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レーティング:[監訳者による格付け]
★★…是非読むことをお勧めする論文 ★…読むことをお勧めする論文

入院後のカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の検出を図る連続スクリーニング培養の評価

Evaluating serial screening cultures to detect carbapenemase-producing Enterobacteriaceae following hospital admission

S. Mookerjee*, E. Dyakova, F. Davies a, K. Bamford, E.T. Brannigan, A. Holmes, J.A. Otter
*St Mary’s Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 15-20


背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)は世界的に増加している。CPE の予防・制御のための英国のガイドラインでは、入院時の無症候性保菌者を検出するためのスクリーニングを推奨している。

目的
入院後の CPE や抗菌薬耐性グラム陰性菌の保菌の検出を図る連続スクリーニングの有用性を評価すること。

方法
発色酵素基質培地での培養およびポリメラーゼ連鎖反応により確認されたカルバペネマーゼの存在によって、すべての CPE スクリーニングを実施し、6 か月間分析した。英国のガイドラインでは、「リスク」患者の入院時スクリーニングにおいて、患者を隔離して、48 時間ごとに 3 回実施する CPE 連続スクリーニングが推奨されている。スクリーニングの 2 つのシナリオを検証した。シナリオ A では、英国のガイドラインに沿って既定の時点にスクリーニングを 3 回実施した。シナリオ B では連続スクリーニングを 3 回実施したが、1 回の入院中に必ずしも既定の時点内に実施するわけではなかった。保菌率のあらゆる有意な変化を検出するために、一般線形モデルまたは条件付きロジスティック回帰を用いた。

結果
検証した両シナリオの 3 つのいずれの時点においても、CPE 保菌の検出率に有意な増加はみられなかったが、シナリオ B では、グラム陰性菌、腸内細菌科細菌、耐性腸内細菌科細菌(CPE は除く)の保菌の検出率に有意な増加がみられた。

結論
入院時の CPE 保菌の検出において、3 回の連続スクリーニングは有用ではなかった。その他のグラム陰性菌の保菌率の増加は、既存の保菌の「顕在化」または院内獲得によって説明されうる。これは長期入院患者の定期的スクリーニングを支持するものである。

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監訳者コメント
スクリーニング方法は採取部位、検体種別、年齢、患者の状態、検体採取手技、検体の移送保管方法、検査方法などの多くにより変動する。こうした研究は多施設間共同研究で行うと信頼性が高くなる。また、新生児で得られた知見が成人でどうなのかは別途検証が必要であろう。

中国の新生児におけるカルバペネム耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染症/保菌の臨床的・分子疫学的特性

Clinical and molecular epidemiologic characteristics of carbapenem-resistant Klebsiella pneumoniae infection/colonization among neonates in China

D. Yin*, L. Zhang, A. Wang, L. He, Y. Cao, F. Hu, C. Wang
*Children’s Hospital of Fudan University, China

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 21-28


背景
カルバペネム耐性肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)の伝播は大きな懸念であるが、小児集団におけるカルバペネム耐性肺炎桿菌感染症/保菌に関するデータは限られている。

目的
中国の新生児において、カルバペネム耐性肺炎桿菌感染症の疫学的・臨床的特性および治療選択肢について分析すること。

方法
復旦大学子供病院において、2015 年 11 月 から 2016 年 10 月 に入院したカルバペネム耐性肺炎桿菌を保菌する新生児 88 例を対象に後向き研究を実施した。抗菌薬感受性試験、β‐ラクタマーゼ遺伝子のスクリーニングの可能性、相同性解析を含めたさらなる研究のために、カルバペネム耐性肺炎桿菌分離株 47 株を無作為に抽出した。

結果
全体で、カルバペネム耐性肺炎桿菌を保菌する新生児の 44.3%(88 例中 39 例)が発症しており、そのうち 71.8%(39 例中 28 例)が院内感染であった。これらの感染症のうち肺炎が 50.0%(28 例中 14 例)、尿路感染症が 42.9%(28 例中 12 例)であった。治療が中止された 1 例を除くすべての感染患者は、ホスホマイシン含有併用療法とカルバペネム含有併用療法、またはそのいずれかにより治癒または改善した。カルバペネム耐性肺炎桿菌分離株 47 株のすべてがエルタペネムに耐性を示し、95.7%がイミペネム、95.7%がメロペネムに耐性を示した。全体の 87.2%(47 株中 41 株)が blaNDM-1 陽性で、パルスフィールド電気泳動の 11 のタイプに属し、multilocus sequence typing 法により、53.7%(41 株中 22 株)が ST278、17.1%(41 株中 7 株)が ST2735 と同定された。

