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ドレーン先端または排液の計画的培養は手術部位感染症を予測するか?

Are systematic drain tip or drainage fluid cultures predictive of surgical site infections ?

H. Macaigne*, V.G. Ruggieri, L.Vallet-Tadeusz, V. Vernet-Garnier, L.S. Aho-Glélé, O. Bajolet, A. Lefebvre
*Equipe opérationnelle d’hygiène, France

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 245-255


手術部位感染症(SSI)の早期発見を目的としたドレーン先端または排液の計画的培養については議論の余地がある。そこで、清潔手術または準清潔手術において、ドレーン先端または排液の計画的培養の結果と SSI 発生との関連を検討することを目的とした。2017 年 3 月 31 日以前に発表された観察研究を、PubMed および Cat.inist のデータベースで検索した。清潔手術または準清潔手術後のドレーン先端または排液の計画的培養の結果と SSI について報告した研究を対象として、メタアナリシスを実施した。ドレーン先端培養施行患者 4,390 例および排液培養施行患者 1,288 例を含む 17 件の研究を選択した。統合陰性適中率は高かった(ドレーン先端培養では 99%、95%信頼区間[CI]98 ~ 100、排液培養では 98%、95%CI 94 ~ 100)。陽性適中率は低かった(ドレーン先端培養では 11%、95%CI 2 ~ 24、排液培養では 12%、95%CI 3 ~ 24)。感度は低かった(ドレーン先端培養では 41%、95%CI 12 ~ 73、排液培養では 37%、95%CI 16 ~ 60)。特異度はドレーン先端培養では高く(93%、95%CI 88 ~ 96)、排液培養では中程度(77%、95%CI 54 ~ 94)であった。ドレーン先端または排液の計画的培養は、SSI 予測の陽性的中率が低いため、重要ではなさそうである。

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監訳者コメント
ドレーン先端または排液の計画的培養、つまりドレーンを挿入した患者に対して監視培養検査を行うことの診断的メリットについて文献調査した報告である。本報告の意味するところの解釈が難解であるが、清潔手術における監視培養の是非についてはよく検討する必要がある。

2%クロルヘキシジングルコン酸塩/70%イソプロピルアルコールにより術前皮膚処置された術野における頻回の生理食塩水曝露および拭き取り後の皮膚残留クロルヘキシジングルコン酸塩の ex vivo および in vivo 評価

Ex vivo and in vivo evaluation of residual chlorhexidine gluconate on skin following repetitive exposure to saline and wiping with 2% chlorhexidine gluconate/70% isopropyl alcohol pre-operative skin preparations

M.H. Bashir*, A. Hollingsworth, D. Schwab, K.S. Prinsen, J.E. Paulson, D.J. Morse, S.F. Bernatchez
*Microbac Laboratories, Inc., USA

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 256-261


背景
手術部位感染症のリスクを最小限に抑えるために、術前に皮膚消毒が実施される。この適用としてクロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)がルーチンに使用されるが、消毒済みの部位が液体に曝露されたり、頻回に拭き取られたりした場合、術中にこの消毒薬が除去される可能性がある。

目的
本研究では、外科的洗浄および拭き取りのシミュレーションを行い、CHG 含有皮膚製剤への膜形成アクリレート共重合体の添加が、CHG 消失の最小化に及ぼす影響を評価した。その結果を、市販の水溶性 CHG 製剤による場合と比較した。

方法
ブタの切除表皮を用いた 2 つの試験およびヒトボランティアを対象とした 1 つの試験を実施した。各試験において、手術条件をシミュレートするために、CHG 製剤を適用し、消毒した部位に生理食塩水を浸したガーゼを置き、軽くたたいて拭き取る操作を繰り返した。処置部位と未処置部位において、高速液体クロマトグラフィーによる CHG 量、または指標菌の播種による回収菌の対数値(CHG の残留活性を反映)のいずれかについて分析した。

結果
洗浄および拭き取り後、ブタの切除皮膚とヒトモデルの両方とも、膜形成共重合体添加 CHG 製剤により処置した皮膚の方が CHG 残留量が多かった。ブタモデルでは、膜形成共重合体添加 CHG 製剤による処置によって、播種した細菌の回収率はより低値を示した。ヒト試験において、皮膚刺激性も有害事象も報告されなかった。

結論
膜形成共重合体の添加は、水溶性製剤と比較して、術中を通して皮膚上の CHG 残留量を改善する可能性がある。この残留量の改善は、より良好な抗菌活性をもたらしうる。

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監訳者コメント
CHG 製剤の持続効果を狙い、膜形成共重合体と混合して塗布する試みである。動物実験の域を脱し、具体的な臨床治験による評価の結果を期待したい。

