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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)によるインプラント感染症

Staphylococcus aureus and Staphylococcus epidermidis infections on implants

W.F. Oliveira*, P.M.S. Silva, R.C.S. Silva, G.M.M. Silva, G. Machado, L.C.B.B. Coelho, M.T.S. Correia
*Universidade Federal de Pernambuco, Brazil

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 111-117


感染症は、患者からのインプラント抜去の主要な原因の 1 つであり、治療は、通常困難であり、費用がかかる。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)は、検出される頻度が極めて高い病原体である。我々は、インプラント関連感染症の疫学および病理発生についてレビューを行った。関連する研究を以下のデータベースを用いて電子検索により特定した:PubMed、ScienceDirect、Academic Google および CAPES Journal Portal。本レビューでは、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌によるインプラント感染症の疫学研究について報告する。抗バイオフィルム活性を有する新規化合物の探索に用いられるいくつかの方法について、また細菌プラーク形成およびその結果による感染症を回避することを目的とした表面の生体材料の変更を行うための主要な戦略について考察する。黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌は、カテーテルおよび整形/乳房インプラントにおける感染症に関与していることが多かった。候補化合物の潜在的抗バイオフィルム活性を検証するために様々な方法が用いられており、例えばクリスタルバイオレット染料は安価で再現性が高いことから、in vitro でのバイオフィルムの定量に広く用いられている。バイオフィルム形成を予防するためには表面の生体材料の変更が必要である。一部の研究は、インプラントで用いられている材料の表面上への抗菌薬の固定化を検討している。細菌の抗菌薬耐性の拡散を回避する方法として他のアプローチが用いられており、例えば材料表面の銀および天然化合物による機能化、ならびにこれらの基質の電気処理などがある。

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監訳者コメント
インプラントは体内埋没物(体内埋め込み器具)のことである。インプラントそのものには血流はなく、細菌が付着するとバイオフィルムを形成し治療を困難にする。本論文はこうした中でも黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)によるインプラント感染症に焦点をあてた総説である。

スイスのサーベイランスネットワークにおける黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)による手術部位感染症の経時的傾向および疫学:コホート研究

Temporal trends and epidemiology of Staphylococcus aureus surgical site infection in the Swiss surveillance network: a cohort study

M. Abbas*, E. Aghayev, N. Troillet, M.-C. Eisenring, S.P. Kuster, A.F. Widmer, S. Harbarth; SwissNoso
*Geneva University Hospitals, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 118-126


背景
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、手術部位感染症(SSI)の主要病原体である。

目的
黄色ブドウ球菌による SSI の傾向およびリスク因子を検討すること。

方法
黄色ブドウ球菌単独による SSI のリスク因子を、多変量ロジスティック回帰を用いて、スイスの多施設 SSI サーベイランスシステムから特定した。院内および退院後の SSI を、標準化した定義を用いて特定した。

結果
6 年間にわたり、外科患者 229,765 例についてデータを収集し、このうち 499 例(0.22%)が 黄色ブドウ球菌単独による SSI を発症した。459 例(92.0%)および 40 例(8.0%)では、それぞれメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(meticillin-sensitive Staphylococcus aureus;MSSA)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)が原因であった。MSSA による SSI の発生率は低下したが(P = 0.007)、 MRSA による SSI の発生率は低下しなかった(P = 0.70)。黄色ブドウ球菌による SSI の独立予測因子は、高齢(75 歳以上対 50 歳未満、オッズ比[OR]0.60、95%信頼区間[CI]0.44 ~ 0.83)、腹腔鏡検査/最小侵襲手術(OR 0.68、95%CI 0.50 ~ 0.92)、非清浄手術(OR 0.78[創汚染分類の増加あたり]、95%CI 0.64 ~ 0.94)および術前抗菌薬予防投与の正確なタイミング(OR 0.80、95%CI 0.65 ~ 0.98)であった。独立リスク因子は、男性(OR 1.38、95%CI 1.14 ~ 1.66)、American Society of Anesthesiologistsスコア高値(1 点の増加あたり:OR 1.30、95%CI 1.13 ~ 1.51)、非感染性の理由による再手術(OR 4.59、95%CI 3.59 ~ 5.87)および手術の種類であり、心臓手術、椎弓切除術、ならびに股関節および膝関節形成術では、黄色ブドウ球菌による SSI の オッズが他の手術よりも 2 ~ 9 倍高かった。

結論
スイスにおいて、黄色ブドウ球菌による SSI は減少しつつあり、稀なイベントとなりつつある。具体的な予防策が有益となり得る高リスク処置が特定された。残念ながら、多くの独立リスク因子は容易には変更できない。