結論
新生児から分離されたカルバペネム耐性肺炎桿菌の大部分が、ニューデリー・メタロ‐β‐ラクタマーゼ‐1 を産生し、高い相同性を示した。新生児のカルバペネム耐性肺炎桿菌感染症に対して、ホスホマイシン含有レジメン、メロペネム/パニペネム含有併用療法は有効であった。

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監訳者コメント
新生児部門におけるカルバペネマーゼ遺伝子型 blaNDM-1 で MLST 型別が ST278 型を中心とするカルバペネム耐性肺炎桿菌のアウトブレイク事例報告である。国内でも既に CRE のアウトブレイク事例報告が NICU でもあるため、今後輸入感染症としてのカルバペネム耐性肺炎桿菌についても理解を深めておく必要がある。

高流行地域の長期急性期ケアリハビリテーション施設におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の疫学の多様性、および介入バンドルの評価

Diversity of the epidemiology of carbapenemase producing Enterobacteriaceae in long-term acute care rehabilitation settings from an area of hyperendemicity, and evaluation of an intervention bundle

F. Arena*, F. Vannetti, V. Di Pilato, L. Fabbri, O.L. Colavecchio, T. Giani, C. Marraccini, R. Pupillo, C. Macchi, F. Converti, G.M. Rossolini
*University of Siena, Italy

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 29-34


背景
流行地域の長期急性期ケアリハビリテーション施設はカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の影響を受ける。しかしながら、これらの施設では、さまざまな患者のサブグループへの影響について研究されていない。

目的
長期急性期ケアリハビリテーション施設における CRE の疫学および感染制御介入の影響を検討すること。

方法
イタリアの大規模な長期急性期ケアリハビリテーション施設において、サーベイランスプログラムを実施した。介入には、入院時と週 1 回(陰性患者に対して)の CRE 保菌のスクリーニング、保菌の疑い患者と確定患者に対する接触予防策とコホーティングの強化(病棟およびリハビリテーション区域)を含めた。CRE 保菌の有病率と発生率、CRE 菌血症の症例数を 1 年超にわたり監視した。

結果
全体として、患者 1,084 例でスクリーニングを実施した(遵守率 89.8%)。入院時に患者の 11.6%が保菌しており、入院時に陰性であった患者の 9.9%が入院後に保菌状態となった。これらの割合は、より高強度のケアを受けた重度脳損傷患者のほうが、他の病棟の患者よりも有意に高かった(それぞれ 44.1%対 8.6%、63.5%対 6.8%)。CRE 菌血症の大多数は重度脳損傷病棟で発生した。重度脳損傷病棟において、介入は CRE 保菌の発生率低下(リスク患者 100 例・週あたり 17.7 獲得から 7.2 獲得)と関連したが、他の病棟では関連しなかった。すべての CRE 分離株が、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)産生 K. pneumoniae であった。

結論
イタリアの長期急性期ケアリハビリテーション施設では、脳損傷患者において CRE の保菌率と交差感染率が非常に高いという特有の疫学が観察された。脳損傷病棟における CRE 保菌の発生率低減を図る簡易化した感染制御バンドルが有効であった。

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監訳者コメント
イタリアの長期急性期ケアリハビリテーション施設での CRE 保菌率を調べた研究である。より高度なケアが必要となる病棟での保菌率、交差感染率が高いこと、介入により改善はするが、なお他病棟よりは高いこと、が明らかになった。日本においても、高齢者施設や長期入院型の病院においては同様の状況が予測される。

英国の大学教育病院 1 施設の成人入院患者におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌とバンコマイシン耐性腸球菌の点有病率調査

Point-prevalence survey of carbapenemase-producing Enterobacteriaceae and vancomycin-resistant enterococci in adult inpatients in a university teaching hospital in the UK

H.J. Wilson*, F. Khokhar, D.A. Enoch, N.M. Brown, J. Ahluwalia, G. Dougan, M.E. Török
*University of Cambridge, UK

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 35-39


カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)による感染症は、罹患率および死亡率の増加と関連するが、入院患者における CPE と VRE の保菌率は不明である。成人入院患者の CPE と VRE の保菌率を明らかにするために点有病率調査を実施した。成人入院患者 960 例のうち 818 例(85.2%)に本試験への参加を依頼した。このうち 595 例(72.7%)から同意を取得し、試料を得た。検査した 540 サンプルのうち CPE 陽性のものはなかった。540 サンプル中 130 サンプル(24.1%)は VRE 陽性で、40 病棟中 34 病棟(85%)で感染症が認められた。有病率の低い施設では、CPE のユニバーサルスクリーニングの費用対効果が高くない可能性があり、むしろ高リスク患者を対象としたスクリーニングを継続すべきである。当研究環境ではユニバーサルスクリーニングや隔離は不可能なので、VRE スクリーニングのための最適な対策はまだ確立されていない。

