景
医療環境における病原性微生物の生存は、院内感染において重大な役割を果たす。こうした苛酷条件下で院内感染起因病原体の生存を可能にするメカニズムの 1 つが、これら病原体の、乾燥に耐え、バイオフィルムを形成する能力である。

目的
不活性表面および生理食塩水の微生物生態系におけるアシネトバクター・ピティ(Acinetobacter pittii)分離株の生存行動を調査すること。

方法
A. pittii 臨床株 5 株を白衣の布片、ガラス面およびプラスチック面にスポット、または無菌生理食塩水に接種し、室温で 43 日間モニタリングした。

結果
固体表面における生存性は、使用した分離株の培養増殖能に悪影響を及ぼしたが、ストレスを受けた一部の細胞は少なくとも試験期間が終わるまで生存した。平均して、A. pittii の培養増殖能は、白衣、プラスチック面およびガラス面でそれぞれ 77.3%、80.9%および 68.1%低下した。しかし、生理食塩水では、集団の約 85.6%が培養増殖能を維持した。培養増殖能は、生細胞/死細胞同時染色で示されたように、細胞膜が無傷な細胞の生存と相関していた。ピルビン酸ナトリウムを培地に追加することにより、全条件で分離株の培養能が上昇したが、全般的に A. pittii 集団は、生存可能であるが培養可能な状態にはならなかった。

結論
長期乾燥後、栄養培地で栄養を得ると、すべての A. pittii 株がバイオフィルム形成能を保持するか増強したことから、A. pittii は乾燥から容易に回復し、再水化後に付着因子を発現して新しい宿主に感染する可能性があることが示唆される。

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監訳者コメント
アシネトバクター属には現在 49 種が登録され、なかでも A. calcoacetics/baumanii complexはヒトにおける肺炎、菌血症、創感染症、髄膜炎、尿路感染症などの起炎菌として知られている。近年、A. pitti が臨床分離株として報告されるようになり、カルバペネム耐性(NDM-1)を示すものも出現し、注目されている。本菌の病原因子については十分な報告はない。本論文では乾燥状況下で増殖力低下あるものの生存しており、栄養状態の改善により再増殖し、バイオフィルムを形成することが確認された。本菌は NDM-1 産生菌が中国、マレーシア、韓国で報告され、さらに EU では海外渡航のない事例での本菌の分離もあり、今後院内感染の原因となる耐性菌として日本でも問題となる可能性があり注意が必要である。

実臨床における微生物定着を減少させるために表面に微細な凹凸構造が加工されたフィルム

Micro-textured films for reducing microbial colonization in a clinical setting

A.R. Mendez*, T.Y. Tan, H.Y. Low, K.H. Otto, H. Tan, X. Khoo
*Singapore University of Technology and Design, Singapore

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 83-89


背景
病院環境における微生物の伝播は、患者のベッドやオーバーベッドテーブルなど、高頻度接触面とヒトとの相互作用によって高頻度に生じる。微生物の伝播を最小限に抑える予防策としてルーチンの厳格な清掃が実施されているが、高頻度接触面には抗菌活性を有する素材を用いることが望ましい。固体表面の物理的な凹凸構造の加工は、高頻度接触面への微生物の定着を制御する非殺菌性の方法を提案するものである。

目的
表面に微細な凹凸構造を加工したポリカーボネート製フィルムが病棟内のオーバーベッドテーブル上の細菌数減少に有効かどうかを検討すること。

方法
2 種類のパターンの微細な凹凸構造をポリカーボネート製フィルムに熱転写法で加工作成した。その後、微細な凹凸構造が加工されたフィルムを一般病棟の患者用オーバーベッドテーブルに設置し、細菌数を 24 時間モニタリングした。表面上の細菌数を表す総コロニー数およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus)数を各時点でモニタリングした。

結果
微細な凹凸構造が加工された表面2 種類とも、微細な模様が施されていないポリカーボネートおよびオーバーベッドテーブルの剥き出しのラミネートと比較して、24 時間にわたり細菌数の減少が一貫して認められた。本研究によって、マイクロ単位での物理的な凹凸構造の加工によって固体表面の細菌定着が減少しうるという、これまでの実験室規模での研究結果が裏付けられた。

結論
本研究結果から、微細な凹凸構造の表面加工は、院内の高頻度接触面における微生物汚染の実施可能な抑制方法となる可能性があることが示唆された。

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監訳者コメント
医療施設内感染における病院環境の重要性が、汚染環境を介して耐性菌をはじめとする多くの病原体が医療従事者や医療器具を介して拡がってゆくため、長年強調されている。これまで多くの抗菌製品が開発されてきたが、臨症的効果については決して十分に解明されているとは言えない。一方で本論文はマイクロメーターあるいはナノメーター単位での微細な凹凸構造を表面加工するという非殺菌的な方法での新たなアプローチであり、表面加工のないものよりも加工した表面の方が、細菌の定着が少なくなることを実際に証明したものである。ただし、交差感染減少に寄与するかどうかは今後さらなる研究を待たねばならない。