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監訳者コメント
黄色ブドウ球菌による手術部位感染症のリスク因子が高い術式においては、術前の鼻腔MRSA 監視培養の実施が検討されるべきであろう。

熱傷集中治療室における集学的感染制御の考え方:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)のアウトブレイクから得られた教訓

A multimodal infection control concept in a burn intensive care unit - lessons learnt from a meticillin-resistant Staphylococcus aureus outbreak

C. Baier*, R. Ipaktchi, E. Ebadi, A. Limbourg, T.R. Mett, P.M. Vogt, F.-C. Bange
*Hannover Medical School, Germany

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 127-133


背景
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は、熱傷病棟で検出されることが多い病原体である。熱傷患者は MRSA 獲得の感受性が特に高く、MRSA の拡散は熱傷病棟におけるアウトブレイクの原因となる可能性がある。

目的
MRSA アウトブレイクの特性および制御の成功について報告すること、また集学的感染制御の考え方を示すこと。

方法
既存の感染制御の考え方に加えて、MRSA についての毎週の検出率スクリーニング、消毒の強化、入院の制限、および短期間の病棟閉鎖など、いくつかの制御策を実施した。疫学調査および環境調査を実施した。アウトブレイク由来の分離株を、パルスフィールド・ゲル電気泳動および spa タイピングにより分析した。熱傷病棟における MRSA アウトブレイクに焦点を当てて PubMed 検索を実施した。

結果
この院内獲得 MRSA のアウトブレイクでは、7 か月間に患者 8 例が感染し、感染率は 8%であった。疫学調査および環境調査から患者‐患者伝播が示唆され、これは細菌分離株の分子解析により単クローン性パターンが示されたことで確認された。熱傷病棟における他のアウトブレイクからの所見と一致して、患者スクリーニングおよび一時的な病棟閉鎖などの方策の実施により、アウトブレイクが制御された。

結論
熱傷病棟において MRSA を含むすべての多剤耐性微生物の拡散を制御するには、包括的な考え方が必要とされる。MRSA の保菌または感染を認める患者が主要なリザーバと考えられる場合は、これらの患者の他病棟への移動または一時的な病棟閉鎖に加えて、清掃の強化が、伝播イベントを阻止するために極めて効果的な方策である。

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監訳者コメント
古典的なアウトブレイク調査と分子疫学的解析の結果、単一クローンの施設内アウトブレイクが証明された一例である。施設部署における伝播ルートは様々であり、日常的に包括的かつ効果的な感染予防策の実践が重要である。

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)皮膚感染症に対するヨウ化リチウムαデキストリン(ILαD):in vitro での ILαD とポビドンヨードの殺菌活性および細胞毒性の比較研究

Iodine-lithium-alpha-dextrin (ILαD) against Staphylococcus aureus skin infections: a comparative study of in-vitro bactericidal activity and cytotoxicity between ILαD and povidone-iodine

A.P. Zisi*, M.K. Exindari, E.K. Siska, G.G. Koliakos
*Aristotle University of Thessaloniki, Greece

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 134-140


背景
抗菌薬耐性が増加し続けているため、従来の抗菌薬を再検討して、有効性および安全性を高めるために修飾することが重要となっている。ヨードは 150 年以上にわたって創傷および皮膚の消毒剤として広く用いられており、効果的な広域の殺菌活性を有し、耐性株の発生を促進しない。最も重要なヨードベースの製剤はポビドンヨード(PVP-I)で、優れた抗菌活性を有する。しかし、その安全性プロファイルには疑問が呈されている。

目的
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対するヨードベースの新規化合物であるヨウ化リチウムαデキストリン(ILαD)の in vitro での殺菌効果と薬力学特性を評価すること、また ILαD と PVP-I の in vitro での細胞毒性を比較すること。

方法
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)およびメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(meticillin-sensitive Staphylococcus aureus;MSSA)の臨床分離株それぞれ 12 株および 8 株に対して、ILαD および PVP-I を用いて最小発育阻止濃度(MIC)微量液体希釈法を実施した。ILαD の時間‐殺菌試験および持続性抗菌効果試験により、殺菌率の情報を得た。3 つの細胞系列を用いて、MTT 細胞毒性試験を ILαD および PVP-Iの MIC 用量で処置して実施した。