結腸直腸の待機的腹腔鏡下手術後の切開手術部位感染症に対する、ビタミンE・シリコン創被覆材と従来の創被覆材の適用効果の比較:前向き無作為化臨床試験

Effects of the application of vitamin E and silicone dressings vs conventional dressings on incisional surgical site infection in elective laparoscopic colorectal surgery: a prospective randomized clinical trial

J. Ruiz-Tovar*, C. Llavero, M. Perez-Lopez, A. Garcia-Marin
*Clinica Garcilaso, Spain

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 262-266


目的
結腸直腸の待機的腹腔鏡下手術を受ける患者において、従来の創被覆材とビタミン E・シリコン創被覆材が切開手術部位感染症(SSI)に及ぼす効果を比較すること。

患者および方法
前向き無作為化試験を実施した。患者をビタミン E・シリコン創被覆材群と従来の創被覆材群の 2 群に無作為に割り付けた。切開部 SSI、術後疼痛、急性期反応物質について調べた。

結果
患者計 120 例を本研究に組み入れた(各群 60 例)。切開部 SSI 発生率は、ビタミン E・シリコン創被覆材群では 3.4%、従来の創被覆材群では 17.2%であった(P = 0.013)。ビタミン E・シリコン創被覆材群における感染創の培養ではバクテロイデス フラジリス(Bacteroides fragilis)のみの増殖がみられたのに対し、従来の創被覆材群の感染創の培養では複数菌の増殖がみられた。術後 48 時間の術後疼痛の平均は、ビタミン E・シリコン創被覆材群では 27.1 mm(標準偏差[SD]10.7 mm)、従来の創被覆材群では 41.6 mm(SD 16.9 mm)であった(P < 0.001)。術後合併症を呈した患者を除外しても、ビタミン E・シリコン創被覆材群の方が白血球数(WBC)およびC反応性タンパク質(CRP)は低値であった。

結論
結腸直腸の待機的腹腔鏡下手術後の Pfannestiel 切開創を被覆するのにビタミンE・シリコン創被覆材の使用は、切開部 SSI 発生率の低下、術後疼痛の軽減、CRP 値およびWBC 数の低下をもたらした。

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監訳者コメント
※注釈:Pfannestiel 切開とは腹壁切開法の 1 つである。
新素材の被覆材を用いた場合の SSI の発生率の比較検討を行った研究である。症例が 120例と限られているため大規模研究に期待したい。

手術部位感染症サーベイランスネットワークへの参加の影響:大規模国際コホート研究の結果

Impact of participation in a surgical site infection surveillance network: results from a large international cohort study

M. Abbas*, M.E.A. de Kraker, E. Aghayev, P. Astagneau, M. Aupee, M. Behnke, A. Bull, H.J. Choi, S.C. de Greeff, S. Elgohari, P. Gastmeier, W. Harrison, M.B.G. Koek, T. Lamagni, E. Limon, H.L.Løwer, O. Lyytikäinen, K. Marimuthu, J. Marquess, R. McCann, I. Prantner, E. Presterl, M. Pujol, J. Reilly, C. Roberts, L. Segagni Lusignani, D. Si, E. Szilágyi, J. Tanguy, S. Tempone, N. Troillet, L.J. Worth, D. Pittet, S. Harbarth
*The University of Geneva Hospitals and Faculty of Medicine, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 267-276


背景
手術部位感染症(SSI)のサーベイランスの影響は、大規模での定量化はなされていないが、SSI サーベイランスは効果的な感染制御策における中心的要素である。

目的
サーベイランスネットワークにおいて、SSI 発生率の時間的傾向を明らかにすること。

方法
SSI サーベイランスネットワークは、参加期間を曝露とみなして、病院のサーベイランス参加年数により層別化した SSI 発生数および手術件数に関する手術別のデータを提供した。年間の率比と 95%信頼区間(CI)を得るために、統合および手術別の変量効果ポアソン回帰を適用し、サーベイランスネットワークを変量切片として含めた。

結果
要請された 36 のネットワークのうち、アジア、オーストラリア、ヨーロッパの高所得国 15 か国から 17 のネットワークが研究に参加した。17 種類の手術手技(心血管、消化器、婦人科・産科、脳神経外科、および整形外科領域)の集計データを収集し、手術件数 5,831,737 件、SSI 発生数 113,166 件に関するデータを得た。サーベイランス期間を通して、全体的な SSI 発生率の有意な低下がみられ、サーベイランス開始年と比較して 9 年後(最終)には 35%低下した(率比 0.65、95%CI 0.63 ~ 0.67)。手術別の傾向に大きな差があったが、結腸直腸手術、ヘルニア縫合、帝王切開、人工股関節置換術、人工膝関節置換術において、一貫して大幅な低下がみられた。