実際の状況下での集中治療室における院内感染起因病原体による環境汚染を研究するための横断的点有病率調査

Cross-sectional point prevalence survey to study the environmental contamination of nosocomial pathogens in intensive care units under real-life conditions

I. Wille*, A. Mayr, P. Kreidl, C. Brühwasser, G. Hinterberger, A. Fritz, W. Posch, S. Fuchs, A. Obwegeser, D. Orth-Höller, C. Lass-Flörl
*Medical University of Innsbruck, Austria

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 90-95


背景
集中治療室(ICU)では、無生物表面および用具は多剤耐性病原体を含む院内感染起因病原体によって汚染されている可能性がある。

目的
実際の状況下での患者の周辺と遠方の環境汚染の程度、および院内感染起因病原体による医療従事者の手指汚染を評価すること、さらに伝播事象の可能性について検討すること。

方法
3 週間にわたり、オーストリア、インスブルックの3 次病院 1 施設 8 カ所の ICU において、患者の周辺および離れた箇所と、医療従事者の手指について寒天培地を接触させて検体を採取した。各 ICU への訪問は1回で、予告なしに行った。菌種の同定と薬剤感受性試験は標準的な方法に従って行い、患者、環境、そして手指に由来する同一の菌種については、パルスフィールド・ゲル電気泳動を用いて遺伝子型の判定を行った。

結果
523 検体が採取されたが、その中で医療従事者の手指は病原性を有する細菌に汚染されている頻度が最も高かった(15.2%)。患者の周辺箇所(10.9%)、離れた箇所(9.1%)がそれに続いた。グラム陽性菌が最も高頻度に分離され(67.8%)、菌種としては腸球菌属(Enterococcus spp.)が最も多く(うち 70%がバンコマイシン感受性、30%がバンコマイシン耐性)、それに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が続いた(64%はメチシリン耐性)。遺伝子型の決定により、患者、環境および手指から分離された菌は同一の菌株であることが判明した。

結論
本研究により、清掃および消毒にもかかわらず、多剤耐性病原体を含む臨床的に重要な病原体による ICU 環境の広範な汚染を確認した。バイオバーデン(微生物の菌数が多いこと)は患者の周辺区域に限定されない可能性がある。感染予防を向上させるため患者の遠方区域まで環境消毒を拡張することについては、さらなる議論が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
患者環境の微生物の汚染と、その汚染された環境からの伝播は、我々が予想しているよりも多いものであろう。今回の検討では、環境と医療従事者の手から同一と思われる菌種を分離することができたが、特に腸球菌が多く、これは患者・環境・医療従事者の間に相互の伝播関係が成立し、それもコントロールがかなり難しいことを示唆している。医療従事者が「動く」媒介になってはいるものの、環境の「見えない汚染」に対する清掃を患者から離れた箇所も想定しながら行い、徹底していくことには、現場の状況を鑑みた細かな配慮、スタッフの意識の変容、清掃の理解と実施可能性など、課題は多い。

床、表面および患者への病原体定着低減のための靴底用短波長紫外線(UVC)器材の評価

Evaluation of a shoe sole UVC device to reduce pathogen colonization on floors, surfaces and patients

T. Rashid*, K. Poblete, J. Amadio, I. Hasan, K. Begum, M.J. Alam, K.W. Garey
*University of Houston College of Pharmacy, Houston, USA

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 96-101


背景
靴底に短波長紫外線(UVC)を照射し殺菌する UVC 汚染除去器材が最近使用可能になった。

目的
靴底が医療関連感染の媒介となる可能性を明らかにすること、また靴底用 UVC 汚染除去器材がこのリスクを効果的に減少させうるか検討すること。

方法
3 つの菌株(黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus]、エンテロコッカス・フェカーリス[Enterococcus faecalis]、大腸菌[Escherichia coli])および毒素非産生株のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)を、標準化されたゴム製の靴底に添加し、UVC 曝露例と非曝露例に無作為に割り付けた。次いで UVC 器材を使用し、靴底および床のコンタミネーションの除去に関する有効性を検討した。さらに模擬の医療・患者環境における細菌定着を評価する目的で、靴にE. faecalisを添加して実験を行った。