結果
MRSA 株 に対する ILαD および PVP-I の MIC 値は、それぞれ 125 mg/L および 31.25 mg/L であった。ILαD の時間‐殺菌試験および持続性抗菌効果試験により、2 倍の MIC 用量での曝露 8 時間以内に 3 倍の対数減少率が示され、持続性抗菌効果は 5±0.3 時間と算出された。細胞の生存は MIC 用量の ILαD ではわずかに影響を受けたのに対し、MIC 用量の PVP-I は 90 ~ 95%という強い細胞増殖阻止効果を発揮した。

結論
ILαD は、効果的で、耐性株の発生を促進せず、また in vitro 試験では PVP-I より安全である可能性が示されたため、ブドウ球菌感染症に対する有望な解決法となり得る。ILαD が PVP-I の臨床的限界を上回るかどうかを明らかにするために、さらなる研究を行うべきである。

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監訳者コメント
2 つのヨード製剤の MRSA に対する効果と細胞毒性を調べた論文である。結果は限定的であり、実際の現場での使用に対して検討するのは、限界があるように思われた。
Iodine-lithium-alpha-dextrin(IlαD)のようにポビドンヨード(povidone-iodine, PVP-I)の配合剤として我が国では褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍)の治療薬として、白糖・ポビドンヨード配合軟膏『イソジンシュガーパスタ軟膏®』が発売されている。いずれの場合にせよ多くの消毒薬において抵抗性を示す細菌が発生する場合があり、注意が必要である。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の鼻腔内保菌患者の除菌を目的とした蜂蜜とムピロシンの無作為化対照試験

Randomized controlled trial of honey versus mupirocin to decolonize patients with nasal colonization of meticillin-resistant Staphylococcus aureus

T.T. Poovelikunnel*, G. Gethin, D. Solanki, E. McFadden, M. Codd, H. Humphreys
*Beaumont Hospital, Ireland

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 141-148


背景
ムピロシンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の鼻腔内除菌に特に用いられるが、ムピロシン耐性の増加によりその反復使用は制限される。マヌカハニーの抗菌効果はこれまでに in vitro で確立されているが、他の蜂蜜の抗菌活性も報告されている。

目的
鼻腔内 MRSA 除菌における医療用蜂蜜の有効性を 2%ムピロシンと比較した無作為化試験から得られた経験を報告すること。

方法
MRSA の鼻腔内保菌を有する 18 歳以上の患者を募集した。参加者には、連続 5 日間の 1 日あたり 3 回の医療用蜂蜜または 2%ムピロシン投与を 1 ~ 2 コース実施した。

結果
1 ~ 2 コースの治療で除菌が示された患者の割合には、医療用蜂蜜群(42 例中 18 例、42.8%、95%信頼区間[CI]27.7 ~ 59.0)と 2%ムピロシン群(44 例中 25 例、56.8%、95%CI 41.0 ~ 71.7)で有意差がなかった。鼻腔以外の MRSA 保菌は、持続的鼻腔内保菌と有意に関連していた(オッズ比 5.186、95%CI 1.736 ~ 5.489、P = 0.003)。ムピロシン耐性の新規獲得率は 9.75%であった。

結論
有意ではなかったが、医療用蜂蜜群の 42.8%という除菌率は印象的であった。本研究の結果から、抗菌薬耐性への対策となる可能性を有するこの戦略について、同様のより大規模な研究で評価すべきである。

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監訳者コメント
MRSA の鼻腔除菌に対するムピロシンと医療用蜂蜜の効果を比較した論文である。医療用蜂蜜は、クリーム製剤、ドレッシング製剤など、以前より創傷治癒などに使用されていた。ムピロシン耐性 MRSA の発生を考えると、繰り返しの投与を避けるため、医療用蜂蜜を用いるなどの可能性があると思われた。

MRSA 定着の検出におけるスワブ検体の単培養とプーリング培養の比較評価

Evaluation of single vs pooled swab cultures for detecting MRSA colonization

I. Grmek-Kosnik*, U. Dermota, H. Ribic, A. Storman, Z. Petrovic, T. Zohar-Cretnik
*National Laboratory of Health, Environment and Food, Slovenia

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 149-154


背景
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)のスクリーニングから生じる費用および検査室の負担は、個人から採取した鼻腔、咽頭および皮膚のスワブ検体を 1 個のブイヨン培地で処理すること(検体のプーリング)によって、顕著に削減する可能性がある。本研究の目的は、個々のスワブ検体およびプーリングしたスワブ検体の各種処理方法を用いて、MRSA 検出の感度および時間を評価することであった。