結論
今回の大規模国際コホート研究では、SSI サーベイランスネットワーク参加後の統合 SSI 発生率は、安定的かつ持続的な低下と関連しており、因果関係は証明されていないが、その可能性はある。手術別の傾向にばらつきがみられた。これらの結果は、感染症発生率の低減を図るうえでサーベイランスの中心的な役割を支持するとともに、高所得国における病院を拠点とした SSI サーベイランスの広範な実施を求めるものである。

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監訳者コメントなし

冠動脈手術後の手術部位感染の予測モデル:連続患者 7,090 例を対象としたバリデーション研究からの知見

Predictive models of surgical site infections after coronary surgery: insights from a validation study on 7,090 consecutive patients

G. Gatti*, M. Rochon, S.G. Raja, R. Luzzati, L. Dreas, A. Pappalardo
*Trieste University Hospital, Italy

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 277-286


背景
冠動脈バイパス術(CABG)後の手術部位感染(SSI)リスクの予測における固有のスコアリングシステムの役割は確立されていない。

目的
CABG 後の SSI に対する最適な予測システムを検証すること。

方法
CABG の単独手術(73.9%)または同時手術(26.1%)を受けた連続患者 7,090 例において、CABG 後の SSI に対する 5 つの予測システム(8 モデル)を後向きに評価した。各モデルに対して、予測精度、キャリブレーション、予測力に関し、それぞれ、受信者動作特性曲線下面積(aROC)、Hosmer-Lemeshow 検定、Goodmane-Kruskal のγ係数を用いて評価した。心臓手術後の 30 日院内死亡率に対する 6 つの予測スコアリングシステムを、SSI の予測として評価した。これらのモデルは、Hanley-McNeil の方法を用いて 1 対 1 で比較した。

結果
SSI は 724 件(10.2%)であった。すべてのモデルが十分なキャリブレーション(P = 0.176 ~ 0.656)を示した一方で、予測精度は低かった(aROC 0.609 ~ 0.650)。予測力は、1 つのモデル(γ0.272)を除くすべてのモデルで中程度(γ0.315 ~ 0.386)であった。1 対 1 で比較した場合、Northern New England Cardiovascular Disease Study Groupの縦隔炎スコアは、全体(aROC 0.634)および CABG の同時手術を受けた患者(aROC 0.648)の両方において、より高い判別能を示した。また、CABG の単独手術を受けた患者では、Fowler スコアの両方のモデルはより高い判別能(aROC 0.651、0.660)を示した。心臓手術後の死亡率を予測するために考案された 6 つのスコアリングシステムでさえ、SSI の予測精度は低かった(aROC 0.564 ~ 0.636)。

結論
本バリデーション研究において、CABG 後の SSI に対する現在の予測モデルは、十分なキャリブレーションおよび中程度の予測力にもかかわらず、予測精度が低いことが示された。

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監訳者コメントなし

スペイン人ドナーからの骨および腱同種移植片入手中の細菌汚染率および関連因子:汚染パターンの調査

Bacterial contamination rate and associated factors during bone and tendon allograft procurement from Spanish donors: exploring the contamination patterns

J.M. Viñuela-Prieto*, A.M. Soria-García, M.González-Romero, F.J.Candel
*Hospital Clínico San Carlos, Spain

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 287-294


背景
摘出中の同種移植片の汚染は、組織バンクの利用を制限する主要因子の 1 つである。汚染率は、考慮される病院、国または年度に関係なく、持続的に髙いままである。

目的
スペイン人ドナーから摘出された、骨および腱のサンプルの汚染に関連する因子を分析すること。

方法
2014 年から 2017 年の間の、ドナー 102 例から摘出された骨および腱のサンプル 1,162 例のデータを、病院データベースから後向きに収集した。同じドナーの異なる解剖学的部位から摘出されたサンプル間の汚染の記述統計、潜在的な関連因子および相関を分析した。

結果
全体で、227 例(19.54%)の摘出サンプル(骨サンプル 131 例[18.49%]、腱サンプル 96 例[20.92%])が培養陽性であり、廃棄された。男性(オッズ比[OR]2.023、P = 0.019)、ドナーあたりの摘出サンプル数が 10 を超えること(OR 1.997、P < 0.001)、240 分を超える摘出時間(OR 1.755、P = 0.001)は、より高い汚染率と独立して関連する因子であった。一方、組織サンプルの種類が「骨付き膝蓋腱」であることは、有意に低い汚染率に関連していた(OR 0.446、P = 0.001)。汚染されたサンプルの一定の局在性と細菌種の一致にも、有意な相関が認められた。