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監訳者コメント
有病率を踏まえたスクリーニングのあり方について検討した論文である。米国では、一部の大学病院で、菌保有者の接触予防策を中止し、(ユニバーサルに)標準予防策を行うという取り組みが検討されている。有病率と費用対効果を踏まえた感染症対策に関する検討は医療現場にとって大変有意義である。

基質特異性拡張型β‐ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌の母子感染

Mother-to-child transmission of extended-spectrum-beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae

D. Danino*, R. Melamed, B. Sterer, N. Porat, G. Hazan, A. Gushanski, E. Shany, D. Greenberg, A. Borer
*Ben-Gurion University of the Negev, Israel

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 40-46


背景
基質特異性拡張型β‐ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌(ESBL‐E)を保菌する早産児は敗血症のリスクが高く、新生児集中治療室(NICU)でのアウトブレイクをもたらす可能性がある。母親の ESBL‐E 保菌は母子感染の前兆となりうる。しかしながら、妊婦における ESBL‐E 保菌のサーベイランスに関して見解の一致が得られていない。

目的
同一株の ESBL‐E を保菌している母親と乳児のペアを特定し、母親の感染が早産児の ESBL‐E 保菌の増加に影響するか否かを明らかにすること。

方法
本研究は、早産児の母親とその児を対象とした進行中の前向き ESBL‐E サーベイランスにおける 1 年間の分析である。同一の細菌を保菌している母子ペアにおいて、パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)による分離株の解析を実施した。病院のコンピューター保存記録から臨床パラメータを収集した。

結果
2015 年 1 月から 2016 年 1 月に、母親 409 例のうち 313 例(76.5%)および全乳児 478 例(100%)を対象に、ESBL‐E 保菌のスクリーニングを実施した。保菌率はそれぞれ 21.5%、14.8%であった。保菌乳児 4 例(5.6%)が遅発性敗血症を発症し、2 例(2.8%)が死亡した。同一の細菌株を保有する母子ペア 25 組を特定し、分離株 10 組のサブグループで PFGE を実施したところ、70%で同一の PFGE フィンガープリントが示された。非血縁の新生児と母親から採取した分離株間に類似性は認められなかった。出生時に保菌していた母親の乳児では、保菌していなかった母親の乳児よりも、ESBL‐E 保菌が有意に早く検出された(P < 0.001)。

結論
当研究区域における母親の ESBL‐E 保菌率および無視できない ESBL‐E 母子感染による NICU 乳児の 保菌率から、母親の保菌サーベイランスとさらなる感染制御介入、またはそのいずれかを検討すべきであることが示唆される。

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監訳者コメント
保菌している母親から新生児への基質特異性拡張型β‐ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌(ESBL‐E)感染伝播を調べた論文である。伝播経路は、出産時の垂直感染と、その後の接触感染の 2 通りである。保菌率が高いこと、保菌していない母親から生まれた新生児からも高率で検出されていることが確認されたこと、が気になる。

タンザニアの病院に手術目的で入院した患者において基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌の保菌率は高いが内因性手術部位感染症の発生率は低い

High carriage rate of extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae among patients admitted for surgery in Tanzanian hospitals with a low rate of endogenous surgical site infections

N. Moremi*, H. Claus, L. Rutta, M. Frosch, U. Vogel, S.E. Mshana
*University of Wuerzburg, Germany

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 47-53


緒論
低所得国では、タンザニアを含め、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌科細菌による手術部位感染症(SSI)の高い発生率が報告されているが、術後 SSI の発症における腸内細菌科細菌保菌の役割は不明である。本研究では、病棟入院時および退院時の手術患者における腸内細菌科細菌の保菌率、ならびに腸内細菌科細菌の遺伝子型と SSI との関連を検討した。

方法
直腸および創/膿のスワブにおける腸内細菌科細菌の確認は、VITEK-2 を用いて行った。PCR およびシークエンシングにより、β-ラクタマーゼ遺伝子を検出した。multi-locus sequence typing(MLST)を用いて、腸内細菌科細菌分離株の遺伝子型を決定した。