方法
MRSA 定着の既往歴を有する被験者 139 例からスワブで採取した 417 検体(被験者 1 例あたり鼻腔、咽頭および皮膚の 3 つのスワブ検体)を提出した。スワブを 200 μL の生理食塩液に懸濁させ、この懸濁液を個別に、またはプーリングしたサンプルとして使用し、2 つの異なる発色酵素基質培地(MRSA SMART[bioMérieux、Marcy-l'Étoile、フランス、パリ]とCHROMagar MRSA[CHROMagar、フランス、パリ])および Todd-Hewitt Broth に接種した。後者の培養物はその後、同じ発色酵素基質培地で二次培養した。

結果
MRSA は、75 例(50.4%)において少なくとも1つの試料から検出された。プーリングした監視培養の診断感度は、単培養と比較して、直接培養および増菌培養でそれぞれ 97%および 93%であった。増菌培養は個々のサンプルまたはプーリングしたサンプルのいずれの場合でも、直接培養と比較して得られる利益はなかった(P > 0.05)。

結論
発色酵素基質寒天培地での直接培養または増菌培養のための MRSA スクリーニング用スワブ検体のプーリングは、ルーチンでの使用に適している。

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監訳者コメント
1 人から採取した複数の MRSA スクリーニング検体を 1 個の培地で処理することの有用性を検討した論文である。使用する培地の数は減るので、コスト削減につながることは理解できる。MRSA が複数箇所から検出されたときに、それが同一株かどうかの判断が必要ない、ただ陽性か、陰性かを知るためには使える、ということであろうか。

小児における MRSA アウトブレイクの次世代シークエンシングによる遺伝子学的特徴

Genomic characterization of a paediatric MRSA outbreak by next-generation sequencing

E. Ugolotti*, E. Di Marco, R. Bandettini, R. Biassoni
*Istituto Giannina Gaslini, Italy

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 155-160


緒言
小児集中治療室においてアウトブレイク発生の疑いがあった際に単離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の 12 株を全ゲノムシークエンス法で解析した。

目的
MRSA 株のクローン性を高い識別能で明確にすること、ならびに抗菌薬に対する耐性および毒性の遺伝子学的決定因子の有無を評価すること。

結果
12 株中 10 株が multi-locus sequence type ST2625 に属し、残りの 2 株は ST8 であった。ST2625 株の 1,126 個の遺伝子に基づく解析で、これらの株がクローン性を有し、同一アレルの 98.3%超を共有していたことが示され、1 株は医療従事者から採取された。ST2625 株の特徴は、ブドウ球菌カセット染色体(SCC)mec IVa 型であり、resistoma 解析により、表現型と遺伝子型の特徴が一致することが示された。毒性に関連する 63 個の遺伝子の研究は、示されたクローン性のパターンと相関した。

結論
本解析によってアウトブレイクの発生が確定された。それにより、標準的な感染制御策が厳密に実施され、アウトブレイクの速やかな終息につながった。

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監訳者コメント
アウトブレイク事例における MRSA の遺伝子相同性の全ゲノムシークエンス法による解析である。予想されることだが水平伝播したと思われる株はほぼ同一の遺伝子配列であったが、それでも菌株毎にわずかな差異があった。MRSA が水平伝播する過程で、少しずつながらも変異している証拠でもある。逆に本論文からは、全ゲノムシークエンス法が従来の遺伝子相同性を比較する方法であるパルスフィールドゲル電気泳動法やmulti-locus sequence typing(MLST)法と比べて優れているとはいえないだろう。

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の乾燥表面バイオフィルムは従来の水和バイオフィルムよりも加熱処理に耐性がある

Staphylococcus aureus dry-surface biofilms are more resistant to heat treatment than traditional hydrated biofilms

A. Almatroudi*, S. Tahir, H. Hu, D. Chowdhury, I.B. Gosbell, S.O. Jensen, G.S. Whiteley, A.K. Deva, T. Glasbey, K. Vickery
*Macquarie University, Australia

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 161-167


背景
診療におけるバイオフィルムの重要性に対する認識はますます高まっている。バイオフィルムの抗菌薬耐性は詳しく報告されているが、バイオフィルムに対する加熱消毒および滅菌の有効性に関する研究は限られていた。

目的
浮遊状の水和バイオフィルムおよび乾燥表面バイオフィルムの形態をした黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の乾式加熱処理および湿式加熱処理に対する感受性を検討すること。

方法
黄色ブドウ球菌を CDC のバイオフィルム形成装置で水和バイオフィルムおよび乾燥表面バイオフィルムの両方として培養した。バイオフィルムを高温熱風オーブン、水槽、またはオートクレーブで様々な温度に曝露させた。