結論
総摘出時間、摘出順序、摘出されたサンプル数、ならびに摘出サンプルの解剖学的部位といった摘出手順に関連する因子は、同種移植片汚染において主要な役割を果たしている。本研究で分析された汚染パターンを指針として、手順をさらに最適化することは、組織バンクの利用を高めるのに役立つはずである。

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監訳者コメントなし

新生児集中治療室での黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のアウトブレイク調査における「一体型」 7 日間全ゲノムシークエンス法ソリューションの評価

Evaluation of an ‘all-in-one’ seven-day whole-genome sequencing solution in the investigation of a Staphylococcus aureus outbreak in a neonatal intensive care unit

C. Rouard*, N. Bourgeois-Nicolaos, L. Rahajamanana, O. Romain, L. Pouga, V. Derouin, D. De Luca, F. Doucet-Populaire
*Hôpitaux Universitaires Paris Sud, Hôpital Antoine Béclère, France

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 297-303


背景
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(meticillin-susceptible Staphylococcus aureus;MSSA)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)は、集中治療室におけるアウトブレイクの原因である。MSSA 感染症は MRSA 感染症と同様の罹患率および死亡率を有するが、研究頻度は低い。全ゲノムシークエンス法(WGS)はアウトブレイクのモニタリングへの使用が増加しているが、データの入手および解析のため、特有のインストールおよび訓練を受けた人材が依然として必要である。

目的
新生児集中治療室(NICU) 1 カ所での黄色ブドウ球菌血流感染の発生率上昇に関する調査において、EpiSeq solution(bioMérieux社、Marcy l’Etoile、フランス)の作業の流れおよび有益性を評価すること。

方法
2016 年 1 月から 7 月の間に入手した黄色ブドウ球菌菌血症分離株 4 株および保菌分離株 27 株を、「一体型ソリューション」EpiSeq(WGS、品質データ評価、multi-locus sequence typing[MLST]法、spa タイピング、ビルロームおよびレジストームの特性、系統樹作成)に提出した。BioNumerics ソフトウエア(Applied Maths 社、Sint-Martens-Latem、ベルギー)を用いて、より詳細な解析(全ゲノム MLST、全ゲノム一塩基多型[SNP])を実施した。

結果
試験した分離株 31 株のうち、9 つの異なる配列型および 13 の異なる spa 型が認められた。これらの分離株のうち、11株(患者 7 例)は ST146 spa 型 t002 であり、5株(患者 4 例)は ST30 であり、4株(患者 4 例)は ST398 であった。ST146 の分離株 11 株は、最大で 7 対の SNP の違いを有していた。

結論
EpiSeq solution の使用により、新生児における MSSA 集団の多クローン性の特性について迅速な実証が可能となり、大規模のアウトブレイクの疑いを除外できた。しかし、全ゲノム SNP の解析によって、NICU において 6 か月を超えて 1 つの配列型が伝播および残留したことが示され、それにより感染対策チームが対応策を変えることができた。

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監訳者コメント
MRSA のアウトブレイク調査には薬剤感受性の相同性や PFGE(パルスフィールドゲル電気泳動)などが用いられてきたが、近年全ゲノム解析法が身近になってきたことから、その有用性が度々報告されている。全ゲノム解析は菌種に関わらず可能なことから、本報告のように MSSA のアウトブレイクについても行うことができる。日本では POT 法がよく用いられているが、今後全ゲノム解析やその変法の普及が進むかもしれない。

嘔吐のシミュレーション後の生存ノロウイルスの分布の可能性

Potential distribution of viable norovirus after simulated vomiting

C. Makison Booth*, G. Frost
*Health and Safety Executive, UK

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 304-310


背景
嘔吐は、身体が自己から有害な胃内容物を迅速に取り除く 1 つの方法である。このプロセスは、通常は嘔吐する個人にとって有益である一方、彼らがノロウイルスのような伝染性が高い病原体に感染していた場合、重要な感染管理の問題を提起する可能性がある。ノロウイルスは、生存したまま嘔吐を通じてどれだけの距離を伝播する可能性があるか分かっておらず、特に、清掃中に見逃される恐れがある広範囲に及ぶ液滴および飛沫においては不明である。

目的
嘔吐のシミュレーション後の、生存ノロウイルスの潜在的な伝播の程度を明らかにすること。

方法
本研究では、嘔吐のシミュレーション後のウイルスの分布と生存の最悪の事態として、ノロウイルスの代用のネコカリシウイルス(FCV)を含む感染培養液とともに、「嘔吐のラリー」と呼ばれる嘔吐のシミュレーションのためのシステムを使用した。嘔吐のシミュレーション後に空気および床サンプルを採取し、プラークアッセイで生存ウイルスについて分析した。共分散分析で、FCV 濃度における差をサンプル量および場所によって検討した。