結果
登録された患者 930 例において、腸内細菌科細菌の保菌率は退院時のほうが病棟入院時より有意に高かった(36.4%対23.7%、P < 0.001)。病棟入院時に検査で保菌陰性であった患者 272 例中、78 例(28.7%)が入院中に腸内細菌科細菌を獲得していた。過去 3 か月以内の入院歴があることは、腸内細菌科細菌獲得の独立予測因子であった(ハザード比 2、95%信頼区間[CI]1.04 ~ 3.98、P = 0.038)。術後の追跡調査が可能であった患者 536 例中、78 例(14.6%、95%CI 11.6 ~ 17.5)が SSI を発症した。検討対象とした SSI 57 件中、33 件(58%)が腸内グラム陰性細菌によるもので、そのうち 63.6%(33 件中 21 件)が腸内細菌科細菌によるものであった。創分離株では、大腸菌(Escherichia coli)シークエンス型(ST)131 パンデミッククローンおよび肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)ST391 が主に認められた。ESBL 産生分離株 38 株中、37 株(97.3%)でblaCTX-M-15 遺伝子が検出された。男性であることは、SSI の独立予測因子であった(オッズ比 2.92、95%CI 1.73 ~ 4.91、P < 0.001)。

結論
本研究の所見は、外科病棟における厳格な感染制御策、抗菌薬管理、および腸内細菌科細菌の伝播動態研究の実施が必要であることを示している。

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監訳者コメント
タンザニアにおける薬剤耐性腸内細菌科細菌の疫学と SSI に関する観察研究である。ただただ耐性菌と SSI の多さに驚くばかりである。ただこの結果から、環境によっては日本でも薬剤耐性腸内細菌科細菌の増加やそれによる SSI の増加やアウトブレイクが起こりうるということは知っておかなければならないであろう。

新生児集中治療室の新生児に対する緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)保菌のスクリーニングは感染症予防に有用か?

Does screening neonates in the neonatal intensive care unit for Pseudomonas aeruginosa colonization help prevent infection?

G. Nayar*, E.S.R. Darley, F. Hammond, S. Matthews, J. Turton, R. Wach
*North Bristol NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 54-59


背景
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)はグラム陰性の環境微生物で、早産児を含めた免疫機能低下患者において重度の感染症を引き起こし得る。近年、新生児に対して緑膿菌保菌のスクリーニングを行う実践が一般的になりつつある。

目的
新生児に対する緑膿菌スクリーニングについて、(1)重度の緑膿菌感染症を発症するリスクの予測、および(2)感染制御実践の指針としての利用における価値を評価すること。

方法
2012 年 8 月から 2015 年 9 月までの間にNorth Bristol NHS Trust で新生児集中治療室(NICU)に入室した新生児に対して、入室時およびその後週 1 回のルーチンの緑膿菌保菌スクリーニングが実施された。緑膿菌感染症を発症した乳児に関するデータも収集した。NICU で採取された環境サンプルを緑膿菌の有無について検査した。新生児および環境から回収された緑膿菌のすべての分離株に対して variable number tandem repeat(VNTR)タイピングを実施した。

結果
スクリーニング結果陽性の新生児で、その後に緑膿菌感染症を発症した新生児はいなかった。環境または他の新生児からの交差感染を支持する VNTR 所見は得られなかった。

結論
新生児に対する緑膿菌スクリーニングにより、その後に緑膿菌感染症を発症する新生児は特定されなかった。2015 年 9 月にスクリーニングを中止後、緑膿菌感染症を有すると同定された新生児の人数は増加しなかった。

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監訳者コメント
日本でも NICU 滞在患児の監視培養を行っている施設は多いが、私の知るところではその目的は様々で、MRSA をターゲットとして監視培養を行っている施設もあれば、とりあえずどんな菌でも拾い上げるような監視培養をしているという施設もある。日本では緑膿菌をターゲットとして監視培養を行っている施設は少ない印象であるが、本論文によるとイギリスではそのような監視培養がそれなりに行われているということである。本研究はイギリスで過去に緑膿菌のアウトブレイクが発生した NICU で行われた緑膿菌検出目的の監視培養に関する研究であるが、監視培養の意義は乏しいという結論であった。

腸内細菌科細菌感染症のリスク因子としてのプロトンポンプ阻害薬使用:症例対照研究

Proton pump inhibitor use as a risk factor for Enterobacteriaceal infection: a case-control study

R. Cunningham*, L. Jones, D.G. Enki, R. Tischhauser
Plymouth Hospitals NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 60-64


背景
胃酸分泌抑制薬は、摂取された病原体が胃を通過する際に生存させてしまうことで、胃腸炎のリスクを高める。同じ機序が、腸内細菌科細菌の伝播に影響を及ぼすかどうかは不明である。この疑問に対する答えを得るために症例対照研究を実施した。

目的
入院患者において、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用が、腸内細菌科細菌による感染症のリスクを高めるかどうかを明らかにすること。

方法
南西イングランドの 1 教育病院において、後向き症例対照研究を実施した。症例は、2014 年 4 月から 2015 年 3 月までの間に基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌科細菌に感染した患者 126 例であった。病院入院時または入院前6か月以内の PPI、H2 受容体拮抗薬または制酸薬の使用について、いずれも人口統計学的特性をマッチさせた ESBL 産生腸内細菌科細菌以外に感染した対照 126 例、ならびに主診断をマッチさせた感染症のない対照 126 例と比較した。

