■『医療関連感染年次報告』
Third annual report on healthcare associated infections
HPAは今年で第三回目となる医療関連感染の報告を発表した。この報告のねらいは、英国における医療関連感染に関する重要な情報の特定、感染による負担の実証など多岐にわたっている。 もっとも一般的な血流感染は引き続きE. Coilで、全報告の約18%を占めている。これは過去5年間ほぼ横ばいである。黄色ブドウ球菌による血流感染は引き続き減少しており、特に減少傾向であるMRSA感染は、2003/4年度における発症数が50%減少になっている。 2003縲・007年度の報告ではカンジダ種起因感染は37%増加となっている一方、肺炎連鎖球菌起因感染は13%の減少となっている。 ノロウィルスは胃腸感染の原因として最も多く、2008年度では一週間単位の発生数が過去最大となっており、そのピークも例年よりも早く訪れている。 その他今後に向けての重要な問題や、更に注意が必要とされる地域などの内容に含まれる。
■『2007年度 若年層における性感染症に関する報告』
Sexually transmitted infections and young people in 2007
英国における性感染症と若者"が主題となっているHPAの最新報告では、16縲・4歳の若者間で問題となっているクラミジア、淋菌、性器疣贅などの情報が注目すべき点である。 報告では2007年度クラミジアスクリーニングプログラムより収集されたデータや泌尿器科クリニックからの診断データを要約した内容となっている。以前の報告では、16縲・4歳間で8人中1人であったのに対して、英国の泌尿器科クリニックにおいては新たに診断された約半数はこの年齢層に属している。この報告では、若年層に対するサービス向上の為の推奨策や、性感染症から自分の身を守るためのメッセージが盛り込まれている。
■『イーストミッドランドのおける水質汚染とクリプトスポリジウム症アウトブレイク』
Outbreak of cryptosporidiosis associated with a water contamination incident in the East Midlands
2008年6月19縲・4日の間、Pitsford Reservoirから供給されている飲料水から、超過量のクリプトスポリジウム接合子嚢が発見され25万人もの人々が危険に面している。これによりノーザンプトンタウン、ダベントリー、サウスノーザンプトンシャーやウェリンボローの地域が影響を受けている。Anglian Waterの調査によりクリプトスポリジウム接合子嚢の超過量が特定され、2008年6月25日午前6時に"Boil Water Notice"が出されている。Anglian Waterはディストリビューションシステムと水源を対象に広範囲のクリーニングと監視が行われたが、6月26日までの時点では接合子嚢は見つかっていなかった。しかし、これまでのエビデンスより"Boil Water Notice"通達へ引き上げに至った。 汚染の原因は治療過程のウサギによるものと特定された。地方のHPU(Health Protection Unit)は影響のある地域では29件のクリプトスポリジウム中毒を確認している。初期の疫学的なデータによると、ほとんどの発症は通達以前にクリプトスポリジウム接合子への曝露が原因であると示している。しかしうち3件は例外となっている。 さらに詳細な遺伝子解析では13例から飲料水とウサギ遺伝子型が発見されている。一件の発症例からは全く違ったタイプでのこり15件は現在研究所にて調査中である。Health Protection Unitは現在も調査中である。
■『オランダにおける出血熱の輸入感染』
Imported case of Marburg haemorrhagic fever in the Netherlands
2008年6月10日、ウガンダ共和国から戻ったオランダ人のマールブルグ出血熱発症の報告がWHOへ出された。症例は40歳の女性で6月5日縲・8日の間ウガンダ共和国南東部クイーンエリザベスナショナルパーク近くの2つの洞窟へ訪れていた。6月19日に訪問した二つ目の洞窟(パイソンケイブ)ではコウモリとの接触があったとされている。オランダへ帰国後の6月2日に熱と悪寒の症状が出始めた。帰国中の飛行機の中では症状は出ていなかったが、6月7日に急変し、6月11日に死亡が確認された。
パイソンケイブは、サハラ以南のアフリカの地域でフィロウイルスを運ぶコウモリが生息することで知られている。WHOはMoHに対し、住民とウガンダ共和国への旅行者に向けてコウモリが生息している洞窟への出入りをしないよう通達を出すことを推奨している。2007年6月には東部の鉱業都市において小規模アウトブレイクが報告されており、そこで確認されたたコウモリが感染源ではないかと考えられている。
マールブルグウィルスは血液、分泌物、臓器、死者もしくは感染者の体液などへの直接的な接触により非常に感染しやすくなる。伝染は感染している動物(とりわけサルやコウモリなどの生物)との接触によっても起こる場合がある。マールブルグ出血熱とエボラウィルスは英国で報告されている出血熱の最も多い原因である。以下の様な症状が見られる旅行者はすぐに医学的な配慮を受ける必要がある。 曝露から21日以内に熱、頭痛、倦怠感、目眩、筋肉痛が発生している場合。
■『MRSA菌血症、クロストリジウム・ディフィシレ、GRE菌血症』
MRSA bacteraemia, Clostridium difficile and GRE bacteraemia mandatory reports, 2007
保険省は医療関連感染サーベイランスの一部として、MRSA及びGRE菌血症、クロストリジウム・ディフィシレ感染の報告を発表した。このプログラムではMRSA菌血症及びクロストリジウム・ディフィシレ感染の四半期報告と、GRE菌血症の年次報告という内容で、2007年4月1日発行のサーベイランス内容強化の結果として、クロストリジウム・ディフィシレに関しては初となる事業年度と暦年単位での報告が盛り込まれている。
注目すべきは、65歳以上においてのクロストリジウム・ディフィシレが昨四半期比で6%増加している一方、MRSA菌血症においては昨年同時期から32%減少となっている。クロストリジウム・ディフィシレは年間件数と割合において減少が見られる。GRE菌血症は昨年同様であるが、10件以上の感染報告が出ているトラストの数は増加している。
Data from UK GUM clinics up to 2007 indicates continued increase in diagnoses of sexually transmitted infections
2007年度英国の泌尿器科クリニックのデータによると、性感染症の発症件数の増加が見られており、過去10年間増加傾向をたどっている。
情報元:HPA ( Health Protection Agency )
訳:藤川 聡 (モレーンコーポレーション)
ヘッドラインニュースでは、英国HPA(Health Protection Agency)が週間で発行する
"Health Protection Report"のトピックスを毎週紹介していきます。
英国保健保護局;
公衆衛生並びに労働安全衛生政策をはじめ感染、放射能、化学性物質に関する防御策情報を担当。
感染症のアウトブレイクや細菌 テロに対するアドバイスや対策方法を国民に提供する政府研究機関。