結果
嘔吐のシミュレーション後に採取したいずれの空気サンプルからも生存ウイルスは分離されなかった一方、ほぼすべての床サンプル(90 カ所中88 カ所)から 10 プラーク形成単位/mL 以上の濃度の FCV が回収された。これらは、嘔吐システムから 3 メートル離れて伝播した小さな液滴を含んだ。FCV 濃度はサンプル量および場所の両方によって決まることが証明された。

結論
本研究により、ノロウイルスは広範囲に及ぶ小さな液滴の中でさえ、感染症を誘発できる濃度で放出され生存できることが示唆された。そのような液滴は清掃中に気づかれないまま見過ごされ、ノロウイルスのアウトブレイク管理の負荷を増やす可能性がある。

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監訳者コメント
本報告は、嘔吐によりノロウイルスを含む吐物がいかに広範囲に飛散しているかを示すものである一方で、空気中のサンプルから検出されなかったことから、空気感染の可能性を否定するものである。余談であるが、この研究に用いられたラリー君、”vomiting larry”で動画検索してみていただきたい。なかなかの嘔吐っぷりである。

スコットランドの腎移植施設におけるニューモシスチス肺炎のアウトブレイクから得られた教訓

Lessons learned from a pneumocystis pneumonia outbreak at a Scottish renal transplant centre

A. McClarey*, P. Phelan, D. O’Shea, L. Henderson, R. Gunson, I.F. Laurenson
*Royal Infirmary of Edinburgh, UK

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 311-316


背景
ニューモシスチス肺炎は、腎移植患者に発生する日和見感染症である。当院の腎移植コホートにおいて、14 か月間にわたりニューモシスチス肺炎症例の増加が認められた。

目的
アウトブレイク集団の調査を行い、ニューモシスチス肺炎発症において考えうるリスク因子の同定を試みた。

方法
病院の医療記録について後向き分析を実施し、各症例を、症例と関係のある対照者2例とマッチさせた。患者の人口統計学的因子、臨床検査結果、および来院に関する情報を、感染症発症の前後について収集した。

結果
感染症の発症時点でニューモシスチス肺炎に対する予防投与を受けていた患者はおらず、腎移植からニューモシスチス肺炎発症までの平均期間は 4.7 年(範囲 0.51 ~ 14.5)であった。ニューモシスチス肺炎群では対照群よりも、推算糸球体濾過量の平均が有意に低かった(29.3 mL/ 分 /1.73 m2 対 70 mL/min-1P = 0.0007)。患者 3 例はニューモシスチス肺炎の診断前に活動性サイトメガロウイルス感染症に対する治療を受けており、2例は診断時に活動性サイトメガロウイルス感染症に罹患していたのに対し、対照群では罹患者はいなかった(P = 0.001)。ニューモシスチス肺炎群では、ニューモシスチス肺炎を発症することになった別の患者と来院が同時であった割合が高く、37%が同時受診であったのに対して対照群では 19%であった(P = 0.014)。

結論
本研究は、腎移植から数年後でも日和見感染症のリスクが継続していることを強調しており、またニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)のヒト‐ヒト伝播の可能性の重要性を示している。最もリスクが高い患者を示す可能性のあるリスク因子が同定され、これによりニューモシスチス肺炎に対して長期にわたる無差別の予防投与ではなく、標的を絞った予防投与が可能になる。

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監訳者コメント
ニューモシスチス肺炎のヒトヒト感染は以前から報告されているが、本事例でもその可能性が示唆された。その他のリスク因子については、症例数が少ないので実際のところ何ともいえないように思われる。

集中治療室における死亡率に細菌の抗菌薬耐性が及ぼす影響:2000 年から 2013 年にわたるレジストリ研究(IICU 研究)

Influence of bacterial resistance on mortality in intensive care units: a registry study from 2000 to 2013 (IICU Study)

V. Bonnet*, H. Dupont, S. Glorion, M. Aupée, E. Kipnis, J.L. Gérard, J.L. Hanouz, M.O. Fischer
*University Hospital of Caen, France

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 317-324


背景
細菌の抗菌薬耐性は、集中治療室における日常的な懸念である。しかし、in vitro で確認された抗菌薬耐性が及ぼす臨床的影響に関して利用できるデータはほとんどない。

目的
院内感染症の患者における死亡率を、細菌の抗菌薬耐性プロファイルに従って比較すること。

方法
2000 年から 2013 年にフランスの 29 の集中治療室が参加した前向きサーベイランスレジストリについて、後向きの分析を行った。集中治療室において院内感染症を呈したすべての患者を組み入れた。