結果
乾燥表面バイオフィルムは、100°Cで 60 分間の最も苛酷な乾式加熱条件で処理しても培養陽性であった。オートクレーブ後のサンプルは培養陰性であったが、乾燥表面バイオフィルムの 62 ~ 74%が生細胞/死細胞同時染色および共焦点顕微鏡により引き続き生存が示された。乾燥表面バイオフィルムは 121°Cで最長 30 分間のオートクレーブ処理を受けた後も回収され、浮遊細胞を放出した。30 分を超えて、または 134°Cでオートクレーブ処理をすると、少なくともこの試験期間中には回収されなかった。水和バイオフィルムは、最高 100°Cで 10 分間の乾式加熱後も回収されたが、オートクレーブ処理後は生細胞/死細胞同時染色で 43 ~ 60%の生細胞が認められたにもかかわらず、回収されなかった。

結論
黄色ブドウ球菌の乾燥表面バイオフィルムは、水和バイオフィルムに比べ、乾式加熱および蒸気オートクレーブ処理による殺菌への感受性が低い。一方、水和バイオフィルムは、浮遊細菌の懸濁液と比較して加熱処理に対する感受性が低い。

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監訳者コメント
黄色ブドウ球菌感染症においては抗菌薬の透過性を低下させるバイオフィルムの制御が時に重要となる。本研究では乾燥した表面における黄色ブドウ球菌のバイオフィルムが乾熱滅菌やオートクレーブに対して抵抗性を示すことを証明したものである。本論文では消毒や滅菌の前に、徹底的な洗浄を行い有機物を除去することが重要であると結論づけている。

集中治療室で接触隔離された患者における鎮静関連の投薬過誤の評価

Evaluation of sedation-related medication errors in patients on contact isolation in the intensive care unit

R.J. Searcy*, C.A. Jankowski, D.W. Johnson, J.A. Ferreira
*University of Florida Health Jacksonville, USA

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 175-180


背景
集中治療室(ICU)の患者は、保菌しているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)の伝播を防ぐため、接触隔離される可能性がある。これまでの研究では、隔離患者は非隔離患者と比較して低水準のケアを受ける可能性があることが示唆されている。適切なレベルの鎮静は、人工呼吸を円滑に行い、また有害事象を最小化するため必要とされている。

目的
人工呼吸下で、かつ MRSA 保菌のため隔離されている患者は、非隔離患者と比較して過鎮静のリスクが高いか判定すること。

方法
ICU 入院後 24 時間以内に MRSA 鼻腔内ポリメラーゼ連鎖反応アッセイを受け、また、48 時間以内に鎮静を受け、人工呼吸下の成人患者のカルテを後向きにレビューした。評価項目には、不適切な鎮静の実施率、ICU 滞在期間、人工呼吸期間、人工呼吸器関連合併症の発生頻度を含めた。

結果
計 226 例の患者(MRSA 陽性 114 例、MRSA 陰性 112 例)が対象となった。MRSA 陽性群と陰性群で、ICU 入院時診断名を除いてベースラインの人口動態は類似していた。不適切な鎮静を受けていたのは隔離患者が 56 例(55%)であったのに対し、非隔離患者は 49 例(50%)であった(P = 0.482)。隔離患者は非隔離患者と比べて、ICU 滞在期間がより長く(10.4 日対 6.8 日、P = 0.0006)、人工呼吸期間がより長く(8.98 日対 4.81 日、P < 0.001)、気管切開を必要とする頻度がより高かった(37 例[32%]対 14 例[13%]、P = 0.0003)。

結論
隔離患者は非隔離患者と比較して、過鎮静のリスクは高くなかった。MRSA 鼻腔内保菌による接触隔離の実施と、ICU 滞在期間および人工呼吸期間の延長は関連性があった。

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監訳者コメント
接触予防策は感染経路別予防策の中でも重要な感染予防策であるが、一方で隔離による精神的苦痛やメディカルエラーの増加など様々なデメリットが報告されている。本研究はそういったデメリットの中でも過鎮静のリスクについて評価した研究である。感染対策担当者は感染予防策が患者に対して総合的に有害な影響を及ぼしていないか、総合的な視点で俯瞰する必要がある。

手術室における温度制御気流換気システムと、層流換気システムおよび乱流混合気流換気システムとの比較

Temperature-controlled airflow ventilation in operating rooms compared with laminar airflow and turbulent mixed airflow

M. Alsved*, A. Civilis, P. Ekolind, A. Tammelin, A. Erichsen Andersson, J. Jakobsson, T. Svensson, M. Ramstorp, S. Sadrizadeh, P-A. Larsson, M. Bohgard, T. Šantl-Temkiv, J. Löndahl
*Lund University, Sweden