結果
ESBL 症例 126 例中 66 例、非 ESBL 対照 126 例中 62 例、および非感染対照 126 例中 34 例が、病院入院時または入院前 6 か月以内に処方された PPI を服用していた。多変量ロジスティック回帰分析により、ESBL 症例における PPI 曝露のオッズ比は、非感染対照との比較で 3.37(95%信頼区間[CI]1.84 ~ 6.18)、非 ESBL 感染対照との比較で 1.15(95%CI 0.68 ~ 1.95)であった。H2 受容体拮抗薬および制酸薬には、感染症との有意な関連はなかった。

結論
過去 6 か月以内の PPI 曝露には、ESBL 産生細菌および非 ESBL 産生細菌の両方による感染症との有意な関連がある。不適切な PPI 使用を減らすことは、伝播を抑制する新たな方法と考えられ、これにより抗菌薬使用が減少し、抗菌薬耐性の制御に有用となる可能性がある。

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監訳者コメント
PPI の使用と C. difficile 感染症の関連に関しては多数の研究があるが、その背景には、PPIの使用による胃酸の pH の低下が上げられる。従って理論的には PPI の使用はその他の微生物の定着や感染の増加につながってもおかしくないわけである。本論文は実際に PPI 曝露と ESBL 産生細菌を含む細菌による感染症の増加を示している。結論に述べられているように、不適切な PPI 使用を減らすことが重要である。

3 次病院におけるビデオモニタリングによる異なる職種の医療従事者による接触予防策の遵守率★★

Adherence to contact precautions by different types of healthcare workers through video monitoring in a tertiary hospital

Y. Katanami*, K. Hayakawa, T. Shimazaki, Y. Sugiki, S. Takaya, K. Yamamoto, S. Kutsuna, Y. Kato, N. Ohmagari
*National Centre for Global Health and Medicine, Japan

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 70-75


背景
接触予防策は、多剤耐性微生物の伝播を予防するために必要とされるが、その遵守率に関する報告にはばらつきがある。本研究ではビデオモニタリングを用いて、異なる職種の医療従事者における個人防護具(PPE)使用の遵守率を評価した。

方法
本観察研究は、2016 年 7 月から 2017 年 3 月にかけて 781 床の 3 次病院で実施した。スタッフが PPE を装着する区域にカメラを設置した。感染制御チームがビデオの観察を行い、遵守率を評価した。

結果
全体で PPE 装着の機会 1,097 件が観察された。観察されたスタッフのほとんどは看護師および看護助手(1,097 件中 880 件、80.2%)であった。全体で、適切な PPE 装着の遵守率は 34.0%であった。看護師/看護助手の遵守率(858 件中 239 件、27.9%)は、感染症専門医(18 件中 18 件、100%)および清掃スタッフ(49 件中 42 件、85.7%)より低かった。毒素が検出されたクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症に対する PPE 使用の遵守率は、毒素が検出されなかった C. difficile 感染症および多剤耐性微生物による感染症に対する場合と比べて有意に高かった(いずれも P < 0.001)。要介助の患者に対しては、介助不要の患者に対する場合と比べて遵守率が有意に高かった(P = 0.018)。集中治療室では集中治療室以外の病棟と比べて、遵守率が低かった(27.6%対 36.5%、P = 0.006)。

結論
ビデオモニタリングは、直接観察の場合よりも多くの PPE 使用機会の観察を容易にし、PPE 使用における遵守率のモニタリングにとって有用なツールである。接触予防策の遵守率は職種によってばらつきがあったが、全体的な遵守率は不十分であった。看護師でみられた低い遵守率は、ケア実施の頻度が高いことによると考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
耐性菌やクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は代表的な院内感染であり、死亡率や医療費を増加させる。これらの患者への感染予防策は「接触予防策」であることは誰もが知っている。しかしながら、認識している割には、その遵守率は決して高くはなく、30%程度である。日本における 3 次病院における接触予防策の遵守率を検討したものである。ビデオカメラ記録によりモニタリングしている点で監視効果が影響する直接観察よりも、より現場の現実的な状況を反映している。接触予防策は手技が煩雑であるため、ケア頻度が増えると遵守率が下がるのは容易に理解できる。また、職種別については観察数が極端に異なる。このことは、看護職の患者との接触頻度の多さを意味する。一方、医師の高遵守率をそのまま評価できないかもしれない。すなわち感染症科の医師という感染への意識の高い医師であるというバイアスがかかっている可能性がある。

病院の経営形態:院内感染症発生率のリスク因子か?

Hospital ownership: a risk factor for nosocomial infection rates?

C. Schröder*, M. Behnke, C. Geffers, P. Gastmeier
*Charité Berlin, Germany

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 76-82


背景
一部の国ではこれまで、病院の経営形態と医療関連感染症の発生率との関連が報告されている。

目的
ドイツにおける病院の経営形態と医療関連感染症の発生率との関連を検討すること。

方法
ドイツの院内感染症サーベイランスシステム(KISS)の 5 つの要素について、2014 年から 2016 年の期間における病院の経営形態の影響を分析した。エンドポイントは、1,000 患者日あたりの人工股関節置換術および大腸手術後の人工呼吸器関連肺炎、中心静脈カテーテル関連血流感染症、尿道カテーテル関連尿路感染症、手術部位感染症(SSI)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)感染症、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症、および擦式手指消毒薬消費量などとした。病院の 3 つの経営形態(公的病院、非営利組織の病院および私立病院)について、単変量および多変量解析を用いて分析した。

結果
すべての要素において、3 つの経営形態による病院の分布は類似していた。全体で、661 の集中治療室、149 の大腸手術実施部門、および 349 の人工股関節置換術実施部門を解析に含めた。さらに、568 の病院が自院の MRSA 感染症発生率を、236 の病院が自院の C. difficile 感染症発生率を、また 1,833 の集中治療室および 12,934 の非集中治療室がその擦式手指消毒薬消費量のデータを提供した。全体的に、集中治療室については病院の経営形態による差は比較的小さく、有意ではなかった。多変量解析において、公的病院では人工股関節置換術後の SSI 発生率が低かった(オッズ比 0.80、95%信頼区間 0.65 ~ 0.99)。

結論
ドイツにおいて、病院の経営形態が医療関連感染症の発生率に大きな影響を及ぼしていることは認められなかった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
これまで経営形態により医療関連感染症の発生率が異なるとの報告もあるが、多くの研究では経営形態が考慮されていないのが現状である。ドイツの医療保険制度は 2009 年より「国民皆保険体制」となり、連帯原則と現物給付が基本構造であり、診療報酬は実際に行われた診療行為に関わらず定額を支払う包括化が進められ、入院療養給付は「診断群分類(DRG:Diagnosis Related Groups)」に基づく包括的な報酬基準により定額が支払われており、保険制度と診療報酬による病院間差はない。2016 年のデータでは、ドイツには病院が1,951 施設あり、大学病院などの公的病院、教会立や赤十字などの非営利組織の病院、私立病院がそれぞれおおよそ 3 分の 1 ずつであるが、ベッド数では全体の半数を公的病院が占めている。データ収集が自主的参加であるため、感染対策への意識の高い病院による参加の影響も考慮すべきかもしれない。実際 MRSA や CDI のデータ収集に参加したのは、それぞれ全病院の 4 分の 1、9 分の 1 であった。

造血幹細胞移植レシピエントにおける多剤耐性菌血流感染症の疫学、リスク因子および転帰:移植以前の腸管保菌の重要性★★

Epidemiology, risk factors and outcomes of multi-drugresistant bloodstream infections in haematopoietic stem cell transplant recipients: importance of previous gut colonization

A.M. Ferreira*, F. Moreira, T. Guimaraes, F. Spadão, J.F. Ramos, M.V. Batista, J.S. Filho, S.F. Costa, V. Rocha
*University of Sao Paulo, Brazil

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 83-91


背景
血流感染症(BSI)は、造血幹細胞移植の早期における主要な合併症である。

目的
グラフト生着前に発生する BSI の発生率およびリスク因子、ならびに死亡率に対するその影響を記述すること。

方法
2014 年から 2015 年にわたる造血幹細胞移植(HSCT)患者 232 例の臨床変数を後向きに分析した。単変量 Cox 回帰分析を実施して、各共変数と転帰の間の関連を検討した。単変量解析で P < 0.10であった共変数を、変数減少法を用いた多重 Cox 回帰分析に組み込んだ。

結果
BSI の累積発生率は 25.4%で、主としてグラム陰性菌によるものであった(55.2%)。患者の約 40.5%に、多剤耐性菌(バンコマイシン耐性腸球菌およびカルバペネム耐性グラム陰性菌)の腸管保菌が認められた。多剤耐性グラム陰性菌の保菌を認める患者の 20%は、同じ感受性パターンを示す多剤耐性菌による顕性 BSI を発症した。感染症に関連した死亡 13 件中、10 件は多剤耐性グラム陰性菌による BSI 患者であった。BSI の独立リスク因子は、グラム陰性菌を含む多剤耐性菌の腸管保菌(P < 0.001)および 10 日を超える好中球減少の持続(P = 0.005)であり、多剤耐性菌による BSI に関連した独立リスク因子は、年齢 62 歳超(P = 0.03)、高カロリー輸液の使用(P < 0.001)および移植以前の多剤耐性グラム陰性菌保菌(P = 0.002)であった。