結果
UVC 器材は検査したすべての菌種に関し、靴底のコンタミネーションを有意に減少させ、また、すべての種類の床と検査したすべての菌種に関し、床のコンタミネーションを有意に減少させた(P < 0.01、全実験)。Log10 値の減少値は大腸菌で最も大きく(平均値 ± 標準偏差 2.6 ± 0.79)、次にE. faecalis(2.19 ± 0.68)、黄色ブドウ球菌(1.74 ± 0.88)、C. difficile(0.42 ± 0.54)と続いた(P < 0.0001、全解析)。靴底を UVC 器材へ曝露すると有意にコンタミネーションが減少した(log10 値の平均減少値 2.79 ± 1.25、P < 0.0001)。家具、ベッドおよびダミー患者から採取したサンプルでの陽性割合は、対照群の 96 ~ 100%から、UVC 器材実験群での 5 ~ 8%へと減少した(P < 0.0001、全解析)。

結論
UVC 汚染除去器材は、靴底に付着した病原微生物の菌数(コロニー形成単位数)を減少させることができた。それに続いて、床、医療器具、家具、ベッドおよび患者ダミーにおいても細菌の定着を減少させうることが判明した。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
靴による微生物伝播を遮断する目的で開発された、紫外線照射装置(HealthySole)の有用性に関する報告である。菌数の減少効果は、菌種と、床の材質によってやや異なった結果であった。患者環境を模した検討では、靴底に Enterococcus をつけ、紫外線照射群と対照群に割り付けた後に病室に入室、ダミー患者と周辺の器具・家具での Enterococcus の汚染を調査し、2 群で比較している。この模擬検討は、病室内での試験者の行動によって結果が大きく左右されると思われ、追試が望ましいと考える。

自動短波長紫外線照射によるエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)を接種した繊維の汚染除去の有効性

Effectiveness of automated ultraviolet-C light for decontamination of textiles inoculated with Enterococcus faecium

C. Smolle*, F. Huss, M. Lindblad, F. Reischies, E. Tano
*Medical University of Graz, Austria

Journal of Hospital Infection (2018)98, 102-104


医療用繊維は、病院感染伝播の媒介物としての認識が高まっている。本研究では、短波長紫外線(UVC)による自動室内消毒装置(Tru-D Smart UV-C)が臨床環境で、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)を接種した繊維のコンタミネーションを除去する性能を検査した。汚染されたポリコットン(ポリエステル 50%/綿 50%)の見本を病室の所定の位置に配布し、UVC に曝露した。UVC によるコンタミネーション除去により E. faecium 数は減少し、平均 log10 減少数は 1.37 であった(すべてP = 0.005、Wilcoxon 符号付順位和検定)。UVC による汚染除去は、病室の医療用繊維の清浄度を維持するために、従来の洗浄に対して実行可能な付加的手段となる可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
医療環境で使用されている繊維用品、例えばカーテンは汚染されやすいことが指摘されている。さらに繊維上に付着した細菌は長期に生存することが可能である。最も難しい点は、これらの繊維用品は莫大であり、洗濯、洗浄を適宜行うのは非常に難しいことである。今回の検討での UVC による菌減少効果は、残念ながらそれほど大きなものではなかったが、照射量や時間を含む様々な条件検討がなされ、成績の向上が期待できるかどうか、今後の進展に注目したい。

集中治療室での環境表面における多剤耐性病原体検出のためのナイロンフロックスワブと RODAC プレートの比較

Flocked nylon swabs versus RODAC plates for detection of multidrug-resistant organisms on environmental surfaces in intensive care units

K. Okamoto*, Y. Rhee, M. Schoeny, K. Lolans, J. Cheng, S. Reddy, R.A. Weinstein, M.K. Hayden, K.J. Popovich, Centers for Disease Control and Prevention Epicenters Program
*Rush University Medical Center, USA

Journal of Hospital Infection (2018) 98,105-108


多剤耐性病原体の分離を目的とする 2 つの細菌培養法(ナイロンフロックスワブで採取し、液体培地に漬ける方法とRODACプレート[増幅した微生物の検出とカウント])を比較するため、1 病院の 4 カ所の集中治療病棟にある、接触予防策を行っている患者の 63 病室における 780 の環境表面を検査した。1 つ以上の培養陽性がみられた場所では、液体培地を用いたスワブのほうがRODAC プレートよりも高頻度に目標の微生物を検出できた(37.5% vs 26.0%、P = 0.06)。この2 つの培養法による結果は中程度一致していたが(κ = 0.44)、大きく不規則な表面と比較して、小さく平らな表面のほうがより一致していた。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
ナイロンフロックスワブ法には、スワブへ微生物が吸着してしまう懸念がある一方、液体培地に漬けることで回収率を高める利点がある。RODAC プレートは、やや盛り上がった培地に直接接触させる方法であるが、でこぼこした面や、物体の縁には接着しにくいという弱点がある。個々の手法で回収率が異なることの他、用いる場所と状況を十分考慮して採取法を選ぶべきであることを示した好例といえよう。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.