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 181-190


目的
手術室用の 3 種類の換気システムを対象に、空気清浄度(コロニー形成単位[cfu/m3]を測定)、エネルギー消費量、職場環境の快適さ(騒音および通風、手術チームメンバーが報告)に関して評価すること。

方法
2 種類の一般的に用いられる換気システムである、垂直層流(LAF)および乱流混合気流(TMA)を、新たに開発した換気技術である温度制御気流(TcAF)と比較した。Cfu 濃度は手術室において、45 件の整形外科手術中に、創部近傍(< 40 cm)、器械台、および室内周辺の 3 カ所で測定した。職場環境の快適さは、手術チームが質問票へ回答して評価した。

結果
TMA を除いて LAF と TcAF は手術中、すべての測定箇所で 10 cfu/m3 未満となった。創部近傍(250 サンプル)における cfu/m3の中央値は、LAFでは 0、TcAF では 1、TMA では 10 であった。室内周辺では、cfu 濃度は TcAF が最も低かった。cfu 濃度は風速に応じて比例的に増減することはなかった。LAF と比較して、TcAF の消費電力は 28% 小さく、また騒音や通風による障害は有意に少なかった。

結論
TcAF および LAF は、TMA と比較してより効率的に空気中から細菌を除去し、特に創部近傍および器械台で顕著であった。新型の TcAF 換気システムは、LAF と同様に空気中の cfu を非常に低値に保ったが、TcAF は LAF と比較して消費電力は大幅に小さく、また、より快適な職場環境をもたらした。TcAF により空気清浄度を維持したまま節電することが可能となる。

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監訳者コメント
手術室における清潔な空調、特に手術創部周辺の無菌状態の確保は、術後創部感染(SSI)と関連するとされ、手術室の空調(風量、風向)と浮遊菌数は重要であるが、空気清浄度を上げるために空気交換回数(風量)を増やすと、患者の低体温や、風量による騒音や術者の不快感に加え、電気代などの費用もかさむ。TcAF では、従来の LAFと比較し、手術室環境において遜色がなく、手術場環境においても高い評価が得られている。しかしながら、SSI の発生率は不明である。最近、通常の空調と LAF による空調との間に人工関節置換手術での SSI 発生率に差がなかったとするメタアナリシスの結果が報告されている(Lancet Infect Dis. 2017;17(5):553-561.)が、新規の TcAF と SSI 発生抑制効果との関連は未解決である。

個室の割合が高い新築病棟への移動が医療関連感染症およびアウトブレイクに及ぼす影響

Impact of moving to a new hospital build, with a high proportion of single rooms, on healthcare-associated infections and outbreaks

E.S.R. Darley*, J. Vasant, J. Leeming, F. Hammond, S. Matthews, M. Albua, R. Reynolds
*North Bristol NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 191-193


North Bristol NHS Trustにおいて 5 年間におけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(meticillin-sensitive Staphylococcus aureus;MSSA)および大腸菌(Escherichia coli)による菌血症の発生率、ならびにノロウイルスによるアウトブレイク中の入院制限による延べ空床数減少を分析して、個室が 75%を占める新築病棟への移動により医療関連感染症の発生率が低下したかどうかを検討した。C. difficile、MSSAによる菌血症、および大腸菌による菌血症には、移動後に発生率の低下は示されなかった。ノロウイルスによる延べ空床数減少は、移動後に有意に少なかった。患者自身の保菌細菌叢に由来する場合があり空気を媒介に広範に拡散しない細菌感染症と比べて、個室を利用する可能性が高くなったことにより、空気経路を介して拡散する、感染性の高いノロウイルス感染症の伝播に対して影響を及ぼした。

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監訳者コメント
全病室数に占める個室の割合が旧病院の 10%から新病院の 50%に増加したことによる医療関連感染の発生への影響を見た論文である。菌血症の発生率に差がないものの、ノロウイルスにおいては病室の閉鎖期間が有意に短くなっているのは、個室利用による隔離が有効であったことによるが、一方で黄色ブドウ球菌や大腸菌の菌血症に差がなかったのは交差感染よりも内因性感染からの発症が原因であり、妥当な結果である。しかし、ノロとの差を空気感染経路の有無で説明している点は理解しがたいところである。医療関連感染の感染経路は接触感染経路であることから、耐性菌保菌の状況をモニターしないと、個室病室と院内伝播の変化を見ることが困難であろう。

