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医療機器をより安全に:プラスチックおよびシリコンオイルが微生物バイオフィルム形成に及ぼす影響

Making medical devices safer: impact of plastic and silicone oil on microbial biofilm formation

M. Slettengren*, S. Mohanty, W. Kamolvit, J. van der Linden, A. Brauner
*Karolinska University Hospital, Sweden

Journal of Hospital Infection (2020) 106, 155-162

背景
医療機器は、表面への微生物バイオフィルムの付着という課題に直面している。最終的に、バイオフィルムの付着は医療機器の機能を損ない、患者の感染リスクを高める可能性がある。しかし、バイオフィルムを防ぐ信頼できる方法は存在しない。

目的
新規の自動尿比重計に用いられた、シリコンオイルでコーティングしたポリプロピレンプラスチックについて、バイオフィルム形成に及ぼす影響を検討すること。また、シリコンオイルの粘度の影響について検討し、ポリプロピレンを、もう一つの一般的な医療用プラスチックであるポリスチレンと比較すること。

方法
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生細菌および多剤耐性細菌、ならびにカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を含む、一般的な病原体を対象に検討した。シリコンオイルを用いた場合に考え得る作用機序を明らかにするため、重要なバイオフィルム形成因子であるカーリー、セルロース、および1 型フィムブリエ(fim D)を欠損する、同系の大腸菌(Escherichia coli)株を用いた。ポリプロピレン製またはポリスチレン製の清潔な平底ウェルを、低度または中等度の粘度のシリコンオイルで前処置し、微生物を添加した。72 時間後、バイオフィルム形成についてクリスタルバイオレット法を用いて定量化した。

結果
シリコンオイルでコーティングしたポリプロピレンプラスチック表面では、オイルの粘度にかかわらず、検討したすべてのグラム陰性細菌およびグラム陽性細菌(ESBL 産生株および多剤耐性株を含め)、ならびに C. albicans のバイオフィルム形成が有意に阻害された。シリコンオイルは、細菌およびカンジダ菌の増殖に影響を及ぼさず、カーリー線毛がシリコンオイルの主な標的であることが分かった。オイルを用いないポリプロピレンプラスチックそのものは、ポリスチレンよりもバイオフィルム形成を防ぐ効果が高かった。

結論
本研究の結果から、細菌によるバイオフィルム形成を抑制するための新たな戦略が示唆され、これにより院内獲得感染症が低減し、また医療機器の機能不全を予防する可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
医療機器の表面に付着した細菌・真菌により形成されたバイオフィルムは、これらの微生物に最適な増殖の場を付与し、これにより発生した感染症は抗菌薬治療による治癒を極めて困難にすることがわかっている。バイオフィルム形成防止のために、ハイドロゲルや銀ナノ粒子などが試されてきたがバイオフィルム形成を完璧に防止できるものはこれまで開発されていない。集中治療がおこなわれている患者の尿量測定は時々刻々と変化する腎機能の把握に重要であるが、現在は目視による尿量確認が日本で実施されている。この時間あたりの尿量を自動測定する機器が世界では販売されている。しかしながら、尿道留置カテーテルの挿入後より細菌がカテーテル内あるいは機器の回路内で増殖しバイオフィルム形成が起こり、その結果自動測定機器が正常に作動しないあるいは尿路感染症のリスクともなる。バイオフィルム予防にシリコンオイルによるコーティングとポリプロピレンによる材質は効果的なバイオフィルム形成防止となる可能性がこの実験により確認されている。

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Reproduced from the Journal of Healthcare Infection, Volume 91, © 2015 The Healthcare Infection Society, with permission from Elsevier.
Although the translation was carried out with the permission of Elsevier, the translation has not been reviewed by Elsevier prior to posting online.