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集中治療室における全ゲノムシークエンシングを用いた黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の追跡

Tracking Staphylococcus aureus in the intensive care unit using whole-genome sequencing

S.J. Dancer*, C.E. Adams, J. Smith, B. Pichon, A. Kearns, D. Morrison
*Hairmyres Hospital, UK

Journal of Hospital Infection (2019) 103, 13-20


背景
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、世界中で未だに重要な細菌性病原体である。本研究は、1 カ所の 10 床からなる集中治療室(ICU)において、さまざまな環境リザーバ間の黄色ブドウ球菌を追跡するために、ブドウ球菌の既知の疫学を利用した。

方法
選択した手指接触面、職員の手指、空気の系統的スクリーニングを 10 か月間に 10 回実施し、試験期間を通して患者をスクリーニングした。黄色ブドウ球菌分離株の spa タイピングおよび疫学的解析を実施し、次いで、一塩基多型のデータを得るために全ゲノムシークエンシングを実施した。

結果
患者とリザーバ間の複数の伝播経路を調査した。34 件の伝播イベントがあり、そのうち 29 件は関連性が高く(SNP の違い 25 未満)、5 件は関連している可能性があった(SNP の違い 50 未満)。20 件(59%)の伝播イベントは、保菌患者とその患者自身の身体部位間で発生(すなわち、自己感染)、4 件(12%)は患者間の交差伝播と関連、4 件(12%)は患者と手指接触部位(ベッド柵、静脈内ポンプ)間で発生、4 件(12%)は空気中の黄色ブドウ球菌と職員の手指・ベッド柵との関連、2 件(6%)は、ベッドテーブル、ベッド柵、心電図モニターとの関連であった。

結論
保菌患者によって新たな黄色ブドウ球菌が ICU に頻繁にもたらされるため、保菌患者の区域内(あるいは近く)の手指接触部位に、その病原体の占める割合が拡大する。このような黄色ブドウ球菌の短期リザーバは、その後の患者に保菌/感染リスクをもたらす。ICU 関連黄色ブドウ球菌感染症の半数以上は、患者自身の細菌叢に由来し、職員の手指や空気が前方感染に関与することはまれである。ICU のブドウ球菌感染症の制御には、患者スクリーニング、手指接触面の組織的な清掃、継続的な手指衛生の強化が最善策である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
分子疫学的解析手法の極みである全塩基配列の比較であるが、分析手法のすべては多型性を司る特定領域の比較によるもので、データベースのマネジメントが重要である。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.