『2003年から2007年イングランド、ウェールズ、北アイルランドの研究室より
HPAへ纏めれ提出された、大腸菌が原因とされる菌血症に関する報告』
Voluntary reports of bacteraemia due to Escherichia coli made to the HPA between 2003 and 2007 from participating laboratories in England, Wales and Northern Ireland
情報元:HPA ( Health Protection Agency )
■菌血症
ポイント概要和訳:
1)大腸菌起因の菌血症がこれまでで最も多い菌血症の起因菌であった黄色ブドウ球菌を追い越す勢いとなっている。
2)2006年度の大腸菌起因菌血症の報告が20,007件に対して、2007年度には21,904件と9%の増加が見られる。
3)2003年以来32%も大腸菌起因菌血症が増加しており、全菌血症の24%増よりも高い増加率となっている。
※これは実際の事例の増加によるもの、もしくは断定された件数の増加によるものではないかと思われる。
4)大腸菌起因菌血症は女性よりも男性(特に1歳未満や65歳以上)に発症事例が多いが、15~44歳では
男性よりも女性に多く見られる。
5)報告されている大腸菌起因菌血症は10万人中39.5人の割合になる。
6)ここ数年、分離された抗生物質耐性菌の割合増は見られないが、それでも2007年は2003年より、
分離耐性菌の絶対数はかなり高い。
7)シプロフロキサシンとゲンタマイシンの各耐性(感受性)試験での分離菌のパーセンテージは
それぞれ2006年度の23%と9%からほぼ横ばいである。
8)拡張型セファロスポリンセフタジジムとセフォタキシムに対する耐性(感受性)試験では
2006年の12%からはほぼ横ばいを保っている。これは2003年の4-5%の2倍に相当する。
又、2003年以降セファロスポリンへの耐性は器基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)を生み出す
大腸菌の拡大や緊急性に反映されている。
9)カルバペネム系抗生物質イミペネム-シラスタチン若しくはメロペネムの全ての感受性試験では
依然として感受性が保たれている。
訳:藤川 聡 (モレーンコーポレーション)
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英国保健保護局;
公衆衛生並びに労働安全衛生政策をはじめ感染、放射能、化学性物質に関する防御策情報を担当。
感染症のアウトブレイクや細菌 テロに対するアドバイスや対策方法を国民に提供する政府研究機関。