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表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)による人工関節感染症の病理発生:毒性遺伝子の同定により感染性株と共生株を識別できるか?

Pathogenesis of Staphylococcus epidermidis in prosthetic joint infections: can identification of virulence genes differentiate between infecting and commensal strains?

A. Sánchez*, N. Benito, A. Rivera, L. García, E. Miró, I. Mur, Y. González, C. Gutiérrez, J.P. Horcajada, P. Espinal, F. Navarro
*Hospital de la Santa Creu i Sant Pau, Spain

Journal of Hospital Infection (2020) 105, 561-568

背景
表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)はヒト皮膚細菌叢の共生細菌であり、人工関節感染症(PJI)の原因微生物となることが多い。これまでに、S. epidermidis について感染性株と共生株の集団を識別するための単一マーカーは同定されていない。

目的
2 つの集団の識別を可能にする遺伝子マーカーをみいだすこと。

方法
PJI 患者から得た S. epidermidis 株 50 株、健康なヒトの皮膚から得た 50 株(共生株)、ならびに一次関節置換術を受けた患者の手術野から得た 17 株について解析した。これらの 3 群について、抗菌薬感受性プロファイル、ST 型、バイオフィルム形成、ならびに毒性因子を検討した。手術野に由来する株は、これまで他の 2 群と比較されたことはなかった。

結果
PJI 患者に由来するS. epidermidis 株は、共生株および手術野株と比べて抗菌薬耐性を有する割合が有意に高かった。共生株および手術野株では、幅広く様々な配列型が認められた。主要なST 型は ST2 であり、これは PJI 株でのみ認められた(44%)。バイオフィルム形成には、群間で差は認められなかった。毒性遺伝子 sdrF および bhp、完全な ica オペロン、ならびに挿入配列 IS256 が、PJI 株において有意に多く認められた。対照的に、遺伝子 embp および hld、ならびにアルギニン異化可動性要素が、共生株では多く認められた。手術野株は、感染性株と共生株を識別する上で妥当な対照群となると考えられる。

結論
特徴的な性質の組み合わせによって、PJI における S. epidermidis について感染性株と共生株を識別することが可能であるが、単一のマーカーでは識別できない。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
PJI の原因菌は、ブドウ球菌属が約 4 割を占め、その半数は表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)である。表皮ブドウ球菌は近年黄色ブドウ球菌につぐ重要な PJI 起炎菌であるが、常在菌であるため分離されても起炎菌と汚染菌との鑑別が極めて難しい。しかしながら、病原性に関連する遺伝子を複数組み合わせることでその区別ができそうであり、判断に迷った時の助けになるが、日常的に実施するにはコストと時間がかかるため、現時点では現実的ではないかもしれない。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.