結論
移植以前の多剤耐性菌保菌は、高カロリー輸液および年齢とともに BSI の独立リスク因子であり、転帰に影響を及ぼした。これらの結果から、腸管除菌は BSI を予防するための戦略となる可能性が示唆される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
本論文における HSCT の原疾患の 44%が多発性骨髄腫であり、実施された HSCT は 74%が自己造血幹細胞移植であったこと、予防投与としてレボフロキサシンとフルコナゾールが使用されていたことを考慮して結果を解釈する必要がある。さらに検出されたすべてのグラム陰性菌はキノロン耐性であった。菌血症は、口腔から肛門までの粘膜に存在する常在菌叢が粘膜から血流へのトランスロケーションにより発症する。腸管内に耐性菌が定着していると、前処置による粘膜障害や好中球減少時に腸管から血流へ入り、耐性菌による血流感染症を引き起こすことは、想像に難くない。さらにリスク因子としての高カロリー輸液は経口栄養が不十分な場合に実施するので、原因であるよりも結果であると考えられる。また、HSCT 患者の 40%が多剤耐性菌を腸管内に保菌しており、これらの多剤耐性菌が交差感染による院内伝播である可能性は否定できない。腸管除菌の前に考慮すべきポイントであろう。

韓国の入院患者における救急外来を介した結核感染:National Inpatient Sample を用いた傾向スコアマッチングによる分析

Tuberculosis infection via the emergency department among inpatients in South Korea: a propensity score matched analysis of the National Inpatient Sample

J-Y. Min*, H-J. Kim, C. Yoon, K. Lee, M. Yeo, K-B. Min
*Seoul National University, Republic of Korea

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 92-98


背景
救急外来では伝播性のある感染症に曝露されるリスクが高く、それが結核の集団発生に関与してしまうこともある。

目的
救急外来を受診した患者で、結核感染のリスクが高いかどうかを明らかにすること。韓国の入院患者のサンプルデータ(2012 年)を用いて、救急外来を経て入院した患者の入院後 90 日以内の結核発症率を算出し、一般外来を通じて入院した患者のそれと比較した。

方法
健康保険審査評価院の National Inpatient Sample の 2012 年のデータを用いた。結核の診断は国際疾病分類第 10 版(ICD-10)に基づいた(全結核[A15-A19]、肺結核[A15-A16]および肺外結核[A17-A18])。

結果
患者の基本的属性と臨床的特性を傾向スコアでマッチングした後、191,997 例(64,017 例が救急外来を経て入院、127,908 例が一般外来を経て入院)を本研究に組み入れた。患者のベースライン特性に 2 群間で差は認められなかった。救急外来を経て入院した結核患者の割合は、一般外来を経て入院した結核患者の割合より高かった。活動性結核の発症率は、救急外来経由患者では一般外来を介して入院した患者と比較して、全結核(ハザード比[HR]1.30、95%信頼区間[CI]1.12 ~ 1.52)および肺結核(HR 1.30、95%CI 1.10 ~ 1.53)について 30%高く、この差は有意であった。しかし 2 群の肺外結核の発生率には差はなかった。

結論
結核感染の発生率は、救急外来を経て入院した患者のほうが一般外来を経て入院した患者より高かった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
本研究は、入院後 90 日以内に院内で結核と診断された例において、全結核、肺結核、肺外結核の 3 種に分けた場合に、肺外結核以外において救急外来経由で入院した患者の方が発症率が高いことを示した。ただし救急外来経由患者は(一般外来経由患者と主属性に統計学的差異は明らかでなかったにしても)社会的状況や、基礎疾患の有無と種類、そのコントロールに差があり、それが把握できていない可能性は十分にある。これが結核発症に及ぼす影響も大きいと予想され、本検討の limitation になっているともいえる。

安全装置は針刺し切創を低減するか?

Do safety engineered devices reduce needlestick injuries?

J. Schuurmans*, S.P. Lutgens, L. Groen, P.M. Schneeberger
*Jeroen Bosch Hospital, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 99-104


背景
針刺し切創は、世界中の医療従事者がもっともよく直面する健康危害のひとつである。B 型肝炎ウイルス、C 型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなどの、針刺し切創と関連する血液媒介感染症の曝露のリスクを最小限に抑えるために、安全装置付きの針が開発されている。

目的
オランダの Jeroen Bosch Hospital において、安全装置の導入が医療従事者の針刺し切創の予防に及ぼす効果を評価すること。

方法
安全装置の導入前後に報告された針刺し切創の発生率を比較した。針刺し切創の根本的な原因を理解するために、安全装置による針刺し切創を報告した医療従事者全員にインタビューを実施した。

結果
安全装置の導入にもかかわらず、針刺し切創の発生率は、導入前に医療従事者 100 名あたり 1.9 名であったのが、導入後には医療従事者 100 名あたり 2.2 名と増加した。安全装置関連の針刺し切創の報告内容をみると、注射針および血糖測定針による切創の件数は有意に減少していた。しかしながら一方で、ナドロパリンカルシウム注射針および輸液針による予期せぬ有意な増加がみられた。切創の原因としてもっとも多かったのは、針の不適切な廃棄と、安全機能の問題であった。

結論
安全装置の導入は針刺し切創の低減に至っていない。安全装置付きの針によって起こる針刺し切創の大部分は、針の安全な廃棄のシミュレーション、安全装置の適切な使用、そして製品設計の継続的な改良を目指した製造業者へのフィードバックによって、防止することが可能であろう。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
安全装置付きデバイスを導入しても、針刺し切創の減少には限界があることは、かねてより本邦でも経験されていたことである。適切に作動させるための教育と習熟のみならず、多角的なアプローチによる向上を継続しなければならないのは本研究の通りである。

局所ポリミキシンの気道投与によるアシネトバクター関連の人工呼吸器関連肺炎の予防:矛盾した肺炎発生率の結果とエビデンスベースのベンチマーキング

Paradoxical Acinetobacter-associated ventilator associated pneumonia incidence rates within prevention studies using respiratory tract applications of topical polymyxin: benchmarking the evidence base

J.C. Hurley*
*University of Melbourne, Australia

Journal of Hospital Infection (2018) 100, 105-113


背景
局所ポリミキシン投与を含むレジメンは、他の治療法よりも人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防に有効なようである。

目的
ポリミキシンについて同時期に実施された比較対照研究の中で、対照群、介入群それぞれのアシネトバクター関連 VAP の発生率に注目した。そしてその発生率をポリミキシン以外のさまざまな VAP 予防法に関する研究(非ポリミキシン研究)と比較し、アシネトバクター関連 VAP の発生率の基準を作り、評価すること(ベンチマーク作成)を目的とした。

方法
研究中に VAP 予防を実施していない観察研究 77 グループのデータを用い、アシネトバクター関連 VAP のベンチマークを導いた。加えて、非ポリミキシン研究 41 件のデータからさらなる評価基準を得た。一般化推定方程式法によるメタ回帰によりベンチマーキングを実施した。

結果
局所ポリミキシン研究 20 件において、アシネトバクター関連 VAP の平均発生率は、対照群で 4.6%(95%信頼区間[CI]3.0 ~ 6.9)、介入群で 3.7%(95%CI 2.0 ~ 5.3)であった。一方、アシネトバクター関連 VAP のベンチマークは 1.5%(95%CI 1.2 ~ 2.0)であった。アシネトバクター関連 VAP のメタ回帰モデルでは、外傷集中治療室への入院群(係数+0.55、95%CI +0.16 ~+0.94、P = 0.006)、ポリミキシン研究の対照群(係数+0.64、95%CI +0.21 ~+1.31、P = 0.023)は有意な正の相関を示したが、ポリミキシン研究の介入群(係数+0.24、95%CI -0.37 ~+0.84、P = 0.45)は有意ではなかった。

結論
局所ポリミキシン研究の対照群におけるアシネトバクター関連 VAP の平均発生率は、ベンチマークの 2 倍以上であるのに対して、非ポリミキシン研究の集団内での発生率と、ポリミキシン介入群での発生率はベンチマークにより近い値であり、矛盾していた。これらの発生率は、局所ポリミキシン投与に関する比較対照研究において明らかになったVAP予防効果に照らしても矛盾しており、再度評価しなければならない。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
本研究の背景として、検討対象となる箇所(例えば ICU)で処方された経口ポリミキシンが、患者の口腔内、腸管内の細菌叢を変化させるのみならず、ICU および ICU 患者全体のマイクロバイオームを変え、介入群のみならず対照群の結果に影響を及ぼすのではないかという懸念があった。既報を基にこの疑問に対するべく解析を行ったが、残念ながら何らかの可能性を示唆できるほどの具体的な情報を得るまでには至らなかった。しかしアシネトバクター関連 VAP の発生率が、様々な因子に左右されている ICU のマイクロバイオームによって影響されているのは有力な仮説と言え、評価基準の設定が今後も重要であるのはうなずける。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.