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医療環境における乾燥表面バイオフィルムの移行:媒介体としての医療従事者の手指の影響

Transfer of dry surface biofilm in the healthcare environment: the role of healthcare workers’ hands as vehicles

D. Chowdhury*, S. Tahir, M. Legge, H. Hu, T. Prvan, K. Johani, G.S. Whiteley, T.O. Glasbey, A.K. Deva, K. Vicker
*Macquarie University, Australia

Journal of Hospital Infection (2018) 100, e85-e90


背景
乾燥表面バイオフィルムは、病院内に長期にわたり存続し、医療関連感染症の伝播に重大な影響を及ぼす可能性がある。

目的
乾燥表面バイオフィルムが、病院表面から医療従事者の手指に移行する可能性があるかどうかを検証すること。

方法
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の乾燥表面バイオフィルムを、CDC Biofilm Reactor®︎のポリカーボネートクーポンとガラスクーポン上で 12 日間増殖させた。ポリカーボネート上で 1.8 × 106、ガラスクーポン上で 8.8 × 105 の細菌が増殖した。手袋を着用しない手指の示指と母指でクーポンを 30 cm の高さに持ち上げ、ウマ血液寒天培地に連続 19 回接触させることにより、移行について試験した。移行した細菌数をコロニー形成単位により測定した。乾燥表面バイオフィルムの湿潤がバイオフィルム移行に及ぼす影響について、5%中性洗剤で 5 秒間処置して試験した。

結果
乾燥表面バイオフィルムの細菌の 5.5% ~ 6.6%が、1 回の接触で手指に移行し、次いで、約 20%が 1 回の接触でウマ血液寒天培地に移行し、全体的な移行率はポリカーボネートクーポンで 1.26%、ガラスクーポンで 1.04%であった。洗浄剤処置は、クーポンからの細菌除去にほとんど影響を及ぼさなかったが、ポリカーボネートクーポン上で増殖したバイオフィルムについては、ウマ血液寒天培地への移行を 5.2%と有意に増加させた(P < 0.001)。手袋を着用しない手指によって多数の細菌が複数の媒介物に移行した。ポリカーボネートクーポンの 3 分の 1 で、最初の連続 5 回の接触中に 1,000 超のコロニーが移行した。乾燥表面バイオフィルムの 1 回の接触後 19 回まで、感染を引き起こすのに十分な細菌が移行した。

結論
乾燥表面バイオフィルムの細菌は、1 つの媒介物から複数の媒介物へと手指によって移行する。これは、乾燥表面バイオフィルムが病原体の持続的な環境要因となりうることを示唆するものである。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
環境表面の消毒の重要性が指摘されている。本研究は、実験的に乾燥表面を作り、そこに接触した手への菌の付着を調べたものである。本結果から、一度手指に付着した菌は、手を介して拡がることが示唆されたが、「乾燥表面バイオフィルムが病原体の持続的な環境要因となりうる」という結論に結びつけるには少し無理があるように思えた。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.