結果
このレジストリには適格患者 88,000 例が登録されており、これには院内感染症の患者 10,001 例が含まれた。これらの患者のうち、3,092 例(36.7%)は抗菌薬耐性微生物が関係していた。グラム陰性桿菌は、グラム陽性球菌と比べて、抗菌薬耐性の発現率が最も高かった(52.8% 対 48.1%、P < 0.001)。抗菌薬耐性を有する感染性微生物による患者では、院内死亡率がより高く(51.9% 対 45.5%、P < 0.001)、救急救命部門の入室期間がより長かった(33 ± 26 対 29 ± 22 日、P < 0.001)。これらの結果は、SAPS II スコアによる調整後でも有意性を保ち(P < 0.001)、グラム陰性桿菌およびグラム陽性球菌のサブグループ解析でも有意であった。入院前の患者の所在場所(自宅、長期ケア施設、病院、ICU)にかかわらず、死亡率に差は認められなかった。

結論
細菌の抗菌薬耐性が認められた患者では、細菌種または患者の所在場所にかかわらず、集中治療室における死亡率が高く、入室期間が長かった。

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監訳者コメント
感染症は集中治療を受けている重症患者の死亡率を上げ、医療関連感染は合併症の発生や入院期間の延長をきたし、公衆衛生上の重大な問題となる。集中治療領域では感染予防対策が重視され積極的に実施されてきているものの、未だに感染症は増加し、ICU での死亡率は減少していない。本論文は北西フランスにおける大規模な前向きサーベイランス後の後向き解析である。本研究で耐性菌感染症患者の死亡率が有意に高いことが判明しているが、それが耐性菌の病原性によるものか、あるいは適切な抗菌薬の投与までの時間的遅延が原因なのかは、これまでと同様明らかにすることはできていない。

細菌保菌および原発性敗血症の前向きサーベイランス:3 次新生児集中治療室および中間ケア病棟における結果★★

Prospective surveillance of bacterial colonization and primary sepsis: findings of a tertiary neonatal intensive and intermediate care unit

C. Baier*, S. Pirr, S. Ziesing, E. Ebadi, G. Hansen, B. Bohnhorst, F.-C. Bange
*Hannover Medical School, Germany

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 325-331


背景
早産乳児および重症新生児は、院内感染症として敗血症を発症しやすい。さらに、これらの乳児は、将来害をもたらす可能性のある細菌を常在細菌として獲得する。これらの細菌の病棟内伝播が、アウトブレイクを引き起こすことがある。

目的
早産乳児および新生児を対象とした細菌保菌および原発性敗血症の前向きサーベイランスの結果を報告すること。

方法
2016 年 11 月から 2018 年 3 月にわたり、腸管および気道における細菌保菌のサーベイランスを、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)およびグラム陰性細菌を対象に行った結果を分析した。細菌保菌と敗血症サーベイランスの比較を行った。

結果
患児 671 例が入院し、患児の 87.0 %(N = 584)にスクリーニングを行った。スクリーニングを行った患児の 48.3%(N = 282)に、スクリーニングの対象とした細菌の少なくとも 1 種の保菌が認められ、そのうち 26.2%(N = 74)が多剤耐性株であった。細菌分離株計 534 株が回収された。高頻度に認められた細菌種は大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)であった。MRSA 3株が検出されたが、VRE は検出されなかった。サーベイランスにより、患児 9 例に肺炎桿菌のクラスターが検出された。血液培養で確認された敗血症エピソードは 23 件あり、60.9%(N = 14)はブドウ球菌によるものであった。グラム陰性菌(1 件はクレブシエラ・アエロゲネス[Klebsiella aerogenes]、2 件は E. cloacae)は、敗血症エピソード 3 件の原因であったが、すでにそれぞれの株について保菌状態が先行していた。

結論
保菌のサーベイランスにより、細菌種および抗菌薬耐性のパターンについて包括的な概観が得られる。これにより、保菌クラスターの早期発見が可能になる。保菌状況の把握と敗血症のサーベイランスは、感染制御策および抗菌薬療法の指針として有用である。

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監訳者コメント
ドイツでは、NICU での敗血症、肺炎、壊死性腸炎の前向きのサーベイランスは必須であり、さらにグラム陰性菌と特定のグラム陽性菌(MRSA および VRE)の保菌スクリーニング(咽頭および便検体)は1,500 グラム以下の超低出産体重児に対して実施することが推奨されている。保菌スクリーニングの定期的実施は、感染制御策の破綻を早期に発見することができ有用であるとともに、予め耐性菌の感受性がわかることで敗血症における経験的な抗菌薬選択の一助となる可能性がある。日本においてはすでに NICU において MRSA やカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)耐性菌によるアウトブレイクが報告されており、グラム陽性菌では MRSA および VRE、グラム陰性菌では ESBL 産生菌と CRE によるアウトブレイクの発生が将来的に懸念されるため、保菌スクリーニングの対象や適応についても今後検討すべき課題である。

