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侵襲性肺アスペルギルス症:基礎疾患として造血器悪性腫瘍を有する患者と固形癌を有する患者の比較分析 Invasive pulmonary aspergillosis: comparative analysis in cancer patients with underlying haematologic malignancies versus solid tumours

R.W. Dib*, M. Khalil, J. Fares, R.Y. Hachem, Y. Jiang, D. Dandachi, A.-M. Chaftari, I.I. Raad
*The University of Texas MD Anderson Cancer Center, USA

Journal of Hospital Infection (2020) 104, 358-364

背景
侵襲性肺アスペルギルス症は造血器悪性腫瘍と関連することが多いが、固形癌とも関連して発生する。

目的
造血器悪性腫瘍患者と固形癌患者において、侵襲性肺アスペルギルス症に関する診断のアプローチおよび治療のアウトカムを比較すること。

方法
2004 年から 2016 年 までの期間、連続的に集積した侵襲性肺アスペルギルス症の症例について後向き研究を実施し、確定診断例(proven cases)および臨床診断例(probable cases)を対象に評価を行った。基礎疾患として固形癌または造血器悪性腫瘍を有する、ないしは侵襲性肺アスペルギルス症診断の1年以内に造血幹細胞移植を受けた、18 歳以上の患者を組み入れた。

結果
解析対象とした患者 311 例中、225 例が造血器悪性腫瘍を、86 例が固形癌を有していた。固形癌患者は、造血器悪性腫瘍患者と比較して、慢性閉塞性肺疾患(COPD)やその他の肺疾患の既往を有する割合、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)感染症を有する割合、ならびに侵襲性肺アスペルギルス症発症の前に放射線療法を受けていた割合が高かった(すべて P < 0.01)。固形癌患者では、抗真菌薬単剤治療およびボリコナゾールベースの治療を受けた割合が高かった(それぞれ 87% 対 56%、P < 0.0001、および 77% 対 53%、P = 0.0002)。1 次抗真菌薬の投与期間の中央値は、固形癌患者のほうが長かった(64 日対 20 日、P < 0.0001)。抗真菌薬療法の完全あるいは部分的な奏効は、固形癌患者の 66%、造血器悪性腫瘍患者の 40%で達成された(P = 0.0001)。12 週時点で、全死亡率は両患者間で同様であったが、侵襲性肺アスペルギルス症に起因する死亡率は、造血器悪性腫瘍患者のほうが高かった(30% 対 18%、P = 0.04)。

結論
抗真菌薬の単剤療法は、固形癌患者のほうが造血器悪性腫瘍患者よりも多く行われていた。固形癌患者は造血器悪性腫瘍患者よりも、抗真菌薬療法への反応が良好であり、12 週時点での侵襲性肺アスペルギルス症に起因する死亡率が低かった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
侵襲性肺アスペルギルス症の臨床像と治療選択、経過、予後は、患者の基礎疾患や合併症に左右されるところが大きい。本研究で示された 2 集団での傾向は、本邦における日常診療でも首肯できる内容といえるのではないだろうか。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.