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アウトブレイク時における脳脊髄液シャント感染症のリスク因子:症例対照研究

Risk factors for cerebrospinal fluid shunt infections during an outbreak: a case-control study

A.K. McAlpine*, L.J. Sauve, J.C. Collet, D.M. Goldfarb, E. Guest, P.J. McDonald, A. Zheng, J.A. Srigley
*British Columbia Children’s Hospital, Vancouver, Canada

Journal of Hospital Infection (2020) 105, 78-82

背景
脳脊髄液シャント感染症アウトブレイクの報告として発表されているものはほとんどない。2017 年から 2018 年に、British Columbia Children’s Hospital において、新しい手術室への移行および使用するカテーテルの変更に伴って、脳脊髄液シャント感染症の増加が認められた。

目的
アウトブレイクがどのようにして検出されたのかを記述するために調査を実施して、アウトブレイク時の脳脊髄液シャント感染症の原因、関連するリスク因子、ならびにアウトブレイクを制御する試みとして実施された変更を明らかにすることを試みた。

方法
後向き症例対照研究。研究対象集団には、シャントの新規設置または交換を受けた患者を含めた。単変量ロジスティック回帰モデルを各変数にフィットさせた。P 値< 0.2 が認められた関連を、さらなる調査の対象候補と見なした。

結果
脳脊髄液シャント感染症症例が 6 例、対照者が 19 例であった。原因微生物は、各症例によって異なっていた。さらなる調査対象とする基準を満たしたリスク因子は、シャント術時に新生児であること(オッズ比[OR]9.0、95%信頼区間[CI]0.7 ~ 125.3、P = 0.10)および消化器疾患を有していること(OR 3.8、95%CI 0.5 ~ 26.2、P = 0.18)のみであった。使用された手術室または手術スタッフとの関連は認められなかった。アウトブレイクへの対応として、手術室間の人的移動を制限し、サージカルマスク着用の厳格な遵守を強化し、以前に使用した脳脊髄液シャントカテーテルへの交換が実施された。

結論
修正可能なリスク因子で脳脊髄液シャント感染症と関連していたものはなかった。手術プロトコール変更の実施後、アウトブレイクと見なされる脳脊髄液シャント感染症のさらなる症例は同定されなかった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
脳室シャント術は小児の水頭症治療に実施されるが、合併症は起こりやすいく、その主なものは閉塞、感染、機械的なシャント不良、ドレナージ過剰、カテーテル遠位端の不良などである。過去の報告では小児患者では、実施一年で 30 ~ 40%、2 年で約 50%とされている。シャント感染のリスク因子として、未熟児、低年齢、過去のシャント感染、水頭症の病態、胃瘻の留置などがあげられている。さらに周術期のリスク因子としては、脳外科医の経験や内視鏡使用、手術時間、不適切な皮膚処理、頭髪の剃毛、術野が広すぎること、脳脊髄液漏、手術手袋の破損などが報告されている。本論文で指摘された二つのリスク因子はこれまでの報告と同様であり、発見後に実施された複数の予防対策によりアウトブレイクは終息した。本アウトブレイクでのシャント感染の起炎菌は、半数が黄色ブドウ球菌を含むブドウ球菌属で、クレブシエラ属や緑膿菌が検出され、通常ブドウ球菌属が大半を占める既報とは異なるが、その原因は不明である。外科的操作におけるアウトブレイクは同一菌ではない場合もあり、早期に「おかしい、異常だ」と発見し、周術期の手技の見直しが必要である。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.