掘り起こした遺体における C 型肝炎ウイルスの検出により複数の致死的疾患を引き起こした院内伝播源が特定された★★

Detection of hepatitis C virus in an exhumed body identified the origin of a nosocomial transmission that caused multiple fatal diseases

J. McDermott*, S.G. Parisi, I. Martini, C. Boldrin, E. Franchin, F. Dal Bello, A. Gianelli Castiglione, E. Boeri, M. Sampaolo, M. Basso, P. Menegazzi, L. Tagliaferro, G. Palù, O.E. Varnier
*University of Genoa, Italy

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 332-336


背景
医療と法律における利害の対立は、院内感染症の原因を証明することが難しい場合に発生する。

目的
中心静脈カテーテルのフラッシュ時に反復投与用の生理食塩水バッグの反復使用を介した C 型肝炎ウイルス(HCV)の患者間伝播のアウトブレイクについて報告すること。

方法
各患者から血液サンプルを採取して、HCV RNA 株の比較分析を行った。調査開始前に死亡した患者 1 例では、サンプルが得られなかった。HCV RNAは不安定であることが知られているが、埋葬の 4 か月後にその遺体を掘り起こして剖検サンプルを採取した。肝臓および脾臓のサンプルからHCV RNAを抽出できた。すべての HCV 株について、5’NC 非翻訳領域、E1 コア保存領域、および E1/E2 超可変領域の配列解析により遺伝子型決定を実施した。

結果
法医学研究者らが、2 名の病棟看護師が実施した使用ルートについて追跡した。、患者 14 例に対して各看護師が患者 7 例ずつ生理食塩水によるカテーテルのフラッシュを行っており、その経路をさかのぼって調査した。系統樹解析によりすべての症例の分離株を比較したところ、死亡患者が患者 5 例の汚染源であったと同定された。

結論
本研究では、医療と法律における利害の対立を解決するためのツールとしての配列解析の重要性が強調されている。高等法院は、医療従事者による汚染されたニードルの再使用が HCV の院内伝播を引き起こしたと判断した。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
8 例の入院患者がこのアウトブレイクで HCV(ジェノタイプ 2a)に罹患し、2 例が慢性肝炎、6 例が急性肝炎を呈した。うち2 例の急性白血病患者では HCV 抗体陰性(HCV-RNA陽性)であった。原因追求のために埋葬された死体臓器から遺伝子を抽出後遺伝子解析を実施し、このアウトブレイクの感染源が明らかとなった。これら患者のうち 6 例が同時期に中心静脈ラインが挿入されており、共通手技はカテーテルからの採血後の生食フラッシュであった。さらに看護師へのインタビュー、バーコードによる認証記録などの詳細な検索により 2005 年 12 月 14 日の朝 7 時から 7 時 30 分までの間に発生していることが判明した。その時間帯に勤務していた看護師 2 名が 7 例ずつの患者、計 14 例の患者からカテーテル採血をおこない、同一の 250 mL生食バッグから生食フラッシュを実施しており、フラッシュ用生食に使用する注射針の使い回しが原因であった。1 例の HCV 患者にこの操作をおこなった後、同じ注射針で 5 例の患者に使用したため感染が起こった。HCVの院内感染は日本でも報告されており(肝臓 51:273-276,2010)、再度日常の感染対策の見直しが必要である。

インフルエンザワクチン接種に対する文化的な価値観と看護師の理解・考え方に関する多施設研究

Multi-centre study on cultural dimensions and perceived attitudes of nurses towards influenza vaccination uptake

K.O. Kwok*, K.K. Li, S.S. Lee, P.H.Y. Chng, V.W.I. Wei, N.H. Ismail, N. Mosli, D. Koh, A. Lai, J.W. Lim
*The Chinese University of Hong Kong, China

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 337-342


本研究では、2017 年に実施した調査(3,971 名)を用いて、3 か国のアジア人集団における看護師を対象に、文化的価値観が Health Belief Model の 4 つの概念(要素)およびインフルエンザワクチン接種にいかに影響するかを検討した。ワクチン接種率は、ブルネイ 33.5%、香港 35.6%、シンガポール 69.5%であった。Health Belief Model の 3 つの概念;1)自分がその状態になりやすいという信念(認知された脆弱性)、2)行動をとることが脆弱性や重大性を減らすという信念(認知された利益)、3)行動を促す要因への曝露(行動のきっかけ)は、ワクチン接種と正の関連を示した。Health Belief Model によって、集団主義とワクチン接種との間に、直接的な負の関連および間接的な正の関連がみられた一方で、力関係とワクチン接種との間では間接的な負の関連がみられた。文化的価値観、特に集団主義の点から、看護師のワクチン接種に関する研究にはHealth Belief Model の導入と応用が求められた。

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監訳者コメント
Health Belief Modelは健康信念モデルとも呼ばれ、1950 年代に社会心理学者によって提唱されたもので、疾病を予防する活動や疾病のスクリーニング、疾病の管理を行うかどうか決定する際に、関連してくる 6 つの主要な概念(要素)を表したものである(詳しくは下記文献 1 を参照)。インフルエンザワクチンの接種を決定する時には他者からも影響を受けるが、看護師を対象とした本検討は、職場での集団的事情や力関係、そしてその背後にある文化的価値観も接種率に影響を及ぼしているのではないかとの立場に立っている。集団上の傾向や力関係は国によって異なっており、決定に関して個人が集団に依存する度合いも様々であるが、このような集団と個人との関係に着目した行動科学からワクチン接種をみることは興味深い。
文献
1)国立保健医療科学院。一目でわかるヘルスプロモーション 理論と実践ガイドブック。

ICU環境での周囲の患者のバンコマイシンの使用とバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant Enterococcus)の持続的な保菌との関連

Vancomycin use in surrounding patients during critical illness and risk for persistent colonization with vancomycin-resistant Enterococcus

P. Zachariah*, D.E. Freedberg
*Columbia University Irving Medical Center, USA

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 343-346


バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を保菌している患者に対する接触予防策の最適な期間は不明であり、個々の患者の特性のみが保菌延長のリスクを予測するのではない可能性がある。ICU 入室時に VRE の検査を受けた成人患者のコホートを用いて、ユニットレベルのバンコマイシンの使用と VRE の持続的な保菌との関連性を検討した。ユニットレベルでのバンコマイシンの使用がより多いと、患者個々のバンコマイシンの使用量およびユニットの VRE の密度と関係なく、VRE の保菌は有意に延長した(P = 0.03)。

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監訳者コメント
VRE 保菌者本人のバンコマイシンの使用や、周囲の患者を含めたユニット(局所)の VREの検出度合いよりも、ユニット全体のバンコマイシンの使用量が、VRE の保菌期間を長くしたという報告である。この結果を敷衍すれば、患者個人の抗菌薬の使用のみならず、周囲の患者の抗菌薬の使用も、多剤耐性菌(MDRO)の長期保菌を予想させることになる。患者・周囲患者の腸内細菌叢、環境中の細菌叢の情報はないが、これらの密接な関連も推測できる。加えて、院内の抗菌薬適正使用活動は、特定の種類の抗菌薬を使用している患者に特に注意が集まりがちであるが、それ以外の薬剤が高密度・高頻度に使用されている状況も、十分コントロールされなければならないことを示しているであろう。

2004 年から 2018 年のアイルランドのICUにおけるカンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)血症の増加

Candidaemia in an Irish intensive care unit setting between 2004 and 2018 reflects increased incidence of Candida glabrata

P. Ryan*, C. Motherway, J. Powell, A. Elsaka, A.A. Sheikh, A. Jahangir, N.H. O’Connell, C.P. Dunne
*University of Limerick, Ireland

Journal of Hospital Infection (2019) 102, 347-350


2004 年 1 月から 2018 年 8 月までのアイルランドの ICU におけるカンジダ血症の累積発生率は、入室 1,000 件あたり 17 であった。カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)はこのうち55%(N = 41)を占めたが、次いで多かったのはカンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)(N = 21、28%)であり、2012 年以降non-albicans Candidaでは最も多く検出されていた。そしてC. glabrata による死亡率(57%)は C. albicans による死亡率(29%)より高かった。分離株はすべてカスポファンギンに感受性であった(0.05 μg/mL)。特記すべきこととして、C. glabrata 分離株の 37%はフルコナゾールに、13%はアムホテリシンB に耐性であり、このことから集中治療における多剤耐性 C. glabrata の増加を阻止するために、抗真菌薬の適正使用支援(スチュワードシップ)の必要性が強調される。

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監訳者コメント
抗真菌薬のスチュワードシップは、以前にも増して非常に重要になってきている。多剤耐性の菌種として最も重要なのはC. glabrataC. aurisであろう。C. glabrataはフルコナゾールのみならずキャンディン系、そしてアムホテリシン B にも耐性を来たすが、この場合治療薬は非常に限られる。本研究において 2014 年以前にエンピリックに使用された抗真菌薬として、フルコナゾールの占める割合は高かったが、このような背景が C. glabrata 増加につながった可能性は否めない。ただし予防薬としての使用の程度など論文中に明らかにされていない情報もある。直近ではキャスポファンギン使用量が増加しているが、本検討の施設においても今後、C. glabrata のキャンディン系耐性や、C. parapsilosis の増加が注目される。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.