院内感染敗血症における死亡リスクに影響する臨床的因子

Clinical factors influencing mortality risk in hospital-acquired sepsis

C. López-Mestanza*, D. Andaluz-Ojeda, J.R. Gómez-López, J.F. Bermejo-Martín
*Hospital Clínico Universitario de Valladolid, SACYL, Spain

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 194-201


背景
院内感染敗血症における死亡リスクを増加させる因子の特定は、院内感染敗血症の予防および予後の改善に不可欠である。

目的
HAS 患者の臨床的特徴、および死亡に関連する臨床的因子を評価すること。

方法
2011 年から 2015 年までスペインの主要病院において、HAS 患者を対象に後向き調査を行った。国際疾病分類第 9 版臨床修正版(ICD-9-CM)の敗血症に関連するコードのいずれかを付与された成人のデータが収集された。SEPSIS-2 の定義を満たし、入院直後の 48 時間の間に感染のエビデンスが認められなかった患者が対象となった(N = 196)。多変量解析により死亡のリスク因子を特定した。

結果
院内感染敗血症患者は心血管疾患に関連するリスク因子の多く(男性、加齢、先行する心臓病、動脈性高血圧症、脂質異常症、喫煙習慣)、およびがんを有していることがわかった。心血管疾患または慢性腎疾患は、28 日時点での死亡に関連していた。入院から敗血症の診断を受けるまでの時間および臓器不全の存在は、28 日時点での死亡および病院死亡のリスク因子であった。敗血症に関連するエピソードの 1 つ以上の経験は、病院死亡のリスクを増加させた。敗血症の早期発見治療のための敗血症対応策 sepsis code の実施は、病院死亡を防いだ。

結論
本研究により、院内感染敗血症患者における死亡に関連する複数の主要因子が特定された。敗血症を早期に発見および治療するための監視プログラムの実施することで、明確な利益につながる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
入院 48 時間以上経過した後に発生する院内発生敗血症の予後を決めるリスク因子について、スペインのバリャドリッド市内の大学病院において過去 5 年間の「敗血症」診断症例について後向き調査を実施した結果、心血管疾患と慢性腎疾患の基礎疾患では予後が悪く、また年齢、敗血症対応策の実施、臓器障害、敗血症の履歴が予後不良の予測因子であった。分離された菌種は、196 例中、グラム陽性菌は 73 例、グラム陰性菌 97 例、嫌気性菌 5 例、カンジダ属 11 例で、感染部位は、尿路 25 例、手術関連 66 例、呼吸器 35例、が原発性またはカテーテル関連敗血症が 50 例、その他 10 例であった。カテーテル関連の敗血症は、ブドウ球菌属が 26 例と約半数をしめており、本論文では言及されていないが「血管留置カテーテルの管理」が気になるところである。

多剤耐性病原体に対するリスク自動判定システムの開発と評価

Development and evaluation of the automated risk assessment system for multidrug-resistant organisms (autoRAS-MDRO)

E.Y. Hur*, Y.J. Jin, T.X. Jin, S.M. Lee
*The Catholic University of Korea, South Korea

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 202-211


背景
病院感染の大部分は多剤耐性病原体(MDRO)が原因である。MDRO の予防における優先事項は、できるだけ早くハイリスク患者を発見し、予防的介入を行うことである。

目的
MDRO 感染リスクがある患者をスクリーニングするため、MDRO に対するリスク自動判定システムを開発し、その予測妥当性を評価すること。

方法
ロジスティック回帰モデルに基づいた MDRO リスクスコア化アルゴリズムを構築するため、4,200 の変数データを電子カルテから抽出した。リスク自動判定システムは、MDRO のリスク分類(高リスク、中リスク、低リスク)が電子カルテの nursing Kardex スクリーンに自動的に表示されるように設計された。そしてMDRO リスクスコア化アルゴリズムの開発に際しては、MDRO 感染患者 1,000 例および非感染患者 4,000 例が抽出された。同様に、評価に際しては、MDRO 感染患者 2,173 例および非感染患者 8,692 例が選択された。

結果
リスク自動判定システムの予測妥当性に関し、(i)6 か月時点での評価は、感度 81%、特異度 79%、陽性的中率(PPV)49%、陰性的中率(NPV)94%、Youden index 0.60であった。また、(ii)12 か月時点での評価は、感度 79%、特異度 78%、PPV 47%、NPV 94%、Youden index 0.57 であった。

結論
リスク自動判定システムの予測妥当性は中程度であった。リスク自動判定システムは、MDRO のリスク判定および感染管理措置の実施に必要とされる看護師の時間や労力を軌道修正し、病院内の MDRO 感染の発生率を低下させ、ひいては患者の安全に寄与するのに役立つ可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
MDRO の発生は、患者・医療・微生物・環境の多くのファクターによって左右されているが、この「変数」を用いて、MDRO の感染リスクを算出・評価できるシステムが作れないか―このような疑問を持ったことがある方は多いのではないだろうか。本研究では、患者関連 959 個、環境関連 19 個、医療介入関連 3,222 個を含む 4,200 個の変数の中から、MDRO のリスク計算に役立つ変数を数学的に抽出し、リスクスコアのアルゴリズムを作った後、実装したシステムの予測能力を実例で評価したものである。予測妥当性は中等度にとどまったが、非常に複雑な事象を反映するシステムを構築する試みは、応用と評価・改良の繰り返しを要求するものであろうし、医療機関ごとの状況を反映するものでもある。今後の質的向上を待ちたい。

医療従事者のニーズに応える準備と重要性:エボラウイルス病に関する質的研究

Preparedness and the importance of meeting the needs of healthcare workers: a qualitative study on Ebola

E. Belfroid*, J. van Steenbergen, A. Timen, P. Ellerbroek, A. Huis, M. Hulscher
*Radboud University Medical Center, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 212-218


背景
感染症のアウトブレイクは、曝露リスクを伴い通常と異なる新たな事象をもたらし、医療従事者はその中で特有の課題に直面する。例えば、感染への恐怖や、不慣れな環境における新規の未知の任務は、アウトブレイク管理を困難にしている可能性がある。

目的
エボラウイルス病が疑われる患者に対応した医療従事者の経験を入手することで、医療組織が医療従事者のニーズにどのように応える準備ができるか理解を深めること。

方法
オランダの大学病院に勤務する 20 名および地域の救急サービスに勤務する 3 名からなる 23 名の医療従事者に、綿密なインタビューを行った。2014 年から2015 年の間にエボラウイルス病が疑われる患者のケアを行った、またはエボラウイルス病が疑われる患者の入院準備チームにいた医療従事者をインタビューに招いた。

結果
医療従事者はストレスを受け不安を感じていたが、多くは自身の全般的な経験を肯定的に評価した。報告された経験は、3 つの主要テーマ、すなわち(i)脅威の新規性、(ii)感染リスクおよび伝播の恐怖、(iii)過剰な注目、に関連する経験として分類された。本研究の結果により、危機に適した支援的な職場環境の重要性が明確に示された。

結論
エボラウイルス病が疑われる患者に対処した医療従事者の経験は、感染性の高い疾患に対する包括的な準備を向上させる可能性がある。

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監訳者コメント
アウトブレイクに対する危機管理状況下での、医療従事者の意識・ストレスと職場環境 - 本研究はエボラウイルス病の事例を扱っているが、これは他の病原体にも共通する普遍的かつ極めて重要な課題である。輸入感染症に備えるような受動的な状況で、医療従事者がそのリスクをどのようにとらえ、精神的に対応していくか、そしてそれをサポートするシステムの構築はどうするのか。現場での状況を鑑みたとき、考えさせられる面は多い。

腎盂腎炎の疑いと微生物学的診断との不一致:英国の 1 教育病院におけるコホート研究

Mismatch between suspected pyelonephritis and microbiological diagnosis: a cohort study from a UK teaching hospital

L. Shallcross*, K. Gaskell, A. Fox-Lewis, M. Bergstrom, M. Noursadeghi
*UCL Institute of Health Informatics, UK

Journal of Hospital Infection (2018) 98, 219-222


尿路感染症は、救急部におけるエンピリック(経験的)な抗菌薬投与の理由として多くみられる。本研究では、ロンドンの教育病院 1 施設において腎盂腎炎の臨床診断を受けた患者 105 例を対象に、腎盂腎炎の診断における培養検査および尿検査の役割を検討した。全体で、102 例中 99 例が抗菌薬静注による経験的治療を受けたが、検体を採取された 100 例で尿あるいは血液から微生物学的な感染症の所見が認められたのは 55 例のみであった。尿試験紙法陰性であったほぼ半数の患者(21 例中 10 例)では、尿培養陽性であった。この状況における診断の不確実性が、不適切な抗菌薬使用につながったことは明らかである。

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監訳者コメント
腎盂腎炎の診断における尿試験紙法の評価、および尿培養との一致・不一致は、長く検討されてきたテーマである。市中発症の腎盂腎炎で救急外来を受診した患者を対象とした本研究は、リソースと時間の限られた状況における、このテーマの診断上・検査上の課題を明瞭にしたといえる。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.