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PICO 創被覆材のルーチンな使用によって末梢血管手術後の鼠蹊部の創合併症発症率が低下するかもしれない

Routine use of PICO dressings may reduce overall groin wound complication rates following peripheral vascular surgery

C.A. Fleming*, M. Kuteva, K. O’Hanlon, G. O’Brien, G. McGreal
*Mercy University Hospital, Ireland

Journal of Hospital Infection (2018) 99, 75-80


背景
末梢血管手術における死亡の約 19%が創合併症に起因する。創合併症は、治癒が遅れるだけでなく、動脈または移植片の感染をもたらし、四肢の欠損、極端な例では死亡にまで至ることがある。

目的
末梢血管手術を受けた患者において、PICO 陰圧閉鎖療法による創傷被覆材のルーチンでの導入後に、鼠蹊部の創合併症が減少したかどうかを明らかにすること。

方法
2011 年から 2016 年に末梢血管手術を受けた患者を同定し、PICO 群と非 PICO 群に分類した。患者、手技および創傷の特徴を一覧表にまとめ、解析を実施した。術後 6 週間以上にわたり患者を追跡調査した。創合併症の発生率、微生物学的検査によって確定診断された感染症、および創合併症による再入院の必要性を記録した。基本的費用の分析を実施した。

結果
計 151 例の患者が解析の対象となった(PICO 群 73 例、非 PICO 群 78 例)。年齢(P = 0.862)、ボディマス指数(P = 0.673)、糖尿病(P = 0.339)、術前アルブミン値(P = 0.196)、ドレーンの使用(P = 0.343)、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus>)の既往歴(P = 0.281)に群間差は認められなかった。PICO 群では、非 PICO 群よりも喫煙者数が多かった(45%対 29%、P = 0.034)。創合併症は、PICO 群の 8%(6 例)、非 PICO 群の19%(15例)で認められた(P = 0.042)。感染症の発生率は2群間で有意差が認められなかったが(3%対 6%、P = 0.249)、漿液腫は PICO 創被覆材を使用したほうが少なかった(1.4%対 7.7%、P = 0.069)。血腫(2.7%対 3.8%、P = 0.531)および裂開(1.4%対 1.3%、P = 0.735)の発生率は両群で同程度であった。


結論
PICO 創被覆材のルーチンでの使用は、末梢血管手術後の創合併症の発生率低下と関連し、費用対効果が高い。

サマリー原文(英語)はこちら


監訳者コメント
下肢動脈手術後の患者では鼠径部に術創があるため漿液腫や創部感染等の合併症を起こしやすく、特に喫煙、糖尿病、肥満、重症の下肢虚血、過去の手術歴はリスクとなる。PICO 創傷治療システムは、スミスアンドネフュー社で開発された陰圧閉鎖療法の機器で、被覆された創部をドレッシング材で浸出液を吸収蒸散させることで創傷治癒を促進するものである。PICO を使用し末梢血管外科手術後の合併症が減少することで、初期コストはかかるものの、合併症による再入院のコストを計算すると、PICO の使用により全体の医療コストを約34,500ユーロ低下させることができると報告している。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.