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産科病棟における再発性侵襲性 A 群レンサ球菌によるアウトブレイクの調査における全ゲノムシークエンシング

Whole-genome sequencing in the investigation of recurrent invasive group A streptococcus outbreaks in a maternity unit

H. Dickinson* , M. Reacher, B. Nazareth, H. Eagle, D. Fowler, A. Underwood, M. Chand, V. Chalker, J. Coelho, R. Daniel, G. Kapatai, A. Al-Shabib, R. Puleston
* National Infection Service, UK

Journal of Hospital Infection (2019) 101, 320-326


背景
A 群レンサ球菌(化膿性レンサ球菌)による臨床症状は多様で、無症状の保菌から重篤な侵襲性感染症まで広範囲にわたる。産科関連の侵襲性 A 群レンサ球菌感染症のクラスターは複雑で、とくに再発性の場合は調査および制御が難しい。

目的
4 年にわたり病院 1 施設の産科患者において発生した emm 75 遺伝子型のA 群レンサ球菌/侵襲性 A 群レンサ球菌による感染症エピソード 3 件(2 件は単一系統由来)を検討すること。

方法
エピソードについて記述し、あわせて全ゲノムシークエンシングによる分離株の分析も行った。一塩基多型の差異を、同時期のemm 75 遺伝子型と比較した。

結果
4 年の研究期間にわたり、妊娠女性 7 例が emm 75 遺伝子型 A 群レンサ球菌/侵襲性 A 群レンサ球菌感染症を発症し、1 例が emm 3 遺伝子型侵襲性 A 群レンサ球菌感染症(4 年目)(後に、関連ありとして除外)を発症した。emm 75 遺伝子型 A 群レンサ球菌陽性の女性から出生した児 7 例中 3 例(臨床サンプル/スクリーニングサンプル)およびスクリーニングを受けた医療従事者 3 名は emm 75 遺伝子型 A 群レンサ球菌陽性であった。全ゲノムシークエンシングによる類似性から、これらが共通の系統に由来すること、また共通の伝播源によることが示唆されたが、伝播の方向性は推測できない。しかし、これらの結果は、任意の環境で特定のクローンが長期にわたり持続して存在する可能性を示している。

結論
A 群レンサ球菌陽性のスタッフおよび患者に対して、職業的医療手順の強化、スタッフに対するスクリーニング、および抗菌薬療法を実施した。決定的な感染源の特定はできなかったが、スタッフと患者間の伝播が最も可能性の高い経路と考えられた。4 年の研究期間にわたる同一クローン性 A 群レンサ球菌の伝播パターンから、A 群レンサ球菌は長期にわたり持続して存在していることが示唆される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
A 群レンサ球菌(GAS)は、無症状保菌から侵襲性重症感染症まで臨床症状は多彩であり、呼吸器分泌物や皮膚病変から感染伝播する。5 ~ 12%程度の無症状咽頭保菌者がいることもわかっている。本事例での感染伝播は無症状保菌のスタッフからの伝播が疑わしいが、環境に6.5か月生存するとの報告もあり、職員 → 環境 → 職員 → 患者という経路も考えられる。また、GAS の無症状保菌者の検出も 100%ではなく、また抗菌薬による除菌は 100%ではないため、この様なアウトブレイクを発生させないためには、日頃からの手指衛生を含む予防策は極めて重要と考えられる。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.