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ロンドンの大規模な国民保健サービス(NHS)Trust の入院患者におけるカルバペネマーゼ産生菌保菌率を明らかにするための点有病率調査

A point prevalence study to determine the inpatient rate of carbapenemase-producing organisms at a large London NHS Trust

J. Henderson*, H. Ciesielczuk, S.M. Nelson, M. Wilks, M.N. Cummins
*Barts Health NHS Trust, UK

Journal of Hospital Infection (2020) 104, 12-19


背景
過去 10 年間に英国におけるカルバペネマーゼ産生菌種の増加が認められている。これらのうち、エンテロバクター目の“5 大”カルバペネマーゼ(KPC 型、OXA-48 型、IMP 型、VIM 型、NDM 型)が、もっとも頻度が高いと報告されており、さまざまな反応性スクリーニング、アウトブレイク、入院患者サーベイランス、診断用検体により同定されている。

目的
4 つのロンドン自治区(Tower Hamlets、Newham、Redbridge、Waltham Forest)の患者 250 万例を収容する Barts Health 国民保健サービス(NHS)トラストにおいて、点有病率調査により、入院患者のカルバペネマーゼ産生菌保菌率を明らかにすることを目的とした。

方法
同意が得られた患者の直腸スワブを採取し、同時に、病棟の医学専門領域、患者の出生国、海外渡航歴、入院期間、および過去の入院歴の詳細を収集した。スワブ検体を増菌培養し、mSuperCARBA 選択培地で 2 次培養した。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法により、すべてのエンテロバクター目(Enterobacterales)、アシネトバクター(Acinetobacter)属菌、シュードモナス(Pseudomonas)属菌を同定し、EUCAST(European Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing)ガイドラインに従い、ディスク拡散法により抗菌薬感受性試験を実施した。以前に発表した逆転写 PCR 法の修正版を用いて、全分離株で“5 大”カルバペネマーゼのスクリーニングを実施した。

結果
検査を受けた入院患者 977 例のうち、30 例の検体から 35 件のカルバペネマーゼ産生菌が分離された。もっとも検出頻度の高いカルバペネマーゼは NDM 型で、OXA-48 型が続き、全体の保菌率は 3.1%であった。分離された細菌は、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、大腸菌(Escherichia coli)であった。腎疾患病棟および高齢者ケア病棟の患者において、カルバペネマーゼ産生菌保菌率がもっとも高かったのに対し、集中治療室における保菌率は低かった。統計解析では、海外での入院歴、あらゆる入院歴、海外旅行(とくに、インド、パキスタン、バングラデシュへの旅行)が、カルバペネマーゼ産生菌保菌リスクの増大と関連することが確認された。

結論
Barts Health NHS Trust において、NDM 型、OXA-48 型カルバペネマーゼなどを産生する カルバペネマーゼ産生菌の全体的な保菌率は 3.1%であり、ロンドンでの他の研究と同等である。腎疾患患者や高齢者でカルバペネマーゼ産生菌の負荷がもっとも高く、一方で、入院歴や海外への渡航歴はカルバペネマーゼ産生菌保菌リスクの増大と関連した。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
英国はインドなど英国連邦の国との結びつきが未だに深く、NDM 型などの陽性例などがその特徴